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RSSフィード [211] 即興三語小説 ー10月に突入。来年のことを考え始めるこのごろ- 次回は締め切りは10/13(月)です。ミーティングも同様です
   
日時: 2014/10/12 13:14
名前: RYO ID:o2A6782s

 カウンター越しに常連客が、彼女のささくれだった薬指に、指輪をそっと通していく。
 サイズでも間違っていればいいのに。
 グラスを拭きながら思う。布巾をもつ手にいつもより力が入っていることを自覚する。
 横恋慕--。彼女の名前さえ知らない。
 初めて常連客に連れてこられた日のことは今も覚えている。突然の雨に降られて非難するように、二人で入ってきた。いつもは一人でしか来ない彼だったから、それはとても珍しかった。ほのかに上気した頬と、濡れた栗色の髪が印象的だった。
 思えば、彼がここでプロポーズをしているのは、私へのあてつけなのかもしれない。私がいるときを事前にチェックしていた可能性だってある。
 彼女は指輪を見ながら、うっとりとしている。きらきらとダイアモンドがライトを反射している。
「おめでとうございます」
 皮肉を込めて、にっこり微笑んでみせるが、幸せの絶頂の二人には届かないらしく、「ありがとう」とあっさり返された。
 もっとも、うちで告白をしたカップルが再び二人で来店したことはないのだけれど、幸せそうな二人には些細な問題なのだろう。しばらく待てば、きっと彼は一人でやってくるに違いない。
 グラスを拭く手に力が入っていることを自覚して、思わず笑みがこぼれた。


 とりあえず、コメント書くことが思いつかなかったので、即興で。

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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:『指輪』『ささくれ』『客』
▲表現文章テーマ:なし
▲縛り:なし
▲任意お題:なし
▲投稿締切:10/13(月)23:59まで <書き換え忘れてました。連休なので月曜です。<このスレッドじゃなかったですね。すいません。このままにしておきます。
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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Re: 即興三語小説 ー10月に突入。来年のことを考え始めるこのごろ- ( No.2 )
   
日時: 2014/10/05 10:51
名前: マルメガネ ID:VWicUX..

運命の輪

 鑑定士が預かった指輪の鑑定をする。
 その様子を持ってきた貴婦人と思われる品の良い客が心配そうな顔をして見守る。
「ふむ。値がつけられませんね。いいものです。大事にしてください」
 心配そうに見守る客にいろいろな角度から指輪を眺めて鑑定した鑑定士が言うと、
「いくらでもいいのですが、買い取っていただけますか?」
と、その客が思わぬことを口にした。
 いくらでもいいから現金に換えたいらしい。
 それには鑑定士は困った。
 すると、横で見ていた貴金属商が
「それなら、私が買い取りましょう」
と言ってきた。
「よろしいのですか?」
「はい。喜んで」
 貴金属商が貴婦人にほくほく顔で答える。
 貴金属商はささくれたような指で貴婦人からその指輪を受け取ると、なにがしかの金額を示した。
「それだけなら十分ですわ」
 貴婦人が安堵した顔をして、貴金属商が示した金額に手を打ち、商談が成立した。
 貴婦人が帰った後、貴金属商が貴婦人から買い取った指輪を確認した。
 純銀製らしく、長い時間を経たらしいその指輪はいぶし銀のような光沢を放っている。
「君は、どうして買い取らなかったんだい?」
 誇らしげに貴金属商が鑑定士に聞いた。
「いや、買うのはいいけど、なんだか不幸が訪れそうでね」
 鑑定士が頼りなさげに答えると、貴金属商は
「そんなのは迷信さ」
と気にしていない様子だった。
 それからしばらくしてその貴金属商は帰って行った。
 それ以来、指輪の鑑定を依頼し、買い取ってくれるのか聞いた貴婦人も指輪を買い取った馴染みの貴金属商も来なくなった。
 鑑定士といえば、仕事が舞い込んできて忙しくなり、そのこともすっかり忘れ、やがて数年の年月が経った。
「数年ぶりです」
 そんなある日、一仕事を終えた鑑定士のもとにそう声をかけて入ってきた人物がいた。
 指輪を貴婦人から買い取った馴染みの貴金属商である。
 彼は数年前に比べると痩せこけ、目ばかりがぎらつき、頭も白髪になっていた。
「数年ぶりですね。どうなさったので?」
 鑑定士が数年ぶりにやってきた貴金属商に聞くと、貴金属商は指輪を買っていろいろあったことを話して聞かせた。
 その話を聞くところによれば、指輪を買った後に株価が上昇し、仕事も何もかも順調だったが、一年もせぬうちに金銀の価格が下落して経営が苦しくなり、また体を壊してしまって寝込んだらしかった。
「君が言っていたことは確かなことだったよ」
 貴金属商がため息交じりに言う。
「なんとなくそう思っただけなんだがなぁ。苦労したねぇ」
 鑑定士が苦笑いする。
「それで、あの貴婦人は来たかい?」
「いや、来ないよ」
 何か文句があるのかと鑑定士は勘ぐったが、それは外れ
「あの指輪を返そうと思っているのだ。わしの手には合わなくてな」
と貴金属商が言った。相変わらず手だけはささくれだらけだ。
「ふむ。どうしたものか」
 鑑定士は貴婦人の連絡先を聞いていなかった。
 二人でどうしようかと悩んでいると、数年前に指輪の鑑定に訪れた貴婦人がやって来た。
 数年たってもその女性は変わっていないようにも見えた。
「その後はいかがですか?」
 貴婦人がそのように言う。
「いろいろありましてね。私の手には合いませんでしたね」
 貴金属商がそう言うと、貴婦人は
「あらそうでしたか…。ではどうなさいますか?」
と聞いてきた。
「お返しします」
 貴金属商がそう答えると、不思議なことにいぶし銀の指輪が割れた。
 貴婦人はそれを見届けると何も言わずに立ち去って行った。
 それと同時に割れたいぶし銀の指輪は煙のように消えていた。
「不思議なこともあるものだな」
「ああ。そうだ。やっぱりわしにはふさわしくなかったのかもしれんな」
 二人でそう話す。
 貴婦人の正体は何者であったのかはわからない。
 ただ二人には、その貴婦人が運命の女神だったのかもしれない、と思えるのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 まとまりがありません。無理やりな気がしますが、とりあえず。

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