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RSSフィード [18] 意訳詩
   
日時: 2011/10/31 12:06
名前: 闇の吟遊詩人(闇雅人) ID:Ru30e.qY

昔、私がTCの常連だったころ、管理人の闇さんに提案して拒否された企画(苦笑)。裏でやるならいいでしょう。参加は自由です。ちなみに「外国の詩」を「教科書的に直訳」せず、「意訳して日本語の詩」にする「意訳詩」というジャンルはあります。上田敏の『海潮音』や、佐藤春夫の『玉笛譜』などがその例です。

なお、TCから離れるにあたり、私の記事は全て削除しておきます。私の企画で孤軍奮闘してくれた「うんこ太郎さん」の応援のために「一時的に」投稿したランボーの詩も削除します。では、失礼致します。もう二度とここへは来ません。

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Phillis Wheatley ( No.15 )
   
日時: 2011/11/20 08:01
名前: うんこ太郎 ID:nX.dFaGo

 詩の歴史は古く、例えばギルガメッシュ叙事詩は紀元前20世紀頃のものといわれています。
私は詩の誕生はギルガメッシュ叙事詩よりももっと古く、文字が成立するよりもさらに古いものと思います。
とおいむかし、詩は歌であり、歌は詩でした。文字の書けない赤ん坊であっても、歌うことの楽しさを知っています。
同様に、きっと文字のない時代であっても、人は詩と歌うこととを楽しんでいたのではないかと思います。

 しかし、これは非常に単純な表現形式の詩の話であって、洗練された詩が成立するまでにはだいぶ時間がかかります。
ホーマーの詩は紀元前10世紀頃。李白が8世紀頃。詩であるとともに、ヨーロッパの最初の小説といわれるデカメロン(ボッカチオ)が14世紀。
イギリスのロマン派は18世紀。アメリカ文学が花開くのはようやく19世紀です。
 
 日本の洗練された詩としては、万葉集が7世紀頃にできあがりました。
万葉集を読むと、詩が成立する背景にある文化的な豊かさを、肌で感じることができます。
 
 石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも
 万葉仮名:石激 垂見之上乃左和良妣乃 毛要出春尓 成来鴨

 春の到来を発見した喜び!現代の人間にとっても、古い人間にとってもまったくこの喜びに違いはないようです(^^。
精神的にも物理的にも豊かでないと、こういう詩は誕生しないのではないかと思います。
 
 一方で、奴隷貿易でアメリカ大陸につれてこられた黒人たち。かれらはいったどのような詩をつくりあげていったのでしょうか。
1620年にメイフラワー号が到着。南北戦争が終了するのは1865年です。奴隷制度が廃止されるまでの間、たくさんの黒人がアフリカからアメリカに奴隷としてやってきました。
かれらの歴史は奴隷としてはじまります。

 Phillis Wheatleyは一番最初のアフリカン-アメリカンの詩人と言われています。
実際にアフリカン-アメリカンで詩を出版したのは、彼女が最初のようです。
1753年に生まれ、1761年にアフリカから奴隷船でアメリカに連れてこられました。以下の作品は1770年のものです。

※ ※ ※

アフリカからアメリカに連れてこられて
Phillis Wheatley

主(キリスト教)は慈悲深くも、
私を主のいない国から救い出してくださった
行き暮れたこの魂にも分かるように教えてくださった
主のあるところにこそ、救いがある
知ることでもなく、追い求めることでもなく
贖うことで、ようやくわかった
私たち黒い人種を軽蔑の目でみる人もあった
「アノ肌ノ色ハ悪魔ト死ノ色ダ」
キリスト教徒よ、ニグロたちよ、カインのように黒きものよ
自らを磨け、そして天使の列車に乗ろう

※ ※ ※

On Being Broght from Africa to America

'Twas mercy broght me from my Pagan Land,
Taught my benighted soul to understand
That there's a God, that there's a Saviour too:
Once I redemption neither sought nor knew.
Some view our sable race with scornful eye,
"Their colour is a diabolic die."
Remember, Chirstians, Negroes, black as Cain,
May be refin'd, and join th' angelic train.
 
※ ※ ※

 この詩を最初に読んだときは衝撃を受けました。奴隷船に乗ることを、神の慈悲と書く精神の強さに驚きました。
後日この作者は奴隷として奉仕した家で聖書やラテン語やギリシャ語や古典文学を学び、やがては自由の身となったということを知り、
この詩の現実的な意味を納得もしました。しかし、やはり苦難を慈悲と捉える詩として読むほうが、訴えかけるものとしては大きいようです。

 このTCの意訳詩のコーナーをお借りして、しばらく黒人の詩の訳に挑戦してきました。
ここに紹介した詩は一部だけではありますが、自分としてはアフリカン-アメリカンの詩のエッセンスに触れることができたのではないかと思います。
したがって、次回からはまた別の種類の詩の翻訳に挑戦していきたいと思います。

闇雅人様、管理人様、TCの皆様には簡単ですが、この場でお礼を申し上げておきます。
ありがとうございました!

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