甚兵衛鮫

こんにちは 蒼の君

硝子越しで 失礼します



午前三時 の 水族館



いつか いつか と

焦がれて いた 君

ようやく 近くで

感謝 致します



灯り は ぽっつり 非常灯と

青い 懐中電灯 だけ



初めまして 蒼の君

貴方は 僕を

ご存じ無い やも しれません

ですが 僕は

ずいぶん 前 から

貴方を 見つめ

想い 続けて おりました



不躾な真似をお許しください



蒼の君

僕は 貴方に

触れられません

声も

届いているのか わかりません

ただ

乏しい灯りの下

見つめるだけです



昼間 は ひどく 遠い

通路の端で

子供達に霞む貴方を 眺め

今宵 ようやく

お逢いすることが

叶った のです

情けない 僕は



告げられなかった この想いを



蒼の君

たとえ 貴方に

伝えられたとて

この想いは

決して 通ずることなど

無いのでしょう



優雅に 壮大に

貴方はそこを回る



ああ この

醜い脚を

隙だらけの手を

無様な肺呼吸を

棄ててしまえたなら

なんて



貴方に惚れたが 僕の終



蒼の君


もし貴方の慈悲を

いただける のなら

どうか僕を




とぷん と闇に

水音 ひとつ





ああ 愛しき

我が 蒼の君よ



この喉笛を切り裂こうと

紅い匂いに

貴方が酔いしれることはない



蒼の君よ

貴方の慈悲を

いただけるのなら

温みのない その背に

一片の 口づけを





落とすことを

   お許しください

時雨ノ宮 蜉蝣丸
2014年08月03日(日) 18時52分22秒 公開
■この作品の著作権は時雨ノ宮 蜉蝣丸さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ

最近結構マジでエラ呼吸とヒレに憧れております。でも魚になりたいわけではないのです。

また泳ごうかなぁ、一回イルカと泳いでみたいっす。

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No.8  時雨ノ宮 蜉蝣丸  評価:0点  ■2014-08-08 18:55  ID:ThLSpufnzSc
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青ガラス 様

こんばんは。コメントありがとうございます。
ナイトって言っても、何だかんだ不法侵入しちゃってる人なんですけどね(笑)。警備員に見つかって夢が覚めてしまわないことを祈るばかりです。
甚兵衛さんへの愛が伝わったでしょうか……植物だけでなく魚や海獣(主に鯨系)も大好きで、アイドルばりにキャーキャーなってる人です。……いい年なのでホントにはしてませんよ。

イルカさんと泳げる日が、早く来てほしいばかりです。なんか後半、ただのマニアの呟きみたくなってましたね、すみません。
No.7  青ガラス  評価:40点  ■2014-08-07 22:55  ID:6Sbbo4.76/Y
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真夜中の水族館、蒼の君、
夢幻的な世界に誘われてしまいますね。
ナイト風の語りもクールで、蒼の君を引き立てて
わたしも会いたかった!
そんな気持ちにさせていただきました。

読後感はもう海の中です(*^^*)
イルカ君と、くちづけ!ぅ〜ん。
No.6  時雨ノ宮 蜉蝣丸  評価:0点  ■2014-08-06 23:25  ID:DyxUwt/OJf6
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ゆうすけ 様

コメント感謝致します。超お久しぶりな気がしますね。

俺が初めて甚兵衛さんを知ったのは、前述の通り絵本の中で。その後、数年間絵本の甚兵衛さんを眺め続け、ようやく生で会えたのは小学生の時。
海遊館にて、一際目を引く甚兵衛さんに感動しました。しかし俺の他にもギャラリーは沢山いて、無遠慮な大人達に阻まれて近くまで行けなかったのです。
蒼くて遠い甚兵衛さんをイメージしていただけたならば幸いです。

ありがとうございました。
No.5  ゆうすけ  評価:30点  ■2014-08-06 20:12  ID:1SHiiT1PETY
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なんだかほんわかしました。
叶えられない恋慕のような幻想、いいですね。

横浜八景島にジンベエザメを観に行ったのを思い出しましてね。雄大にゆったりと周回している姿に思わず見惚れておりまして、その時の感覚をこうやって描く方がいるんだな〜と、思いました。
大きい口をあんぐりと開けて、のんびりと泳ぐ姿が素敵ですよね。
No.4  時雨ノ宮 蜉蝣丸  評価:0点  ■2014-08-05 23:41  ID:gii19DVopx2
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游月 昭 様

コメント感謝致します。
無を無のままで描き出すことは、できないのでしょうか。そんなきもちになりました。
描写不足もあったでしょうが、少しチャレンジしたのも事実であります。
甚兵衛さんへの愛が深すぎたのですね……もう少し冷静にいくようにしよう……。
ありがとうございました。




逃げ腰 様

前回に引き続き感謝致します。
幻想詩は俺も好きなので、気に入っていただけてよかったです。

幻想的故、安直さが目立ってしまったのかもしれません。これは単なるミスですね……今度から気をつけます。
ありがとうございました。




ヤエ 様

ありがとうございます。
小さい頃、読んでもらっていた甚兵衛鮫の絵本のような世界を目指しました。。テレビで甚兵衛さんに怯える芸人を「何コイツ噛まれないのにダサい大人」と冷ややかに見ていました。
ヤエさんのコメントでそんなことを思い出しました。
No.3  游月 昭  評価:20点  ■2014-08-04 14:38  ID:qfECEIfZhSM
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こんにちは。

折角真夜中に忍び込んで(?)、ジンベーさんに会いに行ったのに、興奮してジンベーさんしかデッサンしなかったんですね。無理もない。それほど嬉しかったんでしょう。

蒼い光に浮かび上がるジンベーさん。
いいですね。
でも何から浮かび上がるのかが書かれていなくて、残念。確かに「何も無い」ところに浮かび上がるのでしょうが、その「何も無い」を詩人は表現しないといけないんだと思います。言葉を失う、は物書きじゃありません。
「無い」を描くのが詩人だろうと思いました。
《老婆心》
>優雅に 壮大に
>貴方はそこを回る
→「そこ」を書かなきゃ

大変勉強になりました。
No.2  逃げ腰  評価:50点  ■2014-08-04 04:30  ID:j.IsO/gOFss
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>>時雨ノ宮 蜉蝣丸さん

凄いわ。綺麗です。
こういう素朴な幻想詩大好きなんだよなぁぶっちゃけ。

飾ってないのに飾ってる。危ういバランスで立っています。だからアドバイスできない。古さがいい感じで同居してて触るのが怖い。

ただ、

>>告げられなかった この想いを

ちょっと安直で悲しかった…それこそ

前作のツキガキレイナヨルデスコトみたいな感じが欲しかった


最近退屈してたのでとても楽しめました。
是非また投稿してください!
No.1  ヤエ  評価:50点  ■2014-08-03 20:33  ID:L6TukelU0BA
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素敵です。
何とも無しに引き込まれました。
澄渡る蒼の世界、綺麗です。
私は小学生の頃、クジラを見て直に触れたいと思ったことがあるのですが、その事を思い出しました。
総レス数 8  合計 190

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