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RSSフィード [150] 即興三語小説 ―今年も終わりってだけさ―
   
日時: 2013/12/01 22:41
名前: RYO ID:YzGCwTH.

「寒波が来ているな」
 彼女はハスキーな声で言った。
「通りにで寒いわけですね。で、これからどうしますか?」
 後輩が続ける。
「これからというは、今からということか? それとも――」
 そこで彼女は言いよどんで、俺を見る。
「どっちでもいいですよ。もう」
 後輩はあきらめ半分でなげやりに言う。
「そうだな--」
 俺は思案する。発表があってずっと思案し続けて、答えはでない。十二月の夜空の下、俺たちがここにいる意味を必死に探して、見つからなくて――
「ぴーぱっぱっぱらっぽ! ぱっぱっぱらっぽ!」
 気が狂った部下は他人の振りしようと、目で合図する。歩く人ごみの目線など、気にしていてはこっちの心が持たない。誰がなんと言おうと「ぴーぱっぱっぱらっぽ! ぱっぱっぱらっぽ!」と、虚空に向かって叫ぶ部下は知らないし、虚空叫ぶ当たりに誰にも迷惑はかからないし、そろそろ警察だって来てくれるだろう。知らない。俺は知らない。誰も知らない。
 何だってこんなことになったのか。残業をやりにやり続けた結果、もうとっくに心なんて壊れていたけれど、かけていたプロジェクトがあった。そう、あった。でも、
「このタイミングはないですよね」
 後輩が言う。社運をかけたはずだった。かけていたはずだった。
「社運をかけた時点で負けたんだよ」
 彼女は吐き捨てる。そう。その通りだ。社運をかけるという意味は、社としてかけたのだから、その社員として、結果はどうであれ全力を尽くすはずだった。そのはずだったにも関わらず、
「社運をかけたプロジェクトは、銀行からの融資が決まった時点で切り捨てられた! このまま引き下がれるか! 倍返しだ!」
 俺は思わず声に出していた。このままやられはしない。忠誠を誓った分は返してもらう。
「先輩!」
「このまま引き下がれるはずがないじゃない!」
 後輩も、彼女もついてきてくれるらしい。
「ぴーぱっぱっぱらっぽ! ぱっぱっぱらっぽ!」
 これは聞かないことにして、これまで蓄えた資金を元に会社を興す決心をここにする。


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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「ハスキー」「寒波」「ぴーぱっぱっぱらっぽ! ぱっぱっぱらっぽ!」
▲縛り:なし
▲任意お題:「マタタビ」「ホットミルク」
▲投稿締切:12/8(日)23:59まで 
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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メンテ

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Re: 即興三語小説 ―今年も終わりってだけさ― ( No.1 )
   
日時: 2013/12/02 16:25
名前: マルメガネ ID:8JhQYwJk

山小屋にて

ラジオが気象情報を告げる。
それによると、強烈な寒波が押し寄せてくる、ということだった。
冬支度は半ばほどでまだ完全にしてはいない。
猫は寒いせいかあまり動きたがらず、いつもなら飛びつく大好物のマタタビで、擬人化すれば、「ぴーぱっぱっぱらっぽ! ぱっぱっぱらっぽ!」と謎の声を発しながらラリっているのだが、マタタビに目もくれず丸まって寝ている。
 寒い木枯らしの吹く外ではハスキーが吠える声がしている。
 雪になるのかな、と思いながら私はホットミルクを一口すすり、薪ストーブに薪を一本放り込んだ。
 しんしんと冷える。山小屋の外にいるハスキーを入れると、バシン、とシイの実がトタン屋根に落ちて音を立てたのに驚いて、猫が起き上がって近づき、犬と一緒になって眠る。
 ほのかに湯気を立てるカップのホットミルクを再び口にした私は、ほっと一息つくと、白い煙のような息が浮かんで消えた。

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