児童販売機


 夜が更けた。若い彼はただ一人、暗い空の下を歩いていた。
 ――頭が痛い。のどが渇いた。
 社会人になって何度目のコンパだったのだろう。いつものごとく、浴びるように酒を飲んだ。無理やり気分を盛り上げ、根暗な本性を隠そうとした。途中から誰の話にもついていけなくなったが、ぐにゃぐにゃに歪んだ世界の中心で彼は満ち足りていた。
 しかし、居酒屋を出てからは違う。酒に火照った身体は、容赦ない戸外の空気にたちまち冷やされた。五月の初頭、ちょうどゴールデンウィークのまっただ中で、寒気をおぼえるほどではない。けれども、酔いの高揚を打ち消すには充分だった。
 次第に活気が失われていく中、彼の足元はいまだにおぼつかない。おまけにさっきから、左の側頭部がずきずきと痛む。のども渇いている。アパートへの帰路はまだ遠く、いつもの道を使えば軽く三十分はかかるだろう。
 冗談じゃない。彼は路上に酒臭いつばを吐いた。この先、歩けば歩くほどコンパの嫌な思い出ばかりが蘇ってくるに違いない。今までの帰り道もそうだった。
 ――ねえねえ。これ、あたしの宝物。可愛いでしょ?
 隣りに座った女の子とは会話が弾まなかった。携帯電話の待ち受け画面を見せられても、コメント一つ思い浮かばない。かろうじて電話番号とメールアドレスは交換してもらえたが、これまでと同様、関係発展の見込みは限りなくゼロだった。
 ――あんたは全然変わってないんだね。あたしはこんなに変わっちゃったのに。
 幹事からは金をむしりとられるだけで、冷たくあしらわれた。醜態を笑い飛ばせるのは他人がいる時だけで、一人になると終わりのない自己嫌悪がこみあげてくるばかり。そんな気持ちを今夜も味わい続けるのはご免だった。
 ――あたしのこと、わかんないのかなあ? わっかんないんだろうなあ……
 さっさと部屋に帰って寝てしまいたい。寝ればすべてが忘れられる。一人勝手に酔いつぶれる愚かさも、洋式トイレの便器に座りこんで気を失う虚しさも。そう考えて、彼は普段通ることのない道へと進路を変えた。その先には大きな公園があった。

ж

 彼が向かった公園は、もともと原生林が広がっていた丘を切り開いて作られたものである。手つかずのまま残された大木が茂り、敷地も広い。東から西に抜ける一本の太い道から、複数の小道が枝分かれするような構造になっている。
 都市の中にあって自然の豊かな場所であるため、昼間は暇な市民の憩いの場となっている。が、深夜ともなればまず人の出入りはない。それでも彼が立ち入ろうとしたのは、ここを通り抜ければアパートまで近道できると見たからであった。
 公園の中は、外に比べてさらに暗い。景観を損なわないよう、電灯の数が最小限に抑えられているためだ。彼はふらつく足元に気をつけながら、左のこめかみを押さえた。そして、木々の枝が手招きするようにざわめく園内へと足を踏み入れた。
 都市に取り残された原始の自然が、彼の訪れを歓迎してくれているように感じる。それはあくまで想像の産物だったが、彼はいくぶん気が楽になった。普段やらないようなことをして、心が悩みから解き放たれるのは良いことだ。
 ――こんな夜更けに、お前たちに会いにくるのは俺くらいのものだろう? さあ、もっとお前たちの声を聞かせてくれ。俺を優しく出迎えてくれ。ほら、もっとだ。
 だが、それもわずかの間だった。頭痛と渇きが去らず、足取りも自然と重くなる。コンパの記憶を抹消できたと思っても、現実的な身体の訴えを無視できない。わずか十分の道のりすら我慢できないのかと、彼は二つの苦痛の源に腹を立てた。
 と、ちょうど公園の中心部にさしかかり、円形の広場のようなところに出た。
 丸太を模したプラスチック製のベンチが五つか六つほど、広場を囲むように並んでいる。普通の公園にありがちな遊具は見当たらないが、確か広場から伸びるどれかの小道の先にあるはずだった。
 むろん、彼には広場でひと休みする気も遊具ではしゃぐつもりもない。よってまっすぐ突っ切って先へ進もうとしたのだが、視界の端に映ったものを見てふと足を止めた。
 一台の自動販売機が、電灯の下で赤々と光っている。つまり飲み物があるということだ。このタイミングを待っていたとばかりに、口内で一気につばが増え始めた。
 彼は引き寄せられるように自販機へと歩いていく。さて、小銭は持っていただろうか。歩きながら財布を取り出し、手触りで百円玉の存在を確かめる。何が売られているかを確認する前に、いきなりかがんで投入口にお金を放りこんだ。
 ちゃりん、と下のほうで音がする。もしやと思い、釣り銭が出る口に手を入れてみると、百円玉が落ちていた。何だ、読み取り失敗か。再び入れる。ちゃりん。また落ちてきた。
 おかしいな、と考えて投入口に近づく。投入できる硬貨を表示するスペースには、五百円玉しか書かれていない。そんな馬鹿な、と眉をひそめたが、のどの渇きが勝った。またも財布をあさってみれば、五百円玉の感触がある。取り出して投入した。
 ようやくボタンのランプがついたことを確かめ、頭を上げる。赤々とした光がしみて、彼は目を細めた。何が買えるのかと、狭くなった視界で売り物を確認する。
 そこには小学校低学年くらいの、少女の生首があった。
 少女は軽く目を閉じ、口を半開きにして、首だけでプラスチックの陳列ケースの中におさまっている。あまりに意外なものを見て、彼は目をぱちぱちさせた。
 いや、これは意外どころではない。明らかにおかしい。なぜ自販機の中に人間の生首がある? 生身の人間が中に入っていて、陳列ケースから顔を出しているのか?
 違う。胴体から下がおさまるようなスペースがあるようには見えない。それに偽物とも思えない。青ざめた肌の質感、目を閉じたまぶたのまつ毛、赤みの抜けた唇。どれをとっても、間違いなく本物だ。実物の人間の死体、その一部なのだ。
 彼は陳列ケースに両手を押し当て、じっと生首の少女を見つめた。ずきずきと頭が痛む。信じられない光景だったが、視線をそらすことができなくなっていた。
 整った顔立ち、眠るような表情、ケースの中でこぢんまりとまとまった三つ編みの髪。少女のすべてが彼を虜にした。まるで彼が女性に求めるあらゆる要素を一まとめにして、何もないところから作り上げたかのように見えた。
 ――お兄ちゃん、わたしを買って。買ってくれないと、ここから出れないの。ねえ、買って。お願いだから買って。その五百円でわたしを買ってよ。さあ、早く。
 少女の声が聞こえたような気がした。のどが渇いていた。生首の下にはボタンがある。今、ボタンのランプは五百円玉を入れたことで赤く点滅している。自販機そのものの赤く光っている。頭が痛い。これを押したら、何が飲めるのだろう?
 親指をボタンに当てた。そのまま、ぐいと前に押し進める。ピッ、と小さな音がした。間もなく落ちてくる生首を手に取ろうと、彼は取り出し口に身をかがめた。
 途端、頭上で勢いよく何かの割れる音。髪の上にぱらぱらと破片が降ってきて、彼は何が起こったのかといぶかしんだ。そして見上げた。
 閉じていた目を見開いた生首が、こちらをじっと見下ろしてくる。半開きだった口は、細い三日月形に歪められていた。心からの喜びを示すように、少女は薄く笑っていた。
 ごとん、と生首が傾く。最初の位置から九十度横倒しになると、やはり首から下が存在しないことが目の前に証明された。
 首の切り口はギザギザに崩れていて、赤黒くにじんだ傷口が彼の視界に飛びこんでくる。そこから真っ赤な血が続々とあふれ出していた。
 ――なるほど。飲み物はこれか。これを飲めというのか。
 また頭が痛み始めた。転がる生首がプラスチックの破片を弾き飛ばし、彼の右頬をかすめて落ちる。チクリと感じた現実があっても、まだ彼はその場から動けずにいた。
 破片を巻きこむように転がり続け、少女の顔は傷だらけになっている。貼りついた破片を喜ぶかのように微笑んだまま、生首は彼の目線と同じ高さにあって近づいてくる。流れ出す血がケースの割れた部分から垂れ落ち、自販機の壁に赤黒い模様を作っていた。
 彼は割れた陳列ケースに顔を寄せた。生首がすぐそこにある。あと半回転もすれば、彼の顔と接するだろう。何が接するのか? おそらくそれは、お互いの唇。
 ――頭が痛い。
 次の瞬間、彼はきびすを返し、全力疾走で駆け出していた。

ж

 頭痛はひどくなるばかりだった。彼は走りながら、口の端にたまるつばを次々に吐き出した。悪態をつく余裕もなかった。
 だが、この頭の痛みがあったからこそあの広場から逃れられたのだ。もう限界だった。立っていることさえつらかった。走っているほうがいくらかましだった。
 夜道は相変わらず暗い。しかし、それはどこまでも日常だった。先ほどまでの恐ろしい光景に比べれば、ずっとありふれた平和な光景だった。
 何も起こっていないようにさえ感じられた。ついさっき自分が遭遇した出来事は、まったくの夢なのではないか。そう思った矢先、彼の頭に声が響いてきた。
 ――待ってよ、お兄ちゃん。置いてかないでよ。どうして逃げちゃったの? ねえ、わたしを買ってくれたんでしょ。早く飲んでよ。わたしを飲んで、お願い。
 全身に鳥肌が立つのがわかった。走り続けて火照った身体が、再び芯の奥から冷やされていく。足がもつれて転びそうになったが、何とか体勢を立てなおした。
 これは錯覚なのか。すべて勘違いなのか。聞こえるはずのないものが、酒に酔った勢いで次々に脳内で再生されているだけなのか。息をはずませながら、彼は公園の出口に向かって走り続ける。考えはいっこうにまとまらない。
 ――どんなに逃げてもだめ。わたし、ちゃんと追いかけてきてるよ。硬い地面だけど、ちゃんとお兄ちゃんの後をついてきてるよ。痛いのも我慢して、血が流れても気にしないふりして、お兄ちゃんに飲んでもらえるまでがんばるよ。ほら、後ろを向いて。
 錯乱する思考と裏腹に、少女の声は頭の中で響き続ける。どんなに意識しまいと目をつぶっても、耳に手を当てても、身体の内側から聞こえてくるものを止めることはできない。公園を飛び出し、見慣れた路地に入っても、その声は消えることがなかった。
 ――振り向いてくれるだけでいいの。そしたらわたし、飛び上がってお兄ちゃんの顔にキスしてあげる。口の中にいっぱい血をためておいたから、すぐに飲んでもらえるよ。
 振り向くわけにはいかなかった。立ち止まるつもりもなかった。そんなことをすれば、即座に襲われる。口内に大量の血を注ぎこまれ、息ができなくなって溺れ死ぬ。
 彼の脳内には、その有様があたかも現実であるかのように描き出されていた。振り払うことが不可能な、目を開けて見る悪夢が彼の世界に広がっていた。
 目指すアパートが見えた。もうすぐ自分の部屋にたどり着ける。頭の痛みがいちだんとひどくなってきた。汗をかき続けているからか、のどの渇きもおさまらない。果たして家に帰り着いて、自分に何ができるのか。答えは浮かばなかった。
 ――逃がさないよ。走って遠くへ行こうとしても、狭いお部屋の中に隠れようとしても、わたしは絶対あきらめない。わたしを買ってくれたお兄ちゃん、どうしてそれがわからないの? ねえ、お願いだから早く足を止めて。こっちに振り向いて!
 アパートの階段を勢いよく駆け上がった。最後の段に手をつきながらも、転ばずに上りきる。走りながらポケットから鍵を取り出し、一番奥にあるドアにたどり着くと即座にノブに差しこんで回した。間髪入れずにドアを引き開け、入った直後にバタンと閉めた。
 ドアを背にして立ち、後ろ手にノブを握りしめ、覚悟を決めて電気を入れる。生首のようなものが室内にないか見回したが、そんなものはどこにも見当たらなかった。
 ほっとしたのもつかの間、彼の頭を激痛が襲った。
 鉄パイプのような、細く硬いもので思いきり頭を殴られた衝撃。思わず叫び声をあげたが、それ以外には何もできない。ノブを握った手から力が抜け、彼は前のめりに崩れ落ちていく。視界に地面が迫っていた。
 ――ああ。俺、死ぬのか……?
 渾身の力で手を突き、倒れこむ時に全身を強打することは防いだ。しかし、もう何もかもが限界だった。背後でノブが回り、ドアが開く音が聞こえたような気がした。
 いまや、彼の心は恐怖よりも絶望一色に染め上げられていた。

ж

 一人の少年が、三つ編み髪の女の子と向かい合って立っている。二人とも、年のころは幼い。小学校三、四年生といったところだろうか。
「坂の上まで競走しようぜ。勝てたらジュースおごってやるよ」
「あ、そう。やってやるわよ、覚悟しなさい」
 どうやら、少年は坂のふもとにいて、この女の子と追いかけっこをしようというつもりらしい。よーい、どんのかけ声を自分で口にすると、懸命に走り始めた。三つ編み少女もそれに続いて走り出す。
 少年のほうが速かった。みるみる相手を突き放し、坂の頂上に立った。
「遅いぞ、早く来いよ」
 彼の顔には、何もかもが自分の思い通りになると信じこんでいるかのような、得意げな表情がある。根拠もないのに揺るぎない自信のオーラが、彼の全身から放たれていた。
「はあ、はあ、待ちなさいよ。ちょっとは遠慮くらいしたらどうなの」
「着いたら、そこでジュース買えよ。金は俺が出すから」
 整った顔をしているが、負けん気が強そうな女の子だった。必死に首を左右に振って走っているから、背中まで垂れた三つ編みがぶんぶんと風に揺らめいている。もうすぐゴールできそうだ。
「はい、おめでとう。これで好きなの買ってこいよ」
「ふう、まったく……ひ、人づかいが、荒いわね」
 肩で息をしている相手に、少年は百円玉を二枚渡す。車道を挟んで向こう側に見える自販機を指差して、あそこで買ってこいと言わんばかりだ。
 三つ編み少女は横断歩道を渡って、向こう側へ着いた。握りしめた百円玉を自販機の投入口に入れようとして、止まった。
「ねえ、百円じゃ足りないんだけどー!」
「どういうことだよ!」
「五百円玉しか入らないみたいー!」
 少年はけげんな表情を見せたが、すぐに財布を漁って五百円玉を二枚見つけ出した。
「五百円見つかったから、俺が行く!」
「ううん、いい。あたしが行くー!」
 と、三つ編み少女が駆けだした。右も左も確かめずに走ってくる。危ない、と少年が叫んだ瞬間、左から猛スピードで自動車が突っこんできた。
 ぶらん、と赤く染まった三つ編みが宙を舞った。彼の意識は闇に落ちた。

ж

 魔物に取りつかれたような低い悲鳴をあげながら、彼は夢から目を覚ました。
 白いベッドに横たわっている。周囲を見渡してみると、壁も床も天井も、色味は異なるがどれも白い。窓からはオレンジ色の西日が差しこみ、壁の反対側にはクリーム色のカーテンが引かれていた。隙間の奥に、ブラウン管のテレビが見える。
 どこからどう見ても、そこはありふれた病院の一室だった。
「おや、目を覚ましましたか」
 別のベッドで患者の様子を見ていたらしき初老の男が、寝ている彼のもとへゆっくりと歩いてくる。白衣を身につけ、胸にネームプレートをつけている。ごく普通に考えて、この病院に勤める医師のようだった。
「先ほど、大声を出されましたね。病院ではお静かに願いますよ。たとえ、それが瀕死の状態から目覚めての第一声であったとしても、ね」
 彼はその一言を鋭く聞きとがめた。そんなに危ない状態だったのか? 脳裏によみがえってくるのは、あの夜の恐ろしい体験。自宅の玄関で倒れてから、いったい何があった?
 そんな疑問に答えるように、医師は彼の頭を指さした。つられて彼が頭を触ると、そこには網状のガーゼが幾重にも巻かれていた。
「あなた、急性クモ膜下出血で倒れたんですよ。それでこの病院に運ばれたんです」
 医師の説明を要約すると――あの夜、隣の部屋で布団を敷こうとしていた住人が、彼の叫び声を聞いて不審に思ったらしい。何が起こったのかと訪ねてみれば、玄関で頭を押さえて倒れている彼を見つけたということだった。
 急性クモ膜下出血を発症した患者は、硬いもので殴られたような激しい頭痛をおぼえて気を失い、病院に運ばれるケースが多い。だがそうなる前に、鈍い痛みが数時間にわたって続くこともあるのだという。
「倒れる前に、そういった痛みを感じたりはしませんでしたか?」
 そう問われて、彼は首を縦に振った。話を聞けば聞くほど、あの夜の自分が置かれていた状況がはっきりとしてくる。居酒屋からの帰り道、鈍い痛みとのどの渇きを抱えながら歩いていた。まさに前兆となるシグナルが、身体から発せられていたのだ。
 もしや、と彼は思う。あの夜、彼が現実に体験したと感じていた自販機をめぐる一件は、すべて、重傷を負っていた脳が作り出した幻覚にすぎなかったのではないか?
 酒に酔い、ひどくのどが渇いていたという点も、その考えを後押しするもののように感じられた。疲れきった身体に脳内からの出血が重なり、ありもしないものを公園の自販機に見出して、逃げ出してしまう。それがますますの体調悪化を招き、そして……
「まあ、あなた運がよかったですよ。あと五分、搬送が遅れていれば危ないところでした。でも、もう安心です。免許証確認して、故郷の親御さんにも連絡とっておきましたから。明日にはこちらに着くことでしょう」
 医師はそれだけ言うと、病室から出て行った。後にはただ、夕方のニュース番組を流し続けるテレビの音が静かなBGMとなっているばかりだった。
 サイドテーブルに置かれた電波時計に、彼は目を向けた。午後六時になって間もない時間であるのと、今日が五月五日であることを示している。まだまだ続くと思っていたゴールデンウィークは、いつの間にか最後の一日になってしまっていた。
 しかし、彼は穏やかな気分だった。
 すぐには会社に復帰できないだろう。少なくとも一週間は、ここで入院生活を続けるに違いない。同僚たちにも迷惑をかけることになる。親を心配させる結果にもなった。
 けれども、それらはすべて目に見える苦労だった。常識で理解できる不安だった。ゆえに、その先には安心があるとわかっていた。いつかは解決できると信じることができた。
 ――俺は、もう怯える必要なんてないんだ。

ж

 その時、テレビのボリュームが急に大きくなったような気がした。
「たった今、入ってきたニュースです。都内に住む二十五歳の女が、殺人と死体遺棄の容疑で逮捕されました」
 同じ年齢だった。その事実だけで、彼の耳は自然とニュースの声に傾けられた。
「警察の調べによると、女は八歳になる実の娘を殺害、遺体の頭部を切断して自宅近くの公園に埋めたと供述しているとのことです。以前から、女の家庭では子供の泣き叫ぶ声が何度か聞こえており、虐待ではないかと近所の人が児童相談所に通報したこともあったそうです。繰り返します。逮捕されたのは……」
 続いて、女の名が聞こえてきた。彼はそれをどこかで聞いたような、いや、見たような気がしていた。つい最近、そんな風にでも読めそうな名前を、どこかで。
 耳だけでなく、カーテンの向こうにのぞくテレビの画面を目で見ようと、彼はベッドから身を乗り出していた。ブラウン管のテレビは老朽化しているのか、画質が悪かった。だが、犠牲になった八歳の女の子をカラー写真ではっきりと映し出していた。
 彼の口が半開きになり、そのまま閉まらなくなった。口内がじかに外の空気に触れ、徐々に水分を失って乾き始めていたが、それにも気づかない様子だった。
 頭ばかり気にしていた手を、そっと右の頬に持っていく。小さなガーゼが貼られていて、強く押すとかすかに痛い。これがもし、割れた陳列ケースの破片で作られたかすり傷なのだとしたら……それは、彼にとって何を意味するのか?
 見下ろすと、サイドテーブルには携帯電話も置いてある。繰り返されるニュースの声を聞きながら、彼はテーブルに手を伸ばした。二つ折りになったケータイを開いて、メニュー画面からアドレス帳を選択する。
 つい数日前、登録したばかりの名前をじっと見つめる。その苗字を変えれば、小学校三年、四年と同じクラスにいた女子の顔が頭に浮かんできた。
 ――あたしのこと、わかんないのかなあ? わっかんないんだろうなあ……
 どうしてわからなかったのだろう。確かに相手の容姿が、幼いころのそれとは大きくかけ離れていたというのもある。今だって、同一人物だとは思えない。
 だがそれ以上に、自分が過去の忌々しい出来事を忘れようとしていたのが原因ではなかったか。あの交通事故の罪が自分にはないものと、そう信じたかったのではないか。
 ――あんたは全然変わってないんだね。あたしはこんなに変わっちゃったのに。
 事故の後、彼女がどうなったかを彼は知らない。いや、知りたくなかったから、一度頭に入ったはずの記憶を忘れてしまったのかもしれない。
 生きているかどうかさえわからなかった。わかりたくなかった。そして、生きていることは確認された。ついさっき、テレビからもたらされた情報によって。
 ――ねえねえ。これ、あたしの宝物。可愛いでしょ?
 だが、死んでしまった命もある。あれを彼女は宝物だと、そう言っていたはずなのに。待ち受け画面を指さしてうれしそうに話してくれた内容は、すべて嘘だったのか。
 いや、そんなことは重要ではない。死んだからもうこの世にはいられないなんて、誰が決めたのか。現にあの夜、この目で見たのだ。あの公園の広場で、間違いなく。
 いつの間にか、日は沈んで夜の帳が降りようとしていた。しかし、彼のいる病室に明かりがともる様子はない。アドレス帳を開いたままのケータイが、表情ひとつ変えない彼の顔をぼんやりと青白く照らしている。
 公園で見た、赤い光を放つ自販機。五百円玉しか入らない投入口の上、目を閉じてたたずんでいた生首。陳列ケースが割れ、目を開いて微笑んだ少女の顔は……
 ふと、のどの渇きをおぼえ、彼は出口を探した。クリーム色のカーテンの向こう、廊下に出る扉があると思われる場所が、赤く光ったような気がした。
 ――お兄ちゃん。今度こそ、わたしを買ってね。
 頭の痛みに妨げられることもなく、彼はベッドから起き上がった。



ラトリー
2011年11月06日(日) 03時19分06秒 公開
■この作品の著作権はラトリーさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
『愛しの彼はもういない』より少し前に書いたものです。
 タイトルが先にあって、そこからどんな話が書けるだろうと考えた結果、こんなものができました。

 怖かったかどうか、疑問に思うところはどこか、みたいなのを教えてもらえるとありがたいです。

この作品の感想をお寄せください。
No.7  ラトリー  評価:--点  ■2011-11-26 01:55  ID:x1xfMMn8lDg
PASS 編集 削除
 皆さま、ありがとうございます。このお話、展開が気に入らなくて何度か書きなおした分、短いわりにつきあってる時間が長くて妙に愛着があります。気づきにくい点も多くなってると思うので、助かります。

>水樹さん
 前に読んでもらえた友人からは「タイトルと内容がちょっとずれてるからこの題でなくてもよかったんじゃない?」みたいな意見もあったんですが、どうしても字面のインパクトが頭を去らなくて、ホラーにするしかない! と意気ごんで書いてみたらこんなものになりました。ひとくちにホラーと言っても、得体の知れないもの、気分が悪くなるもの、痛みを感じるものなどいろいろありますが、読んだ人の気持ち悪さを心地よく刺激できていたら幸いです。
 そして伏線を回収しないと気がすまないために、後半のような流れに。確かに最後はお気に入りです。この辺を一人称で書くと臨場感が増しそうなんですが、錯乱した心境をうまい具合に描き出せなさそうだったので、少し距離を置いた視点にしてみました。

>Physさん
『レンシンショウ』『スケッチブック』面白かったです。前者はコバルト文庫で読めそうな恋愛+ミステリの淡い味つけが印象的で、後者は涙腺刺激力の強いストレート&スマートな作品だった記憶があります。どちらも構成がすばらしかった。感想書けずじまいで申し訳ないです。今度投稿された時は何か書けたらいいな、と思いつつ。

 正直なところ、本格ミステリはまだ全然読書量が足りないです。最近の作品は追えてないですし、古典も定番ですら押さえているとは言いがたい。ただジャンルとしてどうしようもなく好きで、少ない読書タイムもそればかり読んでいて、いつかはガチガチなくらいルールに則ったものを書きたいとは思っています。今回のこれみたいに、ホラーとしての筋に添え物みたいな感じで伏線を張ることしかできないのが現状ですが、アイデアは今のうちにきちんと用意しておきたいですね……なんて自分語りはさておき。

 一人暮らしをしていたころ、真夜中の公園を通って知人の家に行く機会がけっこうありました。無数の木が生い茂り、道中には不自然なほどにまぶしい光を放つ自動販売機が置かれている。当時の体験がもとになっていて、それである程度リアルな描写ができたというのはあると思います。しかしさすがにクモ膜下出血を経験したわけではないので、その辺はやはりもっと想像力を働かせるしかないですね。

>ホラーとミステリは、いずれも奇妙さを演出しながら結末へと収束していくという点では同質のもの
 このご意見には同感です。序盤で不可解な出来事を起こして、中盤では情報の出し方や展開のひねり方でしきりに興味を煽り、終盤ではひとまず納得のいく解決でひと通りの幕を引く。しかしそこに少しだけ納得できないもの、不安をもたらす謎を残す……みたいな形で、ホラーとミステリをうまく融合できればいいなと思ってます。そのためには、お話としての練りこみを事前にきっちりやっておくことが本当に大事だなと感じます。これがなかなかできないからか、いつまでも物語にどこか足りない感がぬぐえません。女の子が実在して、しかもああいう事情だった、あたりの下りがやはり語り足りないので、そういうところをちゃんと詰めていくようにしたいです。

>お さん
 実のところ、スプラッタな話は読むのは苦手です。痛い系の話は自分も痛いと感じてしまう。でも、その辺が敏感だから書く時もプラスに作用してるというのは多少あるかもしれません。そういう感覚はこれからも失くさないでいこうと思います。
 でもまあ、その苦手な気持ちが、描写の一つずつを早め弱めに終わらそうと軽くしてる面はありそうな気がします。怖がらず目をそむけず、もっと実際はどうなのかというところを考えて、見て、書きつけることにも挑戦したほうがよさそうです。深くもぐればもぐるほど、浅いものの浅さ、浅いこと自体のよさについても詳しくなれるかな、と。

>陣家さん
 ゲームで育てる生首少女、なつかしいですね。Tomakでしたっけ、実際書いててあれをイメージしたことはあります。たとえどんなに魅力的な顔立ちでも、首しかない女の子はやはり不気味さ、不自然さ、得体の知れなさを感じさせ、見れば見るほど現実感を失わせる。実際に自分でそう感じている分、うんと気味の悪さを書く方向にモチベーションを持っていけたというのはあるように思います。
 最初のやり取りはうっかりしてましたね。地の文と台詞のつながりがおかしくなることが時々あるので、こういうご指摘はありがたいです。女の台詞がどうしても伏線じみて無理やり入りこむみたいになってるので、この辺が改善点かもですね。
 死んだ少女が主人公を導く、という展開も面白そうです。かつての幼なじみの娘で、どこか似た面影を感じさせる、しかしその正体は……と、持っていき方によってはちょっと変わったミステリに仕上がりそうな気もします。いいですね。

>D坂ノボルさん
 お久しぶりです。自分の考え方とか性質とか、やはり意識してなくても文章に出てくるものだなとつくづく感じます。細かい部分をあれもこれもといじっていると、どうしても勢いがそがれてしまう。もっと強弱をきかせるやり方とか身につけて、それこそいたって自然に、それが一番ふさわしいんだという形ですっと出していけたら、変に小さなこだわりで悩むこともないんだろうな、とか思ったりします。
 冒頭がパッとしない感じなのは間違いないです。『幻の女』の書き出しにあこがれて真似したら、全体の雰囲気とちょっとずれてしまった気もします。いまいちつかみが弱いというか、読んだ人がどういう話かつかみづらくなってるのがいけないですね。
 せっかく三人称なのだし、酔っぱらった人を客観的に見れるという立場があるわけですから、確かに有効活用しないのはもったいない。ショートストーリーとはスナイパーの弾丸のごとく速く鋭くショッキングであるべき、と心がけておきます。

>ゆうすけさん
 児童、すなわち幼いこどもを売る機械なわけですから、やっぱりいかがわしさ漂うタイトルですよね。何を売るのか、なぜ売るのか、そういうところを考えていけば、もっと幅広い意味をもたせられたような気もしてきます。自分の中でもあいまいにしたまま締めくくっちゃったから、多少の伏線回収があっても疑問が残る感じになっちゃってますね。
 今になって思い始めるのも遅いですが、その辺まできっちり詰めたうえで、あえて明かさない書き方をする。たとえほのめかす程度であっても、見えてくるものは確かにある。本当は細部まで決まっているから、自然とにじみ出してくる。自分の作った物語の世界に、どこまで入りこめるか自分なりに試してみるのも面白そうだなと思いました。
No.6  ゆうすけ  評価:30点  ■2011-11-13 13:33  ID:YcX9U6OXQFE
PASS 編集 削除
拝読させていただきました。
丁寧で分かりやすい文章で、スムーズに作品世界に入り込めました。
生首少女の恐さも際立っていますね。主人公と一緒になって恐がれましたよ。
タイトルを読んで、ちょっとエロ関係を想像していた所にこれはインパクトありすぎです。いやお恥ずかしい、エロ親父の独り言です。

 隣に座った女の子、実は幼馴染、交通事故でなんらかの後遺症とかあったのかな、高次脳機能障害で情緒不安定とか、容姿が悪くなって劣等感とか。娘に対して虐待、そして殺害、何故殺して埋めたんだろう? 生首少女と主人公が出会う必然性、或いは生首少女が主人公に買ってもらいたい動機を、分かりやすく書いていただけるとより感情移入できると思いました。

児童販売機、このタイトルから話を作る。面白い試みですね。どう考えても変な方向に彷徨しそうです。
No.5  D坂ノボル  評価:40点  ■2011-11-11 20:24  ID:cPQ6sklUjQ.
PASS 編集 削除
おひさしぶりです。
文章が相変わらず綺麗でよどみなく読めました。
美しい文章を書くと、文章の見た目そのものも不思議と整然としてくるものです。
作者様の几帳面さがよく現れていると思いました。
児童販売機という駄洒落の妙味、その絵的なインパクト、しかもそういったアイデアだけの面白さだけに頼らないミステリの味つけ。技巧派だなあ、という印象です。
難を言えば冒頭部の掴みが弱いことでしょうか。
ここで伏線を張り巡らせる必要性はもちろん理解できるし、終盤でのカタルシスはたしかにある。主人公の冴えない雰囲気も、シンパシイを誘うだけのものはあるのですが、やはりそれでも冒頭のインパクトが弱いかなという印象です。伏線を張るという意識が強すぎて読者を引きずり込む仕掛けが疎かになっている。失礼ながらそう思いました。
勝手を言うなら、児童販売機のアイデアをより早く登場させるために、場面展開なしで冒頭から公園を舞台にして始めたほうがテンポよく進んだのではないでしょうか。
主人公にももっと醜く酩酊させて、動きを出す。と、読者は、なぜ主人公はこんなに酔っ払っているんだろう? と興味を抱く。
そうするとコンパの回想の流れがスムーズになるし、のちの夢か現かといったホラー描写にも迫真性が出てくると思います。
お気に触りましたら申し訳ありません。
いろいろ書きましたが、完成度は群を抜いて高いと思います。ただそれだけに冒頭の工夫が惜しいなということです
それでは。
No.4  陣家  評価:30点  ■2011-11-09 02:31  ID:1fwNzkM.QkM
PASS 編集 削除
拝読いたしました。

全編を通しての暗澹とした雰囲気がよかったです。
変にひねりを付けた文体では無いのに、こうした感じを出せるのは引っかかり無く読める文章のなせる業なのだなあとつくづく思いました。
夢とうつつの境目を行き来する主人公の危うさが共感できてとてもよかったです。
ただ怖かったかと聞かれると、自分的にはそれほどでも無かったかもしれません。
生首少女なんですけど、少し前に話題になったハンゲーのイメージが頭をよぎったせいもあるかもしれませんね。
ミステリー要素はそこそこ雰囲気はありました。
そこそこと思ってしまうのは、前回の『愛しの彼はもういない』がインパクトありすぎたせいかもですね。

冒頭を読み返してみて気づくのですが、
>――あんたは全然変わってないんだね。あたしはこんなに変わっちゃったのに。
> 幹事からは金をむしりとられるだけで、冷たくあしらわれた。
この流れで書かれると、これは知人の幹事の台詞と受け取ってしまうんじゃないかと。
わざと、と言うか意図的なものでないような気がしましたもので。
数日前?に自分の手で殺し、死体をばらばらにした実の娘の写真を待ち受け画面にして、合コンでそれを見せるというところからすでに現実離れしているとは思えるのですが…… 

個人的には、生首少女にもう少し活躍してほしかったかな。
幼馴染の女が主人公に対して過去のわだかまりを抱いていたとするならば、敵の敵は味方の理論で、自分自身の遺体発見や、女の逮捕につながるアクションに主人公を誘導する役目を与えてもおもしろかったんじゃないかなと思いました。
まあ、勧善懲悪的な思考だとは思いますけども。

僭越ながら、私からは以上です(真似?)。
No.3  お  評価:30点  ■2011-11-08 16:13  ID:E6J2.hBM/gE
PASS 編集 削除
こんちゃ。
怒濤のスプラッタティックな感じで圧倒されました。
なかなかこれだけの物は巡り会えません。かっこいい。
以下、まぁ、僕の個人的趣味に照らして思ったこと。
一点。シーンにおける文章量があるわりには文章表現としての粘着感があまりなかった感じでした。この辺は作風もあるのですが、僕の好みとしては厭らしい感じでねちねちとしてるほうが好きかな。推理とかアクションよりの書き方で、情感で絡めとうという感じではないかなぁと思いました。まったくの好みです。
二点。猟奇ではあるけどもライトな感じですね。まぁ、流行なのかな。割と受け入れられやすい程度の猟奇。もちろんこういうのもありだけど、個人的には、もっと突き抜けて目を逸らすほどのぐちゅぐちゅの猟奇も良いのになと思いました。
そんなかんじすかねぇ。
No.2  Phys  評価:40点  ■2011-11-06 21:06  ID:IkWWqGHDZ4A
PASS 編集 削除
拝読しました。

前作の「愛しの彼はもういない」を以前読ませて頂き、一度は感想を書こうと
思っていたのですが、作品の内容から本格ミステリにお詳しい書き手さんなの
だろうと想像していたので、稚拙なコメントを残すことに腰が引けてしまって
いました。

このところ、稚筆であっても勇気を出して感じたことを伝えたいと思うように
なったので、以下に感想を書かせてください。

タイトルを見て、怖いもの見たさに読みました。(本当は怖いのあんまり得意
じゃないんですけど……)読み始めると、その巧みな叙述と展開のスピードに
惹き付けられ、一気に読了しました。上質なホラー作品にミステリ的な手法が
自然な形で溶け込んだ秀作だと思います。

>走り続けて火照った身体が、再び芯の奥から冷やされていく
>魔物に取りつかれたような低い悲鳴
>口内がじかに外の空気に触れ、徐々に水分を失って乾き始めていたが、それにも気づかない様子
こういった、こまかな描写や比喩の技術が語りを引き立てていて、物語全体を
不気味にしていたように思います。文章そのものの上手さはもちろんですが、
緊張感を維持しながら、読み手を牽引する叙述力が素晴らしいと感じました。
そのぶん、私には児童販売機の描写がすごく怖かったです。

疑問に思うところ、についてですが、最終的な解決を納得させるだけの描写が
きちんと用意されていましたし、最後のニュース報道にも後出しという印象は
受けませんでした。ただ、自販機を見上げた場面で、
>そこには小学校低学年くらいの、少女の生首があった。
>あまりに意外なものを見て、彼は目をぱちぱちさせた。
はっきり「生首」だと認識しているのに意外と落ち着いているのは、少しだけ
違和感がありました。逃げてよ主人公さん!とか脳内で叫んじゃいました。笑

でも、クモ膜下出血寸前の状態ですし、冷静な思考なんてできないのかもしれ
ないですね。展開からして仕方ないとも思うので、一読者の単なる印象として
聞き流してくださいませ。

私の中で、ホラーとミステリは、いずれも奇妙さを演出しながら結末へと収束
していくという点では同質のものだと捉えています。その解決が合理的である
ならばミステリ、情感に訴えて超自然的な納得を得るならホラーなのでは、と
いう考えです。

その点、本作はホラーとして読めば十分納得を得られました。ただ、ミステリ
として言えば、ラトリーさんクラスの書き手さんならまだまだ詰められるのでは
ないかと思いました。
(私自身の実力が遥かに及ばないことは棚上げさせてください。汗)

いずれにしても、総じて質の高い短編作品だと感じました。同窓生の女の子が
お子さんを遺棄したという伏線がもう少し明確に張られていれば、より結末の
迫力も増すのでは、と思います。

ミステリ短編大好きなので、次回作も楽しみにしています。
また、読ませてください。
No.1  水樹  評価:40点  ■2011-11-06 18:27  ID:r/5q0G/D.uk
PASS 編集 削除
ラトリー様、読ませていただきました。
書いてみたいタイトルがあるって良いですね。
このタイトルだけで色んな事を想像しました。
中盤の、ホラーな描写に思わずにんまりしてしまいました。これを待ってたと言っても良いぐらいの気持ち悪さが素敵です。期待を裏切らない自販機が素晴しかったです。
複線の回収も、ちょっと強引かなと思ったのですが、ホラーとして最後の余韻が心地いいですね。
感想だけで特にはないのですが、一人称だったら、雰囲気が少し変わるのかなと、思ったりしました。
総レス数 7  合計 210

お名前(必須)
E-Mail(任意)
メッセージ
評価(必須)       削除用パス    Cookie 



<<戻る
感想管理PASSWORD
作品編集PASSWORD   編集 削除