白昼夢ストロボ

 真っ昼間に突き抜けた プラモデルみたいな景色だった
 夢なんじゃないかって わかりきったことを空想した

『そんなことしてる暇があるのなら』だって
 暇なんかじゃない 白昼堂々

 今だってずっと 暇なんかじゃない
 ずっと探してるんだ 一人で たった

『現実はそんな甘くない』だって
 わかってる そんなこと
 わかってる でも諦めきれない

 赤い靴の踵
 現実は情けないくらい
 泣きたいのはこっち

 何にもなりたくない なれない
 やめとけよそんな夢 やめなよ

 叶うわけないんだよ 想像
 怖い癖に偉そうな 弱虫

 そう言ったのは誰だ アタシじゃない
 否定はしきれない やりきれない

 捨ててしまえ そんなことなら
 冷めた紅茶は美味しくない


 高速道路のその下に 暮れていく空は薄紫
 真っ赤なブレーキランプが 鮮烈に夕闇に映えてた

『くだらないだけじゃないか』誰かが
 くだらないんだって 苦笑失笑

 今日だってそうさ くだらなくなんか
 ずっと焦がれてる 独りで そっと

『夢は夢のまま』だって
 知ってるよ そんなこと
 知ってるよ でも忘れたくない

 白い夢の続き
 現実は情けないくらい
 弱いのはアタシ

 何にもなりたくない なれない
 誰か決めてくれれば いいのに

 まだ忘れたくない 幻想
 怖いならやめなよ 泣き虫

 そう言ったのは誰だ そうアタシ
 肯定しきれない やりきれない

 諦めたい 諦めきれない
 砂糖が静かに崩れてた


 カーラジオが泣いてた
 時計の針が恋しくて
 ヒーローは孤独なんだって
 矛盾してるみたいだ

 孤独なら 誰のためのヒーロー?
 臆病なら 何もしちゃいけないの?

 カーラジオが言ったんだ

『 I can change me.
  I can change the world. 』


 何にもなりたくない なれない
 そんなのは嘘っぱち 嘘だよ

 叶うわけないんだよ ああそう
 怖い癖に偉そうな 弱虫

 弱いのはあなた アタシじゃない

 何にもなりたくない なれない
 そう嘆いてたのは 今日まで

 叶えてみせようかな アタシが
 何も怖くはない 怖くない

 そう言ったのは誰だ アタシだろう?
 否定はしてやらない する気無い

 捨ててしまえ 被害妄想は
 冷めたらもう一度淹れればいい


 夢なんて言わない
 行く先はどうせわからないんだから

 飲み干した紅茶は もう戻らない
時雨ノ宮 蜉蝣丸
2014年02月15日(土) 02時15分45秒 公開
■この作品の著作権は時雨ノ宮 蜉蝣丸さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
昔 書いた詩のリメイクです。
青い台詞は、あえて残しました。

その時俺の中にいた“彼女”が、言ったんです。
『真っ直ぐ進むこと
 ある意味これが、一番難しい』と。

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No.4  時雨ノ宮 蜉蝣丸  評価:--点  ■2014-02-20 18:21  ID:2yvcLrrqfRc
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陽炎 様

コメント誠に感謝致します。
これの原作を書いた当時、周囲の大人達から散々夢を否定されて、こんなんで人生歩んでいかなきゃいけねぇのかと、塞ぎ込みかけていました。その時の夢は、未だに叶っておらず、でも絶対叶えて夢を笑った奴らギャフンと言わせてやるんだと思っているのですが……。

たとえ夢で終わるにしろ叶うにしろ、どうせなら最後まで肯定的でいたいわけです。それに、否定したところで完全に捨てきれないことは、自分自身が一番よくわかっていることですし、だったらもういっそ、否定することをやめてしまえと。否定しても疲れるだけですから。

シンパシーを感じていただけたようで、よかったです。好きだと言っていただけて、嬉しい限りです。
ありがとうございました。
No.3  陽炎  評価:30点  ■2014-02-20 06:34  ID:dJ/dE12Tc8A
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否定して否定して否定しつくした先にたどり着いた肯定感
のようなものを感じました

う〜ん、やっぱり時雨さんの描く世界観って
私の感覚に訴えてくるものがあります
なんというのか、詩がたどっていく道筋というか描き方というか
そういうのが、なんとなく似ているような気がするからかもしれません

何者にもなれない、なりたくないと
勝手に決め付けちゃうのも自分なら

そうじゃないんだ、と
本当はずっと何かを探してるんだ、と
それもまた自分で

自分ほど厄介で面倒な存在もない、と思いながら
キライになれない、捨てられない

すべてを選択できる権利を持ってるんですね、自分てやつは

ちゃんと葛藤があって
ちゃんと自分をどうにかしようとしていて

私は好きですね、この詩


No.2  時雨ノ宮 蜉蝣丸  評価:0点  ■2014-03-07 23:03  ID:2yvcLrrqfRc
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游月 昭 様

コメント誠にありがとうございます。お久しぶりです。
間、というのはある意味盲点でしたね……。 俺的に読みやすい間と、読者の方の読みやすい間が必ずしも同じでないことは、重々承知しておりましたが……ううむ、難しいですね。
一度引っかかると、二度三度と引っかかる原因になる、だから怪しいところは少なめに、ということでしょうか……すみません察しが悪いもので……。疑り出すと止まらない生き物です……。

ありがとうございました。
No.1  游月 昭  評価:20点  ■2014-02-17 16:46  ID:OjM7eTTbU0g
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こんにちは!

一番乗り!ということで入って参りましたが、何故これだけ時間が経っても一番乗りが出来るかと言えば、
詩の中で色分けがされていないからだと思います。

改行や、章分けなど、単なる「見かけ」だけで随分と読みやすくなるのではないでしょうか。

海峡があると渡れない。しかし向こう岸が中州であると知れば渡れたりする不思議。

例えば
 ずっと探してるんだ 一人で たった
(海峡)
『現実はそんな甘くない』だって
 わかってる そんなこと

これを
 ずっと探してるんだ 一人で たった
(運河)
『現実はそんな甘くない』だって(←中州)
(ここにも運河)
 わかってる そんなこと

みたいなので読みやすくなったりしませんか。

意外に改行のタイミングってかなり影響すると思います。漫才の「間」みたいに。
総レス数 4  合計 50

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