とあるカメラマンのお話。
写真を撮る。それが金時雄輔、通称ユッちゃんの仕事だ。それも競走馬の。朝はトレーニングセンターのトラックでカメラを構える。一流馬だろうがクレーマーレベルでも撮る。「いつかそいつ成功した時、価値がある気がして」そうユッちゃんはいつも言っていた。週末の午後には競馬場に足を伸ばしてレースの写真をとる。パドックの写真も撮っておくが、気合を入れて撮っているわけでもないようだ。

ユッちゃんはいつも馬の周りにいて写真を撮って行く。よって彼のカメラが日常的な風景を切り取って行く。あくびをするG1馬。かわいい牝馬に向かっていく優等生？なオープン馬。ユッちゃんはそれを一言のコメントとともに某青い鳥SNSにアップする。それはファンの間で競走馬の素顔が見えると人気だそうだ。

彼は記事を書くことはない。「俺は記者じゃないからな」彼はそういい、写真を撮り、それをライターなどに売り渡したりするだけだ。彼は記者ではないが、競馬関係者と親しく、とんでもない裏情報を握っていたりする。彼はその事を話したりしない。「いい写真を撮らしてくれる関係者を裏切らないように」彼が言うに、厩務員はふと、ポツリととんでもない爆弾を投下することがたまにあるそうだ。

ユッちゃんは競馬関係者によく知られている。関係者にインタビューするわけでもなく、ただひたすら写真を撮り続ける無口な年齢不詳のカメラマン、というのが共通認識のようだ。しかし、何故ユッちゃんが競走馬の写真を撮り続けているのか知る人はいない。ユッちゃんの素顔を知る者もいない。が、皆ユッちゃんの事を信用しているというのは、よく分かる。

少し不思議で無口な男は今日も、舞台裏で写真を撮っているはずだ。そして明日も、そしてその明日も。




この記事は僕が発掘した僕の兄についての記事だ。僕は兄に会ったことはない。年上でカメラマンだということ、そして金時雄輔という名前だという事。それだけしか知らない。毎日青い鳥なSNSをチェックしているが、馬の写真ばかりで本人の人柄は全く見えて来ない。僕はたった一人の家族に会いたいが、勇気はない。誰も素顔を知らないユッちゃんと言う男が本当に僕の兄だという保証はない。それに、相手が僕の事を認識しているかどうかも分からない。だから僕はただ、待っているだけなのだろう、何かが起こるのを。
ローズ
2014年10月01日(水) 14時49分53秒 公開
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■作者からのメッセージ
特になし。

そして続きません。

十月三日少し編集しました。
この作品の感想をお寄せください。
No.6  ローズ  評価：0点  ■2014-11-13 00:29  ID:3e88VX7UizM
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田中さん、感想ありがとうございます。雰囲気がよかったと言っていただけて、本当嬉しいです。
No.5  田中  評価：40点  ■2014-11-12 22:43  ID:xhUpKw9x9wo
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読ませていただきました。

このお話、とてもいいなと思いました。
ほんのり切ないというか、いい雰囲気が出ているように感じました。
こういう構成で、自分も書いてみたいなあ、と思ってしまう題材でした。

これからも頑張ってください。
No.4  ローズ  評価：--点  ■2014-10-05 19:21  ID:JRdJZW/4KHM
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YEBISUさん、感想ありがとうございます。

次はもうちょい意味不明ではない話を書けるようにします。
No.3  YEBISU  評価：10点  ■2014-10-05 18:54  ID:tW2CCrGCAPI
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読ませていただきました。
‥意味不明ながら、引き込まれるような文章でした。筆の運び方が達者というか。僭越ながら、とても深い可能性を感じました。
ただ、この作品に関しては、ちょっと評価のしようがないというか‥。
う〰ん、うまい表現が見つからないんだけど、次の作品に期待しています。
No.2  ローズ  評価：--点  ■2014-10-03 19:20  ID:JRdJZW/4KHM
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感想ありがとうございます。

文法作法の件、ご指摘有難うございます。
長い話の冒頭ではありません。でも確かにそういう印象になってしまいました。
No.1  天祐  評価：10点  ■2014-10-03 18:43  ID:ArCJcwqQYRQ
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拝読しました。
長いお話の冒頭部分のような印象ですね。
浅く断片的でちょっとお話の内容について感想を述べるには無理があるかと。
文章作法（一段下げ）や誤字（写真を取る等）が見受けられます。
ごくごく基本的なところですが、読み手を思って文章を書くという点は、自分の思いを伝える上で意外と重要です。
読者を引き付けようとするなら、もう少しお話の中身を深化させる必要があるように感じます。
偉そうに感想でした。
次回作、期待してます。
総レス数 6 　合計 60点

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