秋の日の、友の集う学び舎にて
 窓から入ってくる光が弱まったことに気がついて、ふと顔を上げた。斜めにさし込む金色の光が、教室に舞う埃をきらきらと輝かせている。
 ボウディスの夕陽は息が長い、というのだそうだ。故郷から鉄道で四日もかかるこの地方では、空気の乾きも、陽射しの加減も、夕暮れどきに日が沈む速度まで、何もかもがまるで違っている。何より、周囲に崖も高い山も見当たらず、どこまでも広がる平地に、町並みが延々とつづいている。そのことが、ここにきて二年以上になるいまでも、ときどき不思議に思える。
 気が付けば、教室にはもう誰も残っていなかった。さっきまで床にくっきりと落ちていた自分の影が、いつの間にかぼんやり滲んでいる。しらないうちに抜け落ちていた、自分の羽根を拾うと、それは夏羽の残りだった。ああ、秋なんだなあと思うと、なんだか感慨深いような気がした。
 腰を上げて、ゆっくり筆を洗う。顔料の瓶に蓋をする作業にも、とても気を遣う。四本の鉤爪のついた手は、人間種族のそれと比べれば、まったく繊細な作業に向いていない。筆をとって絵を描いている間よりも、むしろ道具類を片付けているときに、よくそのことを感じる。
 画材はどれも、驚くほど高い。友人たちは、よく使わなくなった道具やあまった顔料を分けてくれるけれど、それでもとうてい追いつかない。
 アルバイトをしなくてはならないな、と思う。事務局に出向いていけば、学生向けの求人は案外いつでも並んでいる。友人いわく、ここの学生には金持ちのお坊ちゃんが多いので(この言葉を使うとき、ワーキリーは少し顔をしかめた。彼の家は貧しかったというので、思うところがあるのだろう)、面倒なアルバイトなど、引き受けたがる者は少ないらしい。
 だけど応募はしてみても、向こうのほうで、なかなか雇ってくれない。もう少し南の地方なら、あんがい蝋羽族ろううぞくの出稼ぎも目につくのだけれど、いかんせんこのあたりは、ぼくらの領土からは遠すぎて、人々はぼくらの姿になじみがない。
 窓を開ける。溶剤の強烈な匂いにすっかり麻痺してしまっていた鼻が、新鮮な空気を嗅いで、ようやく生き返った。


 遠回りになる渡り廊下を選んで歩いたのは、夕食を、友人とともにとりたいと思ったからだった。ここの人たちはたいてい、食事を一人で摂ることに抵抗がないようなのだけれど、ぼくはどうにもそれが味気なくて、好きになれない。
 知った顔に行き会うと、肩を軽くゆすって挨拶に代える。そんなジェスチャーは、本来なら流儀ではないのだけれど、故郷の習慣を持ち込んで大きく翼を広げると、狭い廊下では、ひどく往来の邪魔になる。かといって、人間種族のまねをして鉤爪のついた手を振り上げると、かれらにはときに、それが脅威にうつるらしい。それで仕方なく、かわりに挨拶らしくみえる仕草を考えた。正確にいうと、ワーキリーと相談して決めた。最初はぎこちなかったのが、このごろようやく、さりげない挨拶ができるようになったと思う。
「よう、アカアシ。ご自慢の羽根が絵の具だらけだぜ」
 にやにやしながら声をかけてきたのは、シャガンだった。彫刻を専攻している同輩で、いまにも動き出しそうな、躍動感のある像を彫る。かと思えば、ひとたび神像や精霊像を作らせると、そこには見る者を思わず畏怖させるような、厳粛な静けさが滲みだす。ぼくらは皆、年に二回ある大きな展覧会――天暁展にあわせて、普段の習作とはべつに、半年がかりで気合を入れた作品を仕上げる。前回、シャガンが出展していた女神像には、まさに神の息吹が宿っているようだった。というよりもむしろ、ほんものの女神が天から降りてきて、なにかの神秘的な力でそのまま石化したんじゃないかと思うくらいだった。
 シャガンは天才なのだと、みんながいう。そして一度でも彼の作品を見たことのある者は、その話を否定できない。その素行の悪さもあって(悪い、らしい。誰もが口をそろえてそういう。ぼくには集団生活における人間種族のモラルが、いまだにうまくのみ込めていない)、学内でもとびきり有名な男だ。
「もうこの頃じゃ、自分でも、落ちなくなった絵の具と、もとの羽根の色と、だんだん区別がつかなくなってきたよ」
「嬉しそうにいうなよ」
 シャガンはさもおかしそうに笑って、それから首をひねった。
「今日はワーキリーと一緒じゃねえのか、珍しいな」
「それが、お母さんが会いにきてるっていうんで、一緒に出かけちゃったんだ」
 ふうん、と相槌をうって、シャガンはなんとなく、面白くなさそうな顔をした。どうしてそんな顔をするのか、訊こうかと思ったけれど、やめた。シャガンには、詮索されるのを嫌がる傾向がある。
「ねえ、君はもう夕食は済ませた? まだなら、一緒に食べてもいいかな」
 訊ねると、シャガンは肩をすくめた。
「野郎とツラを突き合わせて飯を喰うってのも、なんつうか、色気のねえ話だよな。まあ、べつにいいけどよ」
 一瞬、その言葉に驚きかけて、それから、ああ、と思った。何回聞いてもつい忘れてしまうのだけれど、人間種族には発情期というものがなくて、健康な若者は、できることならいつだって、魅力的な異性にアプローチしたいのだ。(……と決め付けたら、前にワーキリーに怒られた。みんながみんな、そういうわけでもないらしい)
 でもこの場合は、たぶん、軽口でいっているだけなのだろう。なんといったっていまのシャガンは、生きた女の子よりも、目下製作中の木彫りの美女のほうに、夢中のはずだから。
「噂の大作は、順調?」
 学生食堂に向かって歩きながら、そう訊くと、シャガンは得意げににやりとしてみせた。シャガンは謙遜をしない。次の天暁展が楽しみだ。
 ファナ・ティオトル芸術大学のキャンパスは広い。シャガンと行き会った渡り廊下から延々と歩いて、彫金科の横を通り過ぎたところで階段を降り、いったん玄関を出る。食堂は別棟だ。
 外に出てふりかえると、千人余りの学生を収容する教室棟は、巨大だった。こういう大きな建物を、大勢の人手を集めて、何年もの時間をかけて作り上げてしまうというところが、人間種族のすごいところだと思う。ぼくらには建物を作る習慣がなくて、そのときそのときで住みよい場所を渡っていく。だけどこれだけ頑丈で、機能性に配慮された建物があれば、夏にも冬にも、嵐が来ても、ひとつの場所に長く住み続けることができるだろう。長らく会っていない知人の消息を知るのも、ずっと楽だ。
「なあ、ワーキリーのお袋さんって、美人だったか?」
 シャガンに聞かれて、思わず首を傾げた。ぼくの人間の顔に対する美的感覚と、彼のそれが一致するかどうか、いまひとつ自信がなかったのだ。
「ぼくは、きれいな人だと思ったけど」
 そう答えると、シャガンもそのことに気がついたらしい。舌打ちして、足元に落ちていた木片を蹴った。転がっていく小さな塊は、多分ゴミなんだと思うけれど、もしかしたら、誰かの作品から落っこちた部品かもしれない。拾いにいくかどうか迷っているうちに、シャガンが大声を出した。
「覗きにいってみるか」
 きょとんとしたぼくの背中に、シャガンは腕を回して、にやっと笑った。
「ワーキリーだよ。あんなカタブツのお袋さんが、どんなんなのか、興味あるじゃねえか」
「でも、どこにいったかわからないよ」
「何かいってなかったのか。行き先とか」
「そういえば、せっかく遠くから来てくれたんだから、観光に連れて行くとはいってたけど」
「このあたりで観光つったら、美術館か寺だろ」
 シャガンは本気らしかった。たしかにここから近い観光地といったら、昔の王様が建てて以来二百年の歴史を誇るという、ティオトル美術博物館と、ヴァーディア教の神様を祭るサン・ティトリ寺院の二箇所だけなのだそうだ。この町にやってきたばかりの頃に、そう教えてもらった記憶がある。
「でも、どっちにいったかわからないよ」
「美術館だろ」
 いって、シャガンは裏門のほうに足を向けた。どうしてそういいきれるのか、わからなくて、首を傾げていると、シャガンが振り返って、唇の端を吊り上げた。
「息子が絵を描くのを歓迎するような親なんだったら、真っ先に連れて行きたがるだろうし、逆に反対されてるんだったら、この機会にゲージュツのスバラシサをなんとか理解してもらおうとか、そういうことを考えるだろ。あいつの性格的に」
 真面目だし、なにより芸術馬鹿だからな。そうシャガンはいって、にやりとした。ワーキリーが芸術馬鹿なら、自分だってそうだろうにとは、ぼくはいわなかった。多分シャガンは、あいつと一緒にするなといって怒るだろうから。


 ティオトルの街は、賑やかだ。陽が沈みかかるころには、早々にきらびやかな街灯がともる。通りを行き交う人の数はとんでもないし、大通りの両側にずらりと並ぶ商店には、およそこの世の中にあるものは何でもひととおり売ってあるのではないかと、そう思うほど、雑多な商品が並べてある。
 これでも田舎のほうだと、シャガンはよくいうけれど、これが田舎なら、この国の都会はどんなのなんだろう。ひなびた辺境からやってきたぼくには、とても想像がつかない。あいにく、観光旅行にいくような余裕はいまのぼくにはないけれど、いつか機会があったら、一度は王都の町並みを見てみたいものだ。
 道をゆく人々が、振り返って自分の姿をじろじろと見るのを、ぼくは最初、蝋羽族ろううぞくの姿が珍しいせいだろうと思っていたけれど、しばらくして、自分の服が絵の具に汚れたままだったことに気がついた。学内では、学生のそういう姿は珍しくもないから、すっかり頭から抜け落ちていた。臭うかな。臭うだろうな。
 自分の袖を嗅いでいると、「腹へったな」とシャガンがぼやいた。もともと食堂に行きかけていたのを、いまやっと思い出したらしい。
「美術館の近くで、飯にするか」
 ワーキリー探しはどうするんだろう。そう思いはしたけれど、食事にすることに異議はなかったので、肩をすくめるだけにした。
 ティオトル美術博物館の近くに並ぶ、観光客目当てらしい料理店のひとつの前で、シャガンは立ち止まった。
 それが、どうもそれなりにいいお値段のしそうな店構えだったので(この頃ぼくにも、だんだんそういう見分けがつくようになってきた)、思わず絵の具に汚れた服のポケットをゆすった。心もとない音がする。普段だったら、財布の中身はあまり気にしない。なんせ、学生食堂の食事は安い。とても安い。シャガンはそのぶんきっちり不味いというけれど、ぼくにはそうは思えなかった。味覚が違うのだから、当たり前なのかもしれないのだけれど、ワーキリーも真顔で「この値段にしては、奇跡的にうまいと思うよ」といっていたので、たぶん、シャガンの生家で出されるご飯が、とても豪華だったんだろう。
 財布のほうも心配だったけれど、それだけじゃなくて、あまりいい店だと、そもそも向こうのほうで、ぼくの入店をいやがるかもしれなかった。ぼくはその辺の屋台でものぞくよと、いいだそうかどうか迷っていると、シャガンはきょろきょろと忙しなく辺りをみわたした。
 そんなことをしたって、人通りは多い。これではたとえワーキリーが通りかかっても、見つけるのは難しいんじゃないだろうか。そう思ったのだけれど、結果からいうと、ぼくの了見が違っていた。というのも、
「こんなところで何をしてるんだ」
 探す当人から、そう呆れたように背中を叩かれたのだった。よくよく考えてみたら、ぼくらのほうから人ごみに紛れたワーキリーを探すのは難しくても、逆はそうでもない。ぼくの外見は目立つ。シャガンは最初からそれを見越していたのかもしれない。
「お、やっぱりここだったか。駄目だな、優等生君は。プライベートのときまで、絵のことしか頭にねえってのは、世界が狭すぎるんじゃねえか?」
 嬉しそうにからかうシャガンを睨んで、ワーキリーは鼻に皺を寄せた。
「うるさいな。そういうお前だって、こんなところにいるじゃないか」
「お友達? ……あら、あなたはさっきも会ったわね」
 ワーキリーの背後から、お母さんが顔を出した。小柄なので、姿がすっかり息子の背中に隠れていたらしい。どうも、と頭を下げると、ずいぶんと丁寧にお辞儀を返された。なんていうか、感じのいい人だなと、あらためて思う。ぼくの姿を見ただけで怖がったり、嫌そうにする人は珍しくない。思えば、昼に一度あったときから、ワーキリーのお母さんはすぐに、笑顔で挨拶してくれた。
「うちの子が、いつもお世話になってます」
「アカアシはともかく、シャガンの世話になんかなってないよ」
 むすっと答えるワーキリーは、見たことのないような表情をしていた。その不機嫌の理由がよくわからずに、戸惑っていると、シャガンが「照れてるんだろ」といって、にやりとする。それをきっと睨みつけて、ワーキリーは唇を引き結んだ。なるほど、彼は照れているらしかった。
 結局、四人で連れ立って、近くの食堂に入った。ワーキリーが決めた店は、さきほどシャガンがのぞいたところよりも、ずいぶん気安いところのようで、思わずほっとしながら席につく。周囲の客からは好奇心に満ちた視線が飛んできたけど、さいわい、誰も顔をしかめて席を立ったりはしなかった。
「貴方も絵を描くんでしょう。すごいのねえ」
 料理がくるのを待ちながら、ワーキリーのお母さんはぼくを見て、感心したようにそういった。なぜかそれに対して、ワーキリーがぎゅっと眉根を寄せるのが見えたけれど、ぼくは気にせず、なるべく行儀よく見えるように気をつけながら、お母さんに笑いかけた。どうも、ぼくが全面の笑みを浮かべると、見慣れない人間には、獰猛そうに見えるらしいので。
「こちらに来て長いのかしら?」
「いえ、まだ二年半くらいで。いろいろ、勉強させてもらってるところです。ワーキリーにはいつも、いろいろ教えてもらっていて」
「あらあら。うちの子で大丈夫なのかしら。あんた、間違ったこと教えてたりしないでしょうね」
 その言葉には、思わず目を丸くしてしまった。ワーキリーのお母さんは、自分の息子がどれくらいすごい描き手で、周りからどれだけ高い評価を受けているのか、ちっともしらないのだろうか。
「ワーキリー。もしかして賞をとったこと、お母さんにいってないの?」
 思わず本人に訊くと、ワーキリーはなぜか、気まずいような顔をした。お母さんは、あらまあこの子ったらと、呆れ声を上げた。
「教えてくれたらお祝いするのに、なんで黙ってるのよ。子どもじゃないんだから、手紙くらい書けるでしょう」
 そう憤慨するワーキリーのお母さんを見ながら、ほんの一瞬、シャガンが羨ましそうな顔をした。彼にも誰かを羨ましく思うことがあるなんて、これまで思ってもみなかった。そのことにぼくは初めて気がついて、困惑した。だけど、その表情はほんの一瞬で幻のように掻き消えて、すぐにいつもの、面白がるようなにやにや笑いに戻ってしまった。
「そんな大げさなことじゃないんだよ」
「天暁展の最優秀賞が大げさじゃない、ねえ。お前、そのうち刺されてもしらねえぞ」
 渋面のワーキリーをひやかすように、シャガンはそう笑った。そういうシャガンだって、彫刻部門の最優秀賞を受賞したその夜に、表彰状を酒場に置き忘れてかえったというので、教授たちから白い目で見られたはずだった。
「そうじゃなくて、あの絵は」
 ワーキリーは何かいいかけて、途中で口をつぐんだ。その瞬間に彼がみせた表情が、ひどく真剣な、苦々しいものだったので、シャガンも笑いを引っ込めて、訝しそうに片眉を吊り上げた。
「まあいいだろ、そんなの。それより、料理がきたよ」
 そういって急に明るい声を出したワーキリーが、無理をして笑顔をつくっているのは、ぼくにだってはっきりわかった。


 店を出たとき、さっきは母がすまなかったと、ワーキリーがいった。それはぼくにだけ聞こえるくらいの小声で、そこには何か、強く悔やむような響きがあった。だけど、ぼくには彼が何を謝っているのか、よくわからなかった。
「何が?」
 素直に聞き返すと、ワーキリーは金貨でも飲み込んだような顔になった。
「……いや。君が気を悪くしていないんなら、いいんだ。気にしないでくれ」
 よくわからなかった。ワーキリーはいいやつなのだけれど、ときどき回りくどいと思う。だけど、それ以上この話題を続けたくはないのだと、ワーキリーが手振りで示したので、ぼくも疑問を飲み込んで、口をつぐんだ。
「母さん、宿まで送るよ。……君たちは先に帰るといい。どうせ、夜間外出許可なんて、とってこなかったんだろう」
 すっかり暗くなった空を見上げて、ワーキリーはぼくらにそういったけれど、シャガンはあきれたように苦笑した。
「堅苦しいやつだな。どうせ寮長だって、その辺は適当なんだぜ」
「何かあったときに問題視されるだろう。お前はともかく、アカアシまで巻き込むな」
 苦々しくいわれても、シャガンは平然としている。前からわかってはいたけれど、どうも、シャガンは規則を破ることをなんとも思っていないらしかった。実のところをいうと、ぼくもいまひとつ、外泊だの外出だのといったことに許可をもらう意味が、いまだによくわかっていない。ただ、友人たちの忠告によると、あまり違反がめだつようだと、奨学金がもらえなくなるらしく、そうなると、ぼくには人間種族の間で通用する資産がない。仮にうまく働き口を見つけたところで、授業の合間にアルバイトをしたくらいでは、とてもここの学費はまかないきれないだろう。
 もしこの学校にいられなくなったって、いちおう、絵は描ける。贅沢な画材は使えなくても、安い紙と木炭くらいなら手に入るだろう。なんなら鑿を一本調達して、岩に彫ったっていいくらいだ。
 だけどここでなら、好きなときに美術館に足を運んで過去の素晴らしい作品を目にすることもできるし、なにより教授やワーキリーや、同輩たちから学ぶ技術は、ほかでは身につけることのできないものだ。
 ただ一枚の布や紙の上になにかを描くという、そのシンプルな行為には、驚くほどいろいろな手法と道具と姿勢とがあって、そこには過去の途方もない蓄積に裏付けられた技術がある。ただ目蓋の裏に思い浮かべたものを、紙や布の上にそのまま描き出すという、それだけの単純なことさえ、長い修練を重ねて、数ある技法をつくさないかぎりは、とうていかなわないのだ。
「まあ、そう硬いこというなって。予約してる宿って、ここから遠いのか?」
 シャガンが訊くのと、悲鳴が上がるのが、ほとんど同時だった。
 ワーキリーのお母さんが、誰か知らない男に突き飛ばされて転ぶのを、ぼくは見た。そしてその手から、男が荷物を強引にひったくろうとするのを。
 ぼくが一番、お母さんに近い位置にいた。それでも、もし男がただ荷物を盗んだだけなら、手出しをためらったかもしれない。けれど、とっさに荷物を渡すまいとした彼女に、慌てた男が蹴り付けるところを見たら、もうよけいなことを考えている暇はなかった。
 ぼくは大きく翼を広げて、男に飛び掛った。周囲の人々の間から悲鳴や驚きの声があがるのを、耳はちゃんと拾っていたけれど、途中で思いとどまる気にはなれなかった。
 ぼくは靴を脱ぎ捨てて、両脚の鉤爪でしっかりと男の腕を掴むと、空中に舞い上がった。一呼吸で、高く飛翔する。翼が風をきる音に、じわりと血の騒ぐ感覚があった。
 体の下で、男の引き攣れるような悲鳴があがる。男の腕は、必死にもがいているのだろうけれど、それはぼくには、赤ん坊がむずがるくらいの力にしか感じられない。遠くから、慌てたようなワーキリーの声が聞こえてきたけれど、何といっているのかはわからなかった。
 建物の屋根が遠ざかり、目の前いっぱいに夜空が広がると、ああ、ずいぶん久しぶりに空を飛ぶなと、そんな場違いなことを考えた。学則には、「空を飛ぶことなかれ」とは書かれていないけれど、それはここに来て真っ先に、学長じきじきにいいわたされたことだった。
 なぜ空を飛んではならないのか。いわれたときは不思議に思ったけれど、いまはよくわかる。それは人を、脅かすからだ。ぼくにその意思がなくても。かつて血で血を洗うようないさかいが、ぼくたちと人間種族との間にはあった。その記憶を、呼び覚ますからだ。
 騒ぎになってしまうだろうなと、ちらりと思ったけれど、それよりも、久しぶりに大空に舞い上がることのできた高揚のほうが、ずっと大きかった。
 もう、脚に掴んだ男への怒りも、どこかに吹き飛んでしまった。愉快な気分をもてあましながら足元を見下ろすと、眼下には、星の海と同じくらいにきらびやかな、ティオトルの町の夜景が広がっている。
 空を飛ぶことなかれと、学長はいった。われわれのもとで学びたいというならば、君は、われわれの流儀にあわせるべきだ。ぼくはその言葉に、素直にうなずいた。その理屈はぼくにも理解できたし、何より、絵を描けるんだということがうれしくて、そのほかのことはどれも、瑣末なことのように思えた。言葉を学ぶ努力も、覚えづらい人名ばかりが次々に出てくる難解な美術史を頭に叩き込む苦労も、少しも辛くなかったし、なかなか思うように絵筆を運ぶことのできないもどかしささえ、むしろ楽しかった。
 だけどこれまで、自覚のないまま、ぼくはずいぶんと多くのことを我慢してきたのだということを、いまになって唐突に思い知った。どうして空を飛ぶことを、こんなに長い間、忘れていられたのだろう? 飛ぶことは、ぼくらの命に組み込まれている。風と空と。気流に乗って、どこまでだって飛んでいける。その気になれば、雲の中にだって飛び込める。そうして夜にはかならず、その日の食事にする獲物を狩って、同族と分け合う。ひとつの火を囲む。焚き木の爆ぜる音、獲物の肉を焼くにおいが、鼻の奥に蘇った気がした。
 男は怯えきっているのか、それとも気でも失ったのか、暴れることもやめて、ぐったりしている。なんとも弱く、もろい種族だと、唐突にそのことを思った。力もないし、寿命もせいぜいぼくらの半分くらいのものだ。繊細で、何かあるとすぐ恐慌状態になる。
 だけどその彼らが、壮麗な建物を築き上げて、この眼下に広がる星の海を地上に現出させたのだ。ただ一枚の画布に、魔法のように美しい絵を描き出し、なんていうことのない岩の中から、命の宿る像を彫りだす。
 ワーキリー。友の描き上げた作品と、これまで彼に与えられてきた親切とを思い出した瞬間、すっと波が引くように、冷静になった。
 まずかったかな。瞬きするまぶたの裏に、ワーキリーの心配する顔が浮かんだ。きっと、怒っているだろう。戻ったら叱られるに違いない。少しは自分の立場を考えろといって。
 まずかったな。
 ゆるやかに翼を羽ばたかせて、夜の街に降りていく。星にしか見えなかった数え切れないほどの小さな光が、ひとつずつ、窓の明かりに戻っていく。


「アカアシ!」
 顔が見えるくらいに近づいたところで、ほっとしたように名前を呼んだワーキリーに、謝罪の意思をこめて視線を送ったけれど、どれくらい伝わっただろうか。ぼくのほうは、この頃ずいぶん彼らの表情を見分けられるようになったけれど、逆はどうだろう。
 周囲には野次馬が集まり、おっかなびっくりといったようすで、かれらを遠巻きにしている。その真ん中に向かって、ぼくはゆっくりと下りていった。
 地上に戻って、男を地面に下ろすなり、シャガンが気絶している男の胸倉をひったくるように掴んで、思い切りぶん殴った。
 思わぬその行動に、びっくりして毛を逆立てていると、シャガンはにやりと笑いかけてきた。その余裕のある表情からすると、怒りのあまり、という感じでもない。彼の意図がわからなくて、首を傾げたけれど、シャガンは説明しようとはしなかった。
「大丈夫でしたか。怪我は?」
 すっかり忘れていた気まずさをもてあましながら、そう訊ねると、ワーキリーのお母さんは青ざめた顔で、首を振った。どうやらぼくが飛んでいったことに驚いて血の気がひいただけで、怪我は、手と膝にできた擦り傷だけだったようだ。あとは男に蹴られたところが、打ち身にくらいはなっているかもしれない。
「驚かせてしまって、ごめんなさい」
 肩を落としてそういうと、お母さんは、まだ少し青い顔で、首を横にふった。それから、ぎこちなく微笑みを浮かべた。その傍らには付き添うように警吏らしい男がふたり、それから離れたところにもふたり、警戒するように立っていた。シャガンが男を殴ったのは、まずかったんじゃなかろうか。
「助けてくれて、ありがとう」
 お母さんがそういったとたん、傍らの警吏が、困惑したような顔になった。ワーキリーが睨むように彼らを見据えて、「いったでしょう」と念をおす。それでようやく気づいたのだけれど、たぶん、彼らはひったくりではなくて、ぼくをつかまえにきたのだ。急に街中で暴れだした蝋羽族ろううぞく。周りにいた人たちからは、きっとそう見えただろう。
 けが人が出たこともあって、そのまま解放してはもらえず、警吏に事情の説明をもとめられた。そろって詰所までぞろぞろとついていく間に、ぼくはちらりとシャガンの横顔を見た。にやっと笑いかえしてきたその目は、いったい何がそんなに面白いのかと不思議になるくらい、楽しそうな色をしていた。


 男はどうやらひったくりの常習犯だったらしくて、警吏からはいくつか注意を受けただけで、すぐに解放された。問題はそのあとで、ぼくらは翌朝、早朝から学長に呼び出されて、もれなく釈明を求められ、長い説教をくらった。
 ぼくが空を飛ばないという約束を破ったことについては、怒られてもしかたのないことだったけれど、そのほかの叱責の内容の半分くらいは、何がまずかったのか、よくわからなかった。けれどたぶんそれは、ぼくが人間社会のモラルをちゃんと理解していないせいであって、彼らには自明のことなんだろうと思ったから、じっと黙って怒られていた。シャガンはシャガンで、涼しい顔で耳なんかほじっていた。
 いつまでも続くように思えた学長の言葉に反論したのは、意外なことに、ワーキリーだった。
「彼らは、僕の母がひったくりにあったのを、助けてくれただけです。なぜ彼らが叱責を受けているのか、理解に苦しみます」
 シャガンが口笛を吹いたのは、内容にではなくて、優等生で通っているワーキリーが、学長に対して反抗的な口を利いたからだろう。
 学長の頬が、ぴくりと震えた。表情は冷静なようだけれど、たぶん、ひどく怒っているのだろう。
「相手に怪我をさせてまでかね」
「殴ったのは俺だけですよ。やりすぎたとは思ってます」
 飄々とした顔でシャガンがいったので、ぼくは目を丸くして、友人の横顔を見つめた。たしかにその言葉に嘘はない。だけど、そのいい方は、公平ではない気がした。少なくともぼくの鉤爪で、まちがいなく男の腕には傷がついただろう。だけど、そう申し出ようとしたぼくを目線で押し留めて、シャガンは言葉を続けた。
「アカアシはワーキリーのお袋さんから、相手を引き離しただけです。ワーキリーにいたっては、お袋さんを助け起こしただけで、犯人には指一本さわってもいない」
 学長の頬が、さらにぴくりとした。
「処分があれば、謹んでお受けしますよ。荷物をまとめて、それまでおとなしく謹慎してます」
 口調はいちおう敬語だったけれど、シャガンの態度には、へりくだるようなところはひとつもなかった。むしろ、にやにやして相手を挑発しているように、ぼくの目には見えた。
「それには及ばない。以後、行動には充分注意を払うように」
 怒りを堪えるような口調で、学長はいった。先ほどまでの説教の剣幕とはうってかわったその調子に、ぼくは事態がのみこめなくて、目を白黒させた。
 学長室を出たところで、ワーキリーがぼくらふたりともに向かって、急に深く頭を下げた。
「すまなかった、二人とも。恩に着る」
 何から驚いていいのか、もうよくわからないような気持ちで、ぼくはあっけにとられていた。自分が何を謝られているのかも、よくわからなかったし、ワーキリーがシャガンにたいしてこんな態度にでるのも、初めてのことのような気がした。
「気にすんな。なかなか面白かったからな」
 あの学長の顔! と、シャガンはくつくつ笑った。その笑い声は、壁越しに学長にも聞こえたんじゃないだろうか。
 じゃあな、と眠そうに手をふって、なぜかシャガンは講義棟ではなく、寮のほうに向かって歩いていった。講義をさぼって、寝なおすつもりなのだろう。
 呼び出されて叱責を受けた直後に、太い神経をしていると、呆れたようにワーキリーはいったけれど、声にはいつものような冷たい調子はなくて、口元は、あきれたように苦笑していた。
「結局、なんだったのかな」
 わけのわからないままそう訊くと、ワーキリーが苦い表情でいった。
「シャガンがああいった以上、大学側も、シャガンより重い処分を、僕らにくだすわけにはいかないだろう。……あいつ、そのためにわざわざ、相手を殴ったんだな」
 少し考えて、思い出した。シャガンの家は裕福で、たくさんの寄付金をもって入学したので、ちょっとやそっとの素行の悪さでは、大学側も彼に対して強硬な態度には出づらいのだそうだ。
 その話を、前にぼくに教えてくれたのは、ワーキリーだ。そのときはどちらかというと、彼はそのことを、軽蔑するような調子で話していたのだった。今回、自分が助けられる立場にたって、ワーキリーはどうやら、複雑な心境らしかった。
「君にも迷惑をかけた」
 ワーキリーにあらためてそういわれて、ぼくは慌てて首をふった。ぼくが勝手にやりすぎただけで、彼が何をしたわけでもない。君が謝るのは筋違いだと、ぼくはいったけれど、彼に、謝罪を取り下げるつもりはないようだった。正直にいって、なんで彼がそんなに気に病むのか、理解に苦しむ。ぼくのほうはいつだって、ワーキリーに助けられてばかりいるというのに。
「それよりワーキリー。君、きのう、賞のことで何かいいかけて、途中でよしただろう。あれ、なんだったんだい」
 ずっと気になっていたことを訊くと、ワーキリーはなぜか、痛いところをつかれたというような顔をした。
「……あの賞を取るのは、僕のはずじゃなかった」
 ワーキリーはやがて、ひどく苦く、そう呟いた。その言葉の意外さに、ぼくは思わず声をひっくりかえしてしまった。
「なんで。素晴らしい絵だったじゃないか!」
 ワーキリーは、すぐには答えなかった。しばらく、沈黙のうちに並んで歩いて、渡り廊下にさしかかったあたりで、ようやく彼はぽつりといった。
「アカアシ。本当だったら、君の絵が最優秀賞のはずだったんだ」
 その表情は、なにかを恥じているようだった。なにをいわれているのかわからない。彼が何を恥じるのかも。ぼくは居心地悪く、羽根をもぞもぞさせた。
「まさか。そんなわけないよ」
「君は自分の才能をわかっていない!」
 思いがけず強い語調でいわれて、羽根が毛羽立ったのが、自分でもわかった。
「……ごめん。でも、本当にそうなんだ」
 ワーキリーは真剣だった。その声に、落ち込んでいるような気配をみつけて、ぼくは困惑した。だいぶこちらの暮らしにも慣れてきたつもりだったのに、この二日ときたら、なにかと戸惑ってばかりのような気がする。
「誰かに確かめたの?」
「そうじゃない、けど」
 ワーキリーは言葉を飲み込んだ。
「それなら、君の思い過ごしだよ。君の絵は素晴らしかった。ぼくもそう思ったし、みんなもそういってたよ。あの絵の前に、どれだけの人だかりができたか、見ただろう」
「審査委員をしていた教授のひとりが、君のことをよく思っていない」
 それが悔しくてならないというように、ワーキリーは目を伏せて、歯を食いしばった。彼が何をそんなに悔しがっているのかわからなくて、あきれていると、その戸惑いが伝わったのだろう、ワーキリーは叫ぶようにいった。
「君は、悔しくないのか! 君が異民族だという、ただそれだけの理由で、君の絵は正当な評価を受けていないんだぞ!」
 その剣幕は大変なものだった。普段の彼は温厚で、声を荒げることなんてめったにないのに、絵のことになると、ときどきワーキリーは人が変わったようになる。
 ぼくは少し黙って、言葉を探した。この国の言葉には、もうずいぶん親しんだつもりでいたけれど、こういうときには、すらすらといいたいことが出てこない。それがなんとも、もどかしいような気がした。
「だって、ワーキリー。君はぼくに、自分の才能をわかってないっていうけど、君だってそうだよ。君のあの絵がどれだけ人の心を動かすか、君はそのことを、わかってないんじゃないのか」
 ワーキリーが天尭展に出した絵は、風景画だった。彼の故郷なのだろうか、刈入れを待つ麦の穂が、風に吹かれてゆるやかに波打つ、田園地帯の暮れ方のひとときが、そこにはあった。光というものを、画布の上にここまであざやかに描き出すことができるのかと、目を疑うような色彩で、黄金色の夕陽が風景を照らしだしていた。空の淡く澄んだグラデーションと、薄く流れる雲と、そこに舞う雁の描く軌跡。畑では農夫が鎌を持ち、幼い子どもらが手伝いのつもりで、作業の邪魔をしている。画面の奥の小さな家の屋根からは、煮炊きの煙がたなびいていた。目を閉じると、そのひとつひとつを、いまでもくっきりと思い出すことができる。
 農村に暮らしたこともなければ、肉親とともにひとつ家に住む習慣になじみのないぼくでさえ、あの風景には、たまらなく胸を締め付けられるような思いがしたのだから、そうした光景に身近な人間ならば、なおさらだろう。天尭展の最終日、彼の絵の前で涙を流している老人を、ぼくは見た。
 それなのに、どうしてワーキリーはそんなことをいうんだろう。ぼくだってもちろん、自分の描いた絵に愛着がないわけじゃないけれど、ワーキリーのあの絵にとうてい及ぶべくもないことは、自分でいちばんわかっている。彼は物心ついたときからずっと絵を描いてきた。何万枚という素描のうえに、いまの彼の描きだす線があり、色彩があり、表現がある。筆の運びひとつみていても、まだ絵を齧ってまもないぼくにだって、それがはっきりわかるというのに。
「あんな絵じゃ、だめなんだ」
 うなだれて、ワーキリーはいった。力ない声だった。
 それは、信じられないような言葉だった。誰もが彼の絵を賞賛し、あるいは羨んでいた。自分に彼のような才能があればと、同輩たちがため息をつくのを、ぼくは何度もこの目で見てきたのだ。
 だけど、ワーキリーの言い分は、考えてみれば、彼ひとりのものではなかった。同輩たちは誰も彼も、思うように描けないといって、苦しそうにしている。彼らがもう完成の近い作品や、何か月もかけて描いた絵を、自分の魂を裂くかのような表情で、破り捨てるところを、ぼくは何回も見てきた。その作品のいったいどこが駄目だったのか、どうして彼らが満足を得られないのか、見ていて理解に苦しむのは、ぼくがまだ未熟で、絵を描き始めて間もないからなのだろうか。
「……ごめん。つまらないことをいった。忘れてくれ」
 ワーキリーは頭をかきむしってため息を落とすと、そういった。珍しいことだった。彼が絵のことで弱音を吐くのも、そんなふうに取り乱すのも。
「君の絵はすごい」
 その言葉が、彼の慰めになるのかどうかわからないまま、ぼくはいった。いわずにはいられないような気がした。ワーキリーは顔を上げて、じっとぼくの目を見返してきた。
「賞なんて関係ない。そんなものが発表される前から、天暁展にきた人たちは、君の絵を見て目を輝かせていたし、涙を流していた。見なかったのか? それとも、あの人たちの感動は、君にとってどうでもいいことなのか?」
 ワーキリーは立ち止まり、沈黙した。かきむしったせいでくしゃくしゃに乱れた髪と、迷うようにゆれる瞳が、まったく彼らしくなくて、そんな状況でもないのに、おもわず笑ってしまった。
「君は……」
 ワーキリーは何かいいかけて、やめた。それから長くためらって、ぽつりと、落とすようにいった。
「……いや。ありがとう、アカアシ」
 いって、ワーキリーは目を閉じ、何かをじっと考えるようだった。
 渡り廊下の、開け放たれた窓から、秋口のひやりとする涼風が吹き込んでくる。その風に乗って、始業が近いことを告げる鐘の音が響いた。
「急ごう。遅れると面倒だ」
 我に返って足早に歩き出すワーキリーのあとに続きながら、ぼくにもいつか、自分の絵を破き、悔しさに筆を折るような、そんな日がくるのだろうかと、そのことを考えていた。
HAL
http://dabunnsouko.web.fc2.com/
2010年12月12日(日) 19時14分24秒 公開
■この作品の著作権はHALさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 拙い作品にお目通しいただきまして、ありがとうございました。
 なんとも微妙な作品になってしまったような気がひしひしとするのですが(大汗)、新装開店おめでとうございます! といいたいがばかりに、恥を承知で投稿しにきました。

 などといいつつ、厳しいご意見も大歓迎です。ご感想、ご批評、なんでもけっこうですので、忌憚のないご意見を頂戴できると嬉しいです。
 ご指導方、どうぞよろしくお願いいたします。

この作品の感想をお寄せください。
No.17  HAL  評価:0点  ■2011-02-05 10:58  ID:hcJ6eO/eqrw
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> ねじ様
 わあ、ありがとうございます!
 世界観、多少なりと雰囲気がだせていたのであればよかったです。作りこみが甘くて、汗が出ます……。異世界ファンタジー、大好きなのですが、難しいです。

 ちょ、わたしがどれだけねじ様の作品に嫉妬していると……!(ぎりぎり)ミステリ板の新作、拝読しました。感想をまだまとめきれていないので、後ほど書き込みに参ります。

> 早く続きが読みたい
 こんなにうれしいお言葉がほかにあるでしょうか……!
 続き、書きます。ずっとちまちま温めているので、遠くないうちに書き出したいと思っています。がんばります。ありがとうございます!
No.16  ねじ  評価:40点  ■2011-02-02 23:39  ID:eUv8gFIyVe.
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読みました

世界観と主人公のキャラクターと語り口がしっくり重なっていて、不思議なほどするすると心地よく読めました。
主人公の視点の浮遊感と美への憧れの鮮明さの落差、主人公とワーキリーの徹底的な温度差など、随所に「ああ、いいなあ」と思わされました。
とてつもなく好みで、またしても嫉妬に胸をかきむしられそうになったのですが、思いのほかあっさりと終わってしまってちょっと食い足りない気持ちです。
続きがあるなら読みたい、というより、早く続きが読みたいです。
No.15  HAL  評価:0点  ■2011-01-09 11:19  ID:LfuXJKnineM
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> Phys様

 ありがとうございます……!!
 そして光栄です! でも、よかったのでしょうか、こんなものが初ファンタジーで……(大汗)

> 現代的問題をシンボリックに見せる手法
 SFもファンタジーも、そういう書き方をされる方は多いように思いますし、わたしもそういうつもりで書いているときがあります。先日コメントを寄せていただいたSF板の拙作なんかは、わりと早い段階からそんな意識でした。
 こちらは、どちらかというと蝋羽族の設定のほうが楽しくて、そのままのノリで書いていた気がします。そっちが先にあって、そういう架空の設定にリアリティを持たせるために、舞台の上の人々には、現実にあるような身近な悩みを持たせているんだと思います。
 でも、そのどっちが先にあっても、結局は順番が違うだけで、書くために重ねていくプロセスは一緒なのかなと、そういう気はしています。

 神話や魔法や精霊といった幻想的な設定、あるいは歴史大河ロマンみたいな重厚なハイ・ファンタジーも、それはそれでいいなと思うのですが、設定がトンデモでも、「ありそう」っておもわず感じるような、読んでいる間、作りごとであることを、一瞬本気で忘れさせてもらえるような、現実感のある描写であるとか、もっともらしいハッタリであるとか、そういうところのある作品を読むのが大好きで。
 でも自分では満足のいくものはなかなかかけなくて。ストーリーの壮大さと、日常描写の丁寧さと、理想をいうなら、どちらも両立できればいいのですが……というか、両立させたいのですが、力がないので、ひとまずできるところから……ということで、今回、日常ものです。少しずついろいろ試して、経験を積み重ねていきたいです。

> 最後まで三人がそれを共有し切れていないことに、この作品単体では納得することができませんでした。
 中途半端で申し訳なかったです……(汗)
 言い訳にもなりませんが、本作はシリーズものの一部ということもあって。どこかにはいずれ続きを書くと思うのですが、完結ルールもありますし、単独でもいちおう通じるようになっていないと、こちらには投稿できないでしょうから、どうするか、少しゆっくり考えてみます。

 あたたかいお言葉と適切なご指摘、ありがとうございました! お言葉を励みに精進していきたいと思います。
No.14  Phys  評価:40点  ■2011-01-08 18:00  ID:6uKnl6ldB7Q
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拝読しました。

調子に乗ってこちらにも感想を書かせて下さい。

わぁ、ファンタジーだー! というのが読み出しの印象でした。私は
読書歴が驚くほど浅いので、実を言うとファンタジーの系譜に連なる
ものを読んだことがありません。ですから、初体験です。

ファンタジーって、まずは設定をくどくどと説明されたり、何々国と
何某国が対立関係にあって…と状況を語るように始まるのかと思って
いましたが、本作は自然に物語に入れましたし、なんだか現実のすぐ
隣にある世界のような気がしました。

ファンタジーというのは、非現実的なようで、その実、現代的
問題をシンボリックに見せる手法なのかなぁ、と勉強すること
ができました。人の心に根付く差別の端、そういったナイーブ
な部分を象徴的に表現するのがファンタジーなんだと。

たとえば、
>なんとも弱く、もろい種族だと、唐突にそのことを思った。力もないし、寿命もせいぜいぼくらの半分くらいのものだ。繊細で、何かあるとすぐ恐慌状態になる。 だけどその彼らが、壮麗な建物を築き上げて、この眼下に広がる星の海を地上に現出させたのだ。ただ一枚の画布に、魔法のように美しい絵を描き出し、なんていうことのない岩の中から、命の宿る像を彫りだす。
この一節も、もし現代小説で描くのなら、とても難しいものですね。

ただ、私には終わりが少しだけ物足りなく感じました。シャガンも
ワーキリーも同じ人間でしたが、シャガンは生まれが裕福、という
点で立場が異なっていますし、ワーキリーはアカアシの才能に嫉妬
しながらも、悩んでいます。そういった覆せない“違い”を抱えた
三人の気持ちはとても伝わってきたのですが、感情が彼らの中だけ
で閉じていて、最後まで三人がそれを共有し切れていないことに、
この作品単体では納得することができませんでした。

こういった幻想的な設定は、HALさんの繊細な描写や美しい文章が
生きてきていいな、と思いました。また、読ませて下さい。
No.13  HAL  評価:0点  ■2010-12-18 15:32  ID:sXxuCEcBYiI
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> RYO様

 ありがとうございます!

 人間文化との比較ですね。いいわけをするならば、前作ですでに書いた部分を下敷きにしているから……という部分もあるのですが、どうせなら、二作目でまた一作目からさらに新たな世界の広がりを演出するべきだったと思います。追いつきませんでした。
 情景描写も、ちょっと書き急ぐとすぐに飛ばしてしまいます……(汗)後半、極端に少なかったです。書きすぎてもくどいけれど、このままでは味気ないですよね。ありがとうございます。

 アルバイトは……ファンタジーといいつつも、中世風ではなく、近代風をイメージしているので、逆に、そのあたりの空気をもっと出せればよかったのかなって思います。
 中世風ファンタジーのほうがどちらかというと好きなのですが、蝋羽族が(この中では書いていないのですが、一作目で)翻訳機を介してはじめて人間と意思の疎通を図っているので、必然的に機械文明でなくてはならず、悩みどころでした。
 金貨は、もうちょっとうまい慣用表現を作りたかったのですが、時間切れしました……。べつに焦らなくてもいいものを、どうしてもリニューアルオープンの日に何か投稿したくて。だからって、ただでさえ低い品質をさらに落としたって始まらないのですが(涙)

 テーマの絞りこみですが、この一本の短編としての軸になるストーリーライン、主軸が、わかりづらくなっているのかなと思います。
 シリーズ連作の一話ずつを書いていくときの、話の構成の仕方が、どうにも未熟で。全体の流れ、一話ずつのつながりはありつつも、一本ずつはきれいにまとまっているのがやはり理想でしょうから、今後の課題にします。

 逆に、シリーズ全体としては、ひとつに絞りこみたくないという気持ちもあります。身の程知らずにもほどがありますが、ただそこに一本の読み筋だけがあるのではなくて、ひとつの世界を色んな角度から丸ごと描いて、その中にいろんなテーマを内包する、そういう小説の書き手を目指していきたいという欲、願望です。そこまでしっかり書けるだけの体力と技術(と、人間性)が、ぜんぜんたりていないので、つまり、ただの不相応なのですが……。

 ありがとうございました! 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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> 楠山歳幸様

 ありがとうございます!
 異世界ファンタジーを書きたくて書いたので、現代を舞台にすることははじめから考えていませんでしたが、たしかに、ここに書いた内容だけであれば、べつに現代小説でもいいんですよね……。異文化交流がテーマなら、つい最近まで鎖国に近い状態にあった国にやってきた留学生でも、書けないことはないですし。
 異世界ものとして物足りなくなってしまっているのは残念です。もっとアカアシの種族のこととか、文化の差異とか、そういうものを前に押し出していければよかったのかなと思います。

 実際、絵はまったくのシロートで、まったくもって恥じ入るほかありません……(大汗)
 どこで見たのだったか、切り裂かれた画布のイメージが頭の片隅に焼きついていて、それで破るという表現にしてしまったのですが、油絵には塗りつぶすという工程があるのですね。お恥ずかしい。

 じゃあなんで絵にしたかっていうと、頭で考えてやったことではないのですが、シリーズ全体を通して、ワーキリーがアカアシに対して抱く友情と嫉妬、純粋なような屈折したような感情が、話の鍵になってくるので。自分にとって、嫉妬がいちばん表現しやすい身近なものが、創作に関することだからだと思います。スポーツで競う世界かどうかはともかくとして、アスリートを身近に描くには、運動に関する思い入れが自分のなかになくて。だからといって、彼らを文芸学部の学生にするのも、絵面的に(字ですが)ちょっと……(笑)

 要するに、絵画について果てしなく勉強不足なのでした。絵を描かれる方からしたら、おかしなところはいくらでもあるんじゃないかって思います。軽率で申しわけないです。

 失礼なんてとんでもない、ご意見、とても参考になります。ありがとうございます。あと三語の84回の感想を書きそびれていてごめんなさい。近日中には!
 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
No.12  楠山歳幸  評価:20点  ■2010-12-17 00:34  ID:sTN9Yl0gdCk
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 拝読しました。
 
 すみません。読解力のない素人の僕が恐れおおいと重々思うのですが、感じたことを……。

 異世界と絵の世界、力が分散された印象を受けました(ごめんなさい)。異世界をもっと描写するか、絵を描写するならいっそ現代のほうがリアルだったかも……(ごめんなさい)。
「教授が反対した」とありますから、絵の世界の裏もご存知かも知れませんし、彼らは筆に神経質とか自然石の顔料へのこだわりとか、もうちょっと突っ込んだらと思いました(ごめんなさい)。失敗作を破った、とありますが、もし油絵(のようなもの?)だったら、塗り潰したほうが下地が重厚になり、そしてマチエールが厚いほど絵にも重みが増し、作者の苦悩がにじみ出ると思います(ごめんなさい)。

 自分のことを空高い棚に上げて本当にすみません。
 三語で僕はHALさんのとても良い作品を読ませていただいたので……。

 失礼な感想、すみませんでした。
No.11  RYO  評価:30点  ■2010-12-15 22:27  ID:.i7x7bNUzao
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拝読しました。
久しぶりに三語以外の小説を読みました(笑

率直に行きましょう。
 異人種側の文化まで作った上で、人間文化と比較的に描かれていると全体的な深みがあったように思います。異文化交流といったところがもっとはっきりあればといったところでしょうか?

 全体としてはすらすらと読めたのですが、場面転換ごとに情景描写があったほうが良いように思います。

 表現として、ファンタジーの世界で「アルバイト」とあるのは、どうなんでしょうか? 
 「金貨でも飲み込んだような」たとえとしては、なんか分かりにくいように思います。雰囲気は分かりますが。

 全体としては楽しめたのですが、一方で物足りなさもあったように思います。作品の方向性がいまいち見えないことが大きいかと。人間文化に触れて成長していく話にするのか、芸術を追求していくような話にするのか、人間との友情物語にするのか、その辺りに絞っていけると話が深くなるように感じます。

つらつらと書きましたが、HALさんは世界観を生み出すのが上手いなと思います。それでは次は三語で(笑
No.10  HAL  評価:0点  ■2010-12-15 22:06  ID:RwWy4r6WjLs
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> としお様

 ありがとうございます……! 体調のお悪いときに、感想を書いてくださったこと、申し訳なくも有り難く、頭が下がります。感謝です。

> 二作目から
 ご……ごめんなさい(汗)なんというか、間の悪い人間でした、はい……。サイトにまでお運びいただいて、お手をわずらわせてしまったこと、申し訳なかったです。ありがとうございました。
 こちらにも、一作目にあたる三語の改稿版をまず先に投稿すればよかったのですが、TCのリニューアルオープンにあわせて新作を投稿したい、という欲求に負けてしまいました。それならそれで、TC版に(ブログに載せる用とはべつに)、アカアシの正体をわかりやすく伝えるためのシーンを足すなり、工夫すればよかったのに、配慮が足りず……(汗)

 圧倒的な溝。そういうの、書けたら深みがでますよね。そういう超えられない溝があって、そのうえで築かれる友情であれば、読みでも増すはず。ルナル・サーガは、小学生のときに読んだのですが、記憶力がなくて、件の箇所の記憶が呼び出せません……。どこかでみつけたら、読み返してみようかなと思います。

 鏡、水面、ぜんぜん気づきませんでした!(汗) 小道具の使い方がへたくそな私です……。人間の肉体が、彼らからどう見えるか。これも書き急ぎすぎて、きれいにすっとばしていました。ご指摘、なにもかもごもっともだと思います。大反省です。

 わたしは自分がファンタジーやSFを読むときに、できるだけ日常感をていねいに描写してほしいと思うほうで。日常の細部が描かれている作品だと、読みながらそこに本当にその世界があるかのような錯覚を起こすので、その感覚が好きなんだと思います。そういう小説への憧れがあるせいで、世界観をまず細部から作っていくクセがついているのです……が、あまりに細部すぎて、大河ファンタジー小説にたどりつきません(涙)これ、ほんとに鳥人間を出す意味あったの? と聞かれたら、「うっ……」と唸るほかないです(汗)
 いつかちゃんと、ハイ・ファンタジーと名乗れるような、筋書きの大きなファンタジーも書きたいです。

 ご指摘、ご意見、大変参考になりました。今後にいかしたいと思います。また、暖かな激励、心から感謝します。ありがとうございました!

 としお様の日常的ファンタジー、いつか書かれましたら、ぜひとも読ませてください。
 まずはどうかお体、ご自愛くださいますよう。お帰りになる日を心待ちにしております。

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> ゆうすけ様

 いつもありがとうございます!

 容姿の描写が遅いのは、果てしなく悪い癖です……(汗)実はこっそりシリーズ二本目(以下略)と、言い訳ばかりがくどくどしいのもアレなので、割愛しますが、猛省します。配慮が足りず(涙)

 風呂敷だけを広げて、中身が尻すぼみなのも悪いクセです。こっちはもう、小手先の問題ではなくて、話を小さくまとめる姿勢そのものを叩きなおすしか……。日常モノのささやかなお話も、個人的には好きだったりするのですが、そういうのしか書けない現状に満足しているわけでもなくて。盛り上がる大きいお話も、ちゃんとかけるようになりたい、なりたいといいっぱなしの日々ですが(汗)、あきらめず精進します。

 適切なご指導と温かいお言葉、ありがとうございます。がんばります。

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> lico様

 いつもありがとうございます……!

 そうなんですよね。また一から説明するのもくどくどしいですもんね。
 考えてみたら、ブログにはこの形で載せて、TC用には補足説明を増やしたものを投稿したらよかったような気もします……。己の配慮不足に、ただもう汗がでます。

 ひったくり犯を落っことしてしまう展開、いいですね。(他人事のように……)それをあわてて拾いに飛んでいったりとか。
 ワーキリーと口論くらいはさせればよかったし(書こうとしたら、事件後のシーンが長くてくどい感じがしたので、バランスを考えてやめたのですが、それならそれで、もうひと盛り上がりくわえればよかったような……)

 意味深な伏線。どれのことでしょうか……(汗)自分で意識的に張ったつもりで、消化していないのは、内田様がご指摘くださっているくだりの、ワーキリーが母親の言動になぜ怒ったのかの部分くらいだったので、あとはおそらく天然です(大汗)
 いずれ拾って消化できたら……いいなと……(汗)

 シャガン、気に入ってくださったとのこと、ありがとうございます。いいヤツにしてしまって、自分でも物足りないです。悪い男のようでいいところもある、くらいのバランスが好きなのに、意地悪い感じをうっかり出し損ねました。次、リベンジします。
 シャガン視点のお話も、ぼんやりした構想はあるので、エピソード貯めておいて、いつか書くつもりなのですが、もしそのときにお時間があれば、またご指導いただけるとうれしいです。

 タイトルは……どうしてもなにも思いつかなくて……。学び舎の件、ごもっともでした。
 いつもなんです。タイトルがいつまでも決まらなくて。皆さまそれぞれに、興味をひく素敵なタイトルをつけておられて、うらやましいです。そういうセンスって、どうやってみがいたらいいものかと……。
 自分で書いているもののテーマをしっかり認識できていないのがまずいのかなという気がしますので、なんとかこう、心がけをあらためたいものなのですが。

 lico様のお言葉にはいつもすごく励まされています。あたたかいお言葉と詳しいご指摘、ほんとうにありがとうございました!

----------------------------------------

> 内田傾様

 ありがとうございます!

 アカアシの、人間の表情に対しての疑問、たしかにいわれてみれば、とてもくどかったです。安直でした。大反省です。
> 分かる部分、共通する部分にもう少し力点を置かれると、グルグルしている感じは減るだろうなと
 はっとしました。的確なアドバイスありがとうございます……!
 ただ駄目っていうのでなくて、こうしたらもっとよくなると思うっていう、内容を良くするための前向きな(そして適切な)アドバイスをいただけるのって、本当にすごく貴重なことだと思います。とても有り難いです。(駄目出しだけでも、教えてもらうほうに適切な姿勢と理解力があれば、活かせるはずですが、それはともかく)

 ワーキリーの母親のくだり、丁寧に拾ってくださって、ありがとうございます。
 アカアシにわかってはいけない部分。それだけに、何らかの形でもっと具体的な「答え」を書くかどうか、さんざん迷いました。こんな書き方で拾っていただけるのかどうか、よほど丁寧に読み解いていただかないことにはちっとも伝わらないのではないか、伝わらないにしても、流されるのならいいけれど、中途半端にひっかかってもやもやされるだけというのは、寂しい……。迷って迷って、今の形にしました。
 お母さんに悪気はないですよね。たとえばその相手が、人間のスゴい画家だったとしたら、お母さんが絵画の世界に詳しくないせいで、トンチンカンな誉め方をしたら、それって、ワーキリー的には気まずいけれど、客観的にはコミカルでほほえましいくらいですよね。でも、アカアシが異種族だからこそ、微妙な問題を孕んでいて、少なくともワーキリーには、動物が芸をするのをみて、すごい、というのと同じようなニュアンスに聞こえる、あるいはアカアシにそう聞こえてしまうのではないかと思える。
 もっと丁寧に、掘り下げてかければよかったです。アカアシ視点で、彼には気づかせずに、かつ読み手の方にははっきり伝わるように、さりげなく描写できれば。そう思いはしたのですが、解決策を思いつきませんでした。
 わかる部分、共通理解の部分をいれておけば、もっと引き立つとのお言葉に、はっとしました。そういう細かな配慮が、わたしは本当に行き届いていないんだなあと、痛感しました。勉強になりました。ありがとうございます。

 とても嬉しく、そして、とても勉強になるコメントでした。詳しく読んでくださって、かつ丁寧にご指導いただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました!
No.9  内田 傾  評価:40点  ■2010-12-15 16:23  ID:ZfbnTb7lDiE
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拝読させていただきました。

面白かったです。

導入部、過不足なく、しかも説明的でなく、すんなりと物語の内部に入り込んでいくことができました。
ですが、途中からすこし早足というか、早足で物語自体は展開するのに、ちょっと説明的な部分だけがグルグル同じところで止っていて(アカシアはわからない。という部分です。なぜ人間がこういう表情をするのか?なぜあやまるのか?などなどがわからない)少しギクシャクしているように感じました。
わからない、ということが、種族間の差異をあらわすキーワードになっているわけで、それを生かすためには、分かる部分、共通する部分にもう少し力点を置かれると、グルグルしている感じは減るだろうなと感じました。

たとえば、
ワーキリーの母親の言葉、
「貴方も絵を描くんでしょう。すごいのねえ」
に対して、『ワーキリーがぎゅっと眉根を寄せる』わけですけど、ここがたぶんキモの部分で、絶対に純粋である設定のアカシアにわかってはいけない部分。
で、その前後に『分かる』を入れておけば、もっともっと引き立つようなきがするんです。

そうすれば、人間が人間(自分の仲間ですよね)以外の種族にもつ違和のようなもの、無意識からふっと口をついて出て来てしまう差異を前提とした物言いがぐんと引き立つように感じました。
お母さんに悪気はまったく全然ないけれど、『すごい』ことだとおもってしまうその根本的な部分みたいなのって大事なような気がする。
あとで、それだけが『ワーキリーの眉根を寄せる』原因ではないとわかるのですが、根元は同じ、かなーとか。


まったく全然見当外れなことを書いてしまった気がしますが。。
とにかくすごく楽しませてもらいました!
このたびはどうもありがとうございました!
No.8  lico  評価:30点  ■2010-12-15 00:27  ID:YWND3YBhwp6
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 読ませていただきました。

 三語の作品もブログの方で読ませていただいていたので、今回の作品が単独で読めるかどうかという点は、またもや私にはわからず、参考にならなくて申し訳ないです。皆さんの感想を拝見すると、ちょっと難しめ、なのでしょうか。「単独でも」というHALさんの意向からは外れてしまうかも知れませんが、シリーズものとして捉えるなら、読む順番にもよると思うんですよね。というのは、私は設定や視点にあまり頭を悩ませることなく、けっこう普通に楽しんで読ませていただくことができたからです。するとやはり、前作で得た前提は大きかったのかな、とも。

 今思えば、冒頭の「しらないうちに抜け落ちていた自分の羽根」で語りが誰だかわかっていたし、「四本の鉤爪」が前作では三本だったことには気づかなかったけれど(笑)、ワーキリーは友人だとすぐに判別できたし、もちろん種族間の違いも認識していました。シリーズものだから大前提となる設定を描きこまなくてよいというわけでは決してないけれど、あまりくどくど説明されても、前作を読んでいる読者は辟易してしまう部分もあると思うので、そこは匙加減が難しいところですね。

 展開は面白いなぁと思いました。アカアシが飛びたって、本能を目覚めさせるところなど、わくわくしてしまいました。彼がカッとなって、思いもかけない行動に出る、それが空へ飛んでいってしまうこと、というのは蝋羽族ならではですね。でもそう、話が小さくまとまりすぎているというのは確かに私も少し感じていて、けっきょく彼がすぐに我に返って、友人のところへ戻ってしまった点は、なんだかちょっともったいないかなと。

 例えば、欲求に抗えず、そのまま一族のもとへ帰ってしまうとか、思わずひったくり犯を落としてしまうとか、街に引き返しても、ワーキリーのお母さんにひどい態度をとられるとか(まあ、ワーキリーのお母さんだから悪い人にはできないですよね)、今まで築きあげてきたものを失って、自暴自棄になって絵を諦めかけて、前作で彼の作品を盗んだ少女との約束を思い出すとか、なんだか私が暴走気味ですが(笑)、HALさんはお気づきでしょうか、おそらく感覚で書きすすめられている文章の中に、けっこう意味深な伏線がたくさん埋めこまれているように思うのですよね。まあ、「もしかしてこれは……?」と読者に思わせておいて、その期待を裏切る展開も逆に期待されるのでしょうけれど、使えるものを使わないのはもったいないです。

 ともあれ、一度書かれた箇所をずい分削られたようですので、意味ありげに思えたのは、その名残りもあったのかも知れません。加筆はいくらでもできるけれど、削るのは大変な作業ですよね。

 全然関係ありませんが、私はどこか飄々としているシャガンがお気に入りです。今作ではなんだかけっこういいヤツになっていて、アカアシのことをもう「鳥野郎」とは呼ばなくてなっていたし、一段と友情や絆が深まってきたのかと思いつつ、ちょっと残念なような気もしたり(笑)。そのうちシャガン視点の物語も書いてくださるものと期待しております。それから、最後にもうひとつ。今回は街へ出ての珍事がメインとなっているので、タイトルの「学び舎」は少し存在が遠いかなという気がしました。

 とんでもない長文で、またまた戯言ばかり、大変失礼いたしました。次回作も楽しみにしています。
No.7  ゆうすけ  評価:30点  ■2010-12-14 18:09  ID:1SHiiT1PETY
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拝読させていただきました。

純粋なファンタジーですね。丁寧に書きこまれた魅力的な世界の雰囲気が出ています。主人公がこれまた面白い設定で、引き込まれました。蝋羽族、想像力を働かせないと、ちょっと容姿がわからないですね。容姿についての描写を早い段階で入れていただくと、思い描きやすいです。

序盤から中盤にかけて、凄く面白くなりそうな芳香を感じました。豪壮な料理の匂いを嗅いだ感じですね。しかし食べてみたら、美味しいは美味しいけど、やや薄味だったような気がします。それは、丁寧に書きこまれた描写や設定は素晴らしいのですが、せっかくのキャラがいまいちはじけていないように感じたからだと思います。
男同士の友情、いいですね。悪ぶっているけど仲間を思うナイスガイ、うまく描いていると思います。

毎度、HALさんが作るミステリアスなキャラには、物凄い期待感を抱きます。もっと自己主張してはじけて欲しいような感じですね。HALさん自身が、物静かで控えめな方なのかな? とか勝手に妄想したりして。ではまた次回作に期待していますよ。
No.6  としお  評価:30点  ■2010-12-14 14:47  ID:kWriX7DAQx.
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 HAL様へ

 私は最早TCを去る身でありますが、最終作を投稿した際HAL様の文を発見し、どうしてもコメントを残したい誘惑に駆られ、一文残すことに致しました。
 故に、これをもって私のTC最後の活動とさせて頂きます。

 まず、感想にあたり、私が皮肉に思いますのは、どうも私はHAL様の文を2作目から読み込む定めであるらしい≠ニ言う事であります。
私は貴作を2度読み込み、主人公のアカアシの全体像が全くつかめず、これは一体どう言う事かと自問自答した結果、HAL様のサイトに赴き、『ファナ・ティオトルの学び舎にて』を発見し、ようやく主人公の全体像鳥人≠ナある事を知りました。
 私が一度目に読んだ時は蝋羽族、なる呼び名と、四本の鉤爪と言う表現に、虫人≠ナあろうかと勝手な想像を致した事を述べさせていただきます。

 尚、ここで併せて述べさせていただきますが、『ファナ・ティオトルの学び舎にて』は名作でありました。非常に感動し、また、その表現の細やかさ、そして、アカアシの種族としての違いがはっきりと描かれており、非常に楽しく読めた事をご報告させて頂きます。

 ……ただ、それ故にでありますが、私は今作、やや踏み込みが甘い気が致します。
 まず、前作ではアカアシの種としての違いがワーキリーの目から客観的に、実にくっきり描き出されておりましたが、今作においてはその独白において、アカアシの種としての違いは、ほとんど見受けられません。
 私にはこれは、不自由な、人の独白≠ノ見えてしまうのです。
 彼らは生まれつき@モ持ち、文字を持たず、人間の手を持ちません。また、コミュニティを持たぬのであれば、自ずとその独白は、人からかなりかけ離れたものとなる事でありましょう。時には人からは理解できぬ$ォ向や意思が有って然るべき、と私は思うのです。
 私は読書量が少ない故に、例として挙げられる異種の独白であれば、友野詳先生のルナル・サーガ≠ノおける、世界の破滅を望むゲルーシャ族の数行の独白程度しか思いつきは致しませんが、私は、その数行の独白文を読んだだけで、ゲルーシャが、人とは違う、存在である事を薄ら寒さと共に実感した事を今でも覚えております。その様な、人と彼らの圧倒的な溝、その様なものが描かれていれば、今作はファンタジーとして、幅が広がったような気が致します。

 また、これは個人的な意見でありますが、アカアシが鏡、或いは水面に写った自分の姿を独白して頂きたかった。そして、アカアシの目から俯瞰した、人間像もそれなりに提示して頂きたかった、と思います。主人公が異種の存在で或る故に、明確な全体像≠ヘ何より欠かせないと思いますし、それを、異種族である彼が自身の身体をどう見ているか非常に気になり、また、人間の肉体。が、別の肉体を持つ彼らからどう見えるか、それも非常に気になりましたので。

 最後に、私としてはこの連作、非常に衝撃的で、目から鱗であった事、述べさせて頂きます。
 私は一度、異種族が混じる未来ファンタジーを構想した事はございましたが、それはやはり、普通に事件が起こり、戦うものでありました。この様に異種族が混じり、美術学校においての日常、友情、小さな事件や羨望や嫉妬、実に日常的なそれらを描くというのは、私からは思いつきもしない技法でありました。
 いつか私も身体が癒えた時、この様な日常的ファンタジーを描いてみたい、そう、思わずにいられませんでした。

 TCの先輩であるHAL様に、これまでの感謝と激励を込めて。
 それでは。
No.5  HAL  評価:0点  ■2010-12-13 22:25  ID:tnGFaC6.MSM
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>お様

 いつもありがとうございます。
 人称の件、まえにもご指摘いただいていたのに、そして気をつけていたつもりなのに! いわれて読み返すと、やっぱりわかりづらかったです。なにかと進歩がなくて恥ずかしいかぎりです……(汗)
 文章の順番とか、いいまわしとか、いつもちょっとした配慮が足りていなくて、すぐわかりづらくしてしまいます。反省です。

> ずけずけと
 たすかります。とてもたすかります。
 とにかく自分の書いたものを客観的に見れなくて。あと、ヘコんでもわりとすぐに立ち直るほうなので、直球のご意見、ご指摘、すごくありがたいです。
 というかいつも棚上げ甚だしいことばかり書いてごめんなさい……(大汗)

> 純情な異種族の少年がどう世界に揉まれて変化していくのか、
 キャラクターの変化、ってすごく大事ですよね。話がはじまってから終わるまでのあいだに、登場人物の心理や状況が、どう変化したのか。課題にしたいです。

> ことなくまとめよう
 かえす言葉もございません……(苦笑していいやら汗をかいていいやら)ちゃんと壮大なファンタジーもかけるようになりたいのですけれども、なんというか、道はなかなか遠そうです……。
 こぢんまりするのは、なんていうか、性格的なアレもあると思うのですが、ファンタジーやSFには、『ありそう』と思える日常感が欲しい、というのが念頭にあって(この辺、もしかしたら少数派なのかもしれないのですが)何より先に、小さなところから作りこみ始めるという習慣ができてしまっていて。そして、それを積み上げて、大きな筋にのせて大長編までもっていくだけの、体力と根性がないという……。なんといいますか……精進します。たくさん書いて体力つけます。

 これにこりずに、地道にがんばります。ありがとうございました!
No.4  お  評価:30点  ■2010-12-13 21:51  ID:E6J2.hBM/gE
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HALさま、こんちわ。
畏れ多くも拝読させていただきましたので、恐縮千万にも思ったことを少しだけ述べさせていただきたくそうろうかしこッ……舌噛んだ。

前にも行ったことと同じ繰り返しだけど、どうにも、語りが一人称なのか三人称なのか区別しがたい。HONETさんの感じたことを僕も感じて、最初に出たワーキリーは三人称語りの主人公の呼び名だと思った。一人称の練習というなら、もう少し精進が必要かなぁと思うし、こだわりないなら、三人称語りでいいんじゃないかな? と僕は思った。まぁ、HALさまだから、ずけずけと本音のところをぶつけちゃうけど。
展開に関しては、いまいち、主人公の特性が活かし切れていない感じがして、少々、もどかしい。スピンオフのような作品なのだとしても、もう少し、主人公の特性を活かしてあげないと、単なる道化のようになってしまって、かわいそう。まぁ、多分、長い物語りのほんの一ページということなのだろうけど。だから、この作品だけ読んでそこのところを指摘するのは、フェアじゃないかもしれない。純情な異種族の少年がどう世界に揉まれて変化していくのか、ファンタジーの主題としては王道だけど、王道だからこそ興味深い。それをこのボリュームに求めるのは不可能だけど、なにかしら予兆めいた感じがあっても良かったのに、なんとなく、巧くまとめよう、ことなくまとめようという、見えない意志が働いていたようにも感じなくもない(<このへん、ちょっとお返し。えっへっへ)。最後あたりなんか、めっきりワーキリー君のひきたて役になっちゃって……。少年が、少年でいられなくなる瞬間の苦悩と燦めきの、その前夜。なにか、そういう余韻が最後欲しかったかなぁ。
ファンタジーは王道であればあるほど、求められる期待も、テーマの大きなものになりがち。そこのところをくすぐりながら、ひっぱりながら、最後どう満足させるのか。本編がどのようなカタチで公開されるのか、それを僕が眼にすることがあるのか、そこらは分かりませんが、まぁ、HALさまの苦悩っぷりを想像すると、なんだかゾクゾクしちゃいます。

でわでわ、そんなことで。
No.3  HAL  評価:0点  ■2010-12-13 21:26  ID:tnGFaC6.MSM
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> HONET様

 わわ、ありがとうございます!
 書き出し。たしかに、これでは読み手の方の頭にちゃんとした絵が浮かぶまでに、時間がかかりますね……。悪い癖が出ました(汗)
 そういえば、メッセージ欄にでも書けばよかった気もするのですが、実は三語作品の続編だったりします。いちおう、単独でも読めるように書いたつもりですが、前作を下敷きにした部分もあったりして、それが設定のわかりにくさに拍車をかけている気がします……。なんの言い訳にもなりませんが!(涙)

 アカアシの主体性、キャラクター、たしかに薄いです。主人公の魅力が伝わってこないと、こういうのって、面白くないですよね。大反省です。書き急ぎすぎた感が……(汗)

 世界の広がりのようなものが出ていたのなら嬉しいです。反面、せっかくの異世界ものなのに、なんでしょうか、このスケールの小ささは……(涙)
 こう、波乱万丈の大河小説みたいなものも、いつかかけるようになりたいのですが、ついつい日常的な部分ばかり書いてしまって、これもよくないクセなのでした。

 適切なご指摘と、それから励ましのお言葉、ありがとうございました! 精進します。

----------------------------------------
> 沙里子様

 ありがとうございます!
 実は同シリーズの一本目にあたる短編では、ワーキリーが視点キャラでした。シリーズもの的に、途中で視点キャラを切り替えようと思って、アカアシに移した次第でした。

 そういえば、感想が重複するのって、自分が人様の作品の感想欄に書くときにも迷うのですが、同じ意見が複数の方から出たということも、それはそれでひとつの指標になるのかなと思います。ありがとうございます。

 キャラクターをお褒めいただいて、とてもうれしいです。シャガンは、もっと悪いやつっぽいテイストを出せればよかったなあと思います……。ただのいいやつよりも、悪い男なんだけど実はいいところもある、みたいな按配が好きなので、ほんとうはそう持っていきたかったのですが、追いつきませんでした。

 気配りの件、いい意味で仰ってくださっていると思うのですが、おもわずぎくっとしました。せっかく青年が三人も集まっているのだから、もっとかみ合わなさとか、わかりあえなさとか、葛藤とか、そういう部分もちゃんと出していければよかったです。小さくまとめすぎました……。

 温かいお言葉に感謝です。ありがとうございました!
No.2  沙里子  評価:30点  ■2010-12-13 20:50  ID:9HJIKQhJRFY
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拝読致しました。
こういうお話では普通、主人公はワーキリーのような立場のキャラにされがちですが、「異形」のものであるアカアシを描くことによって、独特の味が出てると思います。
HONET様のご感想と被ってしまう所があり、申し訳ないです(汗

主人公の友達であるシャガンとワーキリー、すっごくいい奴ですね!
友達思いというか、別種族である主人公に対しての気配りはすごいと思います。
最後の場面、自分に与えられた賞に対して憤るワーキリーと、それを不思議に思う主人公の思考の差異はやはり、彼らの種族が異なるものだからなのでしょうか。
少し考えさせられました。

すっごく見当違いなこと書いてたら申し訳ないです(汗
子どもの戯言だと思って受け流してやってください。
それでは、次作も期待しております!
No.1  HONET  評価:30点  ■2010-12-13 20:07  ID:gOH2TKqQEE2
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 異世界ファンタジーを読んだのは○年ぶり!
 ということで、以下は本当に本当の感想です。

・異世界ファンタジーの書きだし
 このジャンルで一番難しい点なのかなぁと感じます。最初、ワーキリーを主人公の名前かと勘違いしました。まあ、良く読めば自分の読解力のなさに嘆くばかりなのですが(汗)
 読み進めれば理解できますし、スムーズに読めます。しかしそれまでは少しばっかり根気が必要、かな? このジャンルに共通した課題なのかもしれませんが。

・主人公を異人種にした点
『人間』という種を離れた点から俯瞰することで、ちょっと変わった味のある作品に仕上がっているように感じました。ただ、それにより主人公がかなり主体性の薄い人物像になっています。純真、と言い換えてもいいのでしょうが、どちらかというと透明といった感じで。これにより、人間を俯瞰するという味が生まれる半面、ちょっと物足りなさも感じてしまったように思います。
 読者が主人公を通して人間を見ているのですが、主人公というフィルターをあまり感じない、といいますか。個人的には、もう少し主人公がアクを持っていてもよかったかな、とも感じました。

 大きくはこの2点でしょうか。
 色々書きつつも、久々の異世界ファンタジーを楽しませていただきました。この話はもっと大きな世界を持ってるように感じます。他の話も機会があれば読ませていただきたいです。
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