キャンバス
透明なキャンバスを渡された。
「あなたの好きな色を塗りなさい」
そう言われたような気がした。

私は歳を重ねる毎に1色だけを使って塗ることにした。
最初は鮮やかだったと思うけど、色が増えると不安になった。
どれが良いのか、何が良いのか、どこが良いのか...

しばらくすると、誰かが手を添えてくれるようになった。
その手は温かく、導いてくれる。
私の知らない色が増えた。

またしばらくすると小さな手も加わった。
小さいけれど、力強く筆を走らせようとしてくれる。
私が知らない形を教えてくれた。

透明なキャンバスには私の全てが描かれている。
私は「自画像」として、渡してくれた人に見せたいと思う。
sooomen
2025年12月06日(土) 00時18分01秒 公開
■この作品の著作権はsooomenさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
作者からのメッセージはありません。

この作品の感想をお寄せください。
感想記事の投稿は現在ありません。

お名前(必須)
E-Mail(任意)
メッセージ
評価(必須)       削除用パス    Cookie 



<<戻る
感想管理PASSWORD
作品編集PASSWORD   編集 削除