ひっくり

 太陽の塔が起ちあがると
 地面から
 脊椎が生え 脊椎が生え
 そうして脊椎がまだ生えまだ生え
 伊丹のほうへと倒れていった。
 日没!

   
*

 ジュリアは巨人の
 死んだあと河が
 緩んだ括約筋に犯される
 のをよろこんだ、
 ひょっとするとそう、
 とーっても。

   
*

 あまりにたくさん巨人が死んで
 ひとは厭くほど食ったので
 洛外にはたくさんの骨が残った
 それらをあまさず搬び込んで
 つくられたのがいま
 あなたの乗っている環状線です。

   
*

 ひとたび生まれてしまった都市は
「である」の裁縫をおぼえてしまい
 それは五〇億年むこうへむかってはじまる
 詮方ないつくろいもののようでもある、
 換喩は「すべてのはじまりの棄却」
 あるいは卑近な例として、

   
*

  地下の排水溝はこの大都市の器官
  であり、人体の諸器官と同じように
  人の目につかないままに機能するであろう。
  澄んだ冷たい水と光と熱……様々な分泌作用がそこで
  行なわれ、都市の良き秩序を乱さず、
  外側の美を損わずに公衆の健康を維持するであろう。

   ――ジョルジュ・オスマン

   
*

 噂話にきいていたあの
 小人の抱えた水甕からは
 錬金術師の遺産があらわになった。
 きょうという日がおわろうというときになって
 きかれるはずのないことばがまた
 きかれるやもしれない、すなわち


藤村
2013年07月23日(火) 20時25分29秒 公開
■この作品の著作権は藤村さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
謝染はかなしさん「純粋挽歌」からの連想があります。
うちださん「彎曲」からの連想があります。
昼野陽平さん「下痢」および「パンタグリュエル物語ぃ?」からの連想があります。
記して感謝します。

ロジェ=アンリ・ゲラン著/大矢タカヤス訳『トイレの文化史』(筑摩書房)からの引用があります。

よろしくおねがいします。

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No.8  藤村  評価:--点  ■2013-07-31 19:29  ID:sg12n8JFuiY
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>>はなこさん
ありがとうございます。
ちょっとでも楽しんでもらえたのならいいのですが。

>>toutouさん
環状線、はちょっとゆるいセレクトだったかな、ともおもうのですが、まあ巨人の骨だったらいいかな、とも。
語り手、というのはほとんど意識しませんでしたが、これはどういう語り手なんでしょう。いわれてみると妙な感じですね、詩の語り手って。勉強になります。
ありがとうございました。

>>SHIRIAIさん
ぼく自身も「評論」されているのをみてみたくあります。自分ではできないですし。自分でもなにが「いい」のかいまいちはっきりしてませんし。
ぼくにむけてのことばではないかもしれませんが、読める/読めてない、というはなしについていえば「読めている」とおもうこととはべつに、最近は勝手におもしろがる、ということをおぼえたので、積極的におもしろがったりしています。
「*」はなんだか菊みたいだよなとおもってつかいましたが、☆で○な下痢というのももっと直接的でおもしろいですね。きけてよかったです。
ありがとうございました。

>>昼野さん
オスマンの引用はいきあたりばったりだったのですが、いいところがみつかって、怪我の功名、でした。
無機質、というのはたぶんそういう部分がぜんぶ引用に因っているからだとおもいます。
最後は、おっしゃるとおりちょっとわからないことになっちゃっていたかもしれません。
……なんだかむずかしいですね。
いろいろとありがとうございました。

>>うちださん
じつは朔太郎がでてきたのはほんとうに意図しなかったことで、指摘されてから自分も笑ってしまいました。
遠近感が狂う、というのもあまり自覚がありませんでしたが、たしかにあっちこっちせわしなくて、そういうふうなところもあるかもしれません。
巨人や器官も、そうですね、連想といってもほとんど元のままなのですが、まあそこは具合よく引っぱってこれたかもという感じです。
あらためてありがとうございました。

>>弥田さん
わかるわからない、といえば、こういう詩ってある気がするよねというつもりで書きだしたのですが、こうしてちょっと経って読みかえすと、もうなんだかばかばかしいような気になります。こんなものも詩でしたっけ、よくわかっていません。
まあわかっていないなりに、たとえば「都市」と書いたときには青い蝶のことをおもいだしたりして、書いている側はとてもおもしろかったです。
ありがとうございました。

>>詩葵さん
ありがとうございます。
共感、ということでいえば、これは共感をもとめるタイプのものであるよりかは(そういう性格がないわけではないはずですが)、なにかに対する共感から発したたちのものである、とはいえそうです。
なにやらごちゃごちゃした書き方かもしれませんが、読むひとの努力をむげにするようなごちゃごちゃは止したいな、ともあらためて思いました。
おそまつさまです。
No.7  詩葵  評価:30点  ■2013-07-27 07:46  ID:L6TukelU0BA
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こんにちは読ませていただきました

読み解くのが難しい詩って
逆にそれが美徳なのかなぁと思います
こういう詩を読むたびに今まで自分は詩に
共感しか求めていなかったのかと強く実感します
わからない言葉があればそれを読み解く努力も
もちろん詩を読み書きする上では必要なわけで

詩に対する批評はできませんが
ただ感じたことをありのままに
伝えさせていただきました

ごちそうさまでした
 
No.6  弥田  評価:40点  ■2013-07-25 23:36  ID:ic3DEXrcaRw
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(火事や猛暑)のほうはわからないようでわかるような感じで勝手にうんうんうなずいたりしたのですが、反面こっちはちょっとわかるような手ざわりを残すわりにすぐにどこかへいってしまうというような印象で、やっぱりあまりわからないのだけれど、でももうすこしがんばればわかるんじゃないだろうか、この一行さえ読み解ければ、という気もするのですが手がかりの一つもえられず、そもそもわかるわからないとはどういうことなのだろう、ということまで考えたりして。

とてもおもしろかったです。ありがとうございました。

No.5  うちだ  評価:40点  ■2013-07-25 21:27  ID:oE2tK3DWyuo
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面白かったです。
一連目はほんとに笑いました。
で読んで行くと、都市または都市の機能が、巨人が被さったり、人間の手の動きや器官に被さったりしていて、そこに面白さを感じました。遠近感が狂うような感じ。あと言葉の選択にあいかわらず惚れ惚れしました。
No.4  昼野陽平  評価:40点  ■2013-07-25 20:44  ID:NnWlvWxY886
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環状線が巨人の骨だったとか、そうだったらいいなとか思いました。
ジョルジュ・オスマンの引用の部分も適材適所という感じでばしっと決まってる感じがしました。
身体言語がけっこう使われていますが、どこか無機質というか藤村さんのセンスになってるなと思いました。
全体的にわかってるわけではないのですが、ラストが特にわからなくてうーんとうなってました。
でも楽しめました。ありがとうございました。
No.3  SHIRIAI  評価:20点  ■2013-07-25 13:45  ID:C997dWT1qRE
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こんにちは。

相変わらず読めませんが、前回より少し読めました。空間の規模の大きさと、時間の長大さが感じられます。

もう、読めなくてもいいかな、と思っています。読めたら、とも思っています。
どっちなんでしょう、どっちもですね。

誰か教えて下さい、この詩の良さとはなんですか?「面白い」とか「凄い」だけじゃ、さっぱりわからないのです。それだけじゃ、ほんとに読めてんの?みたいな感覚がのこります。誰かしっかり「評論」して下さい。「読めなくても」と言いながら、貪欲だったりします。もどかしい!

分かる分だけ点数入れておきます。
ありがとうございました。

*追伸
「*」が「☆」で「〇」な感じ、下痢のオマージュ、巧みだなと思いました。
No.2  toutotu  評価:40点  ■2013-07-24 09:46  ID:ixXJPs6XWQs
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拝読しました。
面白かったです、ほう、ほう、と思いながら読みました。脊椎が生えるところが好きです、巨人の骨が環状線、、なるほどとか。骨粗しょう症の巨人だったらやだな、とか。そんな事を考えながら読みました。語り手に血が通っていて、読み聞かせを聞いているみたいとか。そんな印象を受けながら読みました。めちゃくちゃでごめんなさい。
No.1  はなこ  評価:30点  ■2013-07-23 23:58  ID:Iv5Hn9hS4ug
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すごいいいとおもう。
今日はねむたいので、あしたゆっくり読もうとおもいました。
たのしみができてよかったです。ありがとう。
総レス数 8  合計 240

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