醜い人魚
 日の光の届かぬ、暗い海底に、醜い人魚の一群が生活をしていました。
 海の底の底の底です。水圧が非常に高く、周囲にはグロテスクな魚が、悠々と泳いで居ました。
 美しい人魚は、陽の届く、海の海面に近い方に居ます。なぜって、その人魚らは美しいので、互いの顔を見合っても、嘔吐するようなことはないからです。
 醜い人魚たちは、美しい人魚らに嫉妬していました。嫉妬して嫉妬して嫉妬すると、醜い皺が顔に刻まれて、余計に醜くなりました。
 でも、だんだんと諦めていきました。醜い自分を、受け入れていったのです。するとどうでしょう、美しいとは言わぬまでも、すこし、マシになりました。
 醜い人魚たちは、海の底の底の底で生活するのをやめ、ほんの少しだけ海面に近いほうで、生活するようになりました。
 それでも海面の近くにいる美しい人魚たちには、遠く遠く、及びません。構造的に、不細工だからです。
「でも、これでいいんじゃね?」
 醜い人魚たちはそう思いました。
 それ以来、醜い人魚たちの間で、「まあいいか」が、合い言葉のようになりました。
 彼女らの思考はそれ以来、海の波の揺らぎに身をまかせるクラゲのようになりました。
昼野
2011年04月16日(土) 13時29分12秒 公開
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No.14  凶  評価:50点  ■2011-06-02 22:49  ID:H5kn4nBA6qA
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はじめまして。読ませて頂ました。不気味で不思議で容赦なくてかなり好みな感じです。醜い人魚がうようよいる海にダイビングしたいです。
No.13  ゆうすけ  評価:20点  ■2011-04-30 15:45  ID:KDK/MQZX1DE
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拝読させていただきました。

自己肯定ですね。なんだかすっかり落ち着いた感じの作品だと思いました。

感想の書き方、毎度悩みますし、点数についてもまたしかりです。
客観的かつ有益な書き方、何度書いても無学な私にはできそうにありません。
ですから、私の視点で感じた事を一読者として素直に書こうと思っています。

で、今作を読んで思ったのは、「物足りない」です。
昼野さんの他の作品から感じたパワーをあまり感じなかったので。あくまで主観ですので聞き流してください。
No.12  昼野  評価:--点  ■2011-04-27 22:55  ID:MQ824/6NYgc
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>永本さん

伝えたいことは明白でしょう。
というかあなたの感想がカオスすぎて、どう返信したらいいのやらです。
ありがとうございました。
No.11  永本  評価:0点  ■2011-04-27 20:55  ID:WUDSpuRvUPo
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一言で言うと?です。というか意味不明とでも言った方がよいのでしょうか。確かにどこか抽象的でアーティスティックなのですか、いかんせん「伝えたいもの」のようなものが全く感じられない。これを書いた意味は? これを書いて楽しいのか? これを書いて満足感のようなものは得られていますか? 正直色々なことを問い詰めたいです。
確かに小説というのはいわば何でもありなのですが、それにしてもこれは酷い。酷いというより読む価値がないと言った方が正しいかもしれないです。
いわばこういった表現は小説の基礎や地力といったものをしっかりと持っている人がやるからこそ伝えたいものも伝わるわけで、残念ながらこの作品からは何一つ作者の熱意やメッセージのようなものが伝わらなかった。作品の意味は分かるのですが、もっと伝えてください。人間を描いてください。こんな抽象的な作品を量産するくらいならば、もっと一つの作品と向き合ってください。
長々と失礼しました。それでは。
No.10  昼野  評価:--点  ■2011-04-23 14:35  ID:MQ824/6NYgc
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>黒井さん

感想をありがとうございます。
統一性がないとはその通りですね。
「魅せる場所」は、自分なりに表現したつもりでしたが、ちょっと弱かったのかなと思います。
ありがとうございました。
No.9  黒井  評価:0点  ■2011-04-22 18:34  ID:TlCOYEPVWW.
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 はじめまして。拝見させて頂きましたので、勝手ながらレビューを。とてもきついことを書いています、ごめんなさい。

 今回0点という評価をつけた一番の理由は、この作品を小説だと思えなかったことです。発想はおもしろいのだけれど、これは物語の事実を坦々と述べたあらすじ文であって、ひとつの完成した小説とは呼べない。ストーリーがないのです。童話のような雰囲気は洗練によって魅力的になりそうですが、それを中途半端な形で出すのみに留まっているなという印象を受けました。
 また、その雰囲気にそぐわない文や単語が多々見受けられました。物語が持っている空気を、せっかくなのだから意識して利用してほしかった。作品に統一性がないのは致命的です。物語に合った文を、文にあった物語を心がけて頂きたいなと思います。
 最後に、「魅せる場所」がなかったことを指摘させてください。申し訳ないのですが、何かを魅せたい、感じさせたいというアピールも感じられず、この作品の中で「いいな」と思えるところはひとつもありませんでした。

 失礼なことばかりで申し訳ありません。一読者の意見としてお受け取り頂ければ幸いです。
No.8  昼野  評価:--点  ■2011-04-18 22:56  ID:MQ824/6NYgc
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皆さん、感想をありがとうございます。

>ねじさん
具体的なエピソードは確かにもっと必要でしたね。ちょっと短すぎました。
ありがとうございました。

>zooeyさん
概ねそういう意図で書きました。読み取っていただいて嬉しいです。
深海魚についてのご指摘は、なるほどと思いました。感性の幅が広がったような感じです。
ありがとうございました。

>らいとさん
ちょっとというか、かなり表現が不足してますね。十分くらいで書いてしまった代物で、もうちょっと練らないといかんなと思います。
ありがとうございました。

>楠山歳幸さん
「マシ」のところはチープでしたね。もうちょっとまともな表現出来るようになりたいと思います。
トップ絵みたいなカオスな小説を書くエネルギーは今の僕にはない感じです。あれば書きたいんですけどねえ。
ありがとうございました。

>片桐秀和さん
やはり、そういう見方をしてしまう感じですよね。そういう見方をしないでもなお感じ入るものが書ければなあと思います。
しばらくはこういった作品出すことになりそうです。もうちょっと自信をつけていきたいです。
ありがとうございました。

>おさん
そうですね、真人間になりたい自分とそうでない自分が両方あって、分裂気味です。いずれどっちかにさらっと行きたい感じです。でも僕は本質的に真人間にはなれない人間のような気もしてます。
竹光でしたか…。ここはちょっと考えてみたいと思います。
ありがとうございました。

>藤村さん
わけわかんないすw 
No.7  藤村  評価:30点  ■2011-04-18 04:25  ID:zL9OHB.uklU
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こんばんは。拝読しました。
街の、そんなに広くない橋をスーパーかなんかからの帰り道に歩いていると、向こうからずわーっと西日が射してきてて、眼がいたくて、ぐっとつぶると、白いワイシャツにサスペンダーしてた子どもの頃とかを思い出して、それからちょっと以前のことを思い出して、西日がこわいなと思う。
そんな妄想が浮かんでくる感じでした。西日がすごく赤いんですけど、よくみるとそうでもない。というのは個人的な願望です。スーパーの帰り、とか、ワイシャツにサスペンダーもなんかないな、って思うんですけど、なんかそんな妄想です。
まったくわけわからないですけど、そういう感想をもちました。
No.6  お  評価:20点  ■2011-04-18 01:54  ID:E6J2.hBM/gE
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やあ。
こないだチャットで話したことのぶんもあるから、作品だけのことじゃなくて、フェアじゃないんだけど、なんとういか、真人間になりたい自分と、そうでもない自分が、浮き足だって、蹈鞴を踏んでる感じもしなくはないかな。まぁ、これは、ほんと、フェアじゃない感想。
昼野さんは巧いなと思う。
ただ今作は、巧いなが、良い意味にならないかな。
突きつけたナイフが竹光だったみたいなね。良くできてるんだけど、竹光だった。これもまぁ、今までの昼野さんの幻影に晦まされているのかもしれない。だから、やっぱりフェアじゃない。
不細工の集団の中にいる不細工は不細工の集団の中では普通なんだよ。だから、もともと、何を認めるまでもなく、海月なんだ。そこにエッヂの光る刃はないよね。
まぁ、個人的な感慨と言うことで。
あえて、普段使わない「普通」という評価を。
No.5  片桐秀和  評価:20点  ■2011-04-17 11:50  ID:n6zPrmhGsPg
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 読ませてもらいました。
 寓意いっぱいという感じでしたね。読んでいて胸を締め付けられるような気分になりました。イメージも面白い。

 この作品を読んでいると、「作者」というより、「昼野さん」が浮かんでしまいました。そして、「昼野さん」が浮かばなければ、僕は正直、今よりはこの作品に感じ入らなかっただろうと思います。しょうがないことな気もするし、それでいい気もします。しかし、評価には迷う。

 うーん、うーん、色々と考えたけど、この点数で。
 しばらくこういった作品を書いていくのかなと思いますが、本番はここを抜けてからな気がします。それに期待して。
No.4  楠山歳幸  評価:30点  ■2011-04-17 10:28  ID:sTN9Yl0gdCk
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 拝読しました。

 深海と海面、醜いと美しいの対比が良かったです。構造的というたとえも絶望的で良かったです。
 僕もzooey様と同じ印象を感じました(完全に共感できなかったことはありませんでしたが)。
 些細なことで恐縮ですが、「マシ」というところで少し拍子抜けした感がありました。僕は個人的にTOP絵のような粘着質なのにまとまっている、そんな小説を勝手ながら期待しています。

 拙い感想、失礼しました。
No.3  らいと  評価:40点  ■2011-04-17 02:17  ID:iLigrRL.6KM
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拝読させて頂きました。
醜い人魚が嫉妬を手放した途端、苦しみから解放されるという、真理をついた寓話だと思いました。
ただ、もう一言、醜い人魚の開放感を独白でも描写でも、表現して頂いたらなあと感じました。
そうすると、ぐっとこの作品が魅力的になるのではないかと思いました。
面白かったです。
No.2  zooey  評価:50点  ■2011-04-16 23:35  ID:qEFXZgFwvsc
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読ませていただきました。

大変面白かったです。
醜いものを描きながら、描写など、美しい作品でした。
海というと、やはり美しいイメージがわきますが、それと醜さの対比が、いい雰囲気を出していると思います。

ラストは特に素晴らしく、美しくも、毒のある一文だったように思います。
美しい人魚を妬んでいたためにより醜くなっていた、醜い人魚は
醜さを受け入れたことで、思考力がなくなってしまう(と思ったんですが、違ったらスイマセン)
そういう毒と美しい描写がここでも好対照でした。クラゲの比喩もいいと思います。

ただ、完全に共感できなかった部分があって。
私の深海魚についてのイメージなんですが、
確かにグロテスクなんだけど、そのグロテスクさに地上にはない生命そのものの美しさというか、そういうものがあると思うんです。
なので、その人魚たちについても、醜くも美しい、そんなイメージを持ってしまいました。

なので、完全に個人的な感想の域なんですが、そこだけこの作品と合わなかったかなところかな、と思いました。

とても良かったです。また読ませてください。
No.1  ねじ  評価:40点  ■2011-04-16 21:31  ID:eB0xvp.x.EM
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読みました

なんか好きだなーと思いました。比喩と描写が残酷だからこそきれいごとになりすぎていない感じがして、とても好きです。
もうちょっと長く、というか具体的なエピソードで嫉妬や「いいんじゃね?」になるにいたるきっかけが書かれていたらもっとよかったような気もしますが、でもこれはこれでいいのかもしれません。
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