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RSSフィード [52] 日曜の夜だし30分三語
   
日時: 2012/02/13 01:20
名前: 弥田 ID:B5W4/fgY

「鳩」「亀」「教会」「喜怒哀楽絶望天狗秘境地極楽湯」
から、3つでw
2時までです。ほーい。

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日曜の夜だし30分三語 ( No.1 )
   
日時: 2012/02/13 01:47
名前: 水樹 ID:BzYnKXys

お題は、「鳩」「亀」「教会」「喜怒哀楽絶望天狗秘境地極楽湯」から三つです。


 亀は言う。
「喜怒哀楽絶望天狗秘境地極楽湯などわしの祖父の代でとうに消えうせたわ、例えまだあったとしてもだな、夢幻にすぎん。そんな事に一生を費やすなどあほうのする事じゃ」
 鳩は反論する。
「亀さん、あなたは一日でどれぐらい歩けると言うのでしょう。確かにあなたは僕の百倍長生きはできますが、僕はあなたが百日歩ける所を一日で飛んでみせましょう」
 むっとした亀は、
「距離の問題ではない、目的も無く、有るか分からない場所へはどんなに飛んでも辿り着かんというわけじゃ、もしもお主が見つけてもわしが辿り着くまでにそなたは生きておれん、わしも歩き疲れて道倒れするかもしれん、この平穏に満足するのがよかろう」
 鷹のように鋭い眼を亀に向ける鳩、
「僕は飛べる所まで、どこまでも飛んで行きたい、まだ見ぬ地へとどこまでも、例え長生きできなく一瞬でも、自分の翼を広げて行きます」
 鳩は真っ直ぐに飛んで行った。
 亀は思う。
 どこまでも飛んで行け、気のすむまでどこまでも、何羽もの鳩がそうであったように、せめてお主ぐらいは戻ってきてはくれまいか、この長生きぐらいしか出来ない亀に、せめて希望を抱かせておくれ。
 名の無い温泉に浸かり亀は空を見上げる。

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Re: 日曜の夜だし30分三語 ( No.2 )
   
日時: 2012/02/13 02:02
名前: 弥田 ID:B5W4/fgY

 教会を訪れると、今日も白痴どもがよく熱心に手を合わせていやがる。奴らは丸く切り取られた部屋の中央に群れて、全員が同じ白い修道服を着ているので、まるでそこにだけぼた雪が積もったかのような案配になっていた。
 白痴どもがなにを考えているのか、なにを祈っているのか、俺は知るよしもないし、また向こうにしても同様だ。あいつらとしても神聖な場を穢されることは不本意であろうが、しかし、こうして俺が政府配給の食糧を運んでやらない限り生きることもままならないのだ。白痴達には、ベネディクトゥスの修道院が行ったような自給自足の生活ができない。彼らの一日は祈ることにのみ費やされる。老いた亀に似た背中は、まるくなって真円のそれだ。なだらかな曲線を描き、地面へと流れている。骨格から歪んでしまって、食べるときも、寝るときも、直ることがない。
 並んだテーブルのそれぞれに、一斤ずつパンを置いていく。彼らは十三人でこれをわけあい、うちのひとりは空腹を耐えなければならない。それは白痴たちの掟であり、教義だ。八つのテーブル全てにパンを置きおえたら、そなえつけられた鈴をならせばいい。それで俺の仕事は終わる。あとは奴らが各々で処理してくれる。今日もそうして、しかし、教会を出て行く直前に、気付いた。
 ひとりあまっている。
 そいつは不慣れそうにテーブルとテーブルの間をうろつくのだが、どの席も全て埋まってしまって、どうしようもない、というような態だ。無視してすぐ引き返せば良かったが、どうせヤツも白痴なのだろう、という先入観も手伝って、しばらく見入ってしまった。それが間違いで、あまったそいつは、なにを思ったのか俺のほうにまで近づいてきた。
「おじさん、わたしにもパンちょうだいよ」
 と、そいつは言った。女の、さらに言うならば少女の、柔らかい甲高い甘い声色だった。
「はなせるのか」
 驚いて、そんなことを聞いてしまった。
「白痴なんて、ふりに決まってるじゃない。こうしとけば、こうしなきゃ、ごはん、食べるのに困らないモンね」
 あ、これ、おじさんの上司には内緒ね。と、少女はつぶやいた。正確には上司の上司の上司だな、と俺は思ったが、言わなかった。代わりに、俺の取り分のパンを半分、ちぎって投げつけてやった。
「ありがとう」
 と、少女は笑った。
「これが最後だ。次からは、ちゃんと人数の増加届けをだして、配給の増俸を申請すること」
「うん。わかってるよ。昨日、ひとり急に増えちゃって、まにあわなかったんだ」
 少女がパンにかじりつく。白いパンを、白い少女が、機械的に、白痴的に咀嚼している。
「なんだ、みんなしてなにを祈ってるのかと思ったら、ただのふりか。案外つまらないな」
 ため息混じりに呟くと、少女がふたたび笑った。
「ううん、祈ってるのは本当だよ。教義は絶対なんだ」
「へえ、そうかい。世界の平和でも願っているのか。楽しそうでいいねえ」
 まどわくに鳩が舞い降りた。ありふれたドバトだ。パンのこぼれでも狙っているのか、瞳を赤くして、っくくるー。と啼いている。
 少女はふるふると首を横に振って、言った。
「ううん、世界の終わりを、待っているの」
 鳩が、ふたたび啼いて、っくくるー。という声が、教会中に響いた。その余韻の荘厳な響きに思わず圧倒されて、気がつけば俺は逃げ出していた。背後で少女が笑っていた。けらけらけら、と笑っていた。

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Re: 日曜の夜だし30分三語 ( No.3 )
   
日時: 2012/02/13 02:04
名前: 昼野 ID:A5PSAvi2

 僕はペットであるリクガメを小脇にかかえて、教会へと赴いた。リクガメは四肢をよじってジタバタしており、くすぐったい。
 教会は、巨大な男根の形をしており、黒々しい塗料で塗られており、朝日を反射し、テラテラと光っていた。
 僕は男根の教会の、根元にある、木製の重々しいドアを開き、中へ入ると、教会の奥の方で、神父がおり、よく見ると彼は鳩を、生きたまま食らっていた。生きたままの白い鳩を、犬歯を光らせながらガブガブと噛み付き、翼をばたつかせるのもかまわず、溢れる鮮血をも飲み込むようにして、やがて鳩の全てを口内におさめ、幾度かバキバキと骨を砕く音をさせてから、飲み込んだ。
「おはよう」
 と神父は血だらけの口を開閉させて言った。
「おはようございます」
 と僕は答えた。
「私はいま、鳩を食っていたよ。平和の象徴である鳩をね。平和、笑わせるね。私はいま、小便をしたいんだが、平和主義者の顔面に浴びせてやりたいよ。金色の美しい尿をね。彼らの醜い顔が、さぞかし美しく塗装されるだろうね」
 神父がそう言うのへ、そうですねと答えて、僕は椅子に座り、テーブルにリクガメを置いた。リクガメは首を甲羅にひっこめて、置物のようだった。
 やがて徐々に信者が集まってきて、次々と椅子が埋まっていった。
 これから説教が始まるという時、教会内の男根や、女陰をあしらったステンドガラスが次々と音をたてて割れた。煙を吐き出す弾丸が打ち込まれたようだった。
 ガス弾と思しきその弾は教会の、木床の上をカラカラと音をさせて転がり、刺激性の煙をもうもうとあげる。
 僕は服の袖で、口と鼻を覆いながら、入り口の方を眺めると、ジュラルミン製の盾と、小銃を持った、黒ずくめの機動隊員が、ぞくぞくと突入してきた。
 いつか、こうなることは分かっていた。僕たちのような異分子は、清潔好きのマジョリティーに排除されるという事を。
 それでも僕という人間の、僕性とでもいうべきものを、歪めずに肯定していきたい。そう思って僕は彼らへの抵抗として、周囲に武器になるものはないかと探した。見ると、置物みたいなリクガメがあった。
 僕はリクガメを掴み、黒ずくめの、恥部みたいな機動隊員へ向けて、リクガメを投げた。しかし、リクガメは空中で小銃で撃たれて、血と臓物をまき散らした。
 床に散らばったリクガメはしかし、ばらばらになりつつも、爬虫類独特の生命力でもって、頭部、四肢、を、うねうねと動かしていた。

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