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RSSフィード [54] ひとかたしょうせつ
   
日時: 2012/06/03 22:15
名前: 片桐 ID:I7jRb6M2

今日のミニイベントは、シンプルです。
「人形」をテーマにして、何か一作書いてみてください。
時間制限は、とりあえず11時まで。
楽しめたら、良いすなー。

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おとこのこのかたち。 ( No.1 )
   
日時: 2012/06/03 22:56
名前: 脳舞 ID:UjMEw7h.

 私には、他人には言えない趣味がある。
 それは男の子を模した人形に、本来は女の子の人形用の服を着せるということだ。
 いい年をして結婚もせず、人形遊びをしている時点でもとても言えたものではないけれど、さらにそこにそんな倒錯した意味合いが加わると、一層公言出来ないものになってしまう。
 女の子の服を着せると、人工的なその顔がどこか恥じらっているように思えるのだ。車の通らない赤信号を渡るような、駐輪場で他人の自転車を倒してしまっても知らんぷりするような、そんな些細な背徳に彩られた悦びがある。
 最近では市販の衣装だけでは満足出来ず、自分の服を参考にそのミニチュアを縫ってみたり、自分の髪から外したリボンを材料に小さなリボンを作ってみたりするようになった。
 ふふ、と笑みがこぼれる。
(オトコの娘、だね)
 しょせんは人形だから、男の子と女の子の違いなんてないも同然なのだけれど、胸がわずかに膨らんでいるか、それともなだらかなのか程度の差はある。そんな小さな差でも、それは確かな違いだ。
(キミは、おかしな格好をしているよ)
 女の子の人形から切り取った長い髪でウィッグを作って、男の子の人形にかぶせる。そして、それはそれは小さな赤いリボンを取りつける。自分の下着から切り出したブラをやさしく胸に装着させる。ちゃんとパッドを入れるのも忘れない。同じようにショーツもそっと履かせてあげる。ギリギリそれが見えなさそうなきわどい丈のミニスカートと、体の線が出そうなタンクトップを着せることが最近のお気に入りだ。
(男なのに女の格好をするだなんて、どうかしていると言われても仕方ないね)
 指でそっとスカートの裾を持ち上げてみる。純白のショーツが露になって、いやらしい辱めを受けることになった。
(ああ、恥ずかしい。とんだ変態じゃないか)
 人形にそっと頬を寄せてみる。これが一緒ならば、心強い気分になれそうな気がする。
 鏡の前に立つオトコの娘と、その手の平の上にちょこんと座るオトコの娘。
(恥ずかしい気分は半分こ。違った世界に出ることの喜びは二倍になるといいな)
 諦めがわずかに混じった母の非難の声を背中に感じながら、私は世間へつながる扉へと手を掛けて、そっと押し開いた。
 吹き抜ける風がスカートの裾を舐めてゆき、今までに感じたことのない不思議な気持ちが私とオトコの娘の人形を歓迎してくれた。

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……なんだこれ。

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人呪わば ( No.2 )
   
日時: 2012/06/03 22:58
名前: マルメガネ ID:Xp1uPBTk

 射干玉の夜。月の無い夜。確かな闇と静けさが広がっていた。
 その漆黒の闇と静寂を破り、名のある社宮の森より乾いた音がこだまする。
 その音は怨念に満ち、また悪意の空気さえ流れた。
「我、成就せり」
 五徳を逆さに被りそれに蝋燭を点した、髪ふり乱しおどろおどろしく化粧をした女が突如として叫ぶ。
 手には木槌。そして神木には古い四角い五寸釘で忌まわしくも藁人形が打ちつけられている。
 丑の刻参り。
 しかし、その実態は陰惨であるのだ。彼女は付き合っていた彼との恋愛関係のもつれより、かの振る舞いに出たのだ。
 付き合っていた彼が事故に遭うように、というその思念をこめて。
 それがその晩成就する、満願の夜となった。彼が知ることはない。また誰にも知られていない。
 最後の一打ちが打ち込まれる木槌の音がするや、寝ぼけたカラスが一斉に騒ぎ始めた。
 彼女は一目散にその場を離れ、暗がりの長い急な石段を駈け下りた。
 そして、短くドスの効いた悲鳴が上がり、そして静寂が再び戻った。
 
 神社境内にいたる石段の前の鳥居付近は、赤いパトランプが盛んに点滅し、警察官が動き、立ち入り禁止のテープを貼って群がる野次馬をけん制するのに躍起になっている。
 救急隊員が布を被せた担架を救急車に運び入れている。
「事故なのか、他殺なのかわかりませんね」
「ああ、わからないね。だけど、一つだけわかることがある」
「なんですか?」
「仏さんになった子だよ。白帷子というのも変だ。付近には蝋燭が立てられた五徳が転がっていた」
「まさか、丑の刻……」
 そう、若い警部補が言いかけた時、いきなり石造りの鳥居が嫌な音をたて突然崩れ落ちてきた。
 彼はとっさに体をかわしたが、間に合わず下敷きになった。
 そう、彼こそが丑の刻参りの対象になった人物であった。呪ったのも、遺体になって転がっていた彼女である。
 幸いに彼は救出されたが、二度と歩けない体になってしまった。
「彼女の死因は、石段から落ちたあと、その後傾き始めた鳥居の上に放りあげられた石が落下し頭部を直撃したものと推定される。まだ生きていたと思われるのだが、それが致命傷になったようだ」
 病室で法医学者から、彼はそう報告を受けた。
 彼の視線は、病室の窓の向こうに見える神社のある小高い丘に向けられていた。鳥居の修復のためやってきたクレーン車がなぜか空しく見えた。

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急きょ書いたけど、なんだこりゃ。

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アーモンドスカイ B ( No.3 )
   
日時: 2012/06/03 23:20
名前: 片桐 ID:I7jRb6M2

 アーモンドの瞳で世界を見る。
 今の世界は、茜色。アーモンド型に切りとられた夕焼け空を、僕はただひとりで見あげているのだ
 僕がいるのは、おそらく人里から遠く離れた、ゴミ捨て場。あたりには、ガラスの割れた食器棚や、折れたほうき、虫のたかったゴミ袋なんかが、転がっている。僕もまた、そういうもののひとつなのだ。
 用済みという烙印を押された僕は、ときどき言いようもない気分に襲われると、「悪くないさ」と、何かに蓋をするようにつぶやくのが癖になっている。その言葉に嘘はない。だって、もう慣れっこだし、それ以外の気分というものを、忘れてしまったから。
 うろこ雲が流れる夕焼け空を、渡り鳥が、矢じり型の編隊を組んで飛んでいく。先導する鳥が、キッと方向転換を決めれば、続くものらはまたたく間に編隊を組みなおして、あらたな軌跡を描いていく。それは、何度見ても飽きない、鮮やかな空中ショー。鳥に心があるならば、彼らはそんな自分を誇らしく思っているのだろう。
 茜はやがて色を深め、いつしか空は、深い闇へと染まっていった。
 夜空にまたたく星々のきらめきを見ていると、いつも思い出す声がある。
「リッキーは男の子だから、夜が来てもへっちゃらね。だから、さよならするのはリッキーにしたの。エマは、寂しがり屋の女の子だから、こんなところに置いていけば、すぐに泣いてしまうわ」
 そう言ったのは、誰だったろう。
 僕は人形だから、物覚えがよくない。昔のことを思い出すのは、なにより苦手だ。
 だけど不思議なことに、その声だけは、僕のなかで、何度も繰りかえされる。
「リッキーの眼は、どこかにいってしまったから、このアーモンドをつけてあげる。これで、昼は青空を、夜は星空を見ることができるでしょう? きっと、悪くない気分よ。じゃあ、わたしは行くね。バイバイ、リッキー。わたしの大切なお友達」
 いつか、雨が降れば、僕の眼は腐り、ついには空を見上げることさえできなくなる。いや、その時僕は、「僕」というものさえ失ってしまうのかもしれない。誰からも忘れさられ、僕がここにいたという証はさっぱりなくなってしまう。
 でも――。
「それはそれで、悪くはない気分さ」
 結局、そう考えることしかできない僕は、やっぱり人形に過ぎないだろう。

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Re: ひとかたしょうせつ ( No.4 )
   
日時: 2012/06/03 23:50
名前: HAL ID:X.gfcKmA
参照: http://dabunnsouko.web.fc2.com/

 まあまあ、お人形さんのようね。そういわれるのは、彼女にとって、ほとんど日常茶飯事のようなものだった。それが、顔立ちの整ったかわいらしい少女に対する慣用句だということを、彼女は長じるまで知らなかった。いつでも言葉通りの意味として、彼女はその賛辞を受け取っていたし、もしかすると、それを誇らしく思ってさえいたかもしれない。
 まさしく彼女は人形のようだった。いつでもうっすらと微笑んで、じっと黙っている、人形のように愛らしい少女。手を引く母親のあとに従って歩き、座っているようにと命じられれば次の命令があるまで、何時間でも身じろぎせずに座っている。呼吸もするなといわれたら、そのようにしたかもしれない。
 それが彼女にとって日常であったし、身を守るための手段でもあったのだ。指示に従わなければ、叱責される。何かを要求すれば、うるさいといわれる。不機嫌な顔をしていれば、何が不満なのと怒られ、声を出して泣けば、癇癪とともに平手が飛んでくる。
 けれど人形のようにしてさえいれば、彼女の必要なものはきちんと与えられたし、彼女の母親は、とても優しかった。彼女をいつでもよく褒めて、頭を撫でて、可愛がった。ちょうど人形に対してそうするように。
 家のなかではほとんど、彼女は口を利かなかった。母親に何かを訊ねられれば、きちんと返事をしたけれど、そもそも彼女の母親が、彼女に何かを訊ねるということが、めったにないことだった。外でも、彼女の母親とともに出掛ける範囲の世界では、それで問題がなかった。訊かれたことには答えるのだし、訊かれても意味がわからなければ、愛らしく小首を傾げれば、それでことたりた。大人しいお嬢さんね。そういわれると、どうも人見知りで、と母親は返す。おかげで人見知りという言葉の意味を、彼女は長らく誤解していた。
 彼女の母親は、どうやら親類と縁を切っていたらしいというのは、彼女が成人してからようやく知ったことで、子どもの頃の彼女は、そうしたことを、とくに疑問に思ったりもしなかった。そうした、よその家の子にはお父さんがいて、おじいちゃんとおばあちゃんが二人ずついるらしいけれど、どうして自分はそうではないのだろうというようなことは。いわれたこと以上の何かを考えるのは、彼女にとって苦痛をもたらすばかりであると、彼女は人生の初期の段階で明確に学習していた。
 やがて小学校に上がるまでは、それで大きな問題もなかった。少なくとも、表面上は。けれど学校でたくさんの子どもたちに囲まれて、人から何を聞かれても言葉少なに返し、自分からはけして会話に加わろうとしなければ、誰かに話しかけようともせず、始業前にも、授業中も、昼休みにも、放課後になっても、ひとりでしずかに微笑んでいる彼女に対する、言葉にならない違和感を、周囲の子どもたちはすぐに嗅ぎつけた。口がきけないわけでもないのに、話をしない少女。話しかけられれば肯き、首を振り、いっしょに遊びの輪に入るのに、いわれたことだけを淡々とするばかりで、何かをうまくできても嬉しそうな顔をせず、誰かに怒られても静かに微笑んでいる。それなあに、だとか、いっしょに遊んでもいい、だとか、これちょっとだけ貸して、だとか、そうしたことをひとつも口にしない、人形のような少女。
 なにかおかしなものが自分たちの中に混じっているという違和感に、子どもはひどく敏感なものだ。徐々に、少女に話しかける子どもの数は減っていき、彼女はひとり、いつまでも、微笑んで椅子に座っているようになった。やがて、何かがおかしいということに気付いた彼女の担任が、家庭訪問を決意するまでに、それほど長い時間はかからなかった。
 何かうちの子に、問題があったでしょうか。そう心配そうに教師に訊ねる母親のそばに、人形のように座って微笑んだまま、少女は神経を張り詰めさせていた。何が問題視されているのか、自分が何を失敗してしまったのか、彼女には知りようもなかったけれど、彼女の母親が発している怒りを、対面して座っている担任の教師にはまるで感じ取れないらしいその匂いを、少女は敏感に嗅ぎつけていた。
 いいえ、問題というのではないんですよ。ただちょっと、そうですね、人見知りなんでしょうか、あまりほかの子たちとおしゃべりするのが好きじゃないみたいで。おうちではどんなふうですか。
 頭の上でかわされるやりとりに、少女はじっと耳をすませた。そして何がいけなかったのか、必死で学習しようとした。一時間あまりの面談を終えて教師が去っても、母親にしかられる前に、先回りして謝って、明日からはうまくやるというようなことをいったりは、彼女はしなかった。何も言われないうちから口を開くということは、そもそも彼女の選択肢にはなかった。
 どうしてちゃんとやれないの。彼女の母親が怒鳴ったとき、彼女は言葉を失った。訊かれたことに答えなければ、叱られる。けれどどう答えていいのかわからない。なにが「ちゃんとやる」ということなのか、そのときの彼女にはわからなかったし、どうしてと理由を聞かれても、もっとわからなかった。彼女はただ、家の中でそうするように振る舞っていただけだった。けれどそれでは足りないのだということを、学校という場所、子どもたちの中では、それにふさわしい、求められる振る舞い方があるのだということを、彼女は新しい青あざとともに、体に刻んだ。そして、次の日からは、そのようにした。
 ほかの子どもたちの動向を観察して、それらしい、普通の子どもの平均的な反応というものを彼女が学習するまでには、それほど長い時間はかからなかった。心配した教師が家を訪問するようなことはなくなって、彼女はゆっくりと周囲に溶け込んでいった。可笑しくなくても笑い、悲しくなくても顔をゆがめ、小鳥が死んでいれば可哀相という顔をする。学習するということについて、それから、求められるように振る舞うということについて、少女は長けていた。その必要に、誰よりも切実に駆られていたからだった。
 誰からも嫌われないようにするということ、その困難さに、彼女は早い時点で気付いていたけれど、誰からも暴力を振るわれなくて済む程度に、強い関心を持たれないということならば、注意を払ってさえいれば、達成することができた。彼女が成人して、それなりに無難な就職を果たすと、なおそれは容易になった。子どものころに比べれば、周囲にいる人間たちも、敏感に彼女の言動に対する違和感を察知するようなことも少なくなったし、求められる役割をさりげなく果たす彼女は、仕事の上でもそれなりに重宝された。大きな問題は起こらなかった。彼女が結婚するまでは。
 なにがいけなかったのだろう。彼女は途方に暮れる。夫が割った食器の破片を拾い集め、まき散らされた食べ残しを拭きながら、彼女はずっと、静かに考えていた。無意識に彼女がさする二の腕には、ほんの幼い子どものころによくそうだったように、青あざがいくつも重なっている。
 彼女は夫の言動のひとつひとつを思い返して、彼女の何が夫を怒らせたのか、どのように振る舞えば夫を苛立たせなくてすむのか、必死に探しだそうとしていた。彼女の夫は、彼女が無言で息をひそめていれば、辛気臭いといって怒り、彼女が口を開けば、中身のない言葉ばかりだといって、うんざりと顔をゆがめた。彼女が泣いて懇願すれば、お前は何もわかっていないといって苛立ち、彼女が黙って耐えれば、なにを考えているかわからないといって詰った。
 結婚したのは、夫に強く望まれてのことだった。出会ったばかりの頃、顔を合わせるたびに彼はたじろいだように眼をそらし、それから緊張したように彼女に話しかけてきた。最初のデートに誘われるまでに、実に一年あまりの月日を要し、それから手もめったに繋がない交際が一年も続いて、結婚の申し込みがあるころには、出会ってから四年近くが経っていた。それだというのに、結婚生活に不協和音が生じるまでに、ひと月もかからなかったというのは、皮肉としかいいようがない。
 なにがいけなかったのだろう。
 彼女は考える。自分のとった行動、選んだ表情、声の調子、そのときの夫の反応、ひとつひとつを思い出しながら、ずっと、考えている。どのように振る舞えばよかったのかを。
 掃除の手を止めて、飾り棚に置かれた人形を、彼女は手に取る。結婚祝いにと、知人から贈られたものだ。彼と彼女との共通の知り合いの女性。きれいに着飾って微笑を浮かべる、愛らしい人形。お幸せにという言葉と、しずかな微笑みとともに贈られた、人形。
 どうしてあのひとは、お祝いに、これを選んだのだろう。
 それは、彼女が抱く疑問のなかでは、珍しい種類のものだった。何を思って、相手が、それをしたのかというようなことは。
 たとえば、その人形を渡した知人の微笑が、まるで強引に顔に張り付けられたように、かすかにこわばっていたことや、お幸せに、という語尾がわずかに震えたことなどは、彼女がよく観察するところではあった。しかし、そういうことをした相手の、心の流れを想像するということは、彼女が不得手とするところだった。
 だから、その言葉が降ってきたのは、彼女が答えを導き出したというよりは、なにか天啓のような、不思議な力が働いたものとしか、彼女には思われなかった。
 ――皮肉なのだ。
 人形のような彼女への、あてこすりとして、彼女によく似た人形を、あの女は選んだのだ。
 しかし、だからといって、なんだというのだろう? 彼女は自分が振り上げた手を、驚いたように見た。その、こわばって関節の白くなった指が、陶製の人形を、力一杯に振り下ろすのを。壁紙にぶつかって、人形は、澄んだ音を立てた。破片が飛び散り、彼女の夫が割った食器のかけらと混じった。寝室で、酔いつぶれて深く眠っていたはずの夫が、驚いて電気をつける音が、彼女の耳に届いた。
 破片のひとつを、彼女は拾い上げた。人形の、微笑の浮かぶ、口元をふくんだ、左半面だった。
 その尖った割れ口は、彼女の指を傷つけて、そこからわずかに、赤い血が滲みでた。それを、不思議なもののように眺めて、彼女はゆっくりと、瞬きをした。
 彼女は破片を拾って、両手で握りしめた。鈍い痛みが走って、手のひらに、いくつもの筋が出来た。そのようにしているあいだ、彼女はずっと、混乱していた。自分の体がなぜ自分の意思を無視したように、勝手に動いているのか、彼女にはわからなかった。わからなかった。

 
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 制限時間大幅オーバーしたあげく、うまくオチませんでした……無念!

メンテ
Re: ひとかたしょうせつ 感想風味の何か ( No.5 )
   
日時: 2012/06/04 22:40
名前: 脳舞 ID:MXbwUoc6

>人呪わば マルメガネ様
 鳥居の上に投げられた石って、願いの成就という俗説の結果だったりするんですよね。噴水に投げ入れられたコインと同じようなもので。
 丑の刻参りをしていた女性の頭を直撃した石が、若い警部補が「この女と別れたい」と願って投げたものだとすれば……呪いの連鎖って恐ろしいです。ホラーですね。


>アーモンドスカイ B 片桐様
 人形って捨てづらいものですよね。何か宿ってそうで。この作品の場合ははっきり意思があるようなので宿るどころの騒ぎではありませんが。私も最初はこのイベントで「人形処分代行屋」の話を書き始めて、二〇〇文字くらいでダメだこりゃと消去していたり。
 閑話休題。
 空を見上げているリッキーは、それ以外の方向を見ることが出来ないのでしょうね。なにしろ人形ですから、動くこともままならないわけです。そんな唯一の楽しみさえも、アーモンドが腐り落ちてしまうまでの儚い間だけ。それでも捨てられたことを恨むでもなく、何故捨てられたのかと苦悩するでもなく、ただ空を見るだけ。うわ、切ない。
 人形の視点から「鳥に心があるならば」と書いているのにおお、と思わされました。人間の立場からならば鳥には心がありそうで、人形には心はなさそうに考えそうですが、人形にしてみればそうではないんですね。こういった、書き手が人間である以上はどこか捨て切れない人間の観念からさり気なく外れる発想がすごいですね。勉強になります。


>タイトル無し? HALさん
 人がどうしているかを見て、自分の意志とは違う演技をする処世術というものは、別に人形のようなこの話の主人公でなくても大なり小なりやっていることだとは思いますが、この悲劇的な結末の行動は一体何から学んでしまった演技なのでしょうか……。
 混乱している様子からして、自分の外側に作っていた人形の外側にいつの間にかさらに人形が出来ていて、もう自分の手が届かないところに自分が引っ込んでしまったというような解釈をしましたが、どうなのでしょうか。これも切ないお話ですね。「人形」というテーマは想像以上に面白いものでした。


>おとこのこのかたち。 自作
 チャットで「こんな作風でしたっけ?」と言われたりする通り、一貫して一貫性のない私です。いろいろ試しているというのは体の良い言い訳で、実際には節操がないだけだったりします。
 実は人形を弄んでいる人物も……という話にしたつもりだったのです。()の中のセリフは「私」の人形への想いでもあり、人形から「私」への想いでもあり……というような感じで。ただ、なんだかしっくりこないですね。っていうか、なんだこの話。
 でも、久しぶりのイベント参加は楽しかったです。

メンテ
感想と反省 ( No.6 )
   
日時: 2012/06/10 11:52
名前: HAL ID:hF6i43Ls
参照: http://dabunnsouko.web.fc2.com/

> 脳舞さま

 へんたいだー!
 男装の女子はたいしてなんとも思われないのに、女装の男子となるととたんに倒錯扱いされるのはなぜなんでしょうね……世間の視線は男性に厳しい。……似合っていれば許されるかもしれませんが。

 家の中での秘密の趣味にとどまらず、新しい世界への扉を開けちゃったんですね……彼らの人生に幸あれ。


> マルメガネさま

 人を呪わばなんとやら。彼は歩けない体になりつつも命をとりとめたのに、呪った彼女の方は命まで奪われてしまうというのが皮肉です。代償は大きかったですね。

 しかしこの男、付き合っていた女が死んでいるのに、平然と素知らぬふりをしているのか? そう思うと、何気にとても怖い話のような気がします。


> 片桐さま

 かれの強がるようなつぶやきが切ないですね。持ち主の女性は、まだ人形に感情移入できる心を持っていながら、あえて片方を捨てなくてはならなくなったというのは、どういう状況だったんだろう……
> 僕は人形だから、物覚えがよくない。
 この一文がすごく切ないです。

 余韻を残すのに長文はいらないんだなと、あらためて感じさせられて、いつも話が冗長になるわが身を振り返り、妙に悔しいです。掌編を書ける人間になりたかった……


> 反省文

 オチがないよ!
 あれです。心のない人形のような人間だと、彼女自身は自分でもそう思っているけれど、ほんとうに心がないなんてそんなわけがあるか、的なオチにしたかったんです…………無念。

 読み返してみて、文脈の力というものをまるで使いこなせていない自分を感じました。いわゆる三人称の神視点、登場人物の視点の外のことを語る語り手の練習をしたかったのですが、やっぱり難しいです。精進します。

メンテ

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