真昼のこと
部屋の底にまひるが沈殿する
まひるはこがね色に輝いて
私の部屋の底に 泥のように沈殿する
見た目こそきれいでも その強い匂いにはむせこんでしまう
飛び込んでしまえば あまく くるしく
溺れて息も吸うことができない
こっそり部屋を横切っていた ありたちの死骸が
こがね色の海をぷかぷかとたゆたっている
ほしくずのように

  ※

まひるは夏の熱気にあてられてしまったようだ
発酵して もしくは 熟れて
じゅくじゅくと汁を垂れ流しはじめた
匂いはますます濃くなって かげばくらくら視界が揺れる
腐れたリンゴジュースを想像してくれると
すこしだけ理解してもらえるかも
発酵する日光からは 生命が次から次へと湧いてでる
またたくまもなく 部屋はちみもうりょうで埋め尽くされた
なれしたしんだものからよくわからないものまで
おびただしい生命の氾濫
あかいきんぎょがまひるをおよいで
はしゃいで話しかけてくる
やけに楽しげであやしく思うと
どうやらこんこんと酔っぱらっているようす
酒のでどころを問えば
なんということだろう
発酵した日光は良質な酒になるのだと!
それからきんぎょと ちみもうりょうと
たのしくまひるを酌みかわし
うららかな午後の茶会としゃれこんだ

  ※

さて まひるから ほろ酔いかげんの私をたずね
綾波レイがやってきた
かのじょは私のきんぎょをゆびさし
「あいらしいね」とほほえんで
あかいひとみにうつりこむ
あかいきんぎょがほしいだなんて わがままばかり

  ※

ちみもうりょうはそのかずを増しつづける
ついには溢れてしまったかれらは
あかるい都市へと行進をはじめた
パレードのスローガンはもちろん
「死んだ有機物から
  生きているちみもうりょうへ!」
にわかのお祭りきぶんに私も興奮してしまい
祝砲がわりにピストルをいっぱつ 空へとぶっぱなす
穴のあいてしまった空からは ふきだすように宇宙が
すきとおった うつくしい宇宙が
われわれにふりそそぐのだった
うかれた熱気はそのつめたさにもまけることなく
もはやパレードはとどまることすらわすれて
行進はおわらない
都市へ! 都市へ!

  ※

けっきょく部屋にはふたりがのこった
私ときんぎょだけがのこった
しばらくふたりでちびちびやって
それから それから

どういうわけか きんぎょには
キミのおもかげがかさなる
のであります
私にはそれがたまらない
のであります

  ※

とある夏の晴れた日の
けだるい真昼のことだった
弥田
2013年07月25日(木) 22時55分46秒 公開
■この作品の著作権は弥田さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
どこにおこうか非常に迷ったのですが、詩板をお借りさせていただきます。
よろしくおねがいします。

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No.5  弥田  評価:--点  ■2013-08-09 01:04  ID:ic3DEXrcaRw
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遅くなりましてすみません、感想ありがとうございます!

>藤村さん
「蜜のあはれ」みたいなの書こうとして上手くいかない日々が続いております。青空文庫化はよ……!
ありがとうございました。

>うんたさん
不勉強なもので「言葉のない〜」はうんたさんのコメントみてはじめて知りました。いい詩をまたひとつ読むことが出来ました。ありがとうございます。
こうして読むと擬音なんかは完全に手癖で書いていてよくないですね……。
詩を書こうと思ったまではいいのですが、いまいち詩になりきらなかったようで、反省して、次回こそは……! と思います。
ありがとうございました。
No.4  うんた   評価:30点  ■2013-08-01 23:25  ID:Sk8TrUaahuU
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詩を書こう、という意思がつたわってきて、題材がいいと思います。ただし田村隆一の、言葉のない世界はまひるの球体、という有名な詩を連想させるので、そこはあまりよくない気がします。一連目の出だしが良いです。視覚的というか、イメージがわいてきます。しかし、二連目で冗長な表現、擬音など用いる結果、散漫になってきて一連目のイメージが続きません。三連目からはトーンが明らかに変わってしまうようです。形式にこだわらないところを目指しているのかもしれませんが、題材がいいだけに、統一性をもってまひるを描いてほしかった。
No.3  藤村  評価:30点  ■2013-08-01 00:13  ID:sg12n8JFuiY
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暑い日が続きますが、そんな中ひややかに綾波レイ。ふってくる宇宙の爽快。
たんじゅんにまひるを飲みたいという気になりました、酒が飲みたいひるは。
むろうさいせいよまなくちゃなとおもったのでした。
No.2  弥田  評価:--点  ■2013-07-27 23:21  ID:ic3DEXrcaRw
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ありがとうございます!

>飛び込んで〜、のくだりは、僕の情景描写が足りないせいでした。どうも頭の中で描いたっきり満足してしまって、文字にしない悪癖があるっぽいです、ご指摘ありがとうございます。

>腐れた〜、は自分ではおもしろいと思ったのですが失敗だったようです。

やりたかったことがどうにもうまくいかなかったらしいです。次作こそは読者を納得させられるよう頑張りたいです。ありがとうございました。
No.1  SHIRIAI  評価:10点  ■2013-07-27 20:22  ID:E/uClbJUq.g
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これだけ書けるんだから、
真面目に書こうよ。

>飛び込んでしまえば あまく くるしく
>溺れて息も吸うことができない
のに、いきなりピストルをぶっ放す。
出たとも、部屋でとも書いていない。
後で部屋に残っているという。

>腐れたリンゴジュースを想像してくれると
>すこしだけ理解してもらえるかも
唐突な語りかけ。

だんだんおかしくなるさまを緻密に描いていればいいが、どうしても、二節から垂れ流しの感が拭えない。

一節は面白い。
わざわざ「たゆたふ」という古語を使い、アリの無念さを表しておきながら、星のように綺麗に見せる方法は上手い。と思わせておいて、二節からぐちゃぐちゃ。楽しませようと思ったのでしょうか、飽きたのでしょうか、浮かばなかったのでしょうか、兎に角残念。
しかーし、読む勉強になりました。
ありがとうございました。
総レス数 5  合計 70

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