じゆうなせかひ
「何してるの?」
「――答えが欲しい?」
「まあ答えるかどうかはお兄さんの自由だけどさ」
「首を吊る木を選んでいるんだ。なるべく丈夫で、ちょうどいい高さに枝がついているのがいい」
「面白そう。私も手伝うよ」

 ※

 一人の若い男と一人の少女が、繁華街の大通りを並んで歩いている。人は沢山歩いているのに、言葉を発しているのはこの二人だけであった。それを除けば、アーケードのタイルを打つ靴の音だけが冬の凍てついた空気を振動させていた。
 少女は手ぶらで、男は大きなリュックを背負っていた。ロープと踏み台が入っているんだ、と男は問われて答えた。
「ね、じゃあなんでわざわざこんなところで死ぬの?」
「いけない?」
「いや、それはもちろんお兄さんの自由だけど」
 男は少し淋しげに笑ってみせ、何も答えずに銀杏並木の検分に戻った。質問に答えなかったことの代わりのつもりなのか、男は別の話題の種を提供した。
「君こそ、今日は何の用でここにいるの?」
「学校のない日は学生は遊ぶものだよ」
「その――友達とかは?」
「何それ」
 その言葉を聞くと、少女は途端に声を尖らせた。
「要らないよ、そんなの。皆そう思ってる。無駄な気遣いを強要されたり、足を引っ張り合ったり、邪魔なだけ。一人の方がよっぽどいい。……大体、他人にすがるのは弱い人間のすることだよ」
「そうかな?」
「そうだよ。お兄さんたちの旧い世代がどうかは知らないけど」
 男は特に何かを言い返すことはしなかった。
 しばらくの間、二人は言葉を交わさなかった。少女は気分を損ねた様子で視線を軽く落としていたが、その目に物哀しげな色が、ほんの僅かだけ射した。
「ねえ、どうして死ぬの?」
「たぶん、この世界と合わないからさ」
「分からないよ。みんな自由なのに。不満を持つ人なんて出るはずがないのに。そうでしょう?」
「その質問をそのまま返そうか。君はどう思ってる?」
 少女は一瞬戸惑うような素振りを見せたが、すぐに答えた。声は少しだけ上ずっていたが、言葉は流れるように口から出てきた。
「満足してるよ。決まってるじゃない。『絶対律令』は、誰もが認める真理なんだから。その下で私たちの自由は完全に保障されてる。それも全国民に平等に、均等に。旧体制の民主主義なんかとはわけが違う。絶対律令は、人類の至高の到達点。不満が出るのなら、その人たちがおかしいんだよ……悪いけど」
 男はしばらく黙った。そして笑った。
「そう教わった? 満点の回答だね」
 少女は呆気に取られた様子で目を見開いた。
「……ちょっと、なんで笑ってるの? 馬鹿にしてるの? ねえ! 私、なんか間違ったこと言った?」
 張り上げた声は静まり返った街に響き渡ったが、周りの人間は誰も気に止めることなく、すれ違い、あるいは抜き去っていく。無数の足音が少女の叫びを無関心のもとに踏みにじった。
「分からない」
 男はゆっくりと首を振った。
「分からないよ。僕が言えるのは、絶対律令制を受け入れた人間に絶望したということだけ」
 二人はしばらく黙ったまま歩いた。男は銀杏並木を、少女は最近急速に成長を始めていた銃器街を眺めていた。絶対律令を遵守する政府は、権力の手の届かない範囲での個々の自由、それは生死の選択の自由も含む、の侵害を防ぐために銃火器の携帯を推奨している。両親に連れられて、十代前半の少年がショーウィンドウに並ぶ、黒光りする殺人機械に目を輝かせていた。誕生日プレゼントらしい。
 ずっと考え込んでいたようだが、やがて寒さに震えるような声で彼女は問うた。
「……まさかそんな理由で自殺を?」
 男は微笑んで答えなかった。そして、足を止めた。
「あの木が良さそうだ」

 ※

 男は踏み台を土の上に置き、その上に立ち、器用にロープを太めの枝に結び付け、輪を作った。そしてそれを首に掛けた。
 目前を右から左へ、左から右へと流れる人の群れの何割かはそれに見向きもせず通り過ぎ、残りは見向いても、やはり通り過ぎた。
「誰も……止めやしないよ」
 少女は見上げて、ぽつりと言った。
「ああ、分かってる」
 男は見下ろし、にっこりと笑った。
「言い残した、ことは?」
「無いよ。聞き残したことは?」
 少女は一瞬だけ口を開いてから、出ようとした言葉を押し込むように首を振った。
「……ああ、言い残したことが一つだけあったよ。楽しい最期の一時をありがとう。どうか元気で」
 男は片手を差し出した。少女は少し戸惑ってから、その手を握り返した。男が満足そうに微笑み、手を引こうとした。が、少女はそれを離さなかった。
「温かい――」
 少女は消え入るような声で言った。
「まあ、まだ生きてるからね」
「死んだら、冷たくなっちゃう?」
 男は困ったように笑った。
 二人の間に沈黙が訪れた。思いつめた様子で俯く少女を、男は優しい表情で黙って見下ろしていた。少女は深く息をついた。
「ねえ……私、誰かの手に触るの、初めて」
「これからいくらでも機会はあるよ」
「お兄さんは分かってない。こんな世界じゃ、誰もが自分の自由を守ることに躍起で、何をするにも相手の自由を奪うんじゃないかとびくびくしてるような、こんな世界じゃ、そんな機会二度と訪れない。……私も気付いちゃったんだ。今ここにいる人で、正気なのは、あなただけ」
 男は神妙な顔で黙っていたが、やがて空いていた手を少女の頭に置き、軽く撫でた。
「正気かどうかは分からないし、今となってはもうどっちでもいい。さ、手伝ってくれてありがとう。君はもう帰るといい。僕の死に顔はあまり見てくれのいいものにはならないだろうから――」
「帰ったって……誰もいないよ。お父さんもお母さんも、絶対律令制定反対のデモ隊と軍との衝突に巻き込まれて、死んじゃった」
 少女の涙に濡れ始めた声に、男は刹那驚いてから、とても哀しそうな顔をした。
「ごめん。ごめんね……」
「お兄さんのせいじゃないよ」
 少女は微かに首を振り、男に静かに、不器用な仕草で抱き付いた。涙でほとんど聞き取れないか細い声で、彼女は訴えかけた。
「お願い――行かないで。ねえ、もう一人にしないで。自殺なんか……しないで」
 男は戸惑うような様子を見せて、しばらくの間黙っていた。が、やがて長い息をついた。ふっと吹っ切れたような表情で何かを言い出そうとしたその時――
 重い銃声。続いてびちゃり、という液体音。
 男の着ていたシャツが瞬く間に紅に染まり、男は茫然と立ち尽くす。 少女の体がずるりと男の足を伝って崩れ、そこから横に倒れる。小さな体は軽く痙攣し、一面に血の海が広がっていく。
 頭を撃ち抜かれていた。 開ききった瞳孔が冬の空を見上げている。
 男は何も言わずに、眼前に目を戻した。彼女の頭だけを狙い撃てるぎりぎりの角度に、片手で拳銃を構えている人影があった。他の者は写真撮影の邪魔をしないように、という程度の無関心さで道を開け、彼の後ろを通っていく。
 灰色のコートを着た殺人者は事務的な歩調で男に歩み寄り、拳銃を腰のホルスターにしまった。銃は白い大型の回転式。襟には天秤を象った紋章。
 殺人者は『審官』であった。常時巡回をしており、絶対律令に則り治安を維持するのが職務である。
「怪我はありませんか」
「……ええ」
「それは良かった。シャツを汚してしまい申し訳ありません。署の方に申請して頂ければ同種の物を無償で用意します」
「そんなことは――」
「では失礼」
「ちょっと、待って下さい」
「何か?」
 審官の声はあくまで機械的で、炎天下の砂場のようにかさかさな男の声を嘲笑うかのようであった。
「なぜ、撃ったんですか」
「絶対律令の『均衡回復の原則』を適用しました。甲が乙の自由を侵害せしめん言動あるいは行動に出たとき、甲は乙の侵害された、あるいはその脅威に脅かされた 自由と同等の自由の剥奪によって罰せられる。即ち『被害者』であるあなたの生死の決定の自由を侵害せんとした『加害者』はそれの剥奪をもってのみ――」
「もういい! もうやめてくれ!」
 男が感極まった風に叫ぶと、審官は片方の眉を上げて黙った。
「僕は……僕は自殺をやめるつもりだったんだ。自由は損害されていない!」
「失礼ながらあなたは『翻意表明の原則』を把握しきれていないようだ。意思の変更を証明するためには、自由の侵害の疑いのある行為の発生から十秒以内にそれを表明し、その後に、その意思の変更が外的要因による誘導あるいは強制を経ない純粋な自由意思によるものであったことの証言、あるいは証拠の提出が必要となります。私は十秒以内の明確な翻意が確認出来なかったために均衡回復の原則を執行したまでです」
 男は弱々しく首を振った。
「……馬鹿げているとは思わないのか?」
「答えるまでもないとは思いますが。絶対律令は人類の至高の到達点です。まさか、あなたは同意見でないとでも?」
 審官は、真っ黒な瞳を男に向けた。
 男は唇を噛み締め、少女の屍を見下ろした。見下ろしたまま、視線を動かさなかった。 男は答えた。
「ええ、一つの到達点ではありますね――最悪の」
 男が最後の言葉を吐き捨てるように言うのと審官が無表情で銃を抜くのとはほぼ同時だったが、銃が構えられるのとほぼ同時に、ぼきりという硬質な音が不愉快に響いていた。
 踏み台から飛び降りた反動で首の骨を折り、男は整った顔を人外の様相に歪めて枝からぶら下がっていた。その衝撃で黄色い銀杏の葉が何枚か、ひらひらと落ちた。
 審官は二つの肉体に脈がないのを確かめると、何ごともなかったかのように再び人込みの中に紛れ、携帯端末でどこかに簡易な報告をしながらその姿を消した。
 誰も立ち止まらない、誰も目を向けない中、少女の死体は血と脳漿で繁華街のタイルを赤黒く染めた。人々は電車の床の吐瀉物に対してそうするように無関心にそれを避けて通った。
 それを見下ろしながら、男の死体は揺れている。ゆらりゆらりと、揺れている。
lapse
2011年04月13日(水) 01時46分28秒 公開
■この作品の著作権はlapseさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 お久しぶり、の方はほとんどいないでしょう。初めまして。lapseと申します。いまは他では別のHNを使っているのですが、こちらでは数年前同様に名乗らせていただきます。
 ちょうど一年前に書いたものです。
 法律の最高の形ってなんだろう、と思ったとき、自分がいままで持っていた考えを突き詰めようとしたら大変なことになってしまいました。
 本命の長編を書く傍ら、こういう系統の作品をちょくちょく投稿させていただく所存です。
 どうかよろしくお願いします。

 ご批評、ご感想お待ちしております。成長したいので、辛口でも何でも、素直なお考えをお聞かせ下さい。

4/13
 投稿してすぐに、どうしても数か所、句読点で修正しておきたかったところが見つかってしまったので、そこだけ訂正させていただきました。紛らわしくてすみません。内容は一切変わっていません。

この作品の感想をお寄せください。
No.9  RYO  評価:30点  ■2011-07-05 22:16  ID:mVB2W5iH1XQ
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覚えてますでしょうか?
お久しぶりのRYOが拝読させてもらいました。

lapseさんの作品がこうして読めたことが、なによりもうれしいです。

人間が機械的に法律に従うはずもなく、また機械的に法を執行できるはずもなく、でも法に人は守れているというある種の矛盾を読者に突きつけながらも、作品ではそこが機械的に行われているところに面白さがあったように思います。

さて、設定が前に出て、世界観がやや足りなかったように思います。
いや、もっと世界観がほしかったというのが、正しいかな。
この短い作品で自由とは何か考えさせられただけに、そこがもっとほしいわけです。ワンアイディアで終わってしまった印象もあって、もったいなくも思います。くっとひきつけられた分、もっと深いところにつれて行ってほしかった。

最後に、自由とは、自らの理由で生きること、という言葉をふと思い出しました。
ではまた楽しみにしています。
No.8  お  評価:40点  ■2011-06-18 19:34  ID:E6J2.hBM/gE
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あ。これ好きかも。
そんなこんなで、こんちわ。
僕はこのラストが好きかな。あんまりひねくり返すよりは。
冒頭はない方が良かったと思う。むしろ出だし、もう少し読み手を惹き付ける文章が欲しかったかな、僕は。
そんなことで。
No.7  ゆうすけ  評価:30点  ■2011-04-30 15:36  ID:KDK/MQZX1DE
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拝読させていただきました。
絶対律令の概念が面白いですね。究極的に個人の自由を保障するわけですね。
ですが各々が勝手な事をしたら他者の自由を侵害しそうですし、ややリアリティがないようにも感じました。
主人公が自殺する動機は、おかしい世界を容認する民衆への失望ですか。これはわかりましたが、もっと熱く語って欲しかったです。個人的な動機など、泥臭さが欲しいと思いました。
ラスト、後味の悪いような、救いのないような終わり方。心に残るラストだと思います。いい意味ですよ。心にトゲが刺さったようです。心に残らないのでは読んだ意味ないですからね。

 最高の法律、いったいどんな法律なんでしょうね? 新しい概念を盛り込んだ作品をお待ちしております。
No.6  lapse  評価:--点  ■2011-04-19 00:11  ID:Y0BJY4B/pTw
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>G3さん
 そうですね、『絶対律令』の概略は全くもってその通りです。個々の自由は絶対に保障されるべきである、という大原則があって、それを保守するために二つの原則が存在するわけですね。少なくとも建前上は。そんな大事なところが抜けてしまったのも、言い訳になるようですが、実は長編の序章として書き始めたのが最初だったためだったりします。反省です。
 行き着く先がこうであろうとなかろうと、現代に通ずる何かが伝わってくれたのであれば幸甚です。
 あ、そうです! 覚えていて頂けて嬉しいです。こちらこそ、よろしくお願いいたします。お読みいただきありがとうございました。

>陣家
 そうですね、どんな独裁にもお為ごかしの建前というものが存在していると考えております。そしてその化けの皮が剥がれた時にはもうどうしようもなくなっているという……。
 ええ、そうなんですよ! その発想は確かに浮かびました。掌編のギミックとしてならその結末がいいどんでん返しになるとも思ったのですが、もしそうなってしまうと男の自殺の悲劇性が幾分か失われてしまうのかな、と思い、物語の筋としては安易な方向でまとめるに至った次第です。
 でも改めて聴くとそちらの方が面白かったのかもしれない、とも思っています……いずれにせよ、深読みするに至るまで楽しんで頂けたのなら幸いです。ありがとうございました。
No.5  陣家  評価:40点  ■2011-04-18 05:38  ID:ep33ZifLlnE
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拝読させて頂きました
絶対律令制が施行された世界ということですが、少し考えればこれは絶対独裁政権の恐怖政治下の世界ですよね。
少女を銃殺した警官に周りの誰も手出しも抗議もできないことや、絶対律令制反対デモの参加者が発砲を受けて死亡しているなど、個人の自由意志を保証する等というのは全くのお為ごかしの建前で、人々は恐怖政権下におびえて何も言えないという、今現在でも存在する国が現出している世界です。
街角に販売されている銃器も所持できたとしても絶対権力の元ではとても使うことはできず単なる忠誠を誓うシンボルとして扱うしかないでしょう。
そう考えると、ここに登場した少女は反政府レジスタントのエリート工作員であり、首をつるんだと公言して街を徘徊していた男はレジスタントをいぶり出すためのプロパガンダの手先だったという想像もできます。最後にちゃんと首を吊ることで人々の脳裏にさらに深く強烈に“絶対律令制”への従属が刷り込まれるのです。
って深読みしすぎですか?
No.4  G3  評価:30点  ■2011-04-16 13:49  ID:wfVGn00IRSE
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読ませて頂きました。近未来、あるいは別の世界の奇異な法律・習慣を題材にしたものっていろいろあって、そういうもののひとつかなぁと思いながら読みました。『絶対律令』というものがどういうものなのか明確には解らないのですが、他人の自由・考えを絶対に侵害してはならないという事でしょうか? それを侵した者には手加減はしないという。故に人は他者に干渉する事をしなくなった世界。極端ではあるけれども現在の延長線上にあるかも知れない(無いとは思うけど)という事で現在の社会の寂しさみたいなものが出ているかなぁと思いました。
lapseさん、間違っていなければ窓の話しとかの方ですよね? 海外に居た様な気がするのだけど気のせいでしょうか。私も結構久し振りに来ていますが、またよろしくお願いいたします。
No.3  lapse  評価:--点  ■2011-04-15 17:03  ID:Y0BJY4B/pTw
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>zooeyさん
 気に入っていただけたようで何よりです。この先どういう方向に日本社会が進んでいくのかは分かりませんが、一つの極端な末路がこれなのかな、と思ったりしながら書きました。
 非現実の中でこそ明瞭に描ける現実があると僕は信じていて、それを描きたいと思って書いているだけに、それが伝わってくれたのなら嬉しいです。
 そうですね……確かにそこは意見の分かれるところかもしれません。ただもうこうなってはどうしようもない、そうなる前に何とかしないといけないんだろうな、と思っているのですが、その考えがこのような結末を必然なものとしてしまったのだと思います。
 読んで頂き、ありがとうございました。

>らいとさん
 確かに絶対律令に関するところは、自分でも読み返してみると説明が万全ではないように思えます。そのせいで伝えたかったことが伝わりきらなかったのだとしたら、残念ですし、書き手としても不充分な点があったのだろうな、とも思いました。
 的確で参考になるご意見、ありがとうございました。
No.2  らいと  評価:20点  ■2011-04-14 22:55  ID:iLigrRL.6KM
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拝読させていただきました。
一読しただけですが、絶対律令なるものがなんなのかよくわかりませんでした。
なので、なぜ主人公が自殺したがっているのかよくわかりませんでした。
拙い感想ですみません。
No.1  zooey  評価:50点  ■2011-04-14 03:53  ID:qEFXZgFwvsc
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初めまして、読ませていただきました。
とても良かったです。なので、辛口に書けそうにないですが(スイマセン)。。。

近未来(?)をアイロニカルに描いた作品は、考えさえられるものが多くて
この作品も、とても深くて読者に訴えかけるものがあると思いました。
同じように近未来を描いた作品で、昔学校の教科書に載ってた『素顔同盟』という話を思い出しました。

画一的だったり、利己的だったり、偽善的だったりする社会を間接的に、辛辣に表現されていて、お上手だなと。
なんかこう、フィクションという箱の中に「現実」があるなと思いました。
何が起こっても、他人に対しては無関心な人々も、そういう社会の様子を非常によく表していると思いました。

で、そういう社会から、はみ出した人間は結局阻害されてしまう、
そんなところが、悲しくもよく伝わってきました。
これも、画一的な社会の中で自由に生きようとすると阻害されちゃうことを示しているようでした。

でも、これは批評とかではなく、本当に個人的な感想になってしまうんですが、
ラストにそういう社会の中にも、小さい希望というかそういうものがあると、救われるなぁと。
遠くに小さな希望が見えるというか、暗に示されると、そういう社会に屈服させられないでいられる気がするので。
でも、好みによるところなんだと思います。

とても良い作品でした。ありがとうございます<(_ _)>
総レス数 9  合計 240

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