子猫が

子猫が車に

まさに轢かれようとした

まだ道の横切り方もしらぬ、ほんの

生まれたばかりの、子猫


おれは


ああ! と年甲斐もなくさけんで

道に立ちつくしてしまう。

おれの声に猫と車も驚き、立ち止まる

だが子猫はタイヤに轢かれることなく

車体の下で無事だった

車は去った。



難を逃れた猫と、おれは道をはさんで見つめあった

腰が抜けたように動けないでいる、ほんの、手のひらにさえ乗りそうな

小さな猫。


やがてその、小さな猫は四つの足でしっかり立ち上がり、

藪の中へ消えた。



子猫ごときの受難に、ことばもうしない立ちつくした、

ばかなおとこが、ここにいる


立ちつくしているおれに、大いなるせけんさまが冷たい矢をはなつ


「なにあれ」

「いいとしして、おおきなこえあげて」

「子猫なんて一日何十匹も轢き殺されてるのに」

「たりないんじゃないの」


おれははじいる おゆるしください、たぶんわたしは

すこしたりないのです

でもちかって、ばかなことはしないのです


もし


ばかなふるまいをしそうになったら


みなさまでおさえつけて、きびしく指導してくださいませ


「おまえはたりないんだよ!」


と。
井之四花 頂
2016年09月25日(日) 10時41分44秒 公開
■この作品の著作権は井之四花 頂さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
半年ほど前のことでした。今も元気ならすっかり大きくなったことでしょう。

この作品の感想をお寄せください。
No.3  秋雨さん  評価:40点  ■2016-10-09 11:25  ID:hEYeduAIQSk
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ちかい……価値観が似通っていて嬉しい。
No.2  井之四花 頂  評価:0点  ■2016-09-28 00:38  ID:3MOjXOnubh.
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さくら様

ありがとうございます。

野良猫も成長するにつれ道路の横切り方を学んでいくようですが、
経験の足りない子猫は一番危ないですね。

昼間でしたが現場は人通りもなく、幸い人には見られませんでした。
それでも、思わず大声を出してしまったのが妙に気恥ずかしく、
こんな文章になった次第です。

>数か月前に
>前方右側の道路端から猫が飛び出したんです。

私にも同じような経験があります。嫌なものですね。
はねてしまった人はもっと残念な気持ちでしょう。
世の中では、避けようのないことが時々起こってしまいます。
No.1  さくら  評価:40点  ■2016-09-27 20:24  ID:Cxep3Ec/eUs
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子猫ちゃんが助かってよかった。
一瞬、轢かれてしまったのかとドキッとしました。
井之四花 頂さんの様に小さな小さな命へも
想いを馳せる優しさをみんなが持てたらいいなと思います。
数か月前に
前方右側の道路端から猫が飛び出したんです。
2台前を走る車が、猫をはねました。
一瞬の出来事、私は倒れた猫の傍を通り過ぎたのです。
どうしてあげることも出来ず後後まで悔いが遺りました。

総レス数 3  合計 80

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