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RSSフィード [118] 即興三語小説 ―GWはありましたか?―
   
日時: 2013/04/29 22:51
名前: RYO ID:LCthSt0.

あーなんか言いたいことはいろいろあったけど、
とりあえず4月の残業がこのままいくとやばいらしいから、
5月は残業を控えたいらしい主催者です。懐中時計はもうそろそろ日付が変わります。
GWなんてないなら、残業しなくていいらしい。
え? 違う? 今年は休みが少ないから、まだまだ死ねないって。
それはまだまだ殺せないってことじゃ……
川縁の青柳は静かに揺れるだけ。

締切り、ミーティングも5/6です。注意願います。 --------------------------------------------------------------------------------


●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「懐中時計」「青柳」「まだまだ死ねない」
▲縛り:なし
▲任意お題:なし

▲投稿締切:5/6(月)23:59まで 
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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Re: 即興三語小説 ―GWはありましたか?― ( No.2 )
   
日時: 2013/05/01 15:57
名前: 卯月 燐太郎 ID:yKdWp2l6

   死刑執行

 
 過疎の町の山里に建てられた刑務所には三千人に及ぶ犯罪者が収容されている。
 年ごとに犯罪者の数が増えるのは時代の流れか。
 刑務所の近くに河川があり土手には柳が植えられているが、夏にもなると葉が青くなり青柳が風にゆらゆらと揺れて、のどかな風景で見る者の心を穏やかにさせる。
 野沢はバスに揺られ土手を幾度もなく通った。
 野沢がその日、刑務所に来たのは、死刑執行が間近に迫った受刑者Aに静穏な死を迎えてもらうためだった。
 Aは三人の者を殺していたが、物的証拠などから、正当防衛ではないかと思えるようになった。
 だが、A自身がそれを否定して、判決通りの死刑を望んだのだ。
 野沢は、弁護士として最善の努力は尽くした。
 妻と娘を亡くしている野沢はコンビニで買った弁当をバスの車内で食べた。青柳の葉が窓からひらひらと落ちてきて、白米の上に青いコントラストを作った。野沢は青柳の葉ごと白米を口に含んだ。少し苦い味がしたが、それは今回の弁護活動の結果を意味しているのかもしれない。
 Aと話し合い事実確認をして弁護に何を望んでいるかわかるにつけ、野沢は、自分の無能力ぶりを思い知らされた。
 三人の者を殺しはしたが、正当防衛に他ならないと野沢は考えていたからだ。
 だからその方向で弁護したかったが、A自身が死刑を望み、自分に不利な発言をした。
 以前、面会した時に野沢は尋ねた。
「どうしてあんな発言をしたのですか?」
「生きていても、仕方がないからさ……」
「このままだと、判決通り死刑になってしまいます。Aさん、上告しましょうよ」
「私は、死刑を望んでいる」
「どうしてなのですか? たしかにあなたは三人を殺したかもしれない。しかし、あれは正当防衛でしょう。彼らが、あなたを殺そうと、車や刃物で襲ってきたから、あなたは対応しただけだ。その結果、彼らが死ぬ羽目になった」
「どちらにしろ、私が存在していたから、彼らは亡くなった。だから、私は死刑になっても異存はありません」

 死刑三日前の面会室で、Aは穏やかな表情だった。
「何か、伝えたいことはありますか? 親族の方でもよいし、知り合いの方でもよいですよ。もちろん私にでもよいです」
 Aは微笑を浮かべると「せんせい……」と呟いただけで、面会室を後にした。

 当日午前十時前に懐中時計をスーツの懐から出した野沢は、時計が十時を三十分ほど過ぎるまで見ていた。

 終わったか……。

 野沢が弁護士事務所を出たのは夜遅くになってからだった。
 駅前の屋台でおでんをあてにコップ酒を飲んでいた。
「お客さん、あんまり飲んだら体に悪いですよ」
 屋台のおやじが身体を気遣って声をかけてくれた。
 野沢は酔っていたのだろう、屋台のおやじにAのことを話した。
「そうですかい」そういいながらおやじは蛸(タコ)を出した。
 蛸は生きていて、のらりくらりとおやじから逃れようとしている。
 おやじはまな板の上で包丁を使い、蛸の脚を切り取った。
 一本、二本、そして三本。
 だが蛸は「まだまだ死ねない」とばかりにまな板からするりと路上に落ちた。
そのまま路上をするすると動いていく。
 おやじはそれを見て捕まえようともせずに「生きようとする生命力があるのですね」と言った。
 切り取った脚を串に刺しておでんのタネにした。
「おやじさん蛸を捕まえないのですか? 川に逃げちゃいますよ。もう橋の袂まで近づいています」
「ああ、いいのですよ。その方に何があったのか知りませんが、本当は生きたかったのでしょう。しかし事情があったのでしょうね」
「事情か……。もしあるとすれば何なのかな」
「あの蛸は生きるために他の命を自分の物にしています。その命は三匹ではないでしょう。数えきれないほどの命を自分が生きるために食ったのでしょう。しかし、まだ食い足らないらしい」
 野沢はお金を支払うと屋台を後にした。

「仮説としては可能だな……。三人以外にも殺しをしていたかもしれない」
 野沢は自宅に帰ると、仏壇の前に座り、妻と娘の仏さんに線香をあげながら、「きっと犯人を捕まえて償いをさせてやるからな……」と誓った。

―― 了 ――


お題:「懐中時計」「青柳」「まだまだ死ねない」

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