恋 闇


溢れかえるほどの血をおくり
押し潰されそうな苦しさを与え
そこから逃げよと言わんばかりに
恋女に向かわせようとする者よ

この熱病の冷牢に閉じこめられた男に
今、何が出来ると言うのだ

満月の夜に吠える犬の哀しい調べが
うつ伏せでうずくまる耳をこじ開け
食い縛る歯をきしませながら
地底の闇からうなり声がもれる

細く高らかに響く鳥のさえずりも
白く透きとおる翅のはばたきも
近づける両手の前で黒い煙と果て
梟の翼と化した影に逃げまどう

"光よ我にそそぎたまへ"

窓硝子に光る一筋のつゆに虚しく溺れる




游月 昭
2014年03月28日(金) 07時37分19秒 公開
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No.6  游月 昭  評価:0点  ■2014-04-02 17:14  ID:C997dWT1qRE
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青ガラスさん、

ぎとぎと、どろどろ、どくどくに
お付き合い下さいましてありがとうございます。
No.5  青ガラス  評価:40点  ■2014-04-01 23:09  ID:6Sbbo4.76/Y
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「一筋のつゆに虚しく溺れる」
このフレーズに全て詰まっていそうな的確な表現ですね。
表面には出さない葛藤、激しさ
地底の闇、乙女には味わえない闇
グレーゾーンのない恋闇に
圧倒されるばかりです。

No.4  游月 昭  評価:0点  ■2014-03-31 01:20  ID:FMdKuJEC1b.
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楠山さん、こんばんは!
先程、喜寿の母の足が吊って、介抱したところです。朝起きたら、九州へ帰ります。

>独特の作風
そうなんだろうと思います。
もっと激しくなるかもしれません。
当時発生した感情は、こんな表現では書ききれていないと感じます。

>正反の表現
振り幅。天使と悪魔位かもしれません。

>光の行がやや唐突
苦しさに、救いを求める訳ですが、救いは、欲望の充足、あるいは、時の経過だけしかないんですよね。でも0にはならない。DNAに仕掛けられてるんですね〜。「助けてくれ〜」的な感情ですが、他の書き方もあると思います。

ご感想ありがとうございます。
No.3  游月 昭  評価:0点  ■2014-03-31 00:57  ID:N4nLYZE9Y3U
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逃げ腰さん、こんばんは!
姪の結婚式のため、母と、てんやわんやの珍道中の末、九州から千葉に来ております。

>浅知恵ではわからなかった

私は、詩を知らずに詩を始めて一年半。詩の知恵は批評されて得た経験位しか無いので、感覚で読んで頂いた方がいいかもしれません。

>年相応の人が書く恋の詩というもの

私の恋の詩は、もしかすると独特かもしれません。

☆愛
対象が気づこうが気づくまいが、善を注ぎ続ける意識。→フラれること=愛の終わり、ではない。つまり、極論、対象からの働きかけは無関係。対象本位。また、愛の行為の見返りは対象の幸福。「見返りを期待しない愛」は存在しない。

☆恋
対象からの特別な好意を欲する意識。また、特別扱いを欲する意識。自分本位。生物全てに組み込まれた「仕掛け」
(自分本位≠身勝手)

そんな事を考えておりますが、私が書く詩の感情の再現元は、思春期から25歳位までの自分の経験です。が、解釈は当時の意識と言うより、現在から過去を覗いた印象と、刻まれて今も残る感情。

何だか書きすぎましたが、同じ恋が形を変えながら、一生、詩に表わされることでしょう。

ご感想ありがとうございます。
No.2  楠山歳幸  評価:30点  ■2014-03-29 22:54  ID:3.rK8dssdKA
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 読ませていただきました。

 僕は素人なので、恋物というとお花畑的なものを連想しがちですが、この作品は壮絶ですね。思春期の頃も同じように苦しんだ時もあったはずですが、表現する術がなかった、そういう意味でこの作品は良いと思いました。その壮絶さがなんだか游月さん独特の作風と言う感じで、僕は作者像(作者感?)を感じる作品が好きです。
 正反の表現が上手くイメージを導いているように感じました。

 光の行がやや唐突のように感じました。
No.1  逃げ腰  評価:40点  ■2014-03-29 13:05  ID:0eWdeGpYPNM
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みんなの意見も取り入れたかったので様子見てたんですが痺れを切らしました。…頭を使う参謀には成れそうにありません。

年相応の人が書く恋の詩というものをじっくり眺めました。
案外下の年代の方が「上の世代はこういうの好きなんだろ?」と単純に決め付けているような気がします。

実は素朴さや誠実さや単純さや熱さや冷たさは上の世代の方が敏感なんじゃないかなって思います。あとは表現の仕方の問題でしょう。

最初は内側の描写と外側の風景をリンクさせているのかなと思いました。
「犬」と「鳥」が生き物として登場しました、以前の詩で生き物を登場させた事はあったかなぁと思いつつ、意図を探りましたね。(浅知恵ではわからなかったわけですが)
丁寧な詩であると思います。丁寧さは誠実さと表裏一体ですから。
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