人は死ぬために生まれた
人は死ぬために生まれた

そう言えばぼくは

とてもネガティブな奴みたいだ


でも違うのだ

僕は前向きで

むしろポジティブに

明るく

楽しく

死に向かっている



いつからだろう

死ぬことが

ネガティブな感情になったのは



僕は思うのだ

もしも

『死ぬ』ということが

ネガティブで

暗く

重たいものならば


生物というのは

なぜその運命を背負って

生まれるのかと


逆に思った

死ぬことは

とてもポジティブな行動で

なにかとても面白い

興味深いものなのかもしれないと


死は

けして暗いものじゃない


だから

暗く落ち込んだ先に



があってはいけない


明るく

輝く未来の先

その一点にのみ

死は存在してもいいと思うのだ


ちがうか

僕の思い違いか

それでもかまやしない


暗く

低く

沈みきった先に

死があるのだとしたら

かなしすぎて

生きていけない

だってそうじゃないか

生きているかぎり

永遠の暗闇におびえるのだ


人はそうやって

死を暗闇から救うために

宗教を作った

あの世を作った

天国を作った


ただ同時に

地獄と

おまけに

来世も作った



余分だったんじゃないかと思う

地獄がないと僕たちは

この世界で悪い事をしてしまうだろうか

そこまで腐りきっているだろうか



地獄のない世界にあこがれて

天国を妄想する時間に

生きている意味を感じるのだ



僕以外のすべての人間が

生きているのだ


僕以外のすべての人間が

天国に行くのだ


そしてなぜか

僕だけは

永遠に続く

それほどの闇へ

連れていかれればいいのだ



でも無理なので

人並みに

天国へ行くのだ


僕は特別ではないけれど

個別なのではあって

世界の中では

一般的なのだけれど

人間の中では

個別に分類されるのだ


個性のような

あいまいなもの

それにすがっている自分よりも

団体の中で

溶けてしまった自分を

いとしく思うのだ



そして

あきらかな確信が

私にはある

人は死ぬために生まれるのだと



今日死んでも
明日死んでも同じなら
俺はもう死んでるって


そういうことなんだ



人は死ぬとき

思うのだ

死にたくないと



それでも

人は

死ぬのだ


あまたの生命がそうであったように

僕は

死ぬのだ

そうなのだ

だからこそ

今日死ぬより

明日死ぬことに意味を持ちたい


明日死ぬより

あさって死ぬことに意味を持ちたい

今年死ぬより

来年死ぬことに意味を持ちたい



少なくても

僕は今

死んだところで

何ものでもない



世界とかそういうことではないのだ

僕はただ

今日とは違う

僕になりたい



死ぬために生まれたのだけれど

明日はもっと美しく死ねるかもしれないのだ


いつか来る

死ぬ明日のために

この瞬間

美しく

恥の無いように


生きてく


それの道程をもって

人生として


最後に

もう一度

笑いながら言いたいのだ


『人は確かに、死ぬために生まれた』

もう一言、付け加えるなら

『死は幸せである』



負け惜しみでないくらいに


そういいたい




バイバイグッドネス

バイバイ僕という人生



それほどの十分な人生よ
史裕
2013年04月07日(日) 20時38分52秒 公開
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No.1  陽炎  評価:40点  ■2013-04-11 16:55  ID:dJ/dE12Tc8A
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生きているのが苦しかったり辛かったりして
死ぬことを思うとき
それはなんというか
見えない大きな力によって殺されてしまうようで
たとえばそういったことが
死に暗い影を落すのではないでしょうか

ポジティブな死
明るい死とはつまり

生きている今を
精一杯楽しんで
楽しみつくして
臨終の際まで生ききる

自分の人生にこれっぽっちの後悔も残さず
十分だったと思って死にぬければ
それはとても
とても幸せなことだろうなと

そんなことを思いました
総レス数 1  合計 40

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