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RSSフィード [27] 新歓と書いて、三語と読め
   
日時: 2011/06/04 23:42
名前: RYO ID:Yn.2vmho

「竹林」「雨」「二号」
以上の三つのお題を使って、小説を書いてください。
締め切りは、6/5 1時(6/4 25時)とします。

メンテ

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Re: 新歓と書いて、三語と読め ( No.1 )
   
日時: 2011/06/05 00:40
名前: 白熊 ID:EaPT1.Ws

 竹林にぽつぽつと雨が降る。
 和傘を差して、着物姿の小梅はバス亭に佇んでいる。
 待つこと長く、雨音と揺れる竹林のざわめきだけが心に響く。
 小梅はざぁざぁという音が心地よく、不思議と待ち続けることは嫌いでない。
 バスがやってきて、ヘッドライトが無感動な小梅の表情を照らす。
 一人の学徒服の美少年が降りてくる。
 バスがゆっくりと、泥の跳ねないように去ってゆく。

「お待たせ、悪かったね、出迎えなんてさせて」
「いえ松風様、だって……」
 小梅は、松風と呼ばれた学徒に寄り添い、傘のうちに招き入れる。
 そして接吻を、唇にする。ちょっとだけ、背伸びして。
 松風は思わず驚きあとずさって、小雨に濡れる。
「小梅、いきなりなにを」
「ずっと会えないことが寂しくて、つい……我慢できなくて」
「……すまない、小梅。まずは家に案内してくれ」
「はい、松風さま」
 小梅は傘を松風に預けると、その隣に寄り添い、自宅へと雨にぬかるんだ道を歩んだ。

 衣服を囲炉裏で乾かしつつ、お茶を炒れる。古い民家に住んでいる小梅はその生活に不自由を感じつつ、適応している。
「松風さま、お茶どうぞ」
「ああ、あたたまる、かたじけない」
 小梅も胡座に正座すると、囲炉裏を挟んでふたりはゆっくりとくつろぐ。
「あの、竹美さんとは仲良くやってらっしゃいますか」
「ああ、おかげさまでね。本当は魔法使いの家系を残すための血統優先の縁組、お互い顔を会わせて三日で結納をあげたわりに、落ち着いたものだよ。竹美は……僕の妻にはもったいないくらい良い子だよ。才能もあり、血筋もよく、気立ても良い。半年経つけれど未だに、愛しきれてはいないけれどね」
「存分に愛されても、いいんですよ」
「僕は甲斐性なしでね、割り切れないんだ」
「遠慮なさらずに。私は……二号ですから」
「小梅、僕は君のことを一番愛している。だけど、竹美のことを少しずつ、愛し始めてもいる。いつか君より彼女が大切になる日が訪れることを恐れているんだ。こんな男に、どうして尽くせる」
「私は……あなたと出会った時から、そして恋した時から覚悟はできていました。分家の生まれで、魔法の血統も近く、血を遺すに相応しくないことは分かっていましたから。それに家が近くなければ、幼馴染として幼少を過ごすことはできませんでした。あなたが化生を怖がって厠にもいけなかったことなんて、竹美さんは知りませんし、私には私だけのあなたが居るんです」
「む、昔のことだ! 」
 松風は思わず頬を染め、茶の湯が勢いで少々こぼれた。
 その後も昔のことをすこしだけ語り合って、談笑をつづけた。せつなく侘しく、甘くほろ苦い一時を。
「……小梅、それで化生はどこに化けて出た」
「はい、あの竹林の奥深くにある古屋を根城にしています」
「雨が上がったら仕掛ける、支度を済ませよう」
 松風は囲炉裏を立ち、障子を開くが、小雨はいつまでも止む気配がない。
 陰のある声で、小梅がつぶやく。
「雨は……もうしばらく止みませんよ」
「……魔法を使ったのか」
「もうすこしだけ、あなたと一緒に居たくて」
「……いたちごっこだ。同じ水の魔法の遣い手で、そして本家の僕の手に掛かれば、こんな魔法はすぐにおしまいだ」
「……私はいつまでたっても、あなたにとっては魔法を使えるだけの少女ですか」
「ああ、魔法使いの僕に言わせればね。専門家とはいえない。けど――」
 手を天にかざして、松風は雨天に問いかける。
「まさか、はじめっからこの雨は君が降らせていたとはね」
「だって――あなたと相合傘をしたかったから」
 小梅は松風のそばに寄り添い、天に手をかざす。
 不思議な光と共に、雨が止んでいく。
「いきましょう」
「いいのか」
「せめて化生を早く倒して……今夜はふたりでゆっくりとしたいですから」
 小梅は和傘を手にすると、水溜りの点在する庭へ出でる。
 和傘を開くと、その内側には魔法の文様が幾重にも刻まれている。小梅が杖の代わりにしている得物なのだ。
「雨はなくても、日傘にはなりますから、相合傘もまだできますし、だから」
 小梅はくいくいと、晴れ渡るようなはにかみ笑顔を浮かべて、手招きする。
「松っちゃん、昔みたいに手ぇつないでいこ! 」

                   -fin-

メンテ
Re: 新歓と書いて、三語と読め ( No.2 )
   
日時: 2011/06/05 01:17
名前: 二号 ID:E0o49xvo

「話しがあるんだけど、いいか?」
 その日、竹林が雨宮の部屋を訪ねてきたのは夜の十一時を過ぎてからだった。
「かまわないけど、何も無いよ」雨宮の部屋の冷蔵庫には何も入っていない。「お茶もコーヒーも無い」
「ビールとつまみなら買ってきた」
「いいね、それは」
「それで、何の話?」
「その前に、乾杯しよう」

 二人で缶ビールのふたを開け、飲み口をぶつけ合う。

「それで、何の話?」
「少し言いづらいことなんだけどな」
 竹林は言葉を濁した。

 雨宮と竹林は、大学の教養課程のクラスで出会い、友人になった。
 竹林は人懐っこく、大柄で、雨宮の目には彼はどこのグループに入ってもリーダーシップを取れるような男に映った。雨宮そんな男がなぜ自分のような男に声をかけてきたのだろうかと不思議に思ったが、出会ったその日のうちに竹林に半ば強引に昼食に誘われ、いつの間にか竹林に心を許すようになっていた。

 そして、そこで二人はもう一人の友人を作ることになる。彼女も二人と共に同じクラスを受講していて、名前をと言った。
 彼女を一目見たとき、雨宮はかわいらしい女だと思った。
 竹林は雨宮を連れて彼女に声をかけた。いつものように人懐っこい笑みを顔に浮かべながら、これから一緒に昼食を食べないのかと誘った。
 彼女は少し迷っている間に、竹林はもう彼女をつれて教室の外に向け歩き出していた。


 そんな風にして三人は中のよいグループを作り、少しずつ確実に親密になっていく。

 時折、雨宮は言いようの無い不安に襲われる。 
 俺たちはいままで三人でやってきた。中々上手いことやってきたはずだ。しかし、三人という組み合わせは果たして正しかったのだろうか? 三と言う数は割り切れない数だ。初めは気にならなかったその数が、そのうちに大きな違和感として雨宮の中で存在感を大きくしていく。二人の男に一人の女。おまけに彼女は魅力的だ。そして竹林も何処か人をひきつけるような魅力がある。
 二人の美しい個性を持った男女と、平凡な一人の男。三人の中心は竹林で、俺はそれを後ろから追いかける存在だ。一号とできの悪い二号。この関係が崩れ去るとしたら、それは多分、俺が割り算の中のあまりになると言うことだ。
 三人という組み合わせは果たして正しかったのだろうか? 俺は、いつかこの関係が崩れ去ることを覚悟しなくてはいけないのではないだろう。それはきっとできるだけ早いほうがいい。今のうちに、なるべく傷の大きくならないうちに、自分の中で何かの区切りをつけなくてはならない。恐らく、二人と親しくなればなるほどに、俺は手痛い傷を負うことになるのだろう。
 しかし、それが果たして友人に対しての正しい接し方なのだろうか。あまり深入りをしないように付き合っていく関係の中で、果たして正しい関係性、つまり友情のようなものがはぐくんでいけるのだろうか。
 そして仮に俺が二人と距離を置こうとしたとしても、竹林はたやすくその隔たりを飛び越え、いつものように俺のすぐ近くに入り込んでくるのだろう。いつものように人懐っこい笑みをたたえたまま。俺は、彼女の魅力と共に、竹林の中にある種の輝きのようなものにも惹かれているのだろう。まるで光に群がる虫の本能のように、抗いがたい力で。
 必要なのは、あるべき距離感だ。少なくとも、彼女に対しては。
 しかし、もう手遅れなのではないないだろうか。


 竹林は一息にコップを空にした後に、口を開く。
「俺は明日、彼女に告白をする」
 雨宮はその言葉を聞きながら、ついに来るべき時が来たのかと感じた。
「そうか」
 しばらく沈黙が続いた後、竹林が口を開く。
「いいのか?」
「何が?」
 雨宮は竹林の言わんとすることが理解できたが、とっさに気づかないふりをした。
「つまり俺は」竹林は何かを言いかけてやめた。「いや、わからないのならいい」
「きっとうまくいく」
 雨宮は言った。


 竹林が帰った後で、やはりこれが結末なのかと雨宮はため息をついた。何処かでそれについて深く考えないようにしてはいたが、やはりこうなった。
 やはり俺は、距離感を間違えてしまったのだろう。




 すいません。途中と続きが描ききれませんでした。これが洗礼ですね。ぐわー。

メンテ
Re: 新歓と書いて、三語と読め ( No.3 )
   
日時: 2011/06/05 01:29
名前: RYO ID:LRtNGENE

「森と林の違いって知ってるか?」
「森のほうが木がたくさん生えてて、林のほうが少ないんだろう」
「ふっ」
「なんだ、その勝ち誇った顔は?」
「ふっ」
「だからなんだよ」
「これだから、素人は困る」
「なんだよ」
「まず林の語源を知ってるか?」
「語源?」
「そうだ。『はやし』と十回言ってみろ」
「十回? ピザじゃあるまいし」
「とにかく言えよ」
「わかったよ。はやし、はやし、はやし、はやし」
「遅い。もっと早く」
「はやしはやしはやしはやしはやしはやしはやし」
「で、なにか、わかったか?」
「いや、なにも。疲れただけだ」
「ふっ」
「なんなんだよ!」
「やはりな」
「やはり?」
「ふっ」
「もったいぶるなよ」
「いや、十回言えば分かるかもしれんと思ったけど、やはり無理だったな」
「とりあえず殴っていいか?」
「まぁ落ち着け。林の語源ってのはな、他動詞で植物とかを『生やす』なわけだ。それを名詞化させて、『生やし』になったわけだよ」
「おお。なるほど」
「この意味が分かるか?」
「いんや」
「ふぅ」
「なんだ、そのため息は。そんなに俺にうんちくを語るのは疲れるか?」
「疲れる。いいか、植物を『生やす』のは誰だよ?」
「えっと、人か?」
「そうだよ。つまり、林っては、人が『生やし』たから、『林』なんだよ。人の手が入っているってことなのさ」
「おお」
「ここまで説明しないと、分からないお前に、驚きだよ」
「るせっ」
「まったく。この定義でいくと、この日本にどれだけ森が残っているのか?」
「ほとんどないだろうな。実家の裏山さえ、林だな。言葉はあれど、本物の森はずいぶんとなくなったわけだ」
「違う。俺がいいたいのはそんなことじゃない」
「はぁ?」
「ふっ」
「いい加減、その俺をさげすむような目をやめい」
「ふっ」
「だから――」
「いいか。森があって、林があって、じゃあ、『竹林』はどうなるんだ?」
「竹林?」
「そう竹林だ。なんで林がつく?」
「いや、どうでもよくね?」
「竹林とは人が生やしたものなのか? お前は気にならないのか?」
「ならない」
「では、『竹森』という言葉があっても良いんじゃないか?」
「なくても困らない」
「お前が困るかどうかなど聞いていない」
「じゃ、聞くなよ」
「いや、大事なことだろう」
「そうか? 竹林があるのは、竹の子でも採るために人の手が入るからなんじゃね」
「おお。なるほど。竹の子か。それなら合点がいくな」
「いや、適当に言っただけだ。そこまで納得されると引く」
「つまり、竹森は竹の子のために絶滅し、竹林が生まれたと。そう言いたいわけだな」
「いや――っていうか、絶滅ってなんだよ」
「そうすると、やはりここは」
「竹林でいいんじゃね? 雨に濡れてなかなか風情があるな。春とはいえ、風邪を引きそうだ」
「竹の子を取るから、竹林。これは盲点だった」
「いや、竹の子を取りに来たまでは良かったが、雨に降られたことが盲点だろう。なんで天気予報を確認しなかった?」
「衛星ひまわり二号でも外れることはあるんだろう」
「知らないのか。ひまわりが今何号なのかを」
「しらねーよ。いい加減下りようぜ」
「今日の晩飯は、竹の子づくしだな」
「にしても、お前んちって本当に山を持ってたんな」
「秋は松茸が取れるぞ」
「それは楽しみだな」
「ふっ」
「なんだ、その笑いは。さては俺を呼ばない気か?」
「ふっ」


――――――――――――――――――――――――
ねたが思いつかず、20分くらい。
地の文は書く余裕がなかったので、会話のみにしました。
自虐的に、ふっ。

メンテ
Re: 新歓と書いて、三語と読め ( No.4 )
   
日時: 2011/06/05 03:01
名前: 二号 ID:E0o49xvo

 白熊さん

 会話文だけで二人の関係が理解できるような作りがお上手ですね。小梅と松風は幼馴染で愛人関係にあるのかなと思いました。互いに好きあってはいたのだけれど、家の事情で結婚はできない。魔法や化生でここからどんどん膨らんでいきそうな話ですね。ラストもしっかりと幕が引かれていますね。構成を見習いたいです。

 RYOさん

 二人の掛け合いが上手いですね。笑ってしまいました。二人は雨の降る春の竹林で竹の子狩りをしているんですかね。20分で書かれるというのはすごいです。会話文が不得意なのと、筆が遅いのでうらやましいです。

 自分
 完成させられませんでした。三角関係の話しは前からぼんやりと頭に浮かんでいて、その分構想の時間を節約できたはずなのですが、上手く使いきれませんでした。主に三人の人物造形と、仲良くなっていく過程と彼女の登場場面がかけていません。続きももっと長くしたいです。だめだなあ。

 今回はどうもありがとうございました。また参加させていただきたいです。

メンテ

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