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RSSフィード [48] よくわからないけどさんごです。
   
日時: 2011/12/05 00:05
名前: 弥田 ID:Vrnz9ThU

『葉』『2000円』『ロンドン』です。一時半くらいまで。です。

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Re: よくわからないけどさんごです。 ( No.1 )
   
日時: 2011/12/05 00:30
名前: 弥田 ID:Vrnz9ThU

 はるか遠いロンドンを思うと、どうしてか涙がとまらない。そこがどういう都市なのか、わたしはまったく知らないというのに、どうしてもとまらない。どんより曇った灰色の街で、白い肌をした外人たちがわらわらとして、パイプや葉巻をふかしたり、ステッキをついたり、紅茶を飲んだりスコーンをもふもふしたり、思い思いに雑多なことをしている、そんなイメージしか浮かばないのに、なぜかとまらない。
 そんなことを友人に話すと、わかる気がする、としきりに頷くので、思いもよらずに安堵して、彼女の語るチェコスロヴァキアはプラハの夢想図を、にこにこと聞き続けた、冬。会計の2000円ちょうどを綺麗に割り勘して、喫茶を出れば、そっと降りつもる雪の結晶に世界中の都市がきらめいて、泣くのでもなく、笑うのでもなく、その間の表情をどうやって隠せばいいのか、往来でずっと悩んでいた。

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よくわからないけどさんごです。 ( No.2 )
   
日時: 2011/12/05 01:03
名前: tanaka ID:i0CsPwwM

お題は、『葉』『2000円』『ロンドン』です。



「冬のロンドンって何かいいよね、何も考えず、コーヒーで身体を温めながら、カフェから眺めるんだ。冬の厳しさも街並みに溶け込んでいるような、二階建てのバスも素敵だよね」
「日本から出たくない」
「そ、そうなんだ」
 一刀両断にする彼女。
「君は何かある?」
「温泉ぐらいかなぁ」
「温泉かぁ、冬の温泉もいいよね、特に露天風呂。冬の夜空ほど綺麗な星はないからね、時間を忘れてゆっくりしたいね。予定組んで今度行こうか?」
「2000円ぐらいなら考えてあげる、白菜無くなったから取って来て」
「ハイ」
 炬燵からでて台所に向かう彼。
 白菜の葉を鍋に入れて蓋をする彼。
「でもやっぱり、冬は炬燵で鍋かなぁ」
「そうだね、ビールも美味しいし、締めの卵と御飯を入れての雑炊が格別だね。酔い潰れたらすぐ横になれるからね」
「二人で食べるのがいいんじゃない…」
「そろそろ煮たったかな? え? 何か言っ イタッ!」
 炬燵の中、蹴られる彼氏。
「言ってない、底にあるゆで卵も頂戴、私、チゲ鍋のゆで卵が大好物なの」
 ツンとそっぽを向きながら煮卵を頬張る彼女。冬は鍋、身体も心も温まる二人。

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よくわからないけどさんごです。 ( No.3 )
   
日時: 2011/12/05 02:12
名前: tanaka ID:i0CsPwwM

お題は、『葉』『2000円』『ロンドン』です。


 僕は2000円の格安ツアーでロンドンにいる。
 これは夢なんだなと思ったのは、小旗を持つガイドが殺人鬼だったからだ。
 ああ、殺人鬼、過去の三語で幾度となく登場している。身長は二メートルオーバー、筋骨隆々で繋ぎの作業着を着てアイスホッケーのマスクをしている。
 この場違いなガイドを目の前にして、寝る前に「ロンドン夢紀行」って言うマニアックなテレビを見なければと思った。ロンドンに想いを馳せて失敗だ。これは明らかに奇行だなと思った。しかも客は僕一人。破廉恥な美女な番組を見れば良かったと今更後悔している。
「右手に見えるのが、かの有名なマンチェスターユナイテッドのフリーガンの巣窟のカフェでございます」
 得意げに案内する殺人鬼。ツアーの資料を見直したいと心底思った。
 カフェに入ると、怪しげな葉っぱの煙草、ビール片手にレッドデビル達が熱狂していた。中日ファンの僕は孤独感で一杯だ。僕をほったらかして殺人鬼も「マンチュー! マンチュー!」と熱狂している。右手の拳を固め殴ってやりたい衝動に駆られるのをぐっと堪える。
 なぜなら、殺人鬼とは久々だったからだ、忙しくて構ってあげられなくてごめんよ。ビールを飲みながら、僕は拳を納める。試合に勝ったフーリガンと肩を組んで飛び跳ねる殺人鬼を微笑ましく眺める。
 今年はこれで最後だろう。君を決して忘れてはいないんだ。一年に一回でも許してくれるよな。

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海星な詩 ( No.4 )
   
日時: 2011/12/05 01:41
名前: 星野日 ID:tISIeLTU

 私が完全生身の人間だと知ると、たいてい相手は意外そうな顔をする。確かに今時の月面都市では、手足や目をサイボーグ化した人間が多くいる。だが決して完全生身の人間が珍しいわけではない。私の感覚でだが、十人いれば一人か二人は無改造だ。
 いや、彼らが意外に思う理由は私にはわかっている。身体ではないのだ。私の心が、性格が完全生身の人間らしくないから、彼らに驚かれるのだろう。
 とくに体全部をサイボーグ化した者にありがちなのだが、彼らはとても冷静に物事を見がちだ。急な不条理に怒ることも憤ることもなく、感情ではなく理性や理屈で物事にあたる。人間の身体は機械的に動く交換可能な部品で構成されている。その事実は、彼らにより現実原理主義的な考え方を育てるようだ。生身の人間が多い地球では誤解されがちだが、決してサイボーグ達が人間的でないわけではない。彼らは物語に触れ笑いも涙も零す。しかし例えばロンドンの大英博物館には素晴らしい芸術が多数おいてあり、その歴史的、資料的、美術的価値を理解しつつも、地表の人間のように無条件の感動を絵画や彫像に抱いたりしたりはしないだろう。天使の象を見て「こんな骨格では飛べない。羽が小さすぎる」と言った月面都市の重鎮が地上で話題になったことがある。ロンドンの天文台で働く知人が、その事について触れて「あなたも同じ事を思いそう」と語った。そのとおりだと思う。
 つまり私は、そんなサイボーグたちのように比較的冷静だと人から思われているようなのだ。ああ、とてもありがたいことに。
 月面都市を葉脈のように繋ぐハイウェイで、私はいまイングランドシティからニホンシティへと車を走らせ向かっている。姉が事故に会い、危篤なのだそうだ。私は運転をしながら、どう家族に会おうかを考えている。ここ二年ほどニホンシティには帰っていなかった。特に喧嘩をしたわけではない。会わなかった理由は、会う理由がなかったからだ。あとはまあ、ここ数年は研究が忙しかったのもあるが、帰る時間がないほど忙しかったわけでもないし理由にはならないだろう。姉が危篤なのに「やあ、元気だったか」というのも変だ。「大変だったね」というのも他人行儀すぎる。菓子折りを買ってあるのだが、のんびりと出かけてきたように見えるかもしれないし、渡すのはやめておこうか。私は身内の心配よりもまず、こんなことを考えていのだ。
 ハイウェイの休憩地点に入り、コーヒーを買った。まずい。よく行くロンドンでは美味いコーヒーショップがあったので毎回寄っていた。サイボーグにすると、味覚が変わるそうだ。月の人間にとってはこのコーヒーが美味く感じ、ロンドンのコーヒーはお気に召さないのかもしれない。旅行中らしき若者の一団が、笑い合いながら私の横を通り過ぎていった。うち三人はサイボーグであることが確かにわかったし、残りの二人もおそらくサイボーグではないか。実に楽しそうに、心から笑っている。ロンドンの知人の言葉を思い出す。彼女によると私の笑い方は、実に表面的に見えるそうだ。私としては作り笑いのつもりはないのだが、まあそう見えるものは仕方ない。たしかに言われて見れば、面白くて面白くてしかたなく、心から笑うことはないかもしれない。しかし、だれだって大人になればそんなものではないのだろうか。生身かサイボーグかなんて関係なく。彼女は「顕微鏡ばかり覗いているから、笑いが張り付いたみたいになるんだ」と冗談めかして私のことを笑った。そういう彼女も望遠鏡を覗いてばかりなのだが、そのことと笑い方の相関を見いだせないので、私は特に何も言わなかった。
 コーヒーがなくなると、腹が減っていることに気が付く。車の中にある菓子折りを食べようか迷ったが、結局それには手を付けず、休憩地点の売店でパンを買いこんだ。会計は十ムーンドルか二千円と言われて、この場所がニホンシティ内だったことに気がつく。月面都市では、全シティ共通のムーンドル通貨と、それぞれの地方通貨の二種類が使われている。もっとも、電子貨幣でのやり取りになるので、どの通貨を使おうが、端末を会計盤にかざすだけなので、そこまで通貨の違いを意識することはない。表現系が同じならば中身の違いなど気にならない。
そう言う私に、ロンドンの彼女は「親密に接すれば、その違いがわかってしまうの」と言っていた。
 もうすぐ実家にたどり着く。たぶん私は、病院の床に伏せる姉を見て心配し、親を気遣って何かを言うのだろう。親たちは私をねぎらい、もてなすだろう。私は風呂に入りほっとし、安らかに眠り、それからこの急用で来週の研究の予定を組み直さなければならないなと考えるだろう。渡しの笑いのように、私の悲しみも表面的なものなのかもしれない。笑いも、悲しみも、喜びも、苦しみも、そして愛情も。
 あるとき、些細な喧嘩がおこり、私はロンドンの彼女に「本当は君を愛していないのかもしれない」と言ってしまった。私は彼女との喧嘩中、どうすれば彼女の怒りをうまく処理できるのか、どうすれば自分の予定を狂わさずに彼女のための時間を取れるかを考えていた。私は彼女の気持ちが収まるよううまく誤魔化せればよかったのだ。
 ロンドンの天文台で働く彼女もその事に気づき、その事に触れ「ひとでなし」と言った。
 私は姉の危篤にこんなことを考えている。ロンドンの知人の言葉も、そのとおりだと思う。

=========
まだ書きたかったけど、時間が来たので投稿。
偽善的な悲しみ、みたいなのを書きたかったけど、かけなかった・・・!!

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Re: よくわからないけどさんごです。 ( No.5 )
   
日時: 2011/12/05 01:44
名前: 端崎 ID:.8WMVEf2

 花きちがいの大工がいるらしい。
 じぶんは、花のことはよくわからない。その大工がどこに住んでいるのかもしらない。花屋の子どもがいっていた。
「月に二、三度くるのがーあ、花きちがいでな、いや、なにも買わねえだよ。めったにな。ずぅうううっとあれこれみてな、そのまま帰ってく」
 花屋の子どもは葉ちゃんといって、きっと嘘などついたりしない。だから花きちがいの大工はいる。
 花屋はうちからそう遠くなく、西へ通りを八十歩、そこから左へ折れて五十歩、さらに立教交差点、これを渡って右へ折れ、二百歩歩けばそこにある。屋号は「巴里」とこじゃれているが、主人は英語に堪能で、むかしロンドンにいたという。
 ロンドンというのは鶏の尻のあたりにある街だと、ついこのあいだ知ったのだった。
 地図帳でそれをみたのだが、索引のページに漱石が、二枚挟んでおいてあった。いつか親戚のくれたふるい地図帳で、おもわぬ儲けとよろこんだが、そこへ大工の話をきいたのだった。
 花きちがいは花を買わない。2000円あればなにか買えるだろう、とおもうとなんだかおもしろく、パンジーの匂いなんてどんなだったろう、とたのしくほくそえんだ。

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Re: よくわからないけどさんごです。感想 ( No.6 )
   
日時: 2011/12/05 03:22
名前: 星野日 ID:tISIeLTU

>弥田さん
>はるか遠いロンドンを思うと、どうしてか涙がとまらない。
 最初の方の「どうしてか涙が止まらない」という辺りを読んだ時は、え?そうなの?って感じたんですが、「そんなことを友人に話すと、わかる気がする」の辺りを読む頃には、同じように「わかる気がする」っておもってしまった。どんよりと曇った灰色の街、白い肌をした外人。まったく知らないというのに、なぜか涙が出てくる。ってあたりの書き方に、ああなんとなくわかる気がする。って気になったという。これが、わかる気がする気がする詐欺…!!!
 喫茶店の会計が二千円で綺麗に二人で割ったとか、泣くのでもなく、笑うのでもなく、その間の表情をどうやって隠せばいいのか、往来でずっと悩んでいた。とか、なんか雰囲気作るの旨いですね。なんていうか、この短い世界に、ちゃんと雰囲気みたいなのをつくれてるのがすごい。
 あと、二千円の使い方がよいですね。ちゃんと二千円が作品作りに貢献している感じが。いや、お見事。

>tanakaさん
>「冬のロンドンって何かいいよね、何も考えず、コーヒーで身体を温めながら、カフェから眺めるんだ。
 ロンドンのイメージはコーヒー!!これできまり!!
 なんか、セリフがいちいち、あるある!みたいに思えていいですね。ゆで卵とか、あるある!! ホンワカしていていいですね。本当に、殺人鬼のやつを書いてるのと同じ人なんだろうか(ぇ。
 冬っていいね、冬っていいね。暖かい部屋で一つになって、みんなの心がひとつになって。と毎朝音楽を鳴らす石油配給車がうるさいんですが、このフレーズが好きだったりします。なんかそれを思い出した。

>tanakaさん
>僕は2000円の格安ツアーでロンドンにいる。
 なんだろう。「ロンドンに想いを馳せて失敗だ」「フリーガンの巣窟のカフェでございます」などをはじめ、ツッコミどころ満載なのにつっこまないで読めてしまう。これが夢出オチ!!おそろしい!!
 過去の三語によくでる殺人鬼ってw サービスありがとうございますw なんか可愛いし!!!
 相変わらず、こういうノリノリシュールが大好きだったりするので、にやにやしながら読みました。好きですこれw
 

>自作
>私が完全生身の人間だと知ると、たいてい相手は意外そうな顔をする。
 書く前になぜ、SFっぽい世界を選んだのか意味がわからん。。。!!!

>端崎さん
>花きちがいは花を買わない。
 こういう爺さんいそうですね。ときどきぶらってきて、花だけずっと見てみて帰る
 「葉ちゃん」の使い方はずるい・・・!!
 弥田さんと、tanakaさんの綺麗にまとまってるかんじの作品を読んだあとだからか、ちょっとこの作品の風景というか、書いているものがばらばら〜っと、とっちらかったしている感じがしかも?(ひとのこといえねえが!!)。逆に、もうちょっと整えてまとめたら、なんかいい感じになるような印象を受ける作品でした。偉そうなこと言ってゴメンネ!!
 

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