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RSSフィード [127] 即興三語小説 ―今週から残業が多いという理由で業務量が減った―
   
日時: 2013/06/30 23:35
名前: RYO ID:FCI5HhLc

 「青梅」を「ショウバイ」と読む当たりに、自分の国語力の無さを感じるわけで、もしもあっているなら、それそれで誇れるわけでもないあたり、困りものだ。今見ている映画の字幕の「破顔一笑」は多分間違ってない。
 クラスメイトのほとんどは、きっと期末テストの真っ最中。オレ一人居なくなったところで、最下位がひとつ順位を上げるに過ぎない。オレはとくに困ることはない。どうせ続きそうもなかった高校生活。――もうラストのこの映画の主演女優と男優がキスをしたところで目を閉じる。ハッピーエンドは映画の中だけだ。こんな映画で泣くやつがいるのか? 隣の席の奴は泣いていた。ハンカチを噛みながら声を押し殺しながら――思わず声が出そうになった。よくよく見れば幼馴染の清美だった。声が出なかったのが奇跡的だった。清美の手がオレの手に触れる。
「まさか、あんたこんな映画見るなんて、思わなかったわよ」
 清美の声にはどこか悔しさがこもっていた。
「なんで、お前がこんなところにいるんだよ」
 小声で清美に耳打つ。清美も小声で返してくる。
「悔しいわ。こんな良い映画をあんたと見るなんて」
 どういう意味だ。たまたま入った映画にそんなに感動している清美のほうこそどうかしている。
「ちゃんと先生たちには謝って上げるから、ちゃんとテストは受けなさいよね」
 映画はエンドロールが流れ始める。
「いいんだよ。俺のことは」
「あんたはよかろうが、うちは良くないのよ。あんたの学費は誰が払っていると思っているの?」
 カチンときたが、まだ感情は抑えられた。別に払って欲しいわけでもない。さっさとオレのことなど――
「気持ちが分かるなんていわない。うちの家の経済を考えろともいわない。私もまだ高校生だし。でも恩を仇を返すようなことはことしないでよ」
 胸に突き刺さる一言だった。それは清美が言ったからではない。
「おじさんの言葉だけどね」
 親父が常々言ってきたことだった。
 親父とお袋が交通事故で逝ったのは、去年のことだった。今日でちょうど一周忌。親戚もなかったオレは昔から親しかった隣の清美の家にやっかいになった。オレの意思とは関係なく。そして、期末テストをサボって俺は映画館にいる。
 分かっている。清美の親父さんたちに気持ちなど。
「お前には分からねーよ」
 俺は席を立った。悔し紛れなのは分かっている。間違っているのはこの俺なのだ。分かっているけど、この気持ちだけはどうしようもない。
「じゃ、私は明日もテスト受けない」
「なっ」
 思わず足が止まる。
「あんたが受けるって言うまで受けない」
 清美がこうなったら、頑固なのはオレが一番知っている。誰よりも知ってる。オレ以外に誰もにもやらないことも知っている。振り返ると清美が立っていた。半泣きだった。
「分かったよ」
 負けると分かっている根競べはやらない。オレは出口に向かって歩き出す。その横に清美が並ぶ。
「よかった。じゃ、これから学校いこうね」
「わかったわかった」
「でも映画よかったよね。もうずっと泣いてた」
「お前は泣き虫だからな」
「もう」
 清美が膨れる。と、そこで気がつく。さっき泣いている思ったのは、この映画であって、別にオレのこととは関係なかったのではないか。
「えへへ」
 清美がうれしそうにオレと並んで歩く。
 清美がオレを追いかけてきていた時点でどうなるかは決まっていた。そう思うと、腑に落ちた。
 他の客と一緒に俺たちは映画館をあとにした。昼下がりの午後、空は晴れていた。

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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「青梅」「破顔一笑」「映画」
▲縛り:なし
▲任意お題:なし
▲投稿締切:7/7(日)23:59まで 
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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Re: 即興三語小説 ―今週から残業が多いという理由で業務量が減った― ( No.1 )
   
日時: 2013/07/05 20:52
名前: ID:uMViUvqs

【牛の碁盤乗り/占星術/世界遺産】
【青梅/破顔一笑/映画】

 友人の一人に千屋というのがいる。高校の同級生で、たまに世間話なんかをすることがある。
 人並み外れた巨体で、厳めしい顔付きの上に口数が少ないとあって、初対面ではまずビビられる。知り合って半年経つ僕をして、のっそり後ろに立たれたら叫び声を上げそうになるくらいだ。その実、心根は柔和で大人しく、むしろ臆病なくらい繊細で、趣味は手芸と乙女チックな一面すらある。あの指で針に糸を通せるのが不思議で仕方がない。
 その千屋が、相談があるからというので、放課後、町で唯一つの銭湯に向かう。
 以前は十に届くほどの銭湯がこの街にもあったらしいのだけど、今ではただ一つここだけが残っている。たたずまいの古さ、その堂々たる風情から町の文化遺産だといわれてもいる。江戸時代から町の人々に慕われている老舗中の老舗なのだそうだ。
 しかしなぜ、相談を聞くのに銭湯なのか。指定したのは僕だ。単にこのすいてる時間に広い風呂でゆったりしたかっただけで、千屋に相談を持ちかけられなくとも今日はそのつもりでいた。まぁ、包み隠さず腹を割って語ろうという意味では適当なのかも知れない。……少しばかり発想がおっさん臭いかも知れないが。
 平日の昼下がり、他の客の姿はまだなく、ゆったりと湯船に浸れて気分が良い。さっと身体を洗い流したところで、家によってから来ると言った千屋が遅れて入ってきた。やっぱ、でかいわ。半ば呆れるように見上げてしまう。当人は運動とかはほとんどしていないと言うけど、まるでラグビー選手のようなガタイをしている。一睨みもすれば泣く子だっけ黙るだろう。それでいながらもじもじと前を隠す仕草など、まるで乙女のようだ。このギャップが悩みの種なんだろうなぁと慮るでもなく想像してしまう。
 実は、さにあらずだったわけだが。
 先のそれは単なる思い込みだと反省はするも、それにしても、恋の悩みごとをボクに持ちかけるのは見当違いも甚だしい。生まれてこの方、ボクは女子にもてたことがない。当然、今だって彼女なんていない。そう言ってやると、
「君は好かれていることに気付いてないんだよ」
 と宣った。バカな、そんなことがあるものか。こちとら、思春期真っ盛りの高校男子だぜ。
「それは僕も同じだけどね」
 そりゃ、そうだ。
「まぁいいや、悩みとやらを言ってみなよ、聞くだけは聞くから。有益なアドバイスなんて期待しないでくれよ」
「実はさ……」
 と語り出した千屋の言うに、
「マヂかよ」
 思わず耳を疑ってしまう。
「僕は仙賀谷茅尋のことが好きなんだ」
「お前、知ってるよね、仙賀谷茅尋って……」
「君の妹だろ」
 よりにもよってボクの妹の名前を、それと知っててしれっと言い切りやがった。
 快活でさばさばとした性格、陸上部に所属していてスポーツ万能、その分勉強の成績はそこそこ。容姿は身内のひいき目を抜きにしても可愛い方だと思う。くりっとした大きな眼がくるくると表情を変え、喜怒哀楽が激しくて、いつも咲ってるか怒ってるか泣いてるかしてる。まぁ、そこそこ自慢の妹だ。本人には口が裂けてもそんなこと言えないけど。
「で、ボクに切欠を作れっていうことなのか」
 いや、だけどなぁ。ボクにそんな器用なことができるわけないだろう。そんなことが出来るくらいなら自分でとっくに好きな娘見付けて告白して彼女作ってる。
「そうじゃないんだ」
「違うのか」
「僕の星占いによると……」
 星占い……【占星術】なんかやるのか。さすが、乙女チック。
「茶化さないで聞いてくれよ」
「ごめん、悪かった」
「牡牛座と乙女座の相性は抜群。でも、そこに障害が立ちはだかり、思いは成就されない」
 なるほど、千屋は牡牛座なのか。外見のイメージそのままだ。
「違うよ、牡牛座は君の妹の方だよ」
 ということは、千屋は乙女座なのか。それはそれで、納得のいかないこともない。
「だいたい、星占いってそういうものじゃないだろう。それに、僕のはともかく妹さんの星座ぐらい覚えときなよ」
「そんなの普通知らないだろ」
「誕生日、知らないのかい」
 あぁ、そういえば知ってるかも。ただ普段思い出すことはないけど。
「それで、ボクにどうしろと?」
「なんとかして欲しい」
「なんとかってなんだよ」
「だからその障害を……」
 何だか分からない障害とやらを僕がどうやって取り除けば良いって言うんだ。だいたいそんなもの、千屋自身が一睨みしたら裸足で逃げていくだろうに。
 やや苛立ち紛れに言ってやると、
「怖いじゃないか」
 と宣った。
「その障害が、お化けとか妖怪とかだったらどうするのさ。怖くて足すくんじゃうよぉ」
 だと。世の中何かおかしい。ていうか、お化けじゃなければ良いのかよ。
「だからさ、協力してよ」
 いや、科を作られても……不気味なだけだし……とは言えないし……。
「分かった」
 と言わなきゃしょうがない。ここで襲われようものなら色んな意味で終わってしまいそうな気がする。
「じゃ、この【世界遺産】である霊峰富士に誓って」
 と背後の壁面に描かれた雄大な山峰を指す。
 いやいや、それ絵だし。
「誓えないって?」
 睨むな。頼むから睨まないでくれ。
「誓います。誓わせて貰います」
 なんてこった。
   *
「兄貴ぃ、いるー?」
 そこに、こともあろうか当の妹自身が闖入して来た。来やがった。
 湯船の中で泡食って身を縮込める男二人。千屋の顔がさっと色を失う。まぁ、好きな女の子がこんな場面に闖入してくるとは、さすがの千屋も想像できまい。
 しかしながら、ここは実は我が家でもある。学校ではなるべく知られないようにしてる。どうせ番台に上がらせろとかつまらないことしか言われないからだ。千屋自身は知っててか知らずか、好きな相手の実家にすでに上がり込んでいたことになるわけだ。ま、こんな情況を望んではいなかっただろうけど。
「こんにちわ、千屋さん」
 と妹の態度は悪びれる気配もない。
「何やってんだ、お前。男湯だぞ」
「分かってるよ、そんなこと」
 確かに、妹の格好は風呂に浸かろうという物ではない。普段着にしてるジャージの上下を着込んだままだ。
「お掃除でーす」
「嘘を吐け」
「わー非道い。実の兄に嘘吐き呼ばわりされた」
 しくしくと泣き真似をするが、そんなもの真似であることは百も承知だ。
「営業時間中に掃除なんかするわけないし、そもそもお前、手ぶらじゃないか」
 てへへーと咲いながらぺろりと舌を出す。これが噂の「てへぺろ」てやつか。思わず全て許してしまいそうになる。なんたる破壊力か。
「入ってるのがボクと千屋だけだから良いようなものの、他のお客がいたらどうするんだ。いくら我が家とはいえ傍若無人は許されないんだぞ」
「ごめんてば、そんなに怒んないでよ。可愛い妹の、ちょっとしたおちゃめじゃない。なんなら、背中流してあげようか」
「いらんわ。て、服を脱ごうとするな、バカ」
「なによ、兄貴のいけずー」
 なぜ、我が家とはいえ銭湯の男湯で妹と掛合いマンザイをしなけりゃならないんだ。
「あたしは本気で兄貴のこと愛してるのに。性的な意味で」
「やめんか」
 どうもこいつは女子としての恥じらいに欠けるところがある。冗談で言ってるうちは良いけど、やれやれ、将来が思いやられるよ。
「仲良いなぁ」
 そんなやり取りをじっとりとした眼で見詰める巨体。すっかり取り残された千屋は僕ら二人を交互に見て、
「僕は根本的な間違いを犯していたことに気付いたよ。どうやら僕は敵に助けを求めていたみたいだ。障害というのは君のことだったんだね」
「ボクらは兄妹だ」
「あたしがこんなにも愛して尽くしてるのに」
「誤解を招くように発言するのはやめろ」
 けたけた咲う妹を横目に睨み、後ろで眼をぎらつかせている巨体をあえて見ないようにしながら、
「そういえば、牡牛座の運勢ってどうなんだ」
 話しを向ける。
「今朝の見立てだったら、牡牛座はまぁまぁ良かったよ」
「へぇ、千屋さんて占い出来るんだ」
「好きなのは星占いだけど、他にも色々するよ」
 で、そこで茅尋と千屋の会話になる。ふむ、少しは千屋の相談に応えたことになるのだろうか。しかし、素っ裸で風呂に浸かる強面の巨躯と、ジャージ姿の可憐の少女がまるでガールズトークのように話しをする光景は、ある意味ものすごいシュールである。
 千屋の少女趣味を聞いたのか、
「ちゃーちゃん可愛い」
 とか茅尋が黄色い声を上げる。それは良いとして、いつの間にか「ちゃーちゃん」になっている。千屋だからちゃーか。似合ってるんだか、似合ってないんだか。
 これで二人が親しくなればめでたしめでたしか。兄としては少し寂しい気もするが……て、言っとくけどボクはシスコンじゃない。ロリコンでもないし。
 さて。いつまでも浸かっていたらのぼせてしまう。茅尋を追い散らし、湯船から上がる。服を着込んで一息吐いた頃、茅尋がひょっこりと番台から顔を覗かせた。
「しまったぁ、もう服着ちゃったんだ。兄貴のヌードが拝めると思ったのに」
 やかましいわ。裸なら、さっき散々見ただろう。
「肝心なところ見てないもん」
「いい加減にしろ、エロ中学生」
 となりで千屋がきゃっとか乙女チックな声をあげたのには、もう、がっくり膝を突きたい脱力感に見舞われた。
 三人並んで腰に手を当て、我が湯の名物である【青梅】ドリンクを呷り呑む。我が湯の女将であるお袋の手作りである。言っとくけど、めちゃめちゃ美味いから。
「ねぇ兄貴、青梅みたいに若い果実を摘み取ってみたいと思わない?」
 と妙にしな垂れてくる茅尋の頭頂にチョップをくれてやる。
 千屋の姿が見えないと思ったら、巨体を小さくして体重計に乗っている。まるで【牛の碁盤乗り】のようだ。口が裂けてもいえないけど。
 茅尋が、新しく貼られたばかりの【映画】のポスターに気付いて、
「今度、三人で行こうよ」
 と宣った。まあ、そういうのも悪くないかも知れない。と千屋を見ると、じろりとこちらを一睨みして、
「負けないから」
 とか男らしいのかそうでないのかわからない宣言をされた。ていうか、その一睨みが怖いって。
「なんか、青春って良いよね」
 茅尋のどうにもピントのずれた発言に、思わず【破顔一笑】。ま、確かに、そんなこんなで関係を築いていくのも悪くないかも知れない。なんとなくそんな気になって、
「そうだな」
 と茅尋の頭をわしわしと撫でてやった。
 やれやれ

†==================†

一度消去したものの再掲です。なるべく時間を短縮しようと書き終えた時点で不要と思える部分もそのまま残したままにしていたのをカットして補正を加えました。前のままよりはまとまり良くなっていると思います。時間はたっぷり掛かってます。
ちなみにお題は二週分です。
なぜ銭湯なのかという問いに関しては、お題を消化するためと白状しておきます。
タイトルを付けるほどの話しではないですが、もし付けるとしたら「僕の妹がそんなに可愛いわけがある!」て感じでしょうかね(笑

メンテ
Re: 即興三語小説 ―今週から残業が多いという理由で業務量が減った― ( No.2 )
   
日時: 2013/07/06 13:19
名前: zooey ID:9Q5u88xc

 映画が始まるのは五時。迎えはその二時間前ということになっている。
 額にかかる前髪から汗が滴り、だら、と頬まで垂れてくるのを感じ、里枝はそれを手の甲で拭う。そうしながら、やっと、ひっつめた頭から幾房もの髪が零れていることに気が付き――腹に虫が蠢くような、ざわ、とした感触が走る。とっさに時計に目をやると、もう二時五十分になろうかという頃だった。その数字がはっきり脳に刻まれると、腹の感触は、ざわわ、ざわわ、と上って来、どろりと溶けて絶望になり、内腑を侵食する。彼女が来るから、と必死で家中を掃除したのに、自分がこれじゃあ、どうしようもない。
「ママー」
 そうこうするうちに、二階から娘の美里の声が響いてくる。続けて、トントントン、という軽やかな足音が、階段を下りてくる。もう支度を整えてしまったのだろう。里枝は、はあ、と息を吐き出し、観念する。
「史也は?」
「知らない。部屋でケータイでも見てんじゃないの?」
「もう、そろそろ時間だっていうのに」
 もっと時間があれば、という自分の感情を棚に上げて彼女は言い、息子の史也の部屋へ向かう。ドアの前まで来ると、開けようとノブに手を掛ける。が、その瞬間、心に、キン、と嫌な音がし、思わず手を引っ込めてしまう。仕方なく、ドア越しに声を掛けた。
「史也、早くしなさい。パパと佐藤さん、もう来ちゃうよ」
 しばしの間。先程心を傷つけた音が、不安となって胸に広がる。時間がじっとりと流れる。しかし、しばらくするとその沈黙を破り、ドアが開く。
「分かってるよ、うっせーな」
 中学二年生の史也は、まさに反抗期の真っ只中にいた。母の里枝が何を言っても、返ってくる言葉は「うるさい」とか「ほっとけよ」とか、そんなものばかり。夫と別居し始めてからはさらにぶっきらぼうになり、ほとんど部屋から出てこなくなってしまった。そんな彼を、夫とその新恋人と共に出掛けさせるなど、里枝には思いもよらなかった。だが、夫は恋人と子供たちを親しくさせたい一心らしい。元モデルで青学出の彼女に、娘の美里はすぐに懐いた。学校の宿題をみてもらいながら、てらてらとした憧れの眼差しを、美しい父の恋人に向けていた。
 史也と共に階段を下りていくと、リビングから美里の大きく張った声がする。
「この間ね、国語の問題で分かんないのがあって、りかちゃんに聞いたの。四字熟語? だっけ、そんなのの問題で、『破顔一笑』っていうのの意味が分かんなかったのね、で聞いたらさ、すぐに、ホント、すぐに、分かったみたいで、教えてくれたんだ。しかもね、分かり易かったんだよ、説明。『破顔』は顔がほころぶことで、『一笑』はちょっと笑うことなんだって。でね、こんな風に似た意味の言葉を重ねたものっていうのが、四字熟語の一つの種類なんだって。すごいよね、先生みたいだったよ、りかちゃん」
 娘が夫の恋人を褒めるのを、そしてりかちゃんという愛称で呼ぶのを聞くと、別居やなにやらで負った傷に直接触れられるよう。胸が疼く。しかし、それに顔を顰めまいとしながら、鞄を肩に掛けようとする美里の姿を捕えて、ママだってそのくらい分かるよ、と口にする。すると、すぐ隣の史也が、
「てかさ、そのくらい誰だって分かるだろ?」
「そうかなあ」美里はやや不満気に眉を下げる。「でもさ、こないだ、お兄ちゃんだって、『青梅市』の読み方、教えてもらってたじゃん」
「そりゃ、そこに住んでりゃ読み方くらい知ってんだろ。自分ちの住所読めなくて、どーすんだよ」
 そんなやり取りをしている間に、インターホンの音が鳴った。
 ああ、来てしまった。
 里枝は息を吸い込むと、声を高くし、
「ほら、迎えに来た。いってらっしゃい」と言って、美里の背中を、ぽん、と叩く。史也にも視線を投げ、彼のそれと重なると、にこりと笑って見せる。そうするより、他にないから。
 美里は、ぱっと顔を輝かせ、玄関へ小走りする。史也は、すっと目を逸らすと、如何にも面倒臭そうに、だらだらと足をずって歩く。里枝も二人の後を追い、玄関へ向かう。
 美里が勢い込んでドアを開けると、ぶつかりそうになった夫が、おお、と零しながら後ろへ体を引いたのが分かる。いきなり一発食らいそうになったにもかかわらず、彼の顔の上では楽しさが踊っているよう。その後ろの恋人も、いましがた彼が食らいかけた攻撃に、飾り気のない声を上げて笑っている。
「ごめんな、もうちょっと早く来るつもりだったんだけど」
「大丈夫よ」
 と笑顔で返しながら、里枝は今の自分に違和感を覚える。
「帰りは十時頃になると思います。夕飯も二人と食べたくて。いいですか?」
 心がナイフで切り付けられた。
 だが、気が付いた時には、ええ、と口から出ていた。そう言うしかないと、意識よりも深いところが分かっているのだ。じゃあ、いってきます、と夫の恋人が、ありがとな、と夫が言い、ドアがぱたりと閉まる。空気の流れが、しん、と止まり、里枝の周囲を静寂が満たす。覚えず、口から溜息が漏れた。――と、
 突然ドアが開いた。入ってきたのは、史也だ。
「ケータイ忘れた」
 短くそう言うと、彼は靴を踏みつけて脱ぎ、どけよ、と里枝を片手で押しやって通ると、足音をさせて部屋に戻っていった。
 再び史也が出ていってから、里枝はぼんやりと空っぽの家を眺める。そういえば、史也にママって呼ばれなくなったな、となんとなく思う。すると――冷たい孤独が蛆虫のように背中を這い上ってきた。夫も娘も取られて、息子からは嫌われている。彼女は一人だった。
 里枝は一人で食事をし、後片付けをし、テレビを観、風呂に入り、そして四人掛けのソファに座った。子供たちがいない、それだけで不思議とこの家は冷たくなる。人肌の温かさが消え、家具は無機質な陶器やガラス、合皮の塊でしかなくなる。偶にいなくなると、人の温かさを思い出し、はっとする。
 二人は十時どころか、十一時近くなるまで戻らなかった。夫から、少し遅くなる、というメールはあったが。帰ってきてから、彼らは慌ただしく寝る支度をし、まともに母と話さないまま床についた。
 翌日、里枝は六時に起き、朝食の準備を始めた。出来上がると、子供たちを起こしに行く。彼らがのろのろと食事を食べ、身支度を整えるのを眺め、偶に、急ぎなさい、と声を掛ける。いつも通りの、朝。
 美里の方が支度が早く、先に出ていった。史也は母のせかす声など聞こえないかのように、だらだらと動く。本当に、もう、そんな風に思いながら、ふと、嫌な考えが脳裏をよぎる。この子はもう、私のものではないのかもしれない。
 史也がやっと出ようかという時、里枝は昨日のことを思い出した。
「忘れ物してない? ケータイとか」
「してねーよ」
 まともに顔も向けずに言いながら、史也は足を靴に掛けると、紐が緩んでいたらしく、床に腰を下ろす。なんだか、妙に手古摺っている。しかし、ある瞬間、彼はすっと手を止め、
「忘れてた」
 そして振り返り、にこりともせずに、こう言った。
「ママのがきれいだ」
 そして、そのまま出ていってしまった。
 ドアがぱたりと閉まる。空気の流れが、しん、と止まり、里枝の周囲を静寂が満たす。覚えず、溜息が漏れた。

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二時間くらいです。
よろしくお願いします。

メンテ
Re: 即興三語小説 ―今週から残業が多いという理由で業務量が減った― ( No.4 )
   
日時: 2013/07/07 22:01
名前: 星野日 ID:vNZHBAe.

「青梅」「破顔一笑」「映画」

『火消し屋さんの告白』

 炎天下に負けて、私はカフェに逃げ込んだ。もう10分ほど我慢して歩けば帰宅もできたのだけど、干からびた身体が看板の青梅ジェラードなるメニューに惹かれてしまったのだ。
 市街地に埋もれるようにして経営しているこのカフェは、いつ来ても数人の客が入っている。閑散としていて入りにくいわけでもなく、混み合っていて息苦しいわけでもない、適度の客入りがこのカフェの魅力の一つだろう。
 カウンター席に座り、水に口をつけた所で近くの咳に座っていた男の顔にドキリとした。一度、依頼を受けたことのある男だ。
 カトウというのが彼の名前だ。記憶にある彼はいつも熱にうなされるような悲壮の表情をしていた。新聞を熱心に読む今の彼に、そんな様子はないが、どこかあの表情を思い出させる。
 私の視線に気がついたカトウと目があった。彼は一瞬思案して、
「どこかでお会いしたことがあいます?」と言った。
「いえ」私は水を口に含む。
「それは失礼」
 カトウが視線を新聞に戻した。
 私は火消し屋という看板を掲げて事務所を出している。仕事の内容を友人に話すと怪しむが、タウンページの七十八ページ目に電話番号も書いてある、正当な仕事だ。

 カトウは一昨年、恋人を殺された。犯人は捕まったが未成年だったため、刑を免れて更生施設に送られた。彼は言った。
「あいつは、彼女がよくいくコンビニの店員でした。私もなんどか顔を見たことがあります」
 事務所で、私と向かい合わせに座ったカトウは拳を握りしめていた。
「毎晩、あの男にどう復讐するかを考えて暮らし、夢で何度も殺し、朝起きてもまたあの男を殺すことを考えてしまう。憎くて憎くて仕方ないんです。あいつが」
「ここは、ご友人のご紹介だそうですね」
「はい」水をゴクリと飲む彼の喉仏が動くのを見て、私の好みの顔つきだなと思った記憶がある。
「犯人を憎むよりも、彼女の死を悼んでやれと言われました」
「そうなってしまうのも仕方ありません。うちに来る方は、多少の違いはあっても、みなさん似たようなものです」
「その気持ちを、消してくれるそうですね。嘘みたいな話ですが、本当なんですか」
「はい」
 実を言うと、カトウの依頼の仕方を私は少し恥じている。
 というのも憎しみを火消すのには、一緒に映画館にいく必要も、食事をする必要もないのに、私はそれをしてしまったからだ。彼の胸に手を当て、目をつぶれば簡単に火消しは出来る。それを定期的に続ければ、すぐに憎しみを忘れさせることができるのに。
 カトウは一途な男だった。彼自身、そんな性質を知って、いずれ真っ直ぐな憎しみが、自分の手を汚させるのではないのかと心配したのだろう。器用な人間は、忘れるなり自分を騙して何とかするものだ。彼は、それができない愚直な男なのだ。私の屈折した性根は、このような男にいつも惹かれてしまう。
 仕事柄恨まれることも多い。結局、カトウにも恨まれた。「あの憎しみの強さが、彼女を想う強さだったんだ。消してしまわなければよかった」と。

 青梅ジェラードを食べ終る頃、店に入ってきた女がカトウに話しかけた。
「トーヤさんおまたせしました」
 真剣そうに新聞を呼んでいたカトウは、破顔一笑して彼女に答える。
「いえ、暑いのに呼んでしまってすみません」
 はにかみ合う彼らを横目で盗み見て、私は首をかしげた。おかしい、私自身のカトウへの気持ちも、しっかりと火消したつもりだったのが。
 彼らが店を出て行ってから、私は胸に手をあてて目をつぶる。
 燻っている部分を見つけて、踏み消した。

メンテ
Re: 即興三語小説 ―今週から残業が多いという理由で業務量が減った― ( No.5 )
   
日時: 2013/07/07 23:04
名前: しん ID:VBFmkCB.

特別な日

 梅雨という時期が嫌いだ。
 空は青くないし、太陽は輝かない。
 今日も空には分厚く黒い雲に覆われて、既に小雨が降っている。
 せっかくの七夕、特別な男女の一年に一度の会合をぶちこわすことないのに。
 日直の仕事がおわり、教室にもどると誰もいない。放課後でそれが当たり前なのに、まるでとりのこされたように胸に不安がうずまく。
 窓際の自分の席から外をのぞくと、やはり今日は織姫と彦星はあえないのだろうと思う。
 許されざる男女が唯一愛し合える機会を阻むのはよくない。
 なんだか切なくなり気力がぬけて、机に突っ伏した。
「かな、おい、どうした」
 しばらくすると、そんな声が教室の外からきこえてきて、聞きなれた声が近づいてくる。
 近づくにつれて、声に危機感まざってきて、嬉しいけれど、無駄に心配させてしまった罪悪感があるので顔をあげた。
「おにいちゃん」
 わたしより一学年上、中学三年生の男子がが何故か二年の教室にくる。別に珍しいことではない。だってわたしは妹なのだから。
「お前、傘わすれただろ」
 抗議の声をあげてみる。
「お前、っていった」
 お兄ちゃんがやれやれという感じで言いなおした。
「かな、傘わすれただろ」
 返事にこまるので黙ってみる。
「ほら、かえるぞ」
 とお兄ちゃんは大人用の黒い傘を掲げてみせる。
「うん」
 お兄ちゃんについていくように下駄箱をでると、お兄ちゃんが傘をひらいて、わたしがよりそう。大きな傘は二人を包むのに充分のおおきさをもっていた。
 二人だけを包むその世界にそれでも満足できなくて、雨が肩にかかるからとお兄ちゃんにひっついた。
 今日はだけは、一緒にいてもいい日だよね。

 おれが高校に入学して、妹のカナがよく憂鬱な表情をしている。今年高校受験なので仕方ないとはおもうだが、どう接していいかわからない。
 今まで小中学校と一緒で、べったりしていたので、それがなくなるとどうすればいいのかわからないのだ。でもおれも妹も兄妹はなれをするべきなのだから丁度いいのかもしれない。
 そう思っていると、むこうから接触してきた。
 おれの部屋にわざわざ、はいってきて。
「おにいちゃん」
「どうした」
 カナは切羽詰ったような、暗い面持ちで俯いている。
 決心がつかずに、二の句をつげれないようだが、何が言いたいのかわからないので助け舟もだすことができずに頭をひねることしかできない。
「え、映画っ」
「映画?」
「……つれてってっ」
 思わず、考えがとまった。
 何故、おれが映画につれていかねばならないのか。
「友達といけばいいだろ」
 普通そうだろう。好きな男といけとはいわないが、中学時代を思えば普通に遊びにいく友達くらいいたのだから。
 当たり前のことをいったつもりだが、なぜかカナはむすっと嫌そうな顔をしている。
 カナは何か定期いれサイズの手帳ををおれに見せた。
 前もってそのページを指でおさえてたのだろう。ページの確認もせずに目の前におしつけてくる。
「おにいちゃん、一緒の中学だったのに、校則もわすれたの?」
 そういわれても、校則なんてそもそも覚えてもいない。
 さしだされた生徒手帳のカナが指をさしているとこを見ると、映画、喫茶店、プール、ゲームセンターなどに行く時は必ず保護者同伴しなければならない。というようなことが書いてあった。
 こんな校則があったなんて知らなかった。中学時代、プールやゲームセンターに友人と一緒にいったことがある。あれは校則違反だったのかと今更知る。こんな校則無視すればいいだろ。とは思ったものの、今から友人を誘うのも面倒だろう。
「なら、行くか」
 そういうと、カナは驚いたような顔をあげ、破顔一笑して。
「用意してくる!」
 と自室へとはしりさった。

 おれたちの住む町には映画館がない。なので電車に乗る。電車では一応狭い席が空いていたので、カナに薦めてやるが、一緒に立っているということだった。電車が揺れるたびにカナの華奢な身体が大きく降られ、おれにあたるので、ささえてやる。
 電車で大体三十分揺られて着く七つ先の駅にはまるで駅がおまけにみえるような大きなショッピングモールがあり、その最上階に映画館がある。
 天気の良い日曜日のせいか、それとも特別な日なのかわからないがショップングモールはよくある休日よりも人が多いようだ。
 人ごみの中はぐれないように、お互い意識しながら進むので意外と時間がかかった。
 昼一の時間帯というのもあって映画館も混んでいたが、無事お目当ての映画のチケットが買えたようだ。
 映画を見たいなんていうから、カナも成長したのだとおもっていが、アニメ映画だった。まだまだカナも子供なのかもしれない。
 上映時間まで少し間があるので、適当な席に座って待つことにした。待合が広くてホールの中央に丸テーブル席があるのだ。
 カナはどこか落ち着きがなく、していて、突然なにかに気付いたように席をたつと。
「ちょっと、まってて」
 とどこかへ走っていった。
 お手洗いなのかと思っていて、気にしなかったのだが、帰ってきたカナの手にはカキ氷が一つ握られていた。
 カナは悪戯小僧のような笑みで「これあげる」とおれの前に置く。
 その笑みから、明らかにこれは何かあるとおもうのだが、なにかはわからない。
 危険なことはしてこないだろうと、カキ氷に手をつける。
 メロンだとおもっていたそれは、明らかにメロンと違う。甘ったるいが、酸味があり、氷の冷たさもあるので、口の中がすっきりする。カキ氷としては初めて食べる味だけど、不味いってわけでもない。
「どう?」
 カナが好奇心いっぱいで尋ねてきた。何の味かわからないが。
「初恋の味がする」
 この甘酸っぱい感じがなんとなくそんな喩えがぴったりのような気がした。
「えっちょうだい」
 カナがおれから、かき氷とスプーンをひったくり、ガツガツ食べて、額をおさえた。
「おにいちゃん、初恋の味ってなに、甘い梅の味しかしないよ」
 そうか、梅だったのか。色合いからすると青梅ということだろう。言われてみると納得である。珍しいかき氷があったので試食させたのだろう。
 カキ氷がなくなる頃に、丁度映画の上演時間が近づき、上映室へとはいっていった。
 アニメなんて、とおもっていたが、ジブリ映画でもないのにこれが結構面白い。
 終わり付近になると、鼻をすする音がきこえたので横を見ると、カナが涙をながしていたので、身体をつついてハンカチをさしのべると、ハンカチを顔元に押し付けていた。
 上映がおわり、客がほとんどはけてもカナは動こうとしなかった。
 仕方ないので、手を引いて外につれだし、カキ氷を食べた席までつれていった。
 通りがかる人々がちらちらみてくる。泣いている女子と困ったようにしているおれ。その絵面が少し恥ずかしかったので、ジュースでも買いにいこうかと席をたつと、カナがおれの袖をひっぱってとめた。
「おにいちゃん、いかないで……山になんて、いかないで」
 それは今見てきたアニメの話だろ、しかも山にいってしまったのは弟だろ、と言いたいがぐずっているカナにそんなことをいえるべくもなかった。
 席にすわりなおし、しばらく様子をみていると、カナは少し静まった。
「おにいちゃんと、同じ高校にいく」
「……うかるならいいんじゃないか」
「……いいの?」
 公立高校だし、反対することもないだろ。
「がんばれよ」
 カナは嬉しそうに頷いて、おれの手を引いて、ショッピングモールを渡り歩いた。
 ディズニーやサンリオのキャラクターショップなど、おれらの町にはないファンシーなアイテムを売っているところがあるので、まわれるだけまわて、帰途につくために電車にのった。
 駅は乗るひともおおいのだが、降りる人も多いため、二人並んですわることができた。
 カナが肩に頭をのせてきたので、見てみると目を閉じてねているようだった。
 去年のことを覚えているだろうか。
 カナが傘をわすれていることに気付いて、大きな傘をもっていってよりそって帰った。何故、あのときおれがカナの分の傘をもっていかずに、一つだけしかもっていかなかったのか。
 カナの寝顔をみながら、青梅のカキ氷の味を思い出した。

 楽しかった。
 お兄ちゃんが高校にはいってから少しよそよそしくなって少し不安だったけど、同じ高校にいっていいって言ってくれて安心した。
 電車の座席にお兄ちゃんと座ると、寝たふりをして、頭をお兄ちゃんの肩にのせた。
 去年のことを覚えているだろうか、相々傘で一緒にかえったことを。
 借りたハンカチをにぎりしめる。あのときと一緒だ。わたしのカバンにはハンカチくらいはいっている。あの時も折りたたみの傘がはいっていたけど、それは秘密。

 ふと気がつくと、二人は終点駅についていた。
 兄妹でささえあってねていたのだ。そして地元の駅を寝過ごして大分いってしまった。
 帰宅がおそくなる旨を家に電話して、ユーターンする電車にのる。地元の駅についたときはもう、あたりは真っ暗だった。
 今年は晴れで空には星がきらめいている。
 二人で夜空をさししめした。
 織姫と彦星は今年は幸せにすごせただろう。

-----------------------------------------------
お題が比較的簡単なので、逆に難しかったです。インスピレーションがわかない。
勝手に自分のなかで七夕(提出最終日が七夕だったので)と妹モノという縛りをくわえました。
ついでにせっかくの七夕モノなので少しわざと遅れて投稿です。
書くのにちょっと時間がかかりました。はかってないのでわかりません。文字数も数えてません。

メンテ
Re: 即興三語小説 ―今週から残業が多いという理由で業務量が減った― ( No.6 )
   
日時: 2013/07/11 18:17
名前: 卯月 燐太郎 ID:WEufP3Cc

●[127] 即興三語小説、感想


―――――――――――――――――――――――

●お、さん読みました。

お笑い系でしたか。
巨体の持ち主の友人が主人公の妹を好きなので取り持ってほしいというお話ですが、巨体に似合わず、乙女チックな友人で、妹と言えば、ちゃきちゃきの性格、そこに来て顔が可愛いので、持てる要素があるが、何かしら主人公こと兄のことを冗談か本気かわからないけれど、好きだとか言っている。主人公は迷惑をしているという話です。
そこに魔の三角関係が巨体の友人からは成り立っているというお話でした。
微妙なところで、男と女、兄妹の関係が成り立っていました。

――――――――――――――――――――――――

●Zooeyさん、読みました。


夫の不倫で別居ですか。
子供と言っても中学2年生の男の子と小学6年生ぐらいの女の子かな。
夫と彼女が子供を手なずけるべく、映画に誘った。

「夫は恋人と子供たちを親しくさせたい一心らしい。元モデルで青学出の彼女に、」
ということで、年齢は書いていませんが、おそらく主人公の女性よりも若くて美しいのでしょう。
主人公は夫を取られ、娘は彼女に懐いでしまい、息子は反抗期で主人公のことを母親と思わないそぶりです。
だが、ラストの言葉に主人公は救われたのでしょう

>>「忘れてた」
 そして振り返り、にこりともせずに、こう言った。
「ママのがきれいだ」<<

ちなみに、文体が作品に合っていました。
導入部などは、「腹に虫が蠢くような、ざわ、とした感触が走る。」と主人公の気持ちが文章によく出ていますね。


―――――――――――――――――――――――――

●星野日さん『火消し屋さんの告白』読みました。

よくまとまっている作品です。
タイトルにある『火消し屋さんの告白』とは何かと思いました。
「憎しみを消す」と言う事なのですよね。
御作通りではありませんが「イヤなことは1週間で終わらせるコツ」と言う本はありますね。
手元にあるので本の目次を読んでみますと、御作と同じような「火消し屋さん」というかストレスをうまく発散させるコツが書いてあるようです。
本は手元にありますが、内容をまだ読んでいません。
どちらにしても面白い発想ですね。敵を討つのではなくて、忘れさせるというか、心を癒させるのですから。
これが一番平和でしょう。
ところが、主人公は火消屋なのに心の中は真逆のことを発想しているというか、器用に忘れて生きる人物よりも「愚直な男」のほうが好きなのだ。
これは、火消と言う仕事柄、性格が向いていないのでしょう。
結局カトウの火を消して恨まれることになる。

ところが、カトウに新しい喜びが出来ると、今度は火消を商売にしていた自分が嫉妬をしていた。自分の火を消していたはずなのにくすぶっていたということを知り、もみ消した。
御作を読んでみて、人生が二つ語られていると思いました。カトウの人生そして火消屋の人生。
面白かったです。
ラストでカトウに新しい女らしい者が現れた時に、もう少しわかりやすく描いたほうが、よいとは感じました。

――――――――――――――――――――――

●しんさん「特別な日」読みました。

七夕と絡んで兄と妹の少し甘い関係と言ったところでしょうか。
ラストの方でいろいろと種明かしされるので、両想いといった関係でしたが、いやらしさはなくて、すがすがしかったです。
ある意味、こういった兄と妹の関係って多いのかもしれませんね。
>>お題が比較的簡単なので、逆に難しかったです。インスピレーションがわかない。<<
これはありますね。
だから、私も他の方にならって「六題」と任意お題込みで書きました。


===================

●感想返し、ほか。

===========


星野日さんへ


ご感想、ありがとうございます。


>>> 「関川さんは、盆休みはどうするの?」
 「あるある、おおありよ」っていうところが、なんか可愛くていいですね。
 終盤の徐々に夏っぽくなっていく作品の雰囲気も良かったと思います。<<

●ここは、お互いの盆休みの話題ですね。
そこから彼女のこととか、故郷のことを顧みるところです。
自己紹介のような感じで主人公の立場を書きました。

●「終盤の徐々に夏っぽくなっていく作品の雰囲気」は縁日のことを描写して、ラストでは故郷の母親との電話で盆は故郷に帰ることを決意して結婚を考えている彼女を連れて帰る話ですから。


 >>と言った後になんですが、この作品はなんだか読むのが大変でした…! 
 たぶん、数行や数文のなかで、ころころと話題の矛先のようなものがいろいろな方向を向くせいで、文章を追いかけるのに気を回してしまい、話を追いかけるのが大変に感じてしまったのかも知れません。<<

●エピソードをいろいろと挿入しましたからね。
作者としてはこれぐらいなら大丈夫だと思っていたのですが、なかなか、難しいです。


 >>この手の文体は、もっと長い分量でゆっくりと書くのならばいい味になるのでしょうが、ちょっとこの短さでやるのには、めまぐるしいのかなあと。
終盤の、ちょっと足早になっているくらいのテンポと書き方のほうで一貫したほうが、丁度いいのかなと。


●導入部がゆっくりでラスト近くでテンポが速くなったということですね。
それでラスト近くのテンポに合わせた方がバランスはよかったのではないかと言うことですか。エピソード等を注意して再読してみます。

――――――――――――――――――――――


お、さんへ

ご感想、ありがとうございます。


>>最初のシーンの雰囲気はどっかで見たか? と思いつつ。<<
●この作品の元になるのは以前いたサイトで9年ほど前に投稿済みです。
良くも悪くも話題作だったので、もしかして、その関係かな……。

>>やっぱり、巧いなぁと唸らされる。シーンの継ぎ目のシームレスな感じとか、ぜひ見習いたい。<<
●長年感想や批評等を中心に勉強したかいがありますかね。

>>このボリュームでは望みすぎだろうけど、一方で、巧いだけに、予定調和にはまり込んで、巧いという他の感慨を抱けないような傾向もあるように感じました。<<
●なるほど、予定調和ですか。結局は書き込みが足らないのですかね。
9年前の作品と違うところは、矛盾点を少なくしました。


>>少女が登場したとき、猫か幽霊の話出なけりゃ良いなと思ったけど、出ちゃいましたねw あと、ラストでのお題消化はやや強引でした。お題消化に関しては僕も大概だけど。<<

●「少女が登場したとき、猫か幽霊の話出なけりゃ良いなと思ったけど」これは勉強になりました。練り込みが足らなかったようですね。


―――――――――――――――――――――――
>卯月さん
>>ギャグ物……orz 身も蓋もない判定ありがとうございます。<<

●返信
千屋を筆頭に人物がよく描かれていますし、情景もばっちりでした。
だから、読んでいてイメージがわいてくるのですよね。
そこに来て、内容にとぼけたところがあるので、落語にでもできそうな作品です。
妹を中心にした三角関係、ラストはめでたしめでたしですね。

――――――――――――――――――――――


●しんさんへ

ご感想ありがとうございます。


>>ちょっと序盤にストーリーにとって不必要な情報過多だとおもいます。このあと長ければ出てきた情報に意味がでるとおもうのですが、これで完成品でよんでいますので情報整理したほうがいいかとおもいます。<<
●「序盤にストーリーにとって不必要な情報過多だとおもいます。」主人公の表現と立場を読み手にわかってもらうためには、この程度は必要だと思いました。


あとお題ですね、
>>「牛の碁盤乗り」「占星術」「世界遺産」の特に牛の碁盤乗り、世界遺産ですね。
作者自身の縛りなのですがストーリーの中核にあるわけでもなく、なくても問題はないですよね。逆にちょっと足ひっぱっているようにみえます。使用する余裕があるのであれば、もっとストーリーの完成度をあげてほしいです。<<

●私は自分の書く「三語小説即興文」に完成度の高さは、求めていません。
私の目的は、アイデアの発想と伏線の張り方、ショートショート並びに掌編の構成等のイメージ・トレーニングです。
今回は九年前に書いた作品を持ってきまして、それにこちらのサイトの「三語小説即興文」の「お題と縛り」を使って再構築してみました。

「牛の碁盤乗り、世界遺産」この二つのお題については、導入部の居酒屋で伏線を張っておけば、ラストで出てきても、違和感がないという収穫がありました。縁日を歩いているときに伏線を張ってもよいですけれど。

「三語」はイメージ・トレーニングに使っているだけです。
これをやっておくと、一般作品を書くときにアイデアとか伏線等を張るのにあまり苦労はしないので、便利です。

ちなみに他の方(第三者)にまで私は「三語小説即興文」の目的について押し付ける気はありません。

――――――――――――――――――――――

●zooeyさんへ

ご感想ありがとうございます。


●まず、最初に言っておきますが、これは不思議系の作品ですので、キャラクターの個性もそのように書いております。

>>改稿後のものは、自宅に泊める理由は変わっていましたが、ちょっとそれもしっくりきませんでした。
女の子の印象は、相当おかしい人、というのが普通かなと思い、真に受けて連れて帰ってしまうのが、ちょっと感情的に違和感があったんですよね。
大人がそんなに簡単に信じ込まないだろうな、と。<<

●下記が改稿後の作品です。
「主人公の出生地を覚えていた」はともかくとして、「亡くなったお父さんが占星術好きでさ、いろいろ占ってもらっていたじゃないの。将来の仕事は弁護士になるというのもお父さんの占いからでしょう」これは親子しか知らないことです。
これらを知っていたし、苗字が主人公と同じ「関川」そして「家族」だといったので、連れて帰ったのです。

――――――――――――――――――――――
 するとしばらく歩いたところで、後ろから声をかけられた。
 振り向くと、人なつっこそうな顔をしながら近づいてきて、いきなり出生地と出生時間を告げられた。
 刹那何を言っているのか理解できなかったが、「占星術であなたを占っていたのよ」と言われたときは、度肝を抜かれた。
 たしかに出生地は当たっていたが、出生時間までは自分でも覚えていない。それを彼女はどうして知っているのだろうか……。
「あたし今夜泊まるからねー」と、言う。
 俺は、彼女の頭の先から足の先までを見ている間に意味がわかった。
 多分先ほどの居酒屋で近くに座っていて、雑談で話していた俺の出生地を覚えていたのだろう。出生時間はデタラメに違いない。
「だめだめ」
 俺は躊躇しなかった。知らない少女を自宅に泊めるほど、馬鹿ではなかった。ろくでもないことが起きるに違いない。何かそんな予感めいたものがあった。
「どうしてよー? 占星術であなたの未来がわかっているのだから、それを教えてほしくはないの?」
「占星術とかの占いを俺は信じないんだよ」
「そんなこと言っていいのかな? 亡くなったお父さんが占星術好きでさ、いろいろ占ってもらっていたじゃないの。将来の仕事は弁護士になるというのもお父さんの占いからでしょう」
「どうして、そんなことを知っているんだ?」
「お父さんに教えてもらったからよ」
「えっ? お父さんって、俺の親父のことか?」
「そうよ、今夜泊まってお父さんの代わりに、あなたに説教しなきゃならないわね」
 年下のくせに、おしゃべりがうまい。
「名前はなんというのだ?」
「関川よ」
「えっ? 俺と同じ苗字か? ということは?」
「あなたの家族だよ」
 家族……? 妹はいないし、もしかして、亡くなった親父の隠し子か? これはとにかく事情を聴かなければならないと思い連れて帰ることにした。

――――――――――――――――――――――

>>もう少し尺が長ければ、前半のいろいろなことが回収できたのだろうな、とは思いました。<<
●主人公の表現と立場を読み手にわかってもらうためには、この程度は必要だと思いました。






=========================


●私の作品への返信は、この欄で書かせていただきます。

メンテ
感想 ( No.7 )
   
日時: 2013/07/09 00:59
名前: 星野日 ID:SbxCLWMk

今回、Ryoさんの奴が結構好きです

> おさん
> 友人の一人に千屋というのがいる。高校の同級生で、たまに世間話なんかをすることがある。
 6語おつかれさま。
 妹ものが流行りなんでしょうか。
 感想を書くために読み返すと、「君は好かれていることに気付いてないんだよ」って主人公が言われているのを見つけました。
 きっと鈍感系主人公ってやつなんですね……!

> zooeyさん
> 映画が始まるのは五時。迎えはその二時間前ということになっている
 全く関係ないんだけど、ゾーイさんも今週空残業が多いという理由で業務量が減ったのかなとタイトルから勘違いしました。
 話の作り方というか、雰囲気の作り方が上手いです。何気ない仕草の描写がひとつひとつ生きてる感じが、とても丁寧に作品を作っているようでよかったと思います。ちょっと冒頭の文章だけ、なんとなく作品から浮いているような気もしますが……!
 屈折しているマザコンというか、ちょっとへそ曲がりなシャイボーイって感じで可愛いですね。


> 卯月 燐太郎さん
> 「関川さんは、盆休みはどうするの?」
 「あるある、おおありよ」っていうところが、なんか可愛くていいですね。
 終盤の徐々に夏っぽくなっていく作品の雰囲気も良かったと思います。
 と言った後になんですが、この作品はなんだか読むのが大変でした…! 
 たぶん、数行や数文のなかで、ころころと話題の矛先のようなものがいろいろな方向を向くせいで、文章を追いかけるのに気を回してしまい、話を追いかけるのが大変に感じてしまったのかも知れません。
 この手の文体は、もっと長い分量でゆっくりと書くのならばいい味になるのでしょうが、ちょっとこの短さでやるのには、めまぐるしいのかなあと。終盤の、ちょっと足早になっているくらいのテンポと書き方のほうで一貫したほうが、丁度いいのかなと。

> 自作
> 炎天下に負けて、私はカフェに逃げ込んだ。
 七夕だし恋愛物を書こうと思いましたが、書けませんでした。
 最後に出てきた女は、あまり本筋と関係ないかなと思って、薄く書きました。読み返すと、描写不足ですねたしかに・・・!!

> しんさん
> 梅雨という時期が嫌いだ。
 そんな梅雨ももう終わったしまった。
 まさかの妹もの第二弾……! 妹が世界を駆逐する……! 青梅かき氷とか美味しそうですね。なんか実験に一口だけたべさせられて、美味しいって反応したら全部取られるとか、そういうのいいなって思いましたw
 相合傘のシーンとかで、いつも離れているけど、今日はこんなに近づいちゃってるぜ、うおお、暖かいぜ、匂いするぜ、みたいな。そういう物理的な描写と、心理的な作用がまぜこぜになった感じとかを出すと、より青春っぽくていいんじゃないのかなーとか思いました。

メンテ
Re: 即興三語小説 ―今週から残業が多いという理由で業務量が減った― ( No.8 )
   
日時: 2013/07/14 13:49
名前: ID:sAat8hFk

>ぞいこさん
ドキドキしたし。最初ちょっと分かりにくかったけど、良い案配でダークな感じになってきて、修羅場、修羅場、血塗れ、切断、スプラッタでラッタッタと思いきや、オチがー、オチがー。伏線とかあったっけ? まぁねぇ、良い話なんだろうけどねぇ。まぁねぇ。
それにしても、ぞいこさんてこんな文章描く人だっけ? 冒頭、ゾクッときたよ。良い描写してるねぇ。惜しむべきは、どうも、以降のキャラや作品の雰囲気と微妙な温度差を感じたかな。もう少しその雰囲気を散りばめておけば格好良かったかも。


>卯月さん
最初のシーンの雰囲気はどっかで見たか? と思いつつ。やっぱり、巧いなぁと唸らされる。シーンの継ぎ目のシームレスな感じとか、ぜひ見習いたい。
このボリュームでは望みすぎだろうけど、一方で、巧いだけに、予定調和にはまり込んで、巧いという他の感慨を抱けないような傾向もあるように感じました。少女が登場したとき、猫か幽霊の話出なけりゃ良いなと思ったけど、出ちゃいましたねw あと、ラストでのお題消化はやや強引でした。お題消化に関しては僕も大概だけど。


>★君
へぇ、★君てこう言うの書くんだ。ギャグの人かと思ってたよ。
アイデアとしては興味を誘う。このアイデアを物語として膨らませることができれば、面白いかもしれない。本作はアイデアの開示として評価したい。まぁ、しかし、折角のアイデアを以後活かすのか、それとも殺してしまうのかは★君しだい。と圧をかけてみる。


>しん君
妹萌えモノですな。
しかも、ちょいシリアス。だからこそ、ラストがこれだけなら、わざわざ時系を持ち出して大仰にする事あったかな? と疑問符をつけてみる。ワンシーンでシンプルかつ美しく描くことは出来たんじゃないかな? 逆に展開を重ねるなら、もう少し深刻な(性的な意味にかかわらず)事態を扱っても良かったのかも。さらりとして、するりとして、微笑ましくて良かったんだけど、まぁ、それだけかな。


自作について
最初書き出した時に想定していたのとは全く別物になってしまいましたが、まぁ、妹萌えモノとしては、出来は悪くはないんじゃないかなと。ジャンルが好きな諸兄であれば、思わずにやけてしまうくらいには。しまった、次回まで引っ張れば良かったかな。さておき、これが四十のおっさんの書くものかという問いかけは無視するとして、自分としては、結構気に入ってたりはしますとも(笑

>卯月さん
ギャグ物……orz 身も蓋もない判定ありがとうございます。

>★君
鈍感主人公、ハーレム、妹萌え、といえば、もはや、鉄板だろうねぇ。

(ここまで感想のない解説を頂いてしまった。どう評価すれば良いのだろう?)

>しん君
ご意見承りました。

>ぞいこさん
愛してる♡

メンテ
Re: 即興三語小説 ―今週から残業が多いという理由で業務量が減った― ( No.9 )
   
日時: 2013/07/10 23:29
名前: しん ID:t97Mpf82

感想

・おさん
妹ものですね。短いながらも妹のキャラがたっているのがいいですね。
少し区切りを意識してほしいですかね、読者としては完成品として読んでいるのをわすれないでほしいかんじです。
お題が強引ですかね。今回のお題のことではありません。今回のお題は強引だったとしても使うのは当たり前なので。
「牛の碁盤乗り」「占星術」「世界遺産」の特に牛の碁盤乗り、世界遺産ですね。
作者自身の縛りなのですがストーリーの中核にあるわけでもなく、なくても問題はないですよね。逆にちょっと足ひっぱっているようにみえます。使用する余裕があるのであれば、もっとストーリーの完成度をあげてほしいです。

・zooeyさん
描写がうまいからですね。情感をかんじます。まとまっています。
少しほっとしますね。

・卯月 燐太郎さん
ちょっと序盤にストーリーにとって不必要な情報過多だとおもいます。このあと長ければ出てきた情報に意味がでるとおもうのですが、これで完成品でよんでいますので情報整理したほうがいいかとおもいます。
あとお題ですね、おさんに書いたものを全く同じなのでコピペになります。
お題が強引ですかね。今回のお題のことではありません。今回のお題は強引だったとしても使うのは当たり前なので。
「牛の碁盤乗り」「占星術」「世界遺産」の特に牛の碁盤乗り、世界遺産ですね。
作者自身の縛りなのですがストーリーの中核にあるわけでもなく、なくても問題はないですよね。逆にちょっと足ひっぱっているようにみえます。使用する余裕があるのであれば、もっとストーリーの完成度をあげてほしいです。

・星野日さん
綺麗にまとまっていて、アイデアもしっかりはいっていていいですね。
ごちそうさまですというかんじですかね。

感想への返信

・卯月さんへ
この話の兄妹の関係、よくかんじるか、怖く感じるか、少しきになったのですけど、大体みなさん良く感じたようですね。
ちょっとこれ書く前にあるガチリアルな兄妹恋愛アニメをみたのです。あまり有名なのではないのですが。それはわたしは怖く感じるのですよね。

・星野日さん
そうですね匂いは少し忘れていました。ハンカチと傘のシーンでリンクさせるつもりがあったようなきがします。指摘されて、そんなつもりがあったきがするという捏造かもしれませんが。
そういえばチャットルームでこれを読んで、天の川がでているかと空をみあげてくれた というかんじで仰っていたのですが、その場でぱっと気付けなかったのですが、そうでした、あの時間にわざと投稿したのは、そういうイメージをもってほしいからでした、
ほしいことばをありがとうございます。

・おさん
大仰でしたかね。
序盤シーンにも意味があり、一年前を思い出すことにも意味があるので、うまくそれを伝えれるように書けなかったのだと思います。がんばります。

メンテ
Re: 即興三語小説 ―今週から残業が多いという理由で業務量が減った― ( No.10 )
   
日時: 2013/07/11 14:00
名前: zooey ID:ZWkMwDbk

感想です。遅くなってしまいましたが、すいません。

>おさん
面白かったです。
テンポよく進んでいく文章が、作品にあっているなと思いました。
ギャグっぽい感じですが、主人公が割と冷静な突っ込み役になっているので、
ちょっとシニカルでもあり、
それがこっちの感覚に近いので、ギャグにおいていかれることなく、楽しめました。
ラストの、やれやれ、がホントにやれやれな感じがして良かったです。
普段の描写に凝った作品も好きですが、こういうのも面白いですね。

>卯月さん
他の方も仰っていますが、お上手だなと思います。
するするすると物語が繋がっていく感じで、こういうのは真似はできないだろうなと思いました。
ただ、うまい分キャラクターの行動の違和感が、ちょっと気になってしまいました。
改稿前にも読んでいたのですが、
その時は、主人公について、正義感が強いなら、自宅に泊めずに警察に連れて行くとかなんとかして家に戻そうとするだろうな、と思いました。
改稿後のものは、自宅に泊める理由は変わっていましたが、ちょっとそれもしっくりきませんでした。
女の子の印象は、相当おかしい人、というのが普通かなと思い、真に受けて連れて帰ってしまうのが、ちょっと感情的に違和感があったんですよね。
大人がそんなに簡単に信じ込まないだろうな、と。
他の方が仰っているように、情報が多いな、とも思いましたが、
よどみなく流れていく感じなので、そこまで気になったわけではありません。
ただ、もう少し尺が長ければ、前半のいろいろなことが回収できたのだろうな、とは思いました。

>星野田さん
星野田だったり星野日だったり牛野田だったり、忙しいですね(笑)
仰っている方が多いですが、まとまった話だなと思いました。
が、何だか消化不良というか。
やっぱり、恋人が殺された依頼人、というのが出てくると、
読み手は、復讐とかそういうものを咄嗟に連想するものですから、
その印象に見合ったインパクトがあった方がいいかなと思いました。
もちろん、復讐である必要は全くないと思いますが、
今のまま、超能力?的な感じで特に何も仕掛けがないと、想像のインパクトにストーリーが負けてしまって、肩透かし感があるなと思いました。
うわ、そう来るのか、だまされた、みたいな感じだと、面白いかなと思いました。

>しんさん
青梅のかき氷の使い方が上手いな、と思いました。
作品の雰囲気によく合っていて、お題消化という意味で、すごくお上手な使い方だと思います。
小道具が物語にあっている作品は好きです。
初恋の味、という喩も、爽やかさと初恋の印象が上手く調和していて良かったです。
が、女の子が言うと可愛いですが、男の子は言わないよな、と思いました。
言うとしても、好意を相手に伝えようとしてじゃないかな、と。
あとは、チャットで他の方も仰っていましたが、視点を切り替える必要はなかったんじゃないかなという気がします。
三人称、というのもそうですが、むしろ私は、兄の視点に絞って、妹の心境はぼかした方が、ドキドキ感もあるし、
一人称で感情をストレートにそのままの言葉で表すよりは、動作などから滲ませる方が描写という意味で練習になるかな、と思いました。

―――――――――
皆さんご感想ありがとうございました。

>おさん
描写、褒めていただけてうれしいです。
割と、たくさん感想もらってる時期よりは書けるようになったと思っているので、なんだか再確認できた意味で、本当に嬉しかったです。
ギャップがありますか…、ちょっとそのへんは見直さないとだめですね。
スプラッタではないですwThe無難な作品ですねw
ありがとうございました。

>卯月さん
文体は、お読みいただいた現代板のやつが私の中では特徴的で、普段はこういうのを使っています。
褒めていただけて良かったです。
ラストは救われてる感じですね。
ありがとうございました。

>星野田さん
小さな仕草とか様子とかの積み重ねで、いろいろ雰囲気出したりしていくのが好きなので、嬉しかったです。
丁寧に描くというのも、ここ最近意識してる感じです。
冒頭はおさんからもご指摘いただいたので、ちょっとなんか失敗したみたいです。見直さないとだめですね。
世界中の男の人は、きっとみんなマザコンなんだと思ってますw
ありがとうございました。

>しんさん
描写ありがとうございます。
結構、きりきり切羽詰った心境にしながら、ラスト一言で脱力って感じを狙ってたので、ほっとするといっていただけて良かったです。
ありがとうございました。

メンテ

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