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RSSフィード [5] 「あ、三語が止まってみえる」的一時間三語
   
日時: 2010/12/25 22:57
名前: 片桐 ID:uMXlTGA2

今晩もあります。一時間三語。

お題は、「豆炭」「誰のために」「サーチライト」「麻痺」「クリスマスってあったっけ」
です。以上五つの中から三つ以上を使用して作品を書いてください。
締め切りは十二時(約一名だけ特別に72時間後です)。
完結してなくても、多少時間オーバーしても問題ありません。とにかく楽しんで執筆してください。

この板を確認したら執筆スタート。健闘を祈ります。

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ハンバーグには痺れ粉を ( No.7 )
   
日時: 2010/12/26 00:15
名前: 千坂葵 ID:QNP4Vrrw




 「聖なる夜?頼むからそんな反吐が出るようなこと言わないでくれ。第一、“性”なる夜の間違いだろう」
 お前らしくもない、そう彼は続けると、歯並びの良い白い歯を見せた。そんな彼に、顔をしかめる様子を見せるも、本人が気付く気配は全くない。
 「骨折なんかしてなければ、きっと今頃ベッドでギシギシ、女の子とハァハァだったのに」
 「あんたの性器に、ギプスの永久装着を命じるわ」
 冷めた表情で言い放った言葉に、彼は嬉しそうに笑う。二次元の世界の迷子には、どうやらこのつれない態度すら、お楽しみに変わるらしい。
 本来ならば、彼と一緒にクリスマスを過ごすなんて、数日前の私なら考えられなかった。まず、そんな展開が頭に浮かびすらなかっただろう。
 恋人と二人で過ごすクリスマスに、憧れだのときめきだの、そんな甘ったるいだけの砂糖菓子に、元々興味はなかった。
 今年クリスマスってあったっけ?それって、千年に一度、某有名RPGに出てくる赤いおっさんの類似品が、空から落っこちてくる日でしょ?どうせなら髭は黒にしようよ、中途半端だなぁ。
 こんな救いようのない思考を飽きもせず、頭の中で張り巡らせるのが、例年だ。
 そんな私が今、他人様の家の台所で、自分の心の形によく似たハンバーグを焼いている。
 誰のために?そんな野暮な問いは、ひき肉にしてしまいたい。

 ○

 「こりゃまた歪な形のハンバーグだなぁ」
 嫌味ったらしい笑顔の中にあるあどけなさに、こちらの表情も緩む。嬉しそうにケチャップをかける姿は、まるで幼稚園児のようだった。
 「メリークルシミマス!いやっふぅ!」
 ハンバーグには赤い文字で“リア充爆破”と、彼の本音がぶちまけられている。
 今日という忌々しい日を消化するように、ハンバーグを頬張る彼。精神年齢五歳児の口元には、生き生きとした赤がこべりついていた。
 
 ○

 「ありがとな」
 いつになく真剣な声色に、私は目を見張る。そこに幼い彼はいなかった。
 くしゃり。こぼれた彼の笑顔。くしゃり。撫でられた私の頭。
 私は、感情を麻痺させ、氷のような表情を見せる。それでも彼は絶えず、そんな私を溶かすように笑いかけるのだ。
 彼が私の心を、サーチライトで探し当てる日は、そう遠くはない気がした。
 

 お題が上手く活かせなかった、なぁ。


 

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