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RSSフィード [117] 即興三語小説 ―GWはゆっくりしていってね―
   
日時: 2013/04/21 22:28
名前: RYO ID:JAk8kqtk

なーんか中途半端なゴールデンウィークです。
予定はありませんが。
いっそのこと、一週間祝日にしてしまえと思うこのごろ。

来週は月曜が祝日なので、締切り、ミーティングも月曜です。
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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「逆戻り」「鎮圧」「玉虫」
▲縛り:なし
▲任意お題:なし

▲投稿締切:4/29(月)23:59まで 
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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Re: 即興三語小説 ―GWはゆっくりしていってね― ( No.2 )
   
日時: 2013/04/23 19:10
名前: 品田 ID:SoZaTF0o

「幻視死体」



 パーフェクトアイラブユーについて、おまえはなにか知っている? 街のいたるところでとびかう言葉のしょうたいを、たった一つにこめるとしたら。

 十年以上前に出て行ったきり一度としてもどらなかったムシカギが、昨晩この街に帰ったらしい。ムシカギはおれの家の前に死体をこしらえて、どこかに息をひそめている。おれはそれを見たとき、すぐにそれがなんであるか気がついた。なんせおれたちは親友だったからね。まるで一個体のようだった。

 パーフェクトアイラブユーについて、五臓六腑と目玉の位置を正しく知るひつようがある。おれの血液が上手く運ばれなくなって、酸素が行き渡らなくなっても、五臓六腑と目玉の位置を、正しく知るひつようがある。

 街はパレードで、おおかたそれをねらって帰ったのだろうと口々に言われていた。ムシカギはめでたいことが好きだから、そのたびに死体をこしらえてきたのはゆうめいな話だ。誰もがムシカギを知っている。そして、誰もがムシカギをおそれていた。
「ムシカギの技巧を目にしたことがあるか」
 死体をみつけた三日後に、靴屋へ出向いた。靴屋の店先では、パレードが中止になって港へ向かう観光客を見ながら、おとこがクリープを飲んでいる。こえをかけるとおれも見て首を振った。ジオラマだ。
 ジオラマはうんと年がはなれているが、ムシカギの弟にあたる。あの頃のムシカギとおなじ年になったジオラマは、見間違えるほどによく似ていた。じっさい、この三日間で、あきれるほど通報されたという。目のいろがちがうことを知っているのは、おれとムシカギぐらいだ。ジオラマの目はあおやかな夜更けににている。
「口をそろえてみんなが言う。左目にブリリアントな玉虫がはめこまれていて、だからムシカギがつくったのだと」
「それで」
「ムシカギが帰ってきた」
「それで」
「でもそんなはずがないんだよ」
 ムシカギのこしらえた死体は、すべて同じにつくられていた。美しい目をした人をころして、その技巧で目をぬいたら玉虫をはめこむのだ。虫ならなんでもいいわけじゃない。ムシカギにはこだわりがあった。
 美しいものには美しいものを。
「ジオラマ。おまえなんだろ」
「どうして」
「だってムシカギは右目をうばうんだ」
 空は群青と橙の複雑なグラデーションで街をおおっていた。ジオラマはおれの言葉にクリープを落とす。昨日の雨でぬかるんだ土が、にじませながら白色の脂を飲んでいた。
 ばかだなあ。おまえは知り得なかったのか。おれの右目のいろがほんとうにときどきかわる理由を。ジオラマ、左目ばかり見ていて気づかなかったのか。玉虫の上翅がはいっていると、ムシカギがそうしたと、おまえは。

 パーフェクトアイラブユーについて、おまえは誤ってそれを知っていた。ムシカギがおまえの兄弟でなかったら、きっとそんなおかしなことにはならなかった。おまえはおもいちがいをしていたんだ。だからパーフェクトアイラブユーはムシカギのものだよ。
 ジオラマ、おまえ、五臓六腑の位置は正しかったのに!

「おれのためにパレードを鎮圧しようとしたのか」
「そうだ。もう十年たったから、いいかげんにあなたは幸福にならなくちゃいけない」
 ムシカギはもういないから、パーフェクトアイラブユーはあなたのものになる、と、ジオラマはいう。おれはだれの目玉もうばってないのに、ジオラマはそんなふうに言って笑う。狂っているとおもった。
 夜更けがせまりくるのをその目玉に見る。幸福でないのはどちらだよ。おまえはあんまり凄惨だからって、幻視だとおもっているのだろう。ムシカギは街を出ていない。ムシカギは、パレードの終わりに自殺した。おまえだけがなにもかも誤っている。人々の口から出るのは、ムシカギじゃなくてジオラマだった。
「再生しろよ。おまえこそ、幸福になれ」
 こんなものは逆戻りの一方だ。ジオラマ。くりかえしてはならない。目の美しい人間をいくらえらんでも、パーフェクトアイラブユーはおまえのものにならない。まして、おれのものにもなりはしない。
「おまえの目は、上翅のないきれいないろだから、きっと再生できるはずだ。おれとちがって、光沢をもったりしない」

 パーフェクトアイラブユーについて、おまえはなにか知っている? 五臓六腑と目玉の位置を、たった一つにこめるとしたら。ムシカギの、幻視は。



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 昨日のチャットで眺めてますと言ったばかりなのに、気になって仕方がなかったので参加させていただきたく思い切りました。
 ひらがなをたくさん使いたいのと、おいてけぼりにさせたくて書いたのですが文句はありがたく頂戴します。三十分弱タイムオーバーしました。すみません。

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