「イヤシロチ」




 
 





 その聖地は古代氏族の末以外薪を拾うことが許されなかった
 薪が必要無くなった現代

 古代の聖地だった丘の木々は
 住宅地へ

 古代の聖地に流れていた川も
 今は治水公園

 並ぶ木の向こう側に車が走っていても
 休日は地元の人々の憩の場となり
 それでもなお葦の島に渡り鳥が羽を休ませる 

 生ける者皆気持ちのどこかで
 古代氏族が感じた同じことを
 この場所で感じているのだろうか

 水遊びをする親子 球遊びをする子供 会話する老人

 カワセミが小魚を見つめる コアジサシが旋回する
 カモが渡らず越夏している アオサギが木の上でじっとしている
 葦からオオヨシキリの独特の声が響く

 いにしえに何が行われていたかは失われ
 氏族の名が小さな社共々地名に残る 




 




アカショウビン
2014年07月18日(金) 00時18分15秒 公開
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No.4  アカショウビン  評価:--点  ■2014-07-18 23:40  ID:3.rK8dssdKA
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 菊池清美様。感想ありがとうございます。

「イヤシロチ」検索させてしまい申し訳ありません。
 どうも自分は抜けてしまう所が多く小説でもよくご指摘をいただきます……。

 ついでに補足を書かせていただきますと、
 カワセミは留鳥、コアジサシは夏鳥、カモは冬鳥、アオサギは留鳥、オオヨシキリは夏鳥、写真のコサギ(上)とササゴイ(下)は留鳥です。大阪城も渡りで有名ですが、そこでも越夏するカモがいるそうです。
 昔の人は渡り鳥を指標にしてパワースポット=聖地を決めていたのでは?というのが今作のテーマです。大阪城も元は石山本願寺という寺で門前町としても栄えていました。

 古い時代となるとその人々がどのような生活をしてどのように感じていたのか素人では資料が見つからずなかなかわかりません。開発も豊かになった半面、大切なことが失われてしまったかもしれませんね。意図を汲みとってくださりうれしいです。

 ありがとうございました。
No.3  アカショウビン  評価:--点  ■2014-07-18 22:59  ID:3.rK8dssdKA
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 游月 昭様。感想ありがとうございます。

 歴史は少しかじっただけで、しかも著しく偏っています。しかも小説にしてみて教科書のようになってしまった経験がありまして……。
 これは郷土史を読んでいて見つけたものです。

 もともと地名と姓名は繋がりがあったようですね。私たちと土地との繋がりは思った以上かも知れません。仕方ないことかもしれませんが、合併によって失われた地名があるのは寂しいことですね。

 >離れれば離れるほど欲してしまうことは恋にも似て。
 本当に恋みたいですね。時代への恋慕、鳥への恋慕など人間はいろんなものに恋をするみたいです。

 ありがとうございました。
No.2  菊池清美  評価:50点  ■2014-07-18 06:18  ID:/dxzQ0Wmf36
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読ませて頂きました。

題名のイヤシロチ、馴染みが無いので調べて見ました。
動植物が繁栄する地、逆が穢れ地大まかに言うとそうなりますか、勉強に成りました。

だからこそ、いにしえが聖地であり、形を変えても鳥は渡り人々が集うのでしょう。

それでもいにしえが失われる寂しさが伺えます。

温故か開発か、難しいものです。
そんな事を格調高く詠っておられます、素晴らしいです。
  
No.1  游月 昭  評価:40点  ■2014-07-18 01:43  ID:Lg/anJZZyX6
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こんばんは。
アカショウビンさんは、そういえば、歴史に詳しかったですよね。
最近の市町村合併、町名統合などで失われた、ちゃんと意味の有った地名が残念でなりません。

時が経ち、人の自然との関わり方が大きく変わり、人は自然を牛耳ろうとするが、いつまでも自然に対する癒される願望は強くなるばかり。離れれば離れるほど欲してしまうことは恋にも似て。

と、一つの答えが湧いてきました。
ありがとうございます。
総レス数 4  合計 90

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