急行電車で急に腹痛に見舞われたサラリーマンの悲哀
僕はどこまで行くのだろう
この疾走する空間と飛び去る時間の狭間で

なぜ僕はここに居るのだろう
膠着したイデオロギーと拡散する自我の隔たりに

確かに 夏は飽くまでも暑く
焦燥感は更に急き立てられ

大鉈の如くに振られた秒針が
人々のアイデンティティーを切り刻み

表情を奪い取りながら
僕を無個性な扉の一つへ押し込めた

飽和状態の直方体の中で
誰もが僅かな自由を求めて身を捩る

僅かに自我を彷彿させる
素肌に貼り付く汗ばんだシャツ

だがそれは強力な冷気に晒され
急激に熱は失われて行く

そして――
それは突然訪れる

礼節のノックも無く
親愛の挨拶も無く
友情の握手は空を切り
抱擁は
抱擁に限ってはお断りしたい

僕の中で何かが目覚める
ごろごろと鈍い雷雲が渦を巻く
腹の奥底に鋭い剣を突き立てる

僕は
固唾を飲んでそれを見守る

育ち始めた凶暴な竜よ
僕を試すつもりなのか

僕の怠惰な括約筋を

やがて
凶暴さを肥大させた竜は
やがて僕の身体を締め上げ
身動きを完全に奪い去る

もはや硬直した肢体は
脂汗にぬめり
微動さえ許さず

そして
目的の駅の扉は閉ざされ
始動の衝撃が僕の中の竜を叱咤する
嗚呼僕の脆弱な括約筋よ
お前はどこまで耐え得るのだ

願わくは

おお紙よ もとい神よ
僕を救いに来い

平和の止瀉よ ではなく使者よ
水無月の竜を止める
水無しで飲める錠剤を連れて来るのだ

僕はどこまで行くのだろう
この疾走する空間と飛び去る時間の狭間で

いつまで僕はここに居るのだろう
膠着したイデオロギーと拡散する自我の隔たりに――
G3
2011年06月11日(土) 23時45分37秒 公開
■この作品の著作権はG3さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
バッチくてすみません。
果たして今夏はそんなに冷房の効いた車両に巡り会えるのでしょうか?

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No.2  G3  評価:--点  ■2011-06-14 23:17  ID:E.rSGHVegM6
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謝染はかなし様
ありがちでしたか。残念。
No.1  謝染はかなし  評価:20点  ■2011-06-13 02:04  ID:D5FXfV4BiuM
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なんかありがちですね。

個性的なところが逆に個性的じゃない。みたいな。
総レス数 2  合計 20

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