選択



東京都での話だが、清掃車でゴミを収拾していくあのスタッフは、年600は稼げるらしい。
知り合いでその職にありつけて喜んでいる話を人伝てに聞いて、いわゆる3Kに近い仕事なのに、なにがそんなにうれしいのかと思っていたが、そういうわけだったのだ。

この世界に生を受け、生きていく上でお金が何よりも大切だと思いたくはないが、現実はまさにその通りであり、この世界は完全にこの貨幣経済に支配されている。


とまれ、お金が正義であり、すべてにおいて優先する。お金のないものは、人生の敗残者として、日々の生活に追われるだけで、その一生を終える。
だから、お金を得るためにバレないようにやればいい、法に引っかからないようにうまく立ち回ればいい、そういう考えがあたりまえのごとく横行する。

詐欺、横領、恐喝、強奪、窃盗等々、お金だけではなく、いわゆる殺人であるとか、レイプであるとか、ありとあらゆる犯罪もバレなきゃいいわけだ、という考えが世にはびこり、犯罪がなくなることはない。


この金が世界を支配するであろうことを見据えていた実に卑しい魂の持ち主たちがいた。
そして、金で金を生むことだけを真剣に考え続けた結果、中央銀行制度なるものを考案した。
それは、それをつくりだした一族のみに世界の金が集まってくるというシステムだ。
それに、あろうことか通貨の発行権を個人が所有しているという事実に、震撼しない人はいないだろう?
かのリンカーンもドルの発行件を政府に取り戻そうとして暗殺されている。


You! 神は死んだ!とか、ニーチェさんだか、ジャニーさんが言ったらしいが、お金を至上のものとするこの世界で、神を殺したのは人間自身なのだ。
新しい「カネ」というカミが支配するこの世は、だから悲惨極まりない犯罪に満ち満ちている。
神などいないのだから、法に抵触しない程度にうまく立ちまわってカネを稼がなきゃバカだ!いい女を手に入れるためには、カネが必要。一流大学を出て一流の企業に就職するのも、すべてはカネの為。そういう世界。

お金が真の神ならば、遠の昔に世界は救われている。お金は、格差を生み、差別を生み、犯罪を生む諸刃の剣だ。


新世界秩序などという、人類家畜化計画ではない、ほんとうの意味での新世界を生みだすのは、若い君たちの双肩にかかっている。君たちの「選択」にである。

「カネ」か「カミ」か?


目の前で鈍く光るジュラルミンのケースの中で唸っている一億円の札束。
その札束と目には見えることはない「神」のどちらを選ぶかを迫られたならば、誰しもが躊躇なく札束を取るだろうか?
浅井えむ
2018年05月23日(水) 15時48分03秒 公開
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No.2  浅井えむ  評価:0点  ■2018-05-29 15:25  ID:6Vc7lNV5uso
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gokui さま。
ご感想ありがとうございました。
たしかに物語性は、読み物としての小説に必要かもしれませんが
元来私は物語性には興味がないんです。
というのは、言い訳ですが、時間に余裕が出来たら肉付けしてみたい
とは思っています。でも、たぶんやらないでしょう。笑

ありがとうございました。
No.1  gokui  評価:30点  ■2018-05-26 14:28  ID:ZrBl7UsOaOU
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初めまして、gokuiと申します。
伝えたいことがはっきりしていてわかりやすいところは評価できます。ですが、物語性に欠けているためか、パンチ力がなく、共感できるところまではいきませんでした。
「カネ」と「カミ」の物語、わかりやすくて良いテーマだと思いますよ。次はもっとストーリーのある小説を期待しています。
総レス数 2  合計 30

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