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RSSフィード [14] 何だかんだで日曜三語
   
日時: 2011/02/13 15:56
名前: 紅月 セイル ID:fGTbFRM2
参照: http://hosibosinohazama.blog55.fc2.com/

さぁ、やってまいりました。
突発三語でございます。
今回は

・「主人公が二股かける(またはかけられている)」「一人死ぬ」「時間軸を交錯させる」の三つの縛りから一つを使う
・「煙突」「雪国」「うつむきがち」「楽譜」「凝縮」のお題五つから三つを使う
・「心中天網島」「川端康成」「舞姫」「ストーカー」「夜更かし」のお題を任意で使う

以上三項目を使って90分間で作品を投稿してください。
締め切りは17時半。
皆さん頑張りましょー。

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しずかという女 ( No.2 )
   
日時: 2011/02/13 17:27
名前: ねじ ID:rt.QulDY

 あなたを愛していないわけではないのよ、としずかは言った。いつもうつむきがちの顔は、まっすぐこちらを向いている。
「でも、あいつのことも愛しているわけだ」
 俺の非難の言葉に、困惑したように眉を顰める。その柔らかで自然な眉の線も、伏し気味のまつげの長さも、いつものしずかだった。雪国に生まれて、日の光にも強い風にも当らず、ひっそりと静かに育まれたような、優しげで清潔な印象の女。俺のものだと信じていた、しずか。
 皺一つない首を僅かにかしげ、しずかは言う。
「あの人には、私が必要なの」
 その言葉を聴いた途端、俺は不意に、何もかもが馬鹿馬鹿しくなった。しずかのことも、そのしずかを必要だという男のことも、しずかに惚れていた俺のことも、もっと言えば、「愛」という、正体のわからない、けれどすっかり声になじんだ言葉のことも。何もかもが。
 しずかはじっと目を見張り、こちらの出方を伺っている。黒い、瞳。俺の考えからはみ出した、「必要」とか「愛」とか、そういうものを凝縮して作った黒い石のような、しずかの瞳。俺はこの女の、この目に惚れたのだった。底の見えない、俺には理解のできないこの瞳に。
 俺は得たいのしれない衝動に駆られて、しずかの白い、丸い頬に、手を伸ばす。しずかは目を伏せ、そっと俺の手のひらに、頬を沿わす。そのあまりの柔らかさに、ほとんど恐怖に似た欲望で、しずかの体を抱きしめた。


できたよー!

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