チョコレート戦車


チョコレートで戦車をつくりましょう

カカオとミルクと砂糖をたっぷり使った

極上のチョコレートで



砲身は月を撃ち落とすほどに猛々しく

無限軌道の足回りは岩を砕くほどに荒々しく

躯体は森の動物たちが喝采するほど精密に


そして何より

泥酔した爆撃機が撒き散らす

コンペイトウの爆弾が炸裂しても傷つかない装甲を



チョコレート戦車が完成したら

海の底深く沈めましょう


誰も思い出せなくなるくらい

深い深い海の底へ


チョコレート戦車を沈めたら

旅に出なければなりません

それは


「あのチョコレートでたっくさんのケーキをコーティングすればよかった!」


などと後悔しないためなのです


だから旅に出たら忘れましょう

もし忘れられなかったとしても チョコレート戦車のことは



誰にも話してはならない
井之四花 頂
2016年12月11日(日) 00時59分19秒 公開
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作者からのメッセージはありません。

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No.2  井之四花 頂  評価:0点  ■2017-01-04 01:11  ID:3MOjXOnubh.
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史裕様

あけましておめでとうございます
そして、ありがとうございます。

読者にいろんな想像をしていただくのも詩の可能性の一つだと私は思っています。
いろんな解釈を通じて、「言葉」をより豊かなものにしていく。詩はそういう役割を担っているのではないでしょうか。
テーマあるいはメッセージは、読者の感性で解釈なさったものがまさにそれでありましょう。言葉でうまく言い表すのが困難だったとしても。

ですので、ご一読いただき様々に解釈していただければ筆者冥利に尽きます。

重ねてですが、ありがとうございました。

お礼の印と言っては何ですが、あえて削った末尾部分を以下に示しておきます。
いささか陳腐で饒舌に過ぎ、「これは必要ない」と感じたのです。
(最終行の後に2行スペースを空け、3字下げで続きます)




   あれは確かなことだったのでしょうか

   かつてわたしは

   くろがねのまがまがしい怪物として

   おぞましい突起を振り立てて驀進し

   周囲の者たちをおびえさせた らしいのです


   わたしの全身が

   一つの目的に向かって揺るぎなく統一されていた

   おぼろな記憶がわたしにそう語りかけます




   今は

   魚たちがわたしの上で

   ひらひら舞い踊り

   ときおり焦げ茶色の躯体をついばんでは

   まずそうに吐き出し泳ぎ去っていく


   これはいつまで続くのでしょう


   あるいは

   わたしが何者であったか

   すべて忘れてしまうまで?

No.1  史裕  評価:30点  ■2017-01-02 23:02  ID:64SU5.mzsXQ
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チョコレート戦車
読ませていただきました
いろんな想像のできるスペースのある詩だと思います。
個人的には妄想するのが好きなのですが、
自由なだけにどう読み進めるべきか迷ってしまうと
結局なにがなんだかわからなくなってしまうかも知れません
テーマでもメッセージでも芯となる何かがあれば読みやすいかなぁ
と感じました。
読ませていただきましてありがとうございました。
総レス数 2  合計 30

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