烈日
 烈日の陽を浴びて溶解するほどに熱をもったアスファルトの上を僕は歩いている。
 ここでゲロを吐いたら、と僕は考える。ここでゲロを吐いたら、お好み焼きになりそうだなと思い、シュウシュウとゲロが焼けて、鼻腔をつく匂いまでを想像して、 独笑した。
 孤独にへらへらと笑っていると、前方から全裸の男が下痢を漏らしながら歩いてきた。下痢はアスファルトの上でシュウシュウ焼けて、汚臭を放っている。僕は嫌悪感を感じつつもしかし何処か惹かれるその臭いを意識的に鼻をすんすんさせて嗅いだ。天国の匂い。
 下痢を漏らしながら歩いている男は、僕の前で停止し、話しかけた。
「いい天気ですなあ! こういう時は外で全裸で下痢をするに限りますよ!」
 男はそう言った。ふと気付くと、どういうわけかペニスを勃起させていた。それをちらちらと下目で見つつ、
「私はさきほど、ゲロを吐くことを考えてました。あなたのおっしゃるように、こういう青空の日には、天下で汚物を垂れ流したくなります」
 僕はそう言うと男は、アッー! と声を上げて射精した。黒いアスファルトの上を散らばる白い精液。それを見て僕は美しいと思った。
「あなたもどうですか。汚物を吐いてみては」
「吐きたいところですが、あいにく、ゲロが出そうにありません」
「指をつっこんでみては」
「なるほど」
 僕は咽喉に指を突っ込んだ。やがて胃がビクビクと痙攣し、ゲロが溢れてきた。そしてアスファルトの上にたっぷりと嘔吐した。嘔吐物は熱したアスファルトの上でシュウシュウいって悪臭を放った。天国の匂い。
「ハハハ!」
 と男が笑って、僕も笑った。
 そこへ14歳の美少女がやって来た。美少女はオッドアイで、片目は青くて、もう片方の目は赤色だった。背中から翼が生えていた。
 少女は僕たちの吐いた下痢や精液や嘔吐物を、ナイフとフォークを上手に使って食べ始めた。汚物は十分に火が通っていて、食べ頃だった。
 ふと、無数の少女――いずれも背中に翼が生えていた――が、空からカラスの群れのようにバサバサと音たてて降りてきて、僕たちの汚物をこぞって食べ始めた。
「これはどういった事象でしょうか」
 僕はそう言うと、
「天使ですよ。ここがあまりに天国なので」
 全裸の男はそう言った。
 僕たちは天使を強姦した。天使達は淫乱で、あっけなく自分から股を開いた。股にはペニスとヴァギナとの両方があった。ペニスの下に薔薇のようなヴァギナがあった。僕たちはヴァギナに挿入しつつ、ペニスを撫でた。やがて僕たちは器官を痙攣させてイキまくった。
 天使達はことを終えると、バサバサと飛んでいき、電柱から伸びている電線にとまった。電線の上でならんでいる天使達の群れは、ここから見ると、逆光で真っ黒に見えて、不吉な様相を呈していた。
 ふと猟師と思われるライフル銃をもった男に、天使の一人が、射殺された。血をまき散らしながら、脊椎を撃たれた天使が落ちてくる。猟師は次から次へと射殺していく。そして落ちた天使を、ナイフで解体しはじめた。主要な肉をとり、軽トラにのせて帰っていった。
 天使達はみな撃たれていなくなった。すでにあたりは夕焼けのオレンジ色が覆っていた。
 僕と全裸の男はなんとなく手持ち無沙汰で、仕方なくアナルセックスをした。女の膣にではなく、男の直腸に放たれた精液は死んでいく。例外なく死んでいく。ああ、夢のように死んでいく。
 性交を終えると、いつしか辺りは真っ暗になっていた。
昼野陽平
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2014年03月01日(土) 18時07分43秒 公開
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■作者からのメッセージ
ありがとうございます。
よろしくお願いします。

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No.4  昼野陽平  評価:--点  ■2014-03-05 17:42  ID:NnWlvWxY886
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>楠山歳幸さん

感想をありがとうございます。
思想的なのがちょっと入ってる作品はけっこう書いてるので、どの作品かわかりませんが、嬉しいです。
自動書記的ですが、うまくまとめようという意識はちょっとありました。
凄いとのお言葉、励みになります。
ありがとうございました。
No.3  楠山歳幸  評価:40点  ■2014-03-05 00:26  ID:3.rK8dssdKA
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 読ませていただきました。

 自分の好みで恐縮ですが、以前昼野さんの作品で、うまく言えませんが思想的というか、心理的みたいな所が少し入っている作品を読ませていただいたのですが、その作品がゾっとするほど凄かったです。
 今作も、自動書記的にとありますが、まとまっていてそして迫力を感じました。
 僕も素直に凄いと感じました。
 失礼しました。
No.2  昼野陽平  評価:--点  ■2014-03-02 16:13  ID:NnWlvWxY886
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>片桐さん

感想をありがとうございます。
自動書記的にだだっと書いたもので、どうだろうと思ってましたが、高評価でうれしいです。励みになります。
ありがとうございました。
No.1  片桐  評価:50点  ■2014-03-01 21:38  ID:n6zPrmhGsPg
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こんにちは。
これは良いっすね。あるいは、久しぶりに昼野作品を読んだからかもしれない。でも、今この瞬間、素直にすげーって思いました。
以上、ごく簡単な感想でした。それでは。
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