これは詩ではない　檄文である

お前たちは知るまい

若い警官の「土人」のひと言が

いかに比類無き働きであったかを

「土人」のひと言で

永田町と霞が関に住まう追い剥ぎどもが狂喜乱舞したことを



「土人」のひと言はお前たちの心胆を寒からしめ

そのように呼ばれる恐怖を植え付けた

「何たる幸運　『土人』は南端の島に住む者たちの謂《いい》であって

自分らはそうではなかった」と

間抜け面をさらし胸を撫でおろしている


笑　　止　　！


お前たちも土人なのだ

おれが千葉県に住む土人であるように

このくにの津々浦々

東京都に住む土人

北海道に住む土人

神奈川県に住む土人

大阪府に住む土人がひしめき合い

寸刻のいとまもなく奪われ続けている


お前たちは知らない

南端の島の土人は土地を奪われている

だがお前たちは　土地よりはるかに大切なものを奪われている


何を奪われたのか

知りたかったら

スマホを捨てろ

テレビを捨てろ

ＰＣの回線を切れ

新聞雑誌の類はゴミ箱へＧＯ



そして何も持たずに外に出て

つめたい晩秋の空気を吸え　空を見上げろ


そうやっておれはビールを飲むのだ

そうやって　奪われてしまった魂のカケラが

再び語りかけてくるのを待つのだ

いつまでも

いつまでも