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RSSフィード [79] 「ピリオド」小説にピリオドを。
   
日時: 2014/12/21 15:58
名前: 片桐 ID:6ioV39hw

こんにちは。
今日もミニイベント開始です。
テーマは「ピリオド」 
縛り(執筆上の約束)として、作中に寒さに関する描写を入れてください。
制限時間はこの後、60分(16:00~17:00) 文字数無制限
このスレッドに返信する形で投稿してください。
なお、投稿の際は、トップページからミニベントの欄をクリックして、このスレッドを開いてから投稿してください。そうしないとエラーが出るようなので。

ピリオドは、何かに一区切りがつく、つける、というような意味でも使われますね。
一年のピリオドでもいいし、仕事、恋愛、趣味、夢、色んなものにピリオドはあります。
それぞれが考える、「ピリオド」をテーマとした小説を書いてみてください。

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Re: 「ピリオド」小説にピリオドを。 ( No.5 )
   
日時: 2014/12/21 21:33
名前: 片桐 ID:6ioV39hw


 気づいたときには、屋上に通じる上り階段へダッシュしていた。
 12月24日の今日、何度見てもスマホのカレンダーに予定らしきものはなく、大学のツレはたいていが彼女様を持っているということで、話し相手にさえなってくれそうもいない。俺が今日これまで話したのは、このアパートに管理人のおばちゃんだけ。それもおばちゃん得意の下ネタの応酬につきあっただけだ。
 テレビを見ているとクリスマスソングの大合唱が始まり、慌ててテレビを消す。すると不意に訪れた沈黙があまりに静かすぎて不安になって、いっそ実家のかあちゃんに電話でもしようかとコールボタンを押そうとした瞬間、スマホの黒い液晶に映った自分の顔の情けなさに耐え切れず、俺は部屋を飛び出したのだった。
 もし階段上り速度選手権があれば、今の俺なら世界一だってなれるのではないか。そんなことを真剣に考え、真剣に考えている自分に気づいていたたまれなくなって、さらに大急ぎで屋上へと向かう。屋上へとつづく鉄扉にはさいわい錠らしきものはなくて、俺は体当たりでもするように、24日の夜の屋上へと飛び出したのであった。
 爆弾低気圧なるものが迫っているということで、今夜は、ホワイトクリスマス。
 俺だって去年は――、なんて一瞬考えると、余計な記憶までが頭に浮かびあがり、ぶるると頭をふって、とにかく歩を進めた。進んで進んでフェンスに手を掛けようとした。
 その時である。
 白い人型の物体がそこにはっきり視認された。
 いや、はっきり視認することで、それが全身に雪をうっすらち被った一人の女性であるとわかった。
 まさか、俺が第一発見者?
 それだけは勘弁、まじで勘弁、と思いながら、女性の肩に手を当てて揺すった。
「い、生きてますか? もしもーし」
 俺が声をかけると、女性の眼がぱちりと開いた。
「きゃあ、変態!」
 甲高い声に、いや、自分が言われたあまりにショッキングな一言に、眼を見開いてしまう。たいしてその女性は俺を睨み付けるようにして、ギュッと胸元を抑えつけた。クリスマスに変態とまで言われてしまった自分が哀れでならない。しかし俺はなんとか心のダメージを堪えて、
「えっと、害を加えるつもりはありません。あの、それより、大丈夫なんですか? 今日めちゃくちゃ寒いですよ。そんななかで一人で雪を被っていたんだから……」
「はっ!」
 はっ、と言った女性は、たしかにはっとした感じの表情になり、状況を再確認しようと、辺りを見渡している。
「あ、あの、どうしよう、すいません、わたし、その」
 そして、突然おろおろとしだす。
「いや、細かいことはいいです。とりあえず、命に問題はないってわかったから」
「すいません、先ほどは失礼なことを言ってしまって。心からお詫びします」
 そこで、あらためて俺は目の前の女性の顔を見た。
 まあなんだ、好みのタイプだ。たぶん、俺よりは年上だろうから、仕事終わりのOLといったところか。クリスマスの夜、なにかがあって、あるいは、あまりになにもなくて、俺と同様に屋上へと走る衝動に駆られたのだろう。
 俺と彼女は、しばし沈黙の中向かい合った。
 目があい、目を逸らす。俺が照れて笑うと、彼女も照れくさそうにわらった。
 胸の鼓動がドクンと鳴った。
 もしかして、これはあれだろうか、運命的な出会いってやつなのだろうか。
 クリスマスの屋上、未遂仲間(?)、これからお互いがこれまでの境遇の辛さなんかを語り合ってうちとけて、ちょっと友情が芽生えて、さらには――。
「ひとつ質問していいですか?」
 彼女が俺の妄想を断つように口をはさんだ。
「な、なんなりと」
「運命の出会いって信じます?」
「し、信じます!」
 なんだこれ、この展開。彼女も俺と同じ気持ちでいるということだろうか。
「一目惚れは?」
「あると思います」
 これは、もうあれだろう、男の自分が頑張る時だろう。頭のなかをフル回転して、最適なセリフを考える。俺がようやく口をひらこうとしたとき、彼女はすくっと立ち上がった
「私、行きますね!」
「は?」
「告白しに」
「ど、どなたに?」
「アパートの管理人さんに」
「えと、おばちゃんしかしなかったような」
「わたし、そういう人しか愛せないんです」
「は、はあ」
「ありがとう、あなたのおかげで踏ん切りがつきました。また自分の心を隠したまま次の1年を迎えるんだって思うと怖くてたまらなくなったけど、わたし、頑張ってみます」
 なんだろう、先ほどまで主役級の立ち位置にいたはずの俺が、真の主役に新しい一歩を踏み出すきっかけを与える脇役Aへと成り下がっている気がする。
「あの、これ、冷えてるけど、肉まんです。食べてください。ありがとう、良い人!」
 彼女はそういって、俺に肉まんを渡すと、もう俺を振りかえることなく、階段のほうへと駆けていった。
「良い人、か」
まあ、いいさ。
 年の瀬、誰もが今年やり残したことはないかと考えるこの時期、少なくとも彼女はやり残しそうになったことに立ち向かったのだろう。良い結果となるかはわからない。それでも、前進ではあるはずだ。
 では、残された俺はどうしよう。冷えた肉まんひとつを手にして、また後先考えない行動を繰り返すのか。いや、そういう自分とはもうおさらばだ。
 たとえばそう、冬空に浮かぶ、あの名も知れぬ星をピリオドにして。


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さすがにヒドイ・・・
最後の文が書きたかっただけなんだけど、滅茶苦茶になりました・・・
でも、また頑張ります。

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