散文と日記
皮膚がにじんで
世界に染みていく

僕は存在しているのに
輪郭がない

僕のような空間が
僕のような形をして
ぼんやりうかんでいる






生きているので
死んではいないので
安心してくださいと
古い友人に言ったので

彼は心配して
3通手紙をくれました

僕はそれを
開けずにしまっておくことにします

開ける必要がないのですから
この手紙には
開ける意味などないものですから

彼の言葉は
テレパシーのように
もうわかりきっているのですから

ですから

読まずに
穴を掘って
花の種と一緒に
庭に埋めました

来年の今頃には
きれいな花が咲くと言います
僕はその写真を撮って
1通だけ
返信しようと思います

あなたの心が
花になった
そして僕が
1年生きる理由ができた

あなたの手紙は
土にかえっただろう
少しはこの花の
栄養にでもなっただろうか







ぼんやりとあった
痕跡も
もはや
なにも

なくなってしまったのだ


孤独


そう言うほどの
小さな幸せ
ひとりぼっちの

意味のない幸せ


バラバラな分を
よせて
あつめて









嘘の涙
心の傷

体に刻まれた
痕跡


全部
とけて


キレイに
消えた


かなしい
かなしい

物語

エピローグまで

あと3通

さようなら
さようなら



お付き合い
ありがとう


ばいばい

おれの

なかの

ひと



好きだ
愛してる
付き合ってくれ


無理だ
憎んでいる
殺してくれ


ついた溜息

飲みこんだ
本当の気持ち




一生をかけて
真実へ変えるべき



最後の







それでもまた
日が昇る
照らす俺の
横顔が
ひどく醜い




おはよう


やはり

朝は来る

死ななかった

次の日には

平等に

降り注ぐ






闇に沈むまでは

史裕
2014年04月28日(月) 22時44分51秒 公開
■この作品の著作権は史裕さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
作者からのメッセージはありません。

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No.6  史裕  評価:--点  ■2014-05-03 22:27  ID:t8rOcFtI3/M
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游月 昭さん
読んでいただいてありがとうございます。
過分なお言葉感謝いたします。
ありがとうございました。

時雨ノ宮 蜉蝣丸さん
読んでいただいてありがとうございます。
気に入っていただけた文章があってうれしかったです。
ありがとうございました。

ふぬーんさん
読んでいただいてありがとうございます。
成長したんでしょうか・・・
ちゃんとした文章が書けるように精進したいと思います。
ありがとうございました。

楠山歳幸さん
読んでいただいてありがとうございます。
自分の文をほめていただけるのはうれしいものです
ありがとうございました。

青ガラスさん
読んでいただきありがとうございます。
これからもたまに読んでいただければ嬉しいです。
ありがとうございました。

いつもお返事遅れまして申し訳ありません。
これに懲りずご感想ご批判いただければ励みになります。
皆様本当にありがとうございました。
No.5  青ガラス  評価:40点  ■2014-05-01 11:32  ID:6Sbbo4.76/Y
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冒頭の連が自身をよく捉えて、生きている実感のなさを
輪郭がないと表現されて、ハットさせられました。

彷徨う気持ちが種によって地に根を張って行く
種は光を浴びて花を咲かせる
一年生きる理由が形になって輪郭を作っていく
どんな時も朝が来るって、切ないですね。

無理だ、憎んでいる、、、横顔がひどく醜い、
輪郭が鮮明で全体が引き締まる感じです。

No.4  楠山歳幸  評価:50点  ■2014-04-29 22:25  ID:3.rK8dssdKA
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 読ませていただきました。

 アンニュイに自分の感覚が薄れて行く、手紙を埋めるという一見非常識な行動が花となって現れる、とても素晴らしい表現でした。
 光が平等に降り注ぐ、この救いの中に生きているという思いがじんと伝わったみたいです。素晴らしいです。
 ずしり、と重い言葉たちでした。
No.3  ふぬーん  評価:40点  ■2014-04-29 18:09  ID:LkV5DxZuWZw
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お久しぶりです。
史とさんの作品が段々着想豊かになってきて、色を帯びてきていますね。
多少くさいと言えばくさいのだけれども、
自己の存在を問う作品に、他者を入れるだけで、
こんなにも豊かになるのだなと思いました。

追記光は平等に照らす最後の連は良いなです

見習わなくてはな、と。
No.2  時雨ノ宮 蜉蝣丸  評価:40点  ■2014-04-29 00:51  ID:2yvcLrrqfRc
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こんばんは。

何ともいえない哀というか、仄暗い雰囲気のところどころに、色味のある言葉が散らしてあるように見えました。
まるで、古い日記のセピア色のページや写真の間から覗く押し花のような……史裕さんのイメージした世界と違っていたらすみません。しかし俺には、そんなふうに見えたのです。
上手く言えないのですが、手紙を花の種と一緒に埋めて「一年生きることができる」っていうところが一番お気に入りです。

ありがとうございました。
No.1  游月 昭  評価:50点  ■2014-04-29 00:40  ID:5PhxNt2MGXg
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こんばんは!

胸の辺りが震えました。

冒頭(初連)、美しい。

続く二連目、ふっ、と笑みがこぼれ、潜り込む。

その後は上下にぷかぷか、

ラストに向けて、今度は光量で揺さぶる。

素晴らしいと思いました!
総レス数 6  合計 220

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