センチメンタル・ナイト


一人の部屋じゃ
テレビはうるさくて
聞く気のないポップスを
大音量で流してる

甘えていたのね
ずっと

大嫌いだった電話に
すぐ出るようになって
切り際に引き留めそうになる

気付いたら
カシスオレンジが
好きになってた

ワインも日本酒も
寂しくて
飲み会で張り付けた笑み

「イケる口?」に
「フツーですよ」と返して
いい加減に酌をする

ふと抜け出した先の
買えない月に手を伸ばして
見えない糸を手繰りよせる

だけど階段を駆け降りて
気だるい十時の隅っこで
音もなく泣いていた

誰といても
一人きりね

手軽なラブソングには
馴染めないまま
ヘッドフォンを置いた


笹竜胆
2015年09月23日(水) 19時52分50秒 公開
■この作品の著作権は笹竜胆さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ーーその人がいない空白に気付くたび、居たたまれなくなる。

この作品の感想をお寄せください。
No.2  笹竜胆  評価:0点  ■2015-10-10 00:23  ID:.JV6Yeq6dE2
PASS 編集 削除
≫史裕さん
感想ありがとうございます。
嬉しいやら、恥ずかしいやら、ですね。
ええと。
この詩を書いてる最中に、つまらなくなってしまって。
ぱっと頭に浮かんだのが、史裕さんの書いた月でした。ただこの詩にはそこまでの純度がないので、買えない月、なのです。響くものが残せていてよかった。
去る時が来ても、これは置いていきますね。
No.1  史裕  評価:50点  ■2015-10-06 23:19  ID:yXmfHLV7IHc
PASS 編集 削除
買えない月

この言葉に触れた瞬間、感動しました。
何かあるたびに繰りかえし読みたくなるであろう詩だと思った。
むずかしい批評ができずに申し訳ありませんが、単純に好きです。
読ませていただきましてありがとうございました。
総レス数 2  合計 50

お名前(必須)
E-Mail(任意)
メッセージ
評価(必須)       削除用パス    Cookie 



<<戻る
感想管理PASSWORD
作品編集PASSWORD   編集 削除