王女と、マフィンと日記帳
 大陸のほぼ中央に、リオン王国という中堅国家がある。花の王国、と呼ばれるように春になると色とりどりの花々がこの王国中を覆う。季節は、ちょうど春。王宮の中庭も、鮮やかな色彩で彩られていた。甘く、清々しい匂いの中、二人の騎士がそこに立っていた。
「これで、僕の六勝勝ち越しだな、ソフィ」
 黒髪の、真面目そうな青年がそう言って、にこりと微笑む。声をかけられた、金髪の女性、ソフィは白い肌を赤くして、頬を膨らませた。
「計算間違いですよ、ロキ。正確には、あなたの勝ち越し数は四です」
 ソフィに指摘され、ロキの方も不機嫌そうな顔になった。午前の鍛錬を終えたばかりの二人は、軽装で、甲冑などは身に付けていない。
「いや、六だな。君の言う二つは、僕の剣の方が先に届いていた」
「よく言いますね、私の剣もロキの脇腹に届いていたんですよ? だからあれは引き分けです」
 いつものように、不毛な言い争いが始まる。十五歳で王女に仕える騎士として配属されて以来、ずっと続いている戦い。二人で行う実戦形式の模擬戦闘で、どちらがより多く勝てるかというまさに意地の張合い。最初は律儀に、何戦何勝何敗と数えていたが、八年経った今ではもう互いに面倒臭くなって、どちらが幾つ勝ち越したか、それのみを記憶しておくようにしていた。一つの勝利がどちらに転ぶかで、後の勝負に響く(本人たち談)ため、このように互いに譲らない死合になってしまうのだった。
「ほんっと、綺麗な顔して頑固だな」
「ちょっ、どういう意味ですかそれは。褒めてるのか、貶しているのか、はっきりして下さい!」
 常に冷静沈着で知られるソフィも、人目がないところではこんなものだ。案外と、この平行線なかけ合いを自分もソフィも楽しんでいるのかもしれない、とロキは思った。けれど。
「この勝負も、あと少しだな」
 急に、思い出したように、ロキは呟いて空を見上げた。
「止めて下さい。暗くなります」
 ソフィは、悄然とした顔で俯いた。王女を守る、フィオーレ騎士団の第一位と、第二位が揃って口を閉じてしまった。
 考えないようにしても、その時は迫ってくる。別れ、とはそういうものなのかもしれない。ロキは、名残惜しそうに、王女から拝領した第一位を表す記章を指でそっと撫でた。
 そんな、二人の沈んだ空気を消すように元気の良い足音が聞こえてきた。ぱたぱた、と軽いながらも、精一杯急いで来ていることが分かる。
「ごめ〜ん、遅れちゃった。朝議が長引いて」
 少し癖のある栗色の髪が、風に揺れる。中庭のどんな花より目を引く、可愛らしい少女が二人に手を振りながら走ってきた。自然と、ロキとソフィも表情を和らげる。
「リリエ様」
 二人は優雅に、その場で膝を折った。そう、この少女こそがロキが守るべき少女。フィオーレ騎士団が命懸けで守護する対象。リオン王国第一王女、リリエ・ハイル・リオンだった。御年は、十七。
「だ〜か〜ら〜、三人だけの時はそういうの要らないって言わなかったっけ?」
 リリエは腰に手を当てて、やや激しく怒った。ロキやソフィが、他人行儀に話しかけてくるのをこの王女様は何故か極端に嫌う。
「すみません、癖で」
 ロキは、苦笑しながら身を起こした。ソフィも舌を出しながら、ロキにならった。身体に染み付いた動作は、分かっていても抑えがきかない。
「まあいいわ、それで?」
 リリエはベンチに座りながら、当然と言わんばかりに右手をロキに向けた。ロキは少し呆れた顔をしながら、隠して持ってきた紙袋をリリエに渡した。
「はぁぁ、いつ見ても素晴らしいわ。うぉ、これはまさか新作じゃないかしら?」
 目を輝かせて、リリエはマフィンを紙袋から取り出した。
「はい、季節限定の新商品だそうで。あ、いつものプレーンもちゃんとあります」
「流石、分かってるじゃないのロキ。褒めてあげるわ」
 にやり、と笑うリリエにロキもにやり、と笑って返した。八年続く日課なのだから、それくらいは心得ている。
「本当に好きですねぇ、菓子パンが、というかマフィンがでしょうけれど」
「あら、菓子パンも好きよ」
 ソフィとリリエの会話を聞きながら、ロキは遠い昔を思い出した。大切な儀式の場で、大失敗をして、父王に朝食を抜きにされてしまったリリエ。彼女のために、こっそりと自分用に買ってきていた下町のパン屋のマフィンを分けてあげたあの日。よほど嬉しかったのか、美味しかったのか、それ以来、ロキが毎朝買ってきてリリエに配達するようになってしまった。
そういえば、こっそり渡した場所は、この中庭だったなとロキは感慨深そうに周囲を見回した。
「朝食前に、そんなに食べたら太りますよ?」
 ソフィが笑いながら、リリエに忠告した。リリエは気にしていない、とばかりにマフィンをかじる。
「大丈夫よ、朝食はあんまり食べないもの」
「いや、それはそれで問題があるような」
 ロキが口を出すと、リリエはつん、とそっぽを向いた。
「だってあんまり美味しくないんだもの! そりゃ、良い食材と良い料理人は使ってるんだからそれなりなんでしょうけど。こう、何かが足りないのよ。それに比べて、このマフィンは」
 リリエは幸せそうな笑顔を浮かべる。ロキはそれを見て、優しい表情になった。王宮の料理長は泣くだろうけれど、この顔が見られるならマフィン配達も悪くはない。まあ、王女を菓子パン中毒者にしてしまった責任は胸の内にしまっておこう、と少し冷や汗をかきながらロキは思いを巡らした。
「ん、これは早速、日記に書かなくちゃ」
 リリエは満足気に足を揺らしながら、懐から小さい日記帳を取り出した。ロキが覗こうとすると、リリエは慌てて見えないように持つ角度を変えた。
「ちょっと、勝手に人の記録を見ないでよ!」
 まあ、見なくてもある程度分かるんですが、とロキは苦笑した。
「どうせマフィンのことが八割くらいですよね?」
 ソフィが補足すると、リリエの耳が真っ赤に染まった。それを見て、ロキとソフィは堪らずに笑い出した。リリエは頬を膨らませて、筆を走らせると、大事そうに日記を懐にしまった。
 陽光のような温かい空気。沈んでいた気持ちが晴れるのを、ロキは感じた。
「ああ、またここにいたのかい」
 快活な声で呼びかけられて、三人の間に緊張が走る。王族を示す正装を着た、銀髪の好青年がゆっくりと近付いてきた。
「すぐにいなくなるから、何事かと思えば」
「ライル」
 リリエの声に、怯えが滲む。それがロキには分かったが、リリエにしたようにその男性にもロキは膝を折った。当然だ。彼の名は、ライル・プルミエ・ナルシス。隣国のナルシス王国の第一王子。そして。
 リリエの婚約者、なのだから。
「そんなものを口にして」
 ライルは、リリエの持つマフィンを見ながらそう言った。ロキの拳に、力が入る。
「あ、いや、これは」
 リリエは、慌てて紙袋を後ろに隠した。
「君に会いたい、と私の友人や令嬢達が今朝から来てくれている。こんなところで、時間を潰している暇はないよ、リリエ」
 駄目な子供を諭すように、ライルは優しく言いながら、リリエを立たせた。
「さ、一緒に行こう」
 リリエの肩を抱いて、ライルはリリエを連れて歩き出した。リリエは申し訳なさそうな顔で、振り返る。ロキとソフィは、大丈夫です、と無言でリリエに視線を送った。リリエも安心したように頷く。
「いなくなる騎士と仲良くしても仕方ないだろう? 君が寂しくなるだけだ。だったら、これからの、リリエに相応しい友人達と親しくしていかないと」
 背中に目でもあるのか、聞こえるようにライルが声を張り上げた。そのまま、王宮へと繋がる回廊にリリエと向かっていく。
 地に付けた、ロキの手が震えた。ぽつん、とベンチに残された紙袋に目をやる。そんなもの? こんなところ? 怒りが頂点に達しそうになったところで、横からソフィの手がそっとロキの手に重なった。
「分かっているから」
 ロキは、はっとしてソフィを見る。ソフィは、静かに頷いてロキの肩をぽんぽん、と叩いた。
「同じ気持ちですよ、私もロキも」
「すまない」
 ロキは頭を少し下げて、立ち上がった。ライルとリリエの姿はもう、中庭からは消えていた。

 幽霊騎士団。王女を守る、騎士団のことをそう馬鹿にして呼ぶ輩がいる。その意味が、今頃になってロキにはよく分かるようになった。この世界では、王女が他の王宮に嫁入りしてしまえば王女側の騎士団は自動的に解散してしまう。嫁入りした先の、王子が持つ騎士団が王子と王女を守るようになるのだ。それが、数百年続く決まり事だった。
 リリエ王女を守るフィオーレ騎士団も同じだ。リリエがライルに嫁ぐ、その日までの期限付きの騎士団。役目を終えれば、幻のように消えてしまう。
 騎士の控える宿舎で、ロキとソフィは様々な後片付けをしていた。書類の整理、他の団員が使用していた部屋の整頓など、やることはまだ多い。
 リリエがナルシス王国に向かうまで、あと七日。それまでには、全て処理しておく必要がある。
「ウェイルの奴、私物を残すなって言ったのに」
 騎士団の執務室に入りながら、ロキは円卓の上に手紙の束や、衣服を置いた。正面の机で、書類や本を片付けていたソフィが困ったように笑った。
「後で、送ってあげなきゃ。ウェイルは故郷に帰るのでしたよね」
「僕の記憶では、ヴァイスの町、と言っていたような気がするな」
 一休みしようと、ロキは円卓の席に腰を下ろした。円卓を囲む、十二の席をロキはゆっくりと見回す。あんなにうるさかったこの円卓も、今は空席ばかり。残っているのは、ロキとソフィだけだ。他の団員は皆、王宮を去ったり、別の仕官先を見つけてそこに移ってしまった。
「良い奴ら、だったなぁ」
 それぞれの顔を思い返しながら、ロキは呟いた。そうですね、と机の向こうからソフィの声が返ってくる。このやり取りも、後僅かなのか。ロキはそう思って、俯いた。
「ロキはどうするのですか、解散後は」
 ソフィに尋ねられて、ロキは唸った。まだ全く決めていなかった、というのが正直なところだ。
「ソフィは?」
「私は、そうですね。取り敢えずは待機、といったところでしょうか」
 仮にも、王女を守ってきた騎士団の第二位を務めたソフィだ。王宮の中で、待機していれば他の王族や、騎士団から傘下に入るように要請されるだろう。
「また一緒に」
 言いかけて、ロキは口を閉じた。それは、無理があると分かっていたから。力の分散、ということを王族は考えるに違いない。強い武力を持ち、深い繋がりがある、ロキとソフィをまた同じところに配属しようとする筈がない。
「私の心配より、ロキは自分の心配をした方が良いですよ」
 ロキの言いかけた言葉を聞いていたのか、いないのか、ソフィは冷静に言った。ロキは、そうだな、と厳しい指摘を甘んじて受け入れる。
 八年も一緒にいれば、大抵のことは分かる。ソフィが冷たく言い放つ時は、いつもこちらを気にしてくれているのだ。
「それでも、自分よりあの王女様のことが心配だよ」
 今朝のことを思い返しながら、ロキは天井を仰いだ。今度は、ソフィの方から呻く声が聞こえた。
 ナルシス王国、第一王子ライル。次期ナルシス王の最有力候補。傑物として有名。婚姻としては素晴らしい組み合わせ、とは分かっていてもロキには引っかかるものがあった。次期国王候補、なのだから尊大なところがあっても当然といえば当然なのだが、あの態度やリリエへの接し方が受け入れられない。
 きっと、あの王子はリリエからマフィンを取り上げるだろう。それと同じように、リリエが望むものを全て、彼が望むものに置き換えるのではないだろうか。そうなれば、あの少し頼りなくて、我儘な王女様はどうなってしまうのだろう。嫁いでいった彼女の日記には、何が書かれるのだろう。
 身分も違えば、分をわきまえていないことも承知の上での心配だった。自分とソフィが、ほぼ半生をかけて尽くしてきた王女なのだから。
「儂も、心配じゃよ」
 扉の影から声がして、白ひげの老人が入室してきた。二人は飛び上がるほど驚いて、その場に平伏した。
 本来であれば、こんなところに顔を見せるはずがない人物。この国の、頂点に立つ男だった。名を、アルフレッド・ハイル・リオンという。
「国王陛下」
 二人は、緊張した声で呼びかける。ロキは、内心穏やかではなかった。会話の聞き方によっては不敬とも思われかねない内容を口にしたから、だった。
「楽にして良い。こちらが、私的時間を濫用しただけのこと」
 ほっほ、と笑いながら国王はすぐ側にあった席に座った。二人は、困惑したように顔を上げた。
「公の場だと、ナルシスの方がおられるのでな。心配だ、などと言えば外交問題になる」
 国王は机に肘を付けて、二人を眺めた。外から近衛兵が一人、扉の近くに立ったが国王は気にするな、と二人に手を振った。
「昔から決まっていた婚姻だが、いざ嫁ぐとなると儂も心配でな。近くで見ていた君たちも同じだろう、と来てみたのじゃよ」
 ロキは、身に余る光栄に身体が震えるのを感じた。
「果たしてあの英才王子と釣り合うのか、考えても仕方のないこととは思うが」
 国王は、深く、引き込まれるような瞳をロキに向けた。
「せめて、ここにいる間は安心して準備をしてもらいたい。残りの時間、君たちがあの娘を支えてやってくれ」
「勿体ないお言葉」
 ロキと、ソフィは丁寧に頭を下げた。
「さて、あまり長居をすると変な詮索をされるからの。儂は退散することにしよう」
 国王は飄々と、部屋から出ていく。ロキは、国王の心遣いに胸が熱くなるのを感じた。ソフィも同じような顔をしている。
 そうだ。残された時間は少ないけれど。何もできないわけでは、ない。せめて、快く送り出してあげなければ。それが、最後の務めなのだろう。
「よし、明日は奮発するか」
 そう言って立ち上がったロキを、ソフィは眩しそうに見上げた。

 朝早く起きて、買ってきたマフィンをロキは口の中で転がしていた。執務室の、円卓の上にはパン屋の紙袋が三つ、無造作に転がっている。
 書類を書きながら、ソフィは何度もロキの方に視線を送った。もう三日、リリエは中庭に姿を見せていない。誰が止めているのかは、明らかだった。
「変な気を起こさないで下さいよ、ロキ」
 見かねて、ソフィがロキに注意をした。ロキは怒気を含んだ声で、ソフィに答える。
「変な気って何だよ」
 これが身分の違いか。ロキは、口の中で無意味な咀嚼を繰り返した。リリエのために、残された時間を使う。その決意があっさりと否定されてしまった。空虚な気持ちが、心の中を満たす。王女を守る騎士のくせに、何もできない。それは、騎士として死んでいるのと同じではないのだろうか。
「一言良いですか、ロキ」
 ロキは鬱陶しそうに、ソフィを見つめた。ソフィは、哀し気な表情を浮かべた。
「あと数日で別れるのに、無二の戦友にそんな顔でいて欲しくないのですが」
 ロキは、顔を背けた。ソフィに見えないように隠したその表情が、壊れそうなくらいに厳しく歪む。
 ずっと心を砕いてきたリリエとの別れ、受け入れられないリリエの婚約者。心を許してきた騎士団員との別れ、自分のこれからの道。そして、長く一緒に歩いてきたソフィとの別れ。騎士としての矜持と、それとは別の自分の気持ち。
 複雑に重なって押し寄せてくる出来事と、様々な感情がロキの中でぐちゃぐちゃに混ざって自分でも処理できなくなっていることに気付く。
 迷路に迷い込んだように、前を向けない自分が堪らなく恥ずかしい。ロキは、ぐっと拳を握った。それでも、親友にかける言葉くらいは何とか搾り出す。
「すまない、ありがとう」
 ソフィは、金髪を揺らして、静かに微笑んだ。
「謝っているのか、感謝しているのか、ロキの言葉はいつもふた通りで分かりにくいです」
「どっちも、だ」
 憮然と返したロキの言葉に、ソフィは軽やかな笑い声をあげる。ロキもつられて笑った。ああ、いつもこうやって支えられてきたのだ、とロキは瞳に滲んだものを悟られないように拭った。

「う〜、終わらないですね」
 背伸びをしながら、ソフィは目の前に溜まった書類に目をやった。
「無駄口叩いていると、僕の方が先に終わるぞ」
 ロキはそう言いながら、自分の目の前にもある書類の塊を一枚一枚片付けていく。騎士だからといって、一日中、武器を振り回しておけば良いわけではない。手続きや、確認、報告、その他諸々の理由で文官のように書類と格闘しなくては騎士など務まらないのだ。フィオーレ騎士団は解散間近なので、余計に書類仕事が多くなる。
 もう外は真っ暗で、執務室に明かりが灯っているのはここだけ、となってしまった。黙々と仕事をこなす二人の集中を削ぐように、コンコン、とノックが響く。
 ロキの心臓が、高鳴った。
「お邪魔します」
 悪戯をする子供のような表情で、リリエが忍び込んできた。
「リリエ様」
 ロキの声が、弾む。口にしたロキ自身が、そのことに驚いた。しっ〜、とリリエは口に手を当てて、そっと扉を閉めた。
「抜け出してきちゃった」
 全くもって悪い、と思っていない口振りでリリエは舌を出した。普段なら諌めるところだが、ロキとソフィは互いに見合って、嬉しそうに笑った。
「ライルが許してくれなくて、困ったわ」
 リリエは、円卓の上に転がった紙袋を見て、顔を曇らせた。ロキはその表情を見て、しまったと後悔した。来ると分かっていたのなら、片付けていたのに。
「ありがとう、ロキ。ずっと買ってくれていたのね」
 リリエは少しはにかみながら、ロキに微笑みかけた。それだけで、ロキは胸が苦しくなるのを感じた。
「大丈夫でしたか、この三日お会いもできず、ロキと二人で心配していたんですよ」
 ソフィに抱きつきながら、リリエはこくりと頷いた。
「大丈夫、結婚するんだもの。これくらい」
 言葉とは裏腹の、リリエの疲れた様子を見て、ロキの中で何かが疼いた。元気で、我儘で、こちらを振り回すくらいの方が調度良い王女様なのに。何で、こんな。
「リリエ様が望めば、騎士としてはお供できなくとも従者としては付いていけます」
 ロキは、思わずそう口にした。リリエの澄んだ瞳が、ロキを真っ直ぐに見つめた。助けて欲しい、側にいて欲しい、その一言さえあれば自分は何でもできる。すがるような思いで、ロキはリリエを見つめ返した。しかし、リリエは静かに首を横に振った。
「私と一緒にいる、というお役目はもう終わるの。ロキもソフィも、後は自由に自分の人生を生きなさい。いつまでも、私と一緒にいる必要なんてないのだから」
 ロキは言葉を失って、唸った。そんな。そんな言葉は聞きたくない。
「リリエ様」
 ソフィが何か言おうとするのを、リリエは制した。
「ほんとは、二人にお別れを言いにきたの。あと四日しかないけれど、きっとライルから抜け出す機会なんて今日以外ないと思って」
 お別れ? ロキの思考は空転する。考えたくなかった。
「今まで、本当にありがとう。向こうでも上手くやるから、応援していてね。お役目でも、一緒にいてくれて嬉しかった」
 そうではない。確かに王女を守る騎士だから、あなたの側にいたし、親しくしてきたけれど。仕事だから、仕方なくやっていたわけではない。どうして、そんなことを。
 ソフィの腕をすり抜け、リリエは戸口へと向かう。出ていく瞬間に、ロキとリリエの目が合った。リリエの口が僅かに動く。リリエはそのまま何かを振り解くように、走り去った。
 ロキは、やり切れない想いで戸口を見つめる。ソフィは、リリエの後を追いかけて廊下に出はしたものの、見失ったのかしばらくして帰ってきた。
「じゃあね、って何だよ」
 ロキは答える者のいなくなった空間に、呟きかけた。

 壮大な音楽が王宮に響き、花々が美しく散らされていく。王宮の前には、ナルシスからやって来たライル王子を守るファルコ騎士団が整列していた。これから、王子とリリエ王女を伴って、祖国に帰っていくのだ。
 ロキとソフィも正装をして、リリエを見送る位置に立っていた。結局、あれからリリエに会えずに、ここまで来てしまった。もう、長いお喋りをする時間はない。けれど、父王への最後の挨拶を済ませたリリエは、二人の間近を通ってライル王子の元へ行くようになっていた。それが、本当に最後の機会だった。
 こんな終わり方、こんな晴れない気持ちでの別れなんて嫌だ。ロキは、想いを秘めながらリリエが来るのを待った。ロキの張り詰めた気が、ソフィにも伝わる。ソフィも、同じ想いだった。
 王宮の奥から、白いドレスを身にまとったリリエが現れた。列席していた貴賓席から、感嘆の声があがる。ロキも思わず見とれてしまった。リリエは、ゆっくりと歩きながらこちらに近付いてくる。ロキとソフィがいることは、向こうから見ていてすぐに分かるだろう。そう思っている内に、足音が聞こえるくらいまで接近した。薄く化粧をした、リリエの顔が見える。二人が見つめる中、リリエは真横を通り抜けた。
 一瞥もしなかった。リリエは前を向いたまま、声をかけることもなく、ライルの元へ向かった。ロキの目に、勝ち誇ったようにリリエの手を取るライルの姿が映る。虫酸が走るような光景だった。そのまま、リリエの姿は馬車の中に消えていった。

 リリエとライルを守る煌びやかな列が遥か遠くへ去った、夕刻になっても二人は立ち尽くしていた。式典の片付けをする者たちも二人の気持ちを察してか、遠巻きに作業をしていた。
 一番したくない、そう思っていた別れ方だった。国王の頼みもほとんど叶えられなかったに等しい。じっと耐えるように拳を握るロキの横で、ソフィの嗚咽が聞こえた。どうして、こうなってしまったのだろう。
「あの」
 女官の一人が、恐る恐る近付いてきて二人に話かけた。放っておいてくれ、とロキは思ったが女官は困ったような顔をしながら口を開いた。
「お二人に伝言が」
「伝言?」
「はい、リリエ王女様の私室の片付けを手伝え、と国王陛下が」
 ロキとソフィは顔を見合わせる。意外な命令、だった。今更、何を手伝うと言うのだろうか。しかも、それは女官の役目で、騎士の役目からは外れる。二人は国王の意図を理解できないまま、女官に案内されて私室に通された。
 数度、通されたことのある私室は、リリエが出ていった後だというのにほぼそのままの状態だった。
「ライル殿下が、リリエ様には似合わないとほとんどの品を置いていかせたそうで」
 首を捻るロキと、ソフィにそっと女官が耳打ちした。
「ライル」
 ロキは、壁を殴りつけたい衝動に襲われた。冷静なソフィも、怒りを顔に出している。綺麗に残されたものを整頓している女官の邪魔をしないように、二人は室内を歩いた。何か、思い出に残るようなものはないか。不本意な最後をぬぐいさる何か、は。ロキは、怪しまれない程度に周囲を探してみた。わざわざ、この部屋に入るのを許した国王の思いも気になる。
「ロキ、ちょっと」
 ソフィに呼ばれて、ロキはすぐに歩み寄った。
「これを見てください」
 机の上にあった一見するとただの歴史の本。ただ、何かが挟まっているのか妙に浮き上がっていた。ロキは不審に思って、そっとページをめくる。そこには、あの小さな日記が挟まっていた。二人は、思わず笑顔になった。
「マフィン日記、か」
「そう言えば、見たことはありませんでしたね」
 そうだな、と返しながらロキは日記を開いてみた。当人がいないのだから、まあ許されるだろう。

水の月、十日。
 今日は、ロキがマーマレイド入りのマフィンを買ってきた。正直、今日のチョイスは褒めてあげられないと思う。美味しいのだけれど、隣にチョコ風味のマフィンを入れたおかげで味がうつって何だかよく分からない味になっていたわ。でも、いつも色々考えて買ってきてくれるの。そういうところ、ロキは素敵だと思う。恥ずかしいから、絶対に言わないけど!!

水の月、十一日。
 今日は、ソフィが色々と町の流行の服とか、髪飾りについて教えてくれたの。ロキはそういうの全然だから、ソフィみたいな女の子が近くにいるって本当に助かる。でも、やっぱり二人がいてこそ、だよね。

 読み進めながら、ロキは違和感を覚えた。ソフィは口を抑えて、目に涙をためている。
「マフィン日記、じゃない」
 ソフィが肩を震わせて、こくりこくりと頷いた。マフィンのことばかり、書いてあると思ったのに。書いてあるのは、ほとんどが自分とソフィのことばかりだ。

雪の月、二十日。
 今日は朝からとても寒かった。それでも中庭で、二人は待っていてくれたの。抱きしめて、ありがとうって言ってあげたいけど、びっくりするだろうから止めておくわ。寒い、寒いって言いながらお喋りしたの。本当の友達みたいで、楽しかったぁ。きっと二人もそう思っているよね。私、二人がいるとすごく嬉しい。

「リリエ様」
 ロキは搾り出すような声で、日記の文字を撫でた。そこに、リリエの本当の想いがある。ずっと見せないようにして、守ってきた大事な想いが。
 抜けている日はないほど、几帳面に、リリエの記録は続いていく。丁寧な文字から、活き活きと三人で過ごした思い出が甦ってきた。楽しんで書いている姿が、目に浮かぶ。
 ソフィと一ページ、一ページめくっていく中、最後の花の月に入って、ロキの手が止まった。ライルが王宮にやってきて、嫁入りの準備が始まったあたりから、明らかにリリエの筆跡が変わった。丁寧な文字から、走り書きしたような文体に。それは、隠れながらこっそりと書いているような書き方だった。
 日が進むにつれて、三人で過ごした記録、騎士団と仲良く過ごした記録に、ライルのことが多く記されるようになっていく。思い出を侵食されている気分にロキは、なった。
 最後の数ページは、最早、ライルがした事しか書かれていなかった。それは、リリエに相応しくない、リリエに似合わない、リリエの成長のために、リリエのこれからのために、というライルの言葉でリリエのあらゆるものが彼の望むものに置き換えられていった記録だった。自分の感情を記さないリリエ。ロキは、砕けるほどに歯を噛み締めた。
 心配した通りではないか。何で、相談してくれなかったのか。ロキは、悔しさで涙が出てきた。たった一言、助けて、と言ってくれればあらゆる手段で守ったのに。あれこれ迷って、あんな最悪な別れ方をしなくても済んだのに。
 そう思いながら、ページをめくる。やがて、日記の最後に辿り着いた。日付は、昨日だった。久々の長文が、二人の目に飛び込んでくる。
「滲んでいます」
 ところどころインクが滲んで、掠れている。泣いていたのか。ロキは、心臓を握られたような痛みを感じた。それでも二人は、リリエが最後に残したものを読んでいった。

花の月、二十二日。
 もうこれで日記も最後だと思うわ。ライルはきっと許してくれない。他の日記は、処分されちゃったしね。嫌だ。私、ライルのことばっかり、書いてる。本当は、もっとロキやソフィのことを書きたかったのに。楽しいことを書いて、こんなに嬉しかったんだよって伝えたくて日記を書いていたのに。こんな日記じゃ、二人に渡せないね。
 というか、もうさよならをしたんだから、会いに行けない。会ってもどんな顔をして、二人と話したら良いんだろう? 会ったら、私きっと言ってしまうわ。苦しいって。そうしたら、きっと二人は付いてくる。無理をして、私を守ってくれる。だって、私は王女で、ロキとソフィは騎士だもの。それは命令だわ。ライルが私にしているのと同じ。
 私、ライルと同じことなんてしたくない。ロキとソフィの心は、ロキとソフィのものだもの。私が何かを言って、従わせるようなことはしたくない。二人が自分で選んだ道を行って欲しいの。だって、それが友……。
 ねえ、ロキ。ねえ、ソフィ。あの笑顔も、あのマフィンも、お仕事じゃなかったよね? お役目だから、ずっと一緒にいてくれたわけじゃないんだよね?
 王女と騎士、じゃなくて。私は、二人が好きだから。一緒にいたかったから。主従なんかじゃなくて、私は、私は二人と。
 友達になりたかった――。

 ロキの拳から、血が滴り落ちる。横から、ソフィの泣く声がした。何故、助けを求めなかったのか。
「考えすぎなんだよ、僕と同じで」
 ロキの呟きに、目を赤くしたソフィも頷く。理由、が分かればやることはただ一つ。そうか、それが国王の。
 不思議そうに見送る女官たちを無視して、ロキとソフィは決然と私室を出た。ロキの腕には、しっかりと日記帳が抱えられていた。

 宿舎に帰った二人は、手馴れた仕草で着替えをしていった。甲冑を着込み、慣れ親しんだ武具を装着していく。
「良いんだな、ソフィ。戦れば、僕も君も反逆者だ」
 後ろに回って、ロキの甲冑を固定していたソフィは、ギュッと紐を締め上げた。
「聞かなくても、分かっているでしょう?」
 そう言いながら、ソフィはそっとロキを後ろから抱いた。
「おい」
「何年一緒にいると思っているんですか? はぁ、ほんと色々と鈍くて困ります」
 何が鈍いのか、ロキには全く分からずに言葉に詰まる。ソフィは悪戯っぽく、それでいてずっと見守ってきた姉のように優しい笑みを浮かべた。
「取り戻しましょう、私達の大事な人を」
「ああ」
 力強く答えたロキの声を聞いて、ソフィは少しだけ切なそうに顔を伏せた。
 
 鉄を擦る、鈍い音を響かせながら、完全軍装の二人は執務室の円卓に地図を広げた。
「ソフィ、戦闘計画をあと十分で立案して報告」
 指揮官の表情になったロキは、事務的にソフィに告げた。ソフィはにやり、と笑って地図に要点をまとめた情報を書き込んでいく。
「ファルコ騎士団は総勢、四十名。ナルシスの護衛兵が二百ほど。弓兵は五十。戦術を立てる必要もないくらいの兵力差ですね」
 ソフィは予想進路と地形を頭に入れながら、冗談を言う口調で言った。
「二人だけだろうと、切り込む」
「そこは、三人にしといて下さい」
 ソフィではない声がして、執務室に甲冑を着た男が入ってきた。
「ウェイル、お前、故郷に帰ったはずじゃ」
 ロキとソフィは、思わず駆け寄る。
「長い付き合いでしょう? 団長と副団長が、何かするのじゃないかと思ってしばらく残ってみたんですよ」
 ロキとソフィは嬉しさのあまり、言葉を失う。ウェイルは照れたように笑うと、急に真面目な顔で二人に敬礼をした。
「フィオーレ騎士団、第三位、ウェイル・アシュフォード。復隊を申請致します」
「認める」
 ロキはそう告げると、ウェイルをがっちりと抱き締めた。
「あれ〜、先を越されたか」
「先輩方、行動が早すぎますよ」
「エミリィ、ジョシュ」
 ロキは破顔して、二人を迎えた。時を置かずに懐かしい顔が、続々と執務室に戻ってくる。皆、自分たちの王女様と団長、副団長が気になって仕方がなかったらしい。結局、第十位までの団員が集結した。欠員は二人。ロキは目を閉じた。それも、また一つの選択だ。
 リリエ奪還のための進撃路、諸注意、撤退時の集結地点などソフィが丁寧に説明する。一通り終わったところで、ロキは立ち上がった。家族や、今後はどうするのか。聞く必要もないだろう。それぞれが覚悟して、誰に命令されるわけでもなく、ここに集ったのだから。
「フィオーレ騎士団、最後の任務だ」
 一人一人の顔を見て、ロキは頷く。最後に目が合ったソフィが、にこりと笑んだ。
「各自、存分に働け」
 おう、とロキに応じた声は、どれもとても弾んでいた。

 夜の闇に沈んだ花の国を、十騎が駆けていく。馬の足で散った花びらが、月明かりに照らされて、彼らを包む。その幻想的な様子は、フィオーレ(花)騎士団の名前の通りだった。
 小休止を入れながら、ロキ達はファルコ騎士団とナルシス軍を猛追した。儀礼的な要素もある嫁入りの隊列なので、そこまで速くは進まない。おそらく、夜はどこかで野営するだろう。そこが、一つの勝機でもあった。
 夜明けまで駆け続けて、ロキ達は目指す敵影を捕捉した。途中で出くわした哨戒の兵は、勿論叩き潰している。半年はまともに動けないだろう。
 小高い丘の上から、のろのろと動く隊列をロキは眺めた。あそこに、リリエ様が。すでに陣営は片付けて、動き出している。できれば寝込みを襲いたかったが、贅沢は言えない。
 ロキはすっと剣を抜くと、隊列に静かに向けた。
「必要ない限り殺すな、けど手加減もするな」
 分かりにくい、といつもは文句を言うソフィも今回は納得したように頷いた。十騎は、ゆっくりと駆け出す。丘の稜線を利用して、身を隠しながら、隊列に接近した。
 ぎりぎりまで見えないように馬を走らせ、稜線が切れたところで真っ直ぐに隊列に突入した。ソフィの計画通り、弓兵が集中的に配置されているところに十騎が雪崩込む。ロキとソフィの第一突撃で、弓兵数人が宙に舞った。悲鳴と怒号が、響き渡る。混乱する隙を付いて、後々面倒になる弓兵を次々と戦闘不能にしていく。剣を振って、抵抗してくる兵を薙ぎ倒しながら、ロキは隊列から馬車が離れるのを見つけた。
「転進」
 ロキは剣をかざして、団員に進行方向を示す。一つの生き物のように、十騎は整然と動いて馬車へと第二突撃をかけた。その行く手に、百名ほどの護衛兵の一団が立ちふさがる。小さく固まっていて、この突撃では突破できないとロキは舌打ちをした。
「団長、副団長、ここは俺が行きます」
 ウェイルが阿吽の呼吸で、五名を引き連れ迂回した。ロキ達が突入する前に、護衛兵の側面から切り込んで、隊列を崩しながら浸透していく。
「すまん、ウェイル」
 列が最も乱れたところに、ロキとソフィアは駆け込んだ。浅傷を受けながらも、五騎は桐のように敵陣を突き通して、裏に抜ける。馬車の周りには、二十名ほどの騎士が迎撃の態勢を整えて待っていた。
「突っ込め」
 押し出してきた十騎と、五騎が交錯する。名のある騎士が、無様に落馬して、呻き声をあげる。敵は五騎ばかり、こちらは三騎が失われた。
「先に行って下さい!!」
 馬から落ちた三人が、後ろから突撃しようとする騎士に食らいついていく。ロキとソフィアは、祈るように天を仰ぐと、そのまま馬車に突貫した。青ざめて、怒りを露わにしたライルと、ぼろぼろと泣きながらこちらを見つめるリリエの姿が目に入る。
「リリエ様!!」
 二人が叫ぶのと、落馬するのは同時だった。鈍い痛みが、ロキの全身を襲う。どこか折ったのかもしれない。
 けれど、気にする間もなく、すぐに襲いかかってきた剣撃をロキは跳ね上げた。同じように、落馬した騎士を蹴り倒し、乗馬して攻めてくる相手を鬼神のような形相で馬から引きずり落とす。
「助けにきましたっ。リリエ様、さあ早く!!」
 呼びかけるロキを見つめながら、リリエは首を激しく横に振った。ライルは剣をとって、リリエの前に立つ。
「この愚か者の反逆者どもが、早く始末しろ」
 残っていた七名の騎士がロキと、ソフィを取り囲んだ。ソフィは素早く、ロキの後ろに回り込んで、背を合わせる。
「後ろは何とかしますから、ロキはリリエ様を!!」
 不自然な息遣いに、ソフィも負傷していることをロキは悟る。もう限界も近い。瞼の上が切れているのか、視界も悪い。けれど、目の前にいる。守るべき人物が。
 ロキは剣を振り回しながら、叫んだ。
「リリエ様、騎士として最後のお願いです。助けて欲しい、と言って下さい!!」
 ライルの影にいて震えていたリリエは、はっとして顔を上げる。涙が零れ、奥に引き込めようとするライルの腕からロキを見ようと顔を出した。栗色の髪が、ロキの目にはっきりと映った。リリエは、もう駄目。早く逃げて、と泣きながら叫ぶ。
 その姿が、あまりにも哀しくて、あまりにも痛々しくて。ロキの血が、沸騰する。
ロキは重装甲の騎士を渾身の一撃で、殴りつけながら、力の限り吠えた。
「友達に遠慮するんじゃねえ、助けてって言いやがれ、馬鹿リリエっ!!!!」
 不敬極まりない叫びに、リリエ以外の全員が硬直する。ライルの押さえつけが弱くなったその一瞬で、リリエはライルの前に出た。そして、精一杯の声でその単語を響かせた。
「お願い、助けて!!」
 ロキとソフィは満面の笑みを浮かべる。
「主命、了解」
 ロキは、圧されていた包囲を崩すかのように、二人の騎士を地面に転がした。ソフィも後ろで、二人を片付ける。軽い。たった一言、助けて、と言われただけなのに。体調は何も変わらないのに。何で、全身が、心が、こんなに軽いのだろう。
「そんな馬鹿な」
 屈強な七人の精鋭が、無残な姿で地に横たわり、呻き声をあげる。ライルは悪夢だ、と呟きながら馬車に座り込んだ。その馬車へ、ロキは乗り込む。ライルは土気色の顔で、ロキを見上げた。
「ロキ、ソフィ」
 リリエは、血で汚れた二人に抱きつく。そして、厳しい目でライルを見下ろした。
「わっ、私は」
 ライルは、初めて見るリリエの蔑んだ視線に戸惑うように声をあげた。
「私は、君のことを思ってやってきたんだ。君に、似合うもの、君に相応しいものを全て整えてあげようと思って」
 リリエはロキの腕をぎゅっと掴んで、口にした。
「私が、いたい場所も、いて欲しい人も私が決めるわ。貴方が決めることじゃない」
 そうだ。それが、望まない結果になっても。自分で選ぶことに意味がある。リリエのことは、リリエが決める。自分も、ソフィも。誰かが、心を踏みにじって決めてはいけない。
「私を殺すのか?」
 ライルは切っ先を向けたままのロキに、怯えたように問いかけた。ロキは、冷たい視線をライルに向けた。
「人のため、と喚きながら自分に酔っている奴は殺す価値もない」
 ライルは乾いた笑いを漏らす。背を向けたロキは、リリエを守るように引き寄せながら、ソフィに告げた。
「撤退の鏑矢を」
 ソフィは頷いて、空高く矢を放つ。独特の音が響いて、戦っていたフィオーレ騎士団員に、王女奪還成功、総員速やかに離脱せよ、の命令が伝えられた。
 残されていた馬に跨って、馬車周辺にいた五騎も離脱を始めた。ロキの前に乗せられたリリエは、離れていく戦場を見つめながら、ロキを見上げる。少し、怒ったような表情だった。
「どうして来たのよ、馬鹿」
「友達を助けるのに、何か理由が要りますか」
 リリエは前を向く。心なし、耳が赤くないだろうか。要らないわ。遅れて返ってきた答えに、ロキは満足したように微笑んだ。

 リオン国王、アルフレッドの前に立つナルシス王国外交官の顔は憤激で真っ赤になっていた。
「建国以来、最大の辱しめです。これは、重大な外交問題です。どうなさるおつもりですか」
「我が王宮に責を問われても困る。すでに第一王女リリエは、王族から除籍。フィオーレ騎士団の第一位ロキ他、八名は騎士位を剥奪して、国外追放処分としておる」
「そんなことで許されるとお思いか?」
 外交官の言葉に、国王は飄々とした態度で受け答えている。
「勿論、元王女リリエを始め、今回の下手人は捕らえ次第、貴国に引き渡しましょう」
 外交官は、臍を噛むような顔で国王を見上げた。
「今回の件は、追って正式に抗議させて頂く!!」
 反り返って倒れるのではと思うほど、胸を張って、外交官は退廷していった。
「よろしいのですか?」
 国王と年の近い、リオン王国宰相が裏から出てきて、外交官の後ろ姿を見つめた。
「少々、過激なことになったが、まあ良いじゃろう」
「いえ、リリエ様のことです」
 宰相の言葉に、国王は王座に肘を付いた。
「王族としては、最悪じゃな。責任放棄、重大な国家反逆行為、その他諸々。手に負えない」
 国王は、言い終えると楽しむように宰相を眺めた。
「では、実の子供としては?」
「娘としては、上出来じゃな。こう言ってやりたいわ、よくやった、馬鹿娘、とな」
 ほっほと、愉快そうに国王は笑った。
「どうなさるのですか、リリエ様は」
「心配せんでも、あの者達がいる限り安心じゃわい。勿体ない、儂の騎士にすれば良かったな」
 国王は、冗談を言いながら身を起こした。
「相変わらず、本気なのか、そうでないのか。お心の読めない方です」
「それが、国王じゃよ」
 国王は微笑みながら、空席となったリリエの席を見つめ、目を細めた。

「これで、僕の、えっと七十七勝ち越しです。リリエ様」
「違う、七十八だわ。ちょっと、数えるの面倒になってきているでしょ!」
「いや、そんなことは」
 ロキは、不機嫌そうに指摘するリリエに慌てて言い訳をした。ここは、ナルシス王国から最も離れたリオン王国辺境の村。最近オープンした、マフィンが美味いと村でも評判の菓子パン屋の裏庭。
「ほらほら、私も護身用に修練するって言い出したのはどちら様でしたっけ」
 洗濯物を干しながら、ソフィがリリエをからかう。リリエは頬を膨らませて、ソフィの馬鹿と呟いた。
「あ、団長〜、じゃなかった。ロキ……さん、ここに薪置いておきますね」
「おお、ありがとう」
 ウェイルに呼びかけられ、ロキは朗らかに返した。長年染み付いた動作もなかなか抑えがきかないが、どうも長年染み付いた呼び方もそうは簡単に変えられない。記章のない、新しい生活に慣れるのも時間がかかる。でも、自分で選んだことだ。後悔はない。
「ねえ」
 ソフィが、店の中に戻ったのを見届けて、リリエはロキに話しかけた。
「さっき、リリエ様って言ったでしょ」
 あ、とロキは冷や汗を垂らしながら、申し訳なさそうに笑った。
「友達に様は付けないもの、だと思うんだけど」
「そうですね」
 ロキは当然、と頷く。自分も、ソフィと呼んでいるし。
「じゃあ、ちゃんと名前で呼んでよ。あの時みたいに」
「はい」
「早く」
 急かされて、ロキは妙に緊張するのを感じた。リリエも何故か頬を染めている。いや、何故そんな顔をする、とロキは動揺しながら何とか言葉を紡ぎ出した。
「リ、リリエ」
「ん、悪くないわね」
 はにかんで笑うリリエを見て、ロキも嬉しくなる。ああ、そうか。大事なのは、きっと。
「お〜お〜私がいないと思って、熱いですね」
 いつの間に戻ってきたのか、ソフィがニヤけながら立っていた。リリエが恥ずかしそうに、熱っぽく頬を染めた。ロキは、冷や汗を垂らしながら一歩後退する。
 突然、始まった死合を見て、他の団員たちは優しく微笑んだ。真剣に、真剣で戦う二人を見つめながら、リリエはそっと二人にありがとう、と小声で呼びかけた。

 ロキが友達から、先を考えるようになるまで、まだまだ時間がかかる。その顛末は、きっとどこかの世界の、どこかの元王女様の、小さな日記帳にきちんと綴られているに違いない――。   
 
 

白星奏夜
2012年07月21日(土) 12時29分33秒 公開
■この作品の著作権は白星奏夜さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
白星です。こんにちは。まずは、最後まで読んで下さって、このコメントにたどり着いた方に最大限の感謝と、感謝を。

特に、この国というイメージはありません。ベタベタな王道路線です。ああ、助けたい、助けられたい、という私のいけない空想の産物です。

あ、好青年王子様は実際に自分が関わった人を参考にしてみました。実物はさらに数倍嫌な感じが濃縮されていましたが。
おっと、これは只の愚痴でしたね。というかイメージして登場させるあたり、私も黒いのでしょうか。

どこか楽しんで頂けるところがあれば幸いです。
あと、一応チェックはしたのですが、誤字等あればお知らせ下さい。
ではでは、皆様、夏の暑さに負けませんように!!

一部訂正しました、御指摘感謝します。

この作品の感想をお寄せください。
No.11  お  評価:0点  ■2012-08-30 21:18  ID:.kbB.DhU4/c
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夏に忙しいなんて、さては……!!!
いや、別に、他意はないす。
そんなことでどうも。
文章の色気と書いたのは、うっふんあっはんのお色気のことではなく、演出味とか外連味とか、そういうようなことの意味でありました。
誤解があるといけないので、一応。
でわでわ。
No.10  白星奏夜  評価:0点  ■2012-08-30 20:45  ID:a4NglDIHSPA
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お様

御感想、感謝致します。なかなか忙しく、返信が遅くなりましてすみません。
まだまだ暑い今日この頃ですが、お元気でしたでしょうか?

いえ、これは国が割れる大問題ですね〜。為政者としてはほんとダメダメだと思います。自分で書いといて、何ですが((笑)

もやっとされた部分は申し訳ない気持ちです。コンセプトが友情でありつつ、少し欲を出して、色恋を混ぜてしまったので、立ち位置がズレたのですね。そこら辺、まだまだだなぁと反省しました。御指摘、感謝です。

すらすらと読めた、とのお言葉、本当に嬉しく思います。ありがとうございます。色気、葛藤。最近書いていたものは、ちょっとまっすぐ過ぎて淡白だったように感じます。自分なりに訂正して、次回に活かしていきますねっ!! まあ、色気描写が得意ではないので、なかなかそれも悩みですが……。

また、楽しんでいただけるよう、頑張っていきますねっ。コメントくださり、嬉しかったです。ではでは、またの機会にっ〜!
No.9  お  評価:30点  ■2012-08-29 14:34  ID:L6TukelU0BA
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ああ、これはあれだなぁ、国割れるなぁとか不遜なことを考えながら。
どうもです。
国民からするとたまらんやろなぁ的な、そんな感じもなくはなく。まぁ、お話しやからえぇやないかなと思いつつ。ラブロマンスとかだとありそうな感じだけど、今回はそうではないのですね。そこらへんのとこで、女騎士さんの立ち位置がビミョーでなんか、もやっとしました。
構成の組み立てが良いのか、すらすらっと最後まで読んでしまえました。文章については、ロマンスものとか、幻想色の強いファンタジーなら、もっと色気があっても良いのでは? と思いますが、本作はどうなんだろう?
たのしかったです。
No.8  白星奏夜  評価:0点  ■2012-07-27 20:18  ID:RBnlfWRWVzU
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ウィル様

御感想、感謝致します。こんばんは〜。

そうですよね〜王道って読んでいて安心感がありますしね〜。勇者ものとか、熱血ロボットものとか、王女と騎士とか。憧れに近いものがあるので、これからもその路線で書いてくことが多いかもしれません(汗 邪道ですかっ。王道をコミカルに描くあの感じ、う〜ん、真似したいです。

あれやこれや詰め込んだので、膨らみ過ぎたのかもしれませんね。キャラが活き活きしている、書いている者にとってこれほど嬉しい言葉はありません。ありがとうございます!! 会話メインなので、やはり説明不足というか、そぐわない感じですよね〜。場合によりますが、次回はちょっと改良してみたいと思いますっ。

ウィル様含め、次回も、と言って頂けることはほんとに最高です。いつも同じ感謝の辞ばかりで、語彙が少なく申し訳ない!! でもこの気持ちを大事に楽しくやってきます〜私もウィル様の邪道? 期待してますっ。

ではでは、またお会いできる機会を楽しみに。ありがとうございました〜!!
No.7  ウィル  評価:30点  ■2012-07-27 00:29  ID:q.3hdNiiaHQ
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少し感想が遅くなりましたが、拝読させていただきました。

王道は多くの人が読んで面白いと思えるから王道なんだなぁ〜 と改めて思う今日この頃です。自分が邪道ばっかり書いているからかもしれませんが。

かなり密度の濃い話ですね。
キャラが全員活き活きしていて読んでいて楽しかったです。
特に王様がいいですね。国王としての顔と親としての顔、どちらもあってこその人なんだなぁと思いました。

ただ、やっぱり話の流れと地の文の流れがあまりあっていないような気もしますね。私もテンポ重視の話を書いていて言うのもおかしいかもしれませんが、結構テーマが政略結婚やら騎士やらのテーマで書かれているのに、会話重視となるとどうしてももったいない感じが出ています。

こういう話ならば、同じプロットでも2〜3倍の文量のほうがいいかもしれません。長ければいいというものでもないでしょうが。

でも、楽しく読めました。また次回もあれば読ませてもらいますね。
No.6  白星奏夜  評価:0点  ■2012-07-25 10:24  ID:AjYOZHz4mHY
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ゆうすけ様

御感想、感謝致します。こんにちは〜。

絵本に仕立てて、子供に読ませたい。嬉しいお言葉、ありがとうございます。最近、友情に感謝することがあったので、敢えて友達路線で書いてみました。清々しい、と言って頂けて、あぁ良かったなぁと感じました。ただ、御指摘の通り、素直すぎましたね。もっと三人の気持ちを絡めて、葛藤させて、書きたかったので、自分的にも反省&失敗です。それにしても、三人の要約、お見事です。私のプロットよりしっかりしてます。

戦国ファンですよ〜、というか西洋史専攻だったので、歴史好きに染められてしまいました((笑) 姫の悲哀、書いてみたいですね。個人的には、お市とその娘達が印象的です。大河の江は、創作強すぎて見ませんでしたが(汗 でも、ねね(おね)と秀吉は恋愛結婚というのもまた面白いですよね。もともと九州出身なのですが、今は愛知にいるので、地名やらそこら中が私的には名所です!! あまりこの感動が理解されないのが、悲しいやら何やら。

今回は、あんまり捻りがなかったです。う〜ん、面白い取り返し方。考えておいて、またの機会にお披露目したいですね!!

嫌な奴はほんとに良いモデルですね(黒 結局、自分の経験や感情、それが物語に生きてくるのだと、最近、より感じるようになりました。

温かい励まし、感謝です。なんか若くて危うく見える武将、もしくは初々しい姫を温かく見守りつつ、鍛える。そんな歴戦の武将の姿をゆうすけ様には感じますね。また、頑張って、面白いと思って頂けるものを書いていきたいと思います。時には、別の方に視点を向けつつ。

御指摘、励まし、本当にありがとうございました。またの機会を、待ちつつ、今回は失礼させて頂きます。ではではっ〜。
No.5  ゆうすけ  評価:20点  ■2012-07-25 09:07  ID:1SHiiT1PETY
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拝読させていただきました。

とても優しい、心温まるお話ですね。
絵本に仕立てて、いつか子供に読ませたいような素直なストーリーだと思います。
ロキの行動の動機が、純粋に友情なのが清々しいです。普通だったら恋情ですよね。
ある程度歳を経た大人が読むと、ちょっと素直すぎる気もします。ロキとソフィ、そしてリリエこの三人の関係があっさりしすぎているからです。
ロキに密かに恋心を抱くも性格的にそれを言えないソフィ、ロキを兄のように慕いながらいつしか恋心を抱きつつも自覚していないリリエ、二人に淡い恋心を抱くも生来のウブのために戸惑うロキ、例としては基本的なパターンですが、三人のキャラにもうちょっと葛藤させたほうが爽快なラストになりそうだと感じました。

白星さんは戦国ファンですよね。私の詩を見抜いたり、戦国系の投稿小説に感想を書いていたりと、それっぽい気がしているんですよね。
戦国時代の政略結婚の姫たちの悲哀、見ず知らずの遠い場所、知らない殿方、本人の意思もなければ希望もなし。いろいろ興味深いネタはありますけど、
話の題材としては暗すぎですね。

王女を力づくで取り返してしまうのは、外交問題的にもちょっとやりすぎな気もしました。例えば罠にはめるとか、向こうから断るように仕向けるとか、うまいやり方もあるかもしれません。ソフィが色仕掛けするとか、魔法で美女に姿を変えた獣を仕向けるとか。

身近な人をモデルにする……私もよくやりますよ。嫌な奴こそ最高のモデルだと思いますし、悲しい記憶、残念なエピソードも話のタネになりますよね。

ではまた執筆がんばってくださいね。あっちこっち遊びまわったり違った趣味に没頭するのも創作のプラスになると思いますよ。「詩を学ばんと欲せば工夫の詩の外にあり」といいますからね。私は古城と合戦場を見に行きたいんですけど、仕事と家庭が忙しくて行けないんですよ。あの時やっておけばよかったと、未来の自分に思わせない今を生きていきたいものです。
No.4  白星奏夜  評価:--点  ■2012-07-24 22:40  ID:LuursefdGYI
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季織様

重ねて返信、ありがとうございます。いえいえ、代名詞(彼女)とかの表現がすくな……なかった? ので、分かりにくくなったと反省しています。次から、気を付けますね。
雑誌投稿、良いですね。私も、いつか。なんて、設定ばかりたまっていきます。
休日を完全に趣味に費やしてます((笑) もっと他にやれよ、と思いつつも好きなのであれやこれやと書いてしまいます。悪癖かもしれません。

ともあれ、丁寧に返して頂き、ありがとうございましたっ!!それではっ。
No.3  季織  評価:0点  ■2012-07-24 19:08  ID:pt5S5l.1Z4I
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うわわわっ! 本当ですね。すみません!! ソフィの性別……ちゃんと最初に書いてありましたね……。
深夜で目が疲れていたせいか、見落としてしまったのかもしれません……。本当に失礼しました。

元気ですよv
今回は、また雑誌投稿用の小説を1つ書けたので、久しぶりにお邪魔させていただきました。今回は現代小説の方なんですがね。
私ももっと頻繁に投稿ができればいいのですが、モチベーションが続かなくてなかなか難しいです……。
白星さんは定期的に投稿してらしてすごいですね!
他の作品も読ませていただこうと思います。
これからも頑張ってくださいねv
No.2  白星奏夜  評価:--点  ■2012-07-23 05:02  ID:LuursefdGYI
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季織様

御感想、感謝致します。お久しぶりですね!! お元気だったでしょうか。

はい、短編で様子見するのをやめて、少し長めのにトライしている今日この頃です。素朴、かわいらしい、というお言葉、嬉しく思います。狙いはやはりそちらでしたので。

モデルがいると、書きやすいですね。出演許可は頂きませんでしたが((笑)

ソフィの点は、反省です。一応、冒頭に、金髪の女性、ソフィは白い肌を赤くして、頬を膨らませた。
と、書いたので、後は分かるかなぁと押し切ってしまいました。伝わりにくかったのであれば、もっと女性らしさを随所に入れるべきでしたね。

いえ、騎士の制度等についての疑問は当然だと私も感じます。勝手に、自分の空想する世界限定の設定を、当たり前のように平然とした顔で、現実の制度なんか気にせずに、書き通してしまいましたので。つまりは、説明不足、ですね(汗 
もっと分かりやすくするために、これからもチャレンジしていきたい、そう感じました。

御指摘、ありがとうございます。訂正させて、頂きました!!

貴重なご意見、感謝します。う〜ん、今回は描写や、説明が足りなかったですね。ひたすら反省、です。もっと、王宮内での壁、というか王女と二人の間を阻み、行動を起こすこともできなかった窮屈さ、描けたら良かったです。そうですよね〜、恋愛を絡ませようという当初の案を捨てて、でも勿体ないなぁとソフィやリリエに恋心を持たせたので、ふわふわしてしまいました。ごめんなさい!!

いいえ、自分ではない方の意見を聴くのは楽しいです。ああ、そうだなって思わされますしね!! 体調管理、難しいです。唸ってます。夏バテしないよう、あと、創作意欲が減衰しないように、元気よくやっていきたいです。

御感想、本当にありがとうございました。今回は、ここらで失礼させて頂きます。それではっ〜。
No.1  ハギノ改め季織  評価:20点  ■2012-07-23 04:05  ID:pt5S5l.1Z4I
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 お久しぶりです。読ませていただきました。

 長いお話を頑張って書いているのですね。素朴な感じでかわいらしいお話だったと思います。
 王子は参考になる人がいたのですね。一番想像しやすいキャラでした。
 ソフィが男なのか女なのかが中盤までずっと分からなかったです。もっと登場時から分かるように姿形とか仕草とかで描写してもらえればよかったかなと思います。
 更に細かいことを言ってしまえば、騎士というのは所属は国だか王様だかで、その中の一部が王女付きになるというイメージなので、王女がいなくなるからといって、王女付きの騎士が解雇されたりっていうのはないんじゃないかなぁ?と乏しい知識ながら首を捻ってしまいました。腕の立つ騎士ならなおさら……国が手放すなんてことないのでは?
 私がよく分かってないだけなのかもしれませんが。すみません。

 それと、王女様の日記を読んでいるところで、「ソフィ」が「ソフィア」になっているところが2つありましたよ。「雪の月」の上のところです。

 もっとロキとソフィが戦いをしかける前にも行動を起こしたりすれば、動きのある作品になったのではないかなと思いました。ソフィがロキを好きという気持ちをどんな風に昇華させていったのかなとか、そんなエピソードがあったら、深みが出たかな、とか。

 とりとめのない意見ですみません。
 暑い暑いと思っていたらいきなり寒くなったり、今年は体調管理が難しい夏ですね。白星さんも夏バテしないようにお気をつけて!
総レス数 11  合計 100

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