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RSSフィード [41] 郵便受けの中に食べかけのプリン小説の巻
   
日時: 2011/09/17 23:19
名前: 片桐 ID:WXVvW6ag

今日はまた趣向を変えて、冒頭をある共通の出来事から始める小説、というのにチャレンジしてみます。その出来事とは『郵便受けの中に食べかけのプリンが入っているのを見つける』です。そこから物語をスタートさせて作品を仕上げてください。

締め切りは今からだいたい一時間。多少遅れても問題ありませんよー。
楽しめそうなら、どなたでもご自由にご参加ください。

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鉄格子の中で ( No.1 )
   
日時: 2011/09/18 00:35
名前: ウィル ID:RQDsgEtY

 扉で音がした。扉に設置された郵便受けの中に、食べかけのプリンがあった。正直、俺はプリンなど食べたことがない。
「まぁ、食べるか」
 とりあえず食べることにした。もう夕方だというのに、水以外朝から何も食べていなかった俺にとって、数少ない栄養源だ。
 どうして飲まず食わずなのか? 答えは、この扉があかないから。鉄格子の柵と扉に囲まれ、俺は脱出することができない。
 幸い、水はある。だが、食べ物がない。ときどき郵便受けに食糧が入れられ、それだけで食いつなぐ。
「だめだ、これだけじゃ足りない! もっと、もっとくれ」
 俺は扉を叩いて扉の向こうにいる誰かに訴える。だが、扉の向こうから聞こえたのは笑い声。嘲笑。
 あいつは……扉の向こうにいるあいつらは俺のことを実験動物程度にしか思っていない。昨日も変な注射を打たれたし、変な薬を飲まされた。
「なんで……俺が何をしたって言うんだ」
 答えは返ってこない。
 扉の向こう側の人間はいなくなっていた。
 だから、俺も扉から動かないことにした。
 次の食事にありつけるまで。次の脱出の機会が手に入るまで。
 そして、その次の機会はすぐに訪れた。
 郵便受けに何かが入れられた。ドッグフードだ。人間が食べるようなものじゃないが、腹の足しにならないプリンよりも幾分かいい。
 俺はそれにすぐにかぶりつく。勢い余り、手を使うことすらせずに郵便受けに顔をつっこむ。喉が渇いたと思い、水受けを見ると、外の人間によって水が補給されていた。俺はそれを飲む。
 そして、食べて訴えかける。
「俺を……俺を外に出せ」
 俺が吠えるように叫ぶと、外にいたそいつらはまた笑って俺を見ていた。そして、鉄格子のすきまから俺の首に手を伸ばし、何かをとりつけた。
 何をつけられたのかわからない。だが、次の瞬間、何をやっても開かなかった扉が音を立てて開く。俺はその時、仮初の自由を与えられた。
 俺は自由に向かって走り出す。

※※※※

「こら、走るな」
 私は鉄格子から出てきたこいつに言う。
「それにしても、餌入れに入れた食べ物はなんでも食べるな、お前は」
 この前、息子がチョコレートを入れたら、こいつはなんの躊躇もせずに食べた。こいつにとってチョコレートは毒だというのに。
 そういえば、さっきはプリンなんか食べさせたって言っていたな。
「ったく、そんなんだから病気になるんだぞ。安静期間も終わったし散歩にいくか」
 大きく吠えるこいつに、私は微笑みかけた。


  ※※※※

 四十分後、俺は再び鉄格子に閉じ込められた。
「あぁ、雌犬に会いてぇ」
ーーーーーーーー
 執筆時間30分。
 投稿後微妙に修正。

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Re: 郵便受けの中に食べかけのプリン小説の巻 ( No.2 )
   
日時: 2011/09/18 00:34
名前: 水樹 ID:2nq25cz2

縛りは、『郵便受けの中に食べかけのプリンが入っているのを見つける』です。そこから物語をスタートさせて作品を仕上げてください。


プールから戻って来て、チラッと覗いたら、郵便受けにプリンが入っていた。ぬるくて食べる気にもなれなかったけど、さらにオエッてなったのは、郵便受け含め、プリンの容器はジョニーの体液でべとべとしていて生臭く、しかも一口食べられていたからだった。もう少し書き加えなくちゃ。ベトベト禁止、つまみ食い禁止とかかな。
期待はしてなかったけど、ジョニーは願いを叶えてくれた。全身が緑色のジョニーとは僕だけの穴場の河原で会った、と言うよりは瀕死寸前の所を僕が見つけた。遠目から見ても異様だった。見て無い振りして立ち去ろうとしたら、運悪く声を掛けられた。舌打ちし、水を掛けてあげると復活した。僕が見つけなかったら、そのままミイラになって博物館やお寺などに保管されていただろう。
「ガングロマッチョに憧れて日焼けしていたらこの有様さ、助かったぜ、俺の名前はジョニー」
河童が日焼けもどうかと思う。
「ついでにキュウリくれ、枝豆とビールくれ、尻子玉くれ、ヨッコイショーイチ」
さらりと図々しい事を言い、甲羅を外し、え!? 外せるの? それに腰かけるジョニー、背中にファスナーは無かった。
流石に尻子玉は上げられないけど、お小遣いが少し残っていたので、ちょっと待ってねと、枝豆と発泡酒と胡瓜をスーパーで買って来てあげた。ここで別れるのは惜しい。夏休みの宿題の自由研究に持ってこいだった。
美味しそうに発泡酒をゴクゴク飲むジョニー、頭の皿を外し、え!? 外せるの? 器に使うジョニー、
「やっぱりキュウリとビールは最高だぜ、なあキョウダイ」
僕もコーラを飲みながらキュウリを齧る、何だかいつもよりも美味しい。親しげな人外に僕の気分は悪く無かった。
命の恩人の僕に何かしたいとジョニーは提案した。河童忍法や人を川に引きずり込む百八の方法などは普段の生活には全く役立たない。丁重良く僕は断った。頭の皿や甲羅なんか持っての他だった。そんな生臭い物なんか要らない。
仕方なく、お互いの携帯の番号とメールアドレスを交換した。欲しい物をメールしてくれれば郵便受けに入れてくれるとジョニーは誓った。ジョニーと会った事は人に決して話してはいけない。尻子玉を抜かれたらどうなるか分からないけど。嫌な予感しかしないから、決して空けてはいけない箱の中、僕だけの胸にしまっておく、まあ、人に話した所で自慢にもならないし、信じてもらえないだろう。自由研究が少し惜しいだけだった。

ある日、アイスが沢山買えるだけのお金が欲しかったのに。大金が欲しいとメールを送って、OK牧場と返信されて期待して郵便受けを覗いたら。四川河童大銀行と書いてある紙切れ一枚に0が、ひい、ふう、みい、いっぱい書いてあった。無表情で僕は破り捨てた。
ジョニーに上手く伝えるのは難しい、この間も弟が欲しいなと思って、「人間の男の子の赤ちゃんが欲しい」って送ったら、郵便受けに赤ちゃんであろう肉塊が押し込まれいた。お父さんやお母さんが帰って来る前に処分するのに大分苦労した。
たまには胡瓜と枝豆とビールを河原に置いておこう。
人外のキョウダイはジョニーだけなのだから。


とある自作のパク…

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Re: 郵便受けの中に食べかけのプリン小説の巻 ( No.3 )
   
日時: 2011/09/18 00:29
名前: 弥田 ID:Ql7BHsls

 朝の起き抜けに胃の中の確かな空白を意識しながら、さりげなくそっと郵便受けを開ければなんとそこにはプッチンプリンがあって、赤いパッケージがやけに目にまぶしい。中身が半分ほどに減っていて、ふたも半ば外れたまま、軽薄そうにぺらぺらとしている。誰が何を思ってこんなところに置いたのか、真意はよくわからないけれど、とにかくおなかはすいている。これを食ってしまおうかしらん、それとも捨ててしまおうかしらん、ああ、「to eat or not to eat」ですな、などと考えているうちに、昨日摂取したまま抜けきらないアルコールが脳髄をがんがんと揺らしはじめてくるしかった。さわやかな目覚めとはほど遠い。青空だけはやたらと綺麗で、底の抜けてどこまでも澄んだ青色をしている。それがむしろ恨めしくって、わたしはプッチンプリンの赤を愛した。
 ――血の色がこれくらい安っぽければ、どれほど楽だったことだろう。
 よし、と決めて、プッチンプリンを手につかんで家の中、リビングにへと戻った。ふかふかなソファの上に座って、片手に握った容器のかたちをしばらくじろじろと見回してみる。角度によって違う風に見えた。円形だったり、台形だったりして面白い。あはは、とすこし笑う。笑うとなんだか醒めてしまって、なにがそんなにおかしいのだろう、こんな気持ち悪いもの、さっさと捨ててしまおう、というような気になる。ゴミ箱に投げると、狙いがそれて壁にあたった。中身がそこいらに飛び散って、ああ、それはもうやるせない。いちど寝直そうと決め、ベッドへと向かう最中、みぃ子が床に転がっていて、またいでも動く気配すらない。愛おしくて、キスをして、すると口いっぱいに、鉄っぽい味が熱のようにひろがる。エグみがキツくて、甘いものがほしかったけれど、床に落ちたプリンはもう食べられない。しかたなく水を飲もうと、コップに汲んでいるとき、ふ、と窓の外の青空が見え、あんまりにもむかつくので、くやしくて、せつなくて、コップ一杯の水を、力強く飲み干した、朝。

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Re: 郵便受けの中に食べかけのプリン小説の巻 ( No.4 )
   
日時: 2011/09/18 00:36
名前: 無線不通 ID:6sPTiTys

 ある朝、七郎はなにもしたくなったので、布団に横になる以外はなにもしないことにした。

 初日と二日目に、会社から電話がかかってきたが、それ以降は彼の部屋では冷蔵庫のコンプレッサーノイズと、外を走る車の音が這入ってきて低く唸るだけで、ほとんどなんの物音もしなかった。最初のうち、七郎は琥珀に閉じ込められた虫のように深く眠っていたが、三日もすると耳が静寂に慣れてきて眠れなくなってしまった。部屋の淀んだ空気の流れが鼓膜を僅かに揺らしているような気がするのだ。
 そこで、七郎は耳にティッシュで栓をしてを横になったが、これはカサカサして五月蠅く、逆効果であった。ティッシュを外して手近なものを試しに耳の穴に当ててみるが、ピタリと蓋になるものがない。諦めてもう一度横になるがやはり気になって眠れない。いっそのこと接着剤か何かで耳を塞いでしまうのが手っ取り早いように思えたが、そんなことをしたら社会復帰できない恐れがあるし、第一、接着剤など持っていないのだった。
 輾転反側していると、玄関の方から音がした。
 会社の人間が直接来たのかもしれない。
 七郎は息を殺して様子を窺った。
 郵便受けが開いて、閉まる音がした。しかし足音はしない。まだ扉の前に誰かいるのかも知れない。
 七郎は自分の鼓動を聞きながら、その人物が立ち去るのを待ったが、いつまでもなんの音もしない。
 そのうちに眠ってしまった。
 おかしな夢をいくつか見て、目を覚ますともう夜中で、さっきよりもっと静かになっていた。
 七郎は郵便受けに足を向けた。狭い部屋を二三歩歩いただけでもう足が重い。暗い玄関に着く頃には脹ら脛が張っていた。早くも足の筋力が弱っているのだと七郎は驚く。
 郵便受けの中に手を入れると、何か短い円柱状のものは触れた。
 電灯を点けて居間に戻って手にした物を見ると、それはスーパーなどで3つで150円ほどで売っている、プラスチックの容器に入ったプリンだった。すでに封が切られていてスプーンで掬われた形跡が一つだけ残されている。
 これは嫌がらせだ、と七郎は瞬時に理解する。近所の馬鹿な子供が一口食べて美味くなかったから、嫌がらせの道具として有効利用したのだろう。気持ちは分かる。ただ捨てるのは悔しかったのだろう。
 七郎は、所有する唯一の家具であるちゃぶ台にプリンを置いてしばらくぼんやりと壁の染みを見詰めていた。
 何もすることがない。起きたばかりなので眠くない。
 何もしない、というのが七郎の当初の目的だったが、その目的が達成された後、こんなにも暇だとは思っていなかった。それに、よく考えると、何もしてなくても「退屈している」 のである。さらにもっと言えば、呼吸もしているし、最低限に抑えているとはいえ摂取も排泄もしている。それなら死ねばいいのかも知れないが、「自殺をする」 という行程を踏まなければならない。それでは意味がない……。
 七郎は汗をかいて気持ちが悪いのでシャワーを浴びた。そして風呂から出ると洗濯機を起動させると水槽に水を張り、そこに洗剤を入れた。
 居間に戻って七郎は煙草を吸い始めた。彼は負けを受け入れたのだった。
 同じ退屈なら普通の退屈をしよう、そう思った。
 七郎は例の食べかけのプリンに煙草を突っ込んで消火し、窓を開けて投げ捨てた。
 あしたに向かって撃て!
 というフレーズが浮かぶ。
 彼は軽くジョギングをしてから眠り、翌朝も晴れやかな気分で目を覚ました。いつもより30分早く家を出ると、道の真ん中に昨日捨てたプリンが散らばっている。折からの厳しい残暑にどろどろに溶かされ、都会の朝日をキラキラ反射して光っている。

 会社は潰れていた……。

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Re: 郵便受けの中に食べかけのプリン小説の巻 ( No.5 )
   
日時: 2011/09/18 00:48
名前: ID:UzAbcBjg

 朝刊を取ろうと郵便受けを開けると、そこにはプリンがあった。
 よくよく見ると、食べかけだった。
 誰のいたずらだ!
 憤慨した僕はもちろん速攻ゴミ箱へと捨てた。
 次の日の朝、郵便受けを開けるとまたプリンがあった。
 やはり食べかけだった。
 しつこい!
 憤慨した僕はやっぱり速攻ゴミ箱へと捨てた。
 三日目。
 そこに食べかけプリンは存在していた。
 僕は食べかけプリンを冷蔵庫に仕舞った。
 四日目。
 はたして、やはり食べかけプリンはいた。
 仕舞おうと冷蔵庫を開けると、昨日のプリンがいた。
 夢じゃないかもしれないと思った。

 テーブルの上の散らかったビールの缶を片付ける。
 毎晩のように飲酒が続いていた。
 最近彼女に振られ、飲まないとよく眠れなかった。
 これだけ続くと、酒のせいで変な夢でも見てるのかもしれないと思ったのだ。
 現在も夢の中なのかもしれないが。
 振られたこともいっそ夢だといいのに。
 携帯のメールの履歴を見る。
「もう、別れよ……?」
 夢じゃなかった。
 じゃあ、食べかけのプリンはなんだろう。
 僕はとりあえずお袋に電話をかけてみた。
 一人暮らしで心配だからと、お袋はたまに合鍵で家に入っては色々なものを冷蔵庫に入れて行ってくれる。僕がプリンを好きなことを知っていて、必ず切らさないように補充していく。僕とプリン。それは切っても切れない関係。……なのかもしれない。……なのか!?
 お袋の答えはもちろんノーだった。いや、僕もそうだろうと思っていたよ。一応確認しただけなんだ。
 もしかしたら彼女かもしれない。僕のプリン好きを知っているのはあとは彼女くらいだ。もう一度付き合いたいとか、そんな、素敵な夢みたいなことがあるかもしれない。
 五日目、僕は郵便受けを見張ることにした。玄関の隅に隠れてじっとして一睡もせず、そこにいた。朝がきた。
 五日目。プリンは郵便受けに来なかった。
 なんだよー!
 そっから、ぷりぷりしながら酒を飲みいつの間にか眠ってしまった。起きると、昼を過ぎていた。朝刊を取ろうと郵便受けを覗きに行くと、食べかけプリンはあざわらうかのようにそこにいた。
 ガッデム!
 六日目。今度は昼間で粘ってみた。プリンは来なかった。夜になって、起きて、郵便受けを開けると、やはりいた。
 そうだと思いましたよ、うん。
 七日目。決戦の時。振り回されるのはごめんだ!
 というわけで、僕は防犯カメラを設置した。
 朝郵便受けを開けると、食べかけのプリンはそこにあって、僕は防犯カメラを回収して、それを見た。
 犯人に愕然とした。
 そこに映っていたのは、僕だった。
 そういえば朝刊を取りに行ってプリンを発見していたのだが、取りに行った朝刊はいつもそこにはなかった。大抵、自分が寝てるそばにあった。一度はトイレに置いてあることもあった。
 彼女が言っていたことを思い出した。
 あなたって泥酔するとすごくプリンを食べたがって、でも、一口食べるともういらないって子供みたいなことを言うのよね。
 真相はこうだ。
 酔っ払って冷蔵庫のプリンを一口食べた僕は、もういらないから仕舞おうと思い、仕舞おうと思った矢先、朝刊が読みたいと思い、郵便受けから朝刊を取り出す時郵便受けを冷蔵庫と勘違いして仕舞っていたのだ!(たぶん)
 お袋に冷蔵庫のプリンの補充をやめてくれるよう断ると、食べかけプリンの襲来はぴたりとやんだ。
 プリンの襲来の謎が解けると、別れてしまった彼女のほうへと意識は向いた。彼女が自分にとっていかに大事な存在だったのか、思い知らされる。どうにかして戻れないものか。そもそも、なぜ別れることになったのかよくわかっていなかった。彼女がものすごく怒っていることだけしか分からなかった。意地になって理由を聞けずにいたが、聞いてみよう。もう何度目かの深酒の朝、朝刊を取りに行こうと玄関を抜けながらそんなことを思った。
 尻のポケットに入れっぱなしにしていた携帯から着信音が鳴った。
 彼女だった。
「元気?」
 僕は正直に苦笑をにじませながら答える。
「あんまり」
「そう」
 彼女の声は少し嬉しそうだった。
 間が開く。僕はと言えば、これが何の電話なのか分からず戸惑うばかりだった。
 彼女のほうが再度口を開いた。
「こたえてる?」
「もちろん」
「そう」
 また会話が途切れる。でもそんなに悪い雰囲気ではない。彼女のほうがまた口を開いてくれた。
「うん……」
 なんだか言いにくそうだ。それでも彼女は続けてくれた。
「うん。プリンなんだけど……」
「プリン?」
「そう、プリン」
 彼女は僕の様子に気づいたように足す。
「もしかして覚えてない?」
「たぶん……」
 困ったような声を出すと彼女は別れ話の真相を教えてくれた。
「あなた、私が、『プリンと私どっちが大事なの!?』って聞いたらプリンって答えたのよ……?」
 なんだ、それ! そんなことで!
 と思ったが、そういうなんでもないことが大事だったりするよね。禁煙と変わらない。タバコと私どっちが大事なの、ならありえる。タバコがプリンであったっていいはずだ。うん。悪いわけがない。僕が彼女を傷つけた事実に変わりはない。プリンは大好きだけど、彼女のほうがもーーーっと大好きだ。
「それ、覚えてないんだけど、僕、プリンやめるよ。だから戻ろう?」
 彼女の涙ぐむ声が聞こえた。それが答えだった。
 電話を切って、朝刊を取るためにまた郵便受けのほうへと歩き出す。郵便受けを開けるとそこには、食べかけの焼き魚が置いてあった。
 えっ!?
 二度見したとき、恨めしそうな声が聞こえた。
「にゃあ~」
 見れば郵便受けの上に猫が乗っている。いつもは郵便受けの中にすっぽりと収まっている朝刊が今日は少しはみ出していた。はみ出している部分に、油がついている。
 謎は全て解けた!
 食べかけの焼き魚を泥棒してきた猫が、郵便受けの上に乗っかり、ゆっくり食べようと口を開いたところ、魚は落下してしまい、はみ出した朝刊が受け皿となり、郵便受けの中に落ちた。そんなところだろう。
 謎なんて解けてしまえばそんなものなんだろう。
 僕は郵便受けから食べかけ焼き魚を上に乗っている猫の前へと出してやり、朝刊を取るとそのまま家へと戻る。
 携帯からメールの着信音が鳴る。
『プリンと私どっちが大事?(笑)』
 謎なんて解けてしまえばそんなもの。
『プリンと焼き魚より、君のほうがすごく大事だよ』
 即座に送って、携帯をポケットに突っ込む。
 今日からはお酒のお世話にならずにすみそうだ。

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Re: 郵便受けの中に食べかけのプリン小説の巻 ( No.6 )
   
日時: 2011/09/18 00:51
名前: 桜井隆弘 ID:pdiTfW/k

 会議を終えた綾は、残り十メートルほどの家路に着いた。会議といっても重要な会議ではない、井戸端会議だ。十メートル走を終えると、一足先にゴールした娘の加奈が待っていた。
「ごめんね加奈、待たせちゃって」
 綾はそう言いながら、おもむろに郵便受けを開ける。中は空だった――いや正確には、食べかけのプリンがポツンと置いてあった。
 綾は即座に加奈の手元へと視線を移し、そこにプリンが無いことを確認する。
「こら、加奈ー。こんな所にプリン入れちゃダメでしょ」
 弱弱しい目線を上にして、加奈は答えた。
「だって小さいおじちゃんが食べたいって言ってたんだもん」
「小さいおじちゃん……?」
 加奈はまだ幼稚園児だが、来年にはお受験を経て私立の小学校へ進学する予定だ。将来はバリバリ働くキャリアウーマンにするつもりで、綾は今まで育ててきた。間違ってもナントカ星から来て、果物の馬車に乗ってますなどと言うキャラに育てる気は無い。新宿のデパートにひとたび出掛け、試食のおばちゃんに「お嬢ちゃん、どこから来たの?」と問われれば、「チバ」と答えられるくらいには教えてある。
 それ故、加奈の言葉はいささか衝撃的だった。綾の中で、小さな憔悴と混乱が湧き起こる。
 だが、そんなことに加奈はお構いなしだ。
「見られると恥ずかしいんだって。だからフタして隠してあげたの」
 綾は、加奈に可愛らしさを微塵も感じられなかった。いよいよ育児の危機だ、将来の破滅だ。
「あっそう。おじちゃん、美味しかったって?」
 加奈の手を引いて歩き出した綾は、半ば投げやりにそう尋ねた。
「うん、ありがとうって言ってた」
 その答えに、綾は自ら質問したことを悔いた。

 家に帰ると、テレビを見ながら寝っ転がっている夫の幸成が見えた。大体、父親がこうだらしないから、娘もいい加減になるのだ――綾は思った。
「ハハハハ」
 自分を嘲笑するかのような幸成の声に、綾は段々苛立ってきた。
「あなた、休みの日くらい加奈の相手してあげたらどうなの?」
「うるさいな、休みの日くらいゆっくりさせてくれよ」
 すぐに応酬する幸成に、綾は更に腹が立つ。
「自分のことばっかり優先して、私も加奈も結局ないがしろにされてるじゃない」
 綾の言葉に、幸成は体を起こした。
「じゃあ、お前は俺を大切にしてるのかよ。大体、結婚指輪は見つかったのかよ?」
 その言葉は、幸成の取って置きの攻撃だった。結婚指輪を失くしたという落ち度は、綾にとって致命的な急所だ。
「ママー!」
 ふと台所の方から、加奈の声が聞こえた。
 これはまさに救いの声だ――綾は気前良く反応して、幸成の前から退却する。

「加奈、どうしたの?」
 冷蔵庫の前に加奈が立っていた。
「見てー」
 加奈はそう言って、足元を指差す――冷蔵庫の陰に見えたのは、ダイヤの指輪だ。
「え、加奈が見つけてくれたの!?」
 加奈は首を横に振って答える。
「小さいおじちゃんが見つけたの」
 その言葉に、綾は何とも言えない説得力を覚えていた。
「プリンのお返しだって」
 綾は加奈に可愛らしさを感じて、優しく頭を撫でてやった。そして指輪を拾い上げ、左手薬指にはめると、再び戦場へと赴く。

「あなた、ちょっと加奈と遊んであげてよ」
 再度の宣戦布告だ。
「だから……それはお前が指輪見つけた後だな」
 そう言い終わるや否や、幸成の目に光線が走る。
「そ、それは……」
 微笑む綾。たじろぐ幸成。


 それから時々、綾は郵便受けにプリンを入れて、フタを下げるようになった。
 小さいおじちゃんには、まだ出会えていない。

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血の宿命! ( No.7 )
   
日時: 2011/09/18 01:12
名前: ラトリー ID:P1yBaAs.

 腹部に走る強烈な衝動を、抑えることができない。
 まるで自分の身体ではないかのようだ。暴走寸前の本能が理性を駆逐しようとしている。近づいた者に見境なく襲いかかり、相手を絶望に陥れることに何らのためらいも示さない。そんな危険きわまりない状態だ。
 そう、今の私はひどく飢えている。どうしようもない飢餓の苦しみに喘いでいる。全身が危険信号を発している。食え、食えと無慈悲な催促を続けている。その声は次第に大きくなるばかりで、決しておさまりそうにない。
 だがしかし、目当ての獲物は郵便受けの中にあるのだ。しかも半分かじられたみたいに削り取られている。あんなものを食べるなんて、いくら私でも人間としてのプライドが許さない。そこまで落ちぶれたつもりはない。だから、さっさと回れ右をして――
 だが私の願いに反して、左手はふたを開けたままでさっきからずっと待機している。止まることのない生存欲求を満たそうと、かじりつくように食べかけのプリンを見つめている。その姿はまさに生ける屍、神から見放された不死者のごときだ。
 やめろ、やめてくれ。心の中で懇願する声をあざ笑うかのように、私の右手は郵便受けの中へとのびていく。ご丁寧にもこぎれいな皿に載せられたプリンは、何者かにかじられた側をこちらに向けている。今度はあなたが食べる番よ、とでも言いたげに。
 もう我慢できなかった。淫らにも人間様を挑発する洋菓子を目の前にして、この手で、この口で征服しなくては気がすまなかった。私は皿の上の生贄をとりあげ、手づかみで口へと運んだ。あまりにも強く握りすぎたせいで、ぬるぬるの破片が周囲に飛び散った。残酷なふるまいにおよんでいる感覚が強まり、かえって心地よかった。
 これこそ血の宿命なのだ。何度も言い聞かせながら、私は懐かしい触感を楽しんだ。

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「お姉ちゃん、やっぱり食べたんだ。あのプリン」
「まあ、ね……」
「郵便受けの中に置いたのに食べるなんて、すごいよねー。冷蔵庫と勘違いしたの?」
「してない。トイレに起きたらプリンの匂いがして、お腹が空いちゃったんだもん……でも、頑張ったんだよ。絶対食べるもんかーって、迫りくる食欲と戦ったんだから」
「何分くらい?」
「……十秒くらい」
「実験報告。わが家のお姉ちゃんは郵便受けに入れたプリンに対し、かじられたみたいな跡があっても十秒と経たずその食欲をふるうものである」
「しょぼーん……」
「朝昼晩の食事はちゃんとお母さんが作ってくれるのに、なんでお腹が空くの?」
「いや、東京にいた時にね。一日一食とか普通だったから、ずいぶんケチくさい性格になっちゃって。それで我が家に帰ってくると食欲がわくっていうかさ、とにかくたくさん食べたくなるんだよね」
「まったくもう、たまに実家に帰ってきたと思ったらこれなんだから……」
「いいじゃないか、母さん。きっと耀子も弟の手作りプリンが恋しかったんだ。それだけ聡の作るスイーツがおいしいってことだよ。なあ、耀子?」
「う、うん、まあね。でも、一番の理由は別のところにあるのかも」
「何よ」「何だい」「何、お姉ちゃん」
「ほら、うちってたくさん食べる人が多いから。亡くなったおじいちゃんやおばあちゃんも大食漢だったじゃない。今だって、みんな朝っぱらからご飯三杯もお代わりしてるし」
「……?」
「だからさ、これも『血の宿命』ってヤツじゃないかと思ったわけ。英語にするとThe Destiny of Blood。デスティニーだよ、ブラッドだよ。ワオ、カッコイイ!」
「アホらし。はい、もうご飯のお代わりは終わりね」
「耀子、その言い分はおかしい。さすがに頭冷やした方がいいんじゃないか?」
「お姉ちゃん、言い訳はよくないよ」
「ぐさっ」
「あと、あんたは東京に帰るまでおやつ抜き。シュークリームもカステラも、バウムクーヘンも杏仁豆腐も和三盆も全部禁止。分かった?」
「……しくしく、これぞ血の宿命か。ぶはっ」
「わっ、お姉ちゃんの鼻から血が」
「テーブルの下にチョコレートの破片があるな。それに頭冷やすどころか温めてるじゃないか。懲りない奴だな……」
「没収!」

メンテ
虚穴 ( No.8 )
   
日時: 2011/09/18 01:26
名前: 片桐 ID:a1xijYQ2

 太陽を見るとくしゃみが出るのはなぜだろう。長年気になるようでいて、その原因をあえて探ろうとは思わない。ただ、くしゃみをするとなんとなくすっきりするから、朝陽を浴びると自然と眼をそちらに向けてしまう。今日も俺はいささか芝居がかったくしゃみを三度ほどし、いそいそと郵便受けに手を伸ばした。
 新聞と近所のパチンコ屋から送られてくるハガキを取ると、近所の人にだらけた姿を晒すのも憚られると思い、そそくさと踵を返す。
「ん?」と思わず口にしたのは、残像の中に、奇妙なものが残っていたからだ。自然と振り返り、郵便受けの中を改めて見る。あきらかにそれは――。
「プリン、だな」
 つぶやいて、我ながら間抜けな反応だと思ってしまった。M社から発売されている、焼きプリンだ。しかし、いったいなぜ郵便受けの中に入っていたのだろう。俺は訝しみながらもプリンを手にする。カップ上部の封はそのままの状態で、誰かがごみとして捨てたわけではなさそうだ。
「ああ、そういえば」
 またつぶやく。一人暮らしが長く続くため、寂しさを紛らわすためにそんな癖ができているのだ。
「そういえば、俺、昨日このプリンを買ったじゃないか」
 俺は疑問が氷解したといった風に頷き、事の顛末を想像する。
 きっと、門の近くでプリンを落としてしまい、近所の人がそれを俺のものだと思い、郵便受けに入れておいてくれたのだろう。昨日は帰りが遅かったから、寝ていると思ってあえて呼び鈴を鳴らすこともしなかったんだな。
 朝から善意に触れた思いで気分よく家の中に戻る。居間に腰を下ろすと、せっかくだから朝食として食べようと思い、プリンの封を開けた。
「ん?」とまたまたつぶやく。「なんでだ?」
 見れば、プリンの上部表面に、ぽっかりと穴が空いていた。まるでスプーンでそこだけくり抜いたように、凹んでいる。食べかけのプリンといったところだろうか。
 俺は記憶を改める。確かに封はしてあった。それを俺は開いて、今から食べようとしたのだ。なのになぜ、食べかけプリンになっているのだ。
 封を調べても、小さな穴が空いているようには見えない。注射針で、吸引したわけでもないだろう。ではどうやって封をしたままプリンを食べたのだろう。いや、待て、これが昨日俺の買ったプリンであるなら、昨晩誰かがうちに侵入したのではないか。そうだとするなら、なぜこんな中途半端な嫌がらせをするのだろう。
「わからん」
 そう。わかりようもないことだった。
 結局俺はそのプリンを廃棄し、朝の支度を済ませると、仕事に向かった。
 仕事をしていればそんなささいな疑問などこかに消えて、すべては日常に帰った。

 翌朝、今度は食べかけのゼリーが郵便受けに入っていた。
 なぜだ、と誰にというわけもなく問う。昨日とまったく同じように、封をしたままの様態で、ゼリーの上部表面真ん中あたりにぽっかりと穴が空いていた。戸締りは確認したあずだというのに、一体なぜこんな事態が起きているのかさっぱりわからない。不気味ではあるが、恐怖すべきかどうかもわからないのだ。
 俺はその夜、寝たふりをしながら周囲を警戒しつづけた。寝られるはずもなく、時計の秒針が進む音を聞きながら、鼓動を高鳴らせる。

 しゅぽん。

 不意にそんな音が聞こえた。排水溝に水が呑まれるような音だ。
 電気を点けると、テーブルの上から、一冊の文庫本が消えていた。
 侵入者がいなかったのは間違いない。それでも確かに置いていたはずの文庫本が消失しているのだ。まさか、と思い、玄関を飛び出て、郵便受けの確認に向かう。
 そこに、ぽっかりと穴の空いた、俺の文庫本が入っていた。

 仕事をしながら、友達と遊びながら、女を抱きながら、俺はいつもそのことを考え続ける。その不可解な現象の意味を問い続ける。すると、プリン、ゼリー、文庫本。それぞれの消失にはある共通点があるとわかった。それらは居間のテーブルの上のある地点に置かれていたのだ。そして、夜二時半になると、しゅぽんという音と共に一度消失し、ぽっかりと壱円玉サイズの穴をあけた姿で、郵便受けの中に移動する。なぜそんなことが起きるかはわからないが、確かに起きる、ということは疑いようもない。
 俺は毎日そのポイントにさまざまなものを置いて、その消失と出現を繰り返し続けた。異次元の入り口と出口が我が家の中にあるようで、興味は尽きない。
 
 あるとき、俺はふと思いつく。
 ドーナツを置いたらどうなるのだろう。
 もともと穴が空いたものをあえて置いたなら、それはどういうものとして再び現れるのだろう。まるでいたずらを思いついたように、俺はほくそ笑んだ。
 深夜、それはしゅぽん、と消える。
 俺は期待を胸に郵便受けを覗きに出かけた。
「なんだよ」
 期待は外れに肩を落とした。ただのドーナツがそこにあるだけだ。
 ドーナツを手にして、もうこの遊びもいいか、と踵を返し始めたとき、俺はある異変に気づいた。ドーナツの穴に入れた俺の親指が消えているのだ。いったい何が起きているのだろうと、家に戻って灯りのもとで確かめる。すると、灯りの中にあるというのに、ドーナツの中心が暗い。まるで、光を飲み込むように、そこだけが異質な空間としてそんざいしている。
 俺は指を突き入れ、突出し、その謎の空間に体の一部が出入りするさまを楽しんでいた。そして、なんとはなしに、その穴を眼前にもってきて、覗いてみる。
 
 しゅぽん。

 突如世界は闇になった。
 動けない。見えない。聞こえない。
 それでもわかることは、俺の体がどんどん丸まっていくことだ。
 俺は丸まり、縮小していき、最後はきっと球になる。ちいさなちいさな球になる。
 そしていつか、球が破裂したとき、俺は無限に拡がるのだ。
 意識さえ縮小していくなか、懐かしく甘い味をかすかに感じた。

メンテ
感想の巻 ( No.9 )
   
日時: 2011/09/18 22:29
名前: ウィル ID:TdC8KZhU

>水樹さん
河童のジョニー。日本の妖怪なのにジョニー。
新鮮で親しみのもてる河童ですね。
四川河童大銀行って中国に住んでるんですかね。なのにジョニーなんですね。
いろいろな笑いのポイントがあって楽しかった分、弟が欲しいという結末がかなりグロかったですw

>弥田さん
 弥田さんワールド全開ですね。プッチンプリンの赤を愛するセンスは脱帽です。そこから血の色と比べるなんて……なんてさわやかとは程遠い朝なのか。
 考え込めば考え込むほど面白い、するめのような小説です。

>無線さん
 オチがいい。もう全ての文章がこのオチに持っていっているような気がして面白かったです。あと、静寂になれると冷蔵庫の音が気になるのは共感もてました。

>湊
 普通の彼女なら最後の告白を聞いて、比べる気準そこ!? と思ってしまいそうですけれど、なんか胸キュンになりました。

>桜井隆弘さん
 小さいおじさんはみんなの心の中にいるんです……すみません、感想します。
 小さいおじさんと加奈ちゃんとの話もおもしろいですし、綾と幸成の指輪をとりまく力関係の変化もおもしろかったです。

>ラトリーさん
 前半の重い文章が後半軽くなりすぎて大気圏突破くらいです。好きです、こういう話。
 血の宿命ですね。英語になおすとなおいいですね。

>片桐さん
 企画お疲れ様です。
 さてさて、感想。お題がシュールなのに、内容が輪をかけてシュールですね。ドーナツなだけに輪をかけて……
 意味わからない感じも、本来ならシュールすぎる感じも、このお題にちょうどあっていい具合になっていると思います。

>全体
 難題でしたね。プリンが……しかも食べかけのプリンが郵便受け。うん、そんな経験は皆さんないでしょうね。私もないです。でも、だからこそなんでプリンが郵便受けに? と考えるのは面白かったですね。

>自作
 あぁ、犬飼いたい。

メンテ
六日後の感想 ( No.10 )
   
日時: 2011/09/23 23:41
名前: ラトリー ID:KDp0AYcA

>ウィルさん
 動物ネタキター。それなりに読んでいるはずなのに、この手の流れにはいつも一本とられちゃいますね。今回の場合、限られた時間の中で話のもっていきかたがうまいんだと思います。頭が柔らかいというか、鋭いんでしょうね。お見事です。
 雌犬に会いてぇ、の一言が、なぜかとても切実に見えてくる今日このごろ。

>水樹さん
 河童と人間の交流物語って、もっとこう素朴でほのぼのしたストーリーを連想してしまうんですが、こんな感じの展開もアリですね。不気味な妖怪に酒を提供する少年。こういう、ほどほどに常識のぶっ壊れた世界の日常をのぞき見るの、嫌いじゃないです。むしろ、たぶん好きです。

>弥田さん
 プッチンプリン、の字面を見るとScatman氏を思い出します。もっといろんなことを知っていれば彼を話題に書けもしたのに……なんてことはさておき、朝の気だるい雰囲気がそのまま伝わってくる文章でした。これが夜に書かれたというのも不思議な感じです。みぃ子がどういう存在なのか(確か、少なくとも人だったはず……?)、全然語られていないのがかえって不気味ですね。

>無線さん
 最後の一文のインパクトがすごいです。これがもしフィクションじゃなくて、誰か有名人の実話エッセイとかだったら……なんて想像してみたくなるほど、切り取られた風景に現実生活のリアルさがしみこんでますね。一人暮らしもやや遠い昔の話になりつつありますが、読み終えて当時の記憶がじわじわと甦ってきました。

>湊さん
 おお、長い。ボリュームがありますね。広い意味での「日常の謎」かな、と読書傾向の偏りゆえに考えてみたり。「食べかけのプリン」という素材の使い方としては、個人的にいちばん好みです。前後不覚になるまで酔っぱらった経験はほとんどないんですが、恋に破れれば大いにありうるんだろうな、と。

>桜井隆弘さん
 小さな子って、ふしぎなものを見ているもんなんですね。その子にとっては嘘じゃなくて、本当に「見えて」いるんだけど実在するかといえばまずないだろう、と思えるもの。でもそういうところにこそファンタジーが現代でも成り立つ要素が隠れてるんじゃないか、と考えたりします。考えてるだけで、実際に書いてみようというところまでは至らない……のですが。
 小さいおじちゃん、をどうとらえるかは、まさしく読む人次第なお話ですね。変に正体を解釈しないで、ここで留めておくのもアリだと思いました。

>片桐さん
 練りこんでありますね。このアイデアはかなりひねらないと出てこないと思います。最近の片桐さんの企画ものの中ではいちばん好みかもしれません。テーマが「食べかけのプリン」であることを考えれば、得体の知れない何者かがプリンやゼリーや本の上部をくりぬくように「食べて」いるわけで、それを文中で匂わせてあるとより衝撃的になりそうですね。
 さらにふくらませると、ショートショートのネタとしてしっかりしたものができそうな予感があります。「仕事をしながら、友達と遊びながら、女を抱きながら」のあたりをもうちょっと書いてみたり、とかですね。どなたかがチャットで言っていましたが、人間とか主人公以外の生き物系を置いてみるのも面白そうです。

>わたしの
 改めて見ると、展開に無茶がありすぎと思わざるをえない。昔TCに投稿した「血の宿命」を相当量引用してます。やってしまった。

メンテ

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