貴女の在り処
貴女がはらりと靡かせるたび
甘やかに香りを立ち、波打つ黒髪
私はその一房を手に取り、そっと刃をあてました
私の手にしな垂れたそれを
両手にしかと収め、鼻孔へと誘いました
――それは確かに貴女でしたが、貴女の全てではありませんでした


貴女が悩ましげに、楽しげに揺らすたび
幾千幾万の私を魅了する言葉を生み出してきた、その頭脳
私はそれを覆う頭骨の硬さを確認すると
一気にその下を手探りしました
そして幾重にも波打つその皺を
人差し指でそっとなぞってゆきました
――それは確かに貴女でしたが、貴女の全てではありませんでした


貴女が颯爽と肢体を動かすたびに
私の目と心を奪っていくその一挙一動
貴女の身体を動かす根幹、そして生命の根
私は柔らかな肌の下に隠れ
けして芽吹くことなきそれを、じわりと掴みました
血潮通いゆくその奔流を、
そっと指先に感じてみました
それは確かに貴女でしたが、
でも、それさえも、
――貴女の全てではありませんでした


嗚呼、こうして今宵も、
貴女をこの手に収めること、叶いませなんだ
 

嗚呼、人の人たるや、
何処にありましょうや
香咲ふう
2011年01月17日(月) 21時45分00秒 公開
■この作品の著作権は香咲ふうさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
自分というのは、どこにいるんでしょうね。

そんな話を聞いたときに、書いた詩です。ちょっと前のものになりますが、手直ししてみました。

この作品の感想をお寄せください。
No.3  小夜  評価:20点  ■2011-01-26 10:32  ID:kzVZi6vy1G.
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こんにちわ☆

遅ればせながら、感想を…。

うぅん。
良いですねぇ〜っ♪
作中の雰囲気、かなり好きです☆
途中でガラリと変えたりせず、最後まで雰囲気を変えなかったのは偉いと思います。
(私だったらオチ目的で雰囲気を変えちゃうので / 苦笑)

短いコメントで申し訳ないのですが…。
次回作も楽しみに待ってます☆


No.2  香咲ふう  評価:--点  ■2011-01-19 21:40  ID:aNf544Ntfvo
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>OZさま

感想アドバイスをありがとうございます(``*
これそんなにエロかったですか!(笑)
でもおっしゃることわかります、全体的に表現に角をとったほうが、より面白い作品にしあげることができたのかな、と考え直すことができました。
エロい詩はまったく未知のせかいなので、ご期待に添うのは難しい思いますが、色々な表現方法を模索していく中でなにかできたら良いなと思います(笑)

前回に続き、参考になる感想、ありがとうございました!
No.1  OZ  評価:30点  ■2011-01-17 23:00  ID:4MvGQJq3VCA
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しなやかでいてエロい。荒削りですけどいい詩ですね。すごい。
香咲様は、きっとこれからすごい作品を書くんでしょうね。
うらやましい。

平仮名・身体的・日常的な言葉の使い方がとても良いと思います。
これがエロさの秘訣でしょうか。

>はらりと靡かせるたび
>その一房を手に取り
>しな垂れたそれを
>人差し指でそっとなぞってゆきました
>私は柔らかな肌の下に隠れ
>けして芽吹くことなきそれを、じわりと掴みました
 
以上が丸みをおびていてエロい表現だと思いました。

一方で日常で使う言葉とはちょっと距離感のある文章表現に関しては、
言葉が硬くてぎこちなく感じました。
せっかく丸くて漲る乳房があるのに、
詩の臍となるべき乳首が機械仕掛けでそっけないような印象です。
別にエロ方面に注力してからむつもりはないのですけれども、
いえ、意識の深いところでそんな気持ちもあるのかもしれませんが、
ともかく正直な感想です。ご気分害してしまったら申し訳ございません。
以下がぎこちないと感じた表現です。

>貴女
>貴女の在り処
>――それは確かに貴女でしたが、貴女の全てではありませんでした
>頭骨
>貴女の身体を動かす根幹
>そして生命の根幹
>嗚呼、こうして今宵も、
>貴女をこの手に収めること、叶いませなんだ
>嗚呼、人の人たるや、何処にありましょうや

個人的には「嗚呼」が心底興冷めです。
でもこれは大した問題ではないですね。
身構えずに普段感じていることを伸び伸びと自由に書くだけで
がらりと雰囲気がかわると思います。

自らの力量を棚に上げて、なんとも偉そうな感想をお許しください。
香咲様にはもっともっとエロい詩を書いて欲しいと思います。

次作を楽しみにしています!
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