とこしえの黄昏の国
 地のはてには、とこしえの黄昏の国がある。
 若い頃から放浪の旅をくりかえしてきたというアシェリ、私の父親からその話を聞いたときには、またいつにもまして荒唐無稽な法螺話をするものだと、呆れかえったことだった。
 生まれ育った故郷の地を、遠く離れて旅をするということ自体が、すでに狂気の沙汰だというのに、まして地の涯までいこうという。実の娘の私にも、いったいなにを考えているのか、さっぱりわからなかった。ろくでもない男だ。……ああ、お前には祖父にあたる男のことを、あまり悪くいうのも何だがね。まあ幸い、お前はアシェリには似なかったようだ。
 母もまた、アシェリのその悪癖には、随分と悩んだようだった。だが、よその男がそうするように、目と鼻の先でよく知っているほかの女の寝床に通うよりも、まだ知らない土地で、見知らぬ女のあいだをさまよい歩いているというほうが、いくらかは気の休まることではあったらしい。その気持ちは、いまとなってみれば、私にも少々わかる気がする。ああ、別にお前のことを、あてこすっているわけではないさ。そもそも男というのはそういうものなんだろう。
 そら、男がそういう顔をするものじゃない。情けないったらありゃしない。そういえば、なんという名前だったかね、あの機織の、気立てのいい娘は、息災にしているかね。そうか。孫たちも、みんな元気なんだろう? それならいい。
 話を戻そう。アシェリに限らず、私の故郷の人々は、ときには旅くらいするし、ここの人たちがそうするように、場合によっては移住もする。だがそれは、歩いて数日、そうでなければ灰鱗馬に乗って日のあるうちにというようなものだ。ここいらは道がいいから、それよりは少し遠出もするかもしれないが、それにしても限度がある。ひと月もかけて旅をしてきたというような変わり者がいるとすれば、ミシエゴの民の行商くらいのものだろうよ。彼らだって、荷をやりとりするために、街道にそって往復するのがせいぜいだ。道なき道を往ってまで、違う言葉を話す人々がいるとかいう、見知らぬ土地になど、そうそう足を突っ込むものではない。
 まして、私の故郷からは、ちょっと北へと向かえば、異相の獣が吼え声を上げる、この世のものとも思えないおそろしい森が広がっているし、といって南へと向かえば、やがて河がもうもうと湯気を上げ、半刻もあれば人が蒸し焼きになって湯気を上げるような、灼熱の大地が顔を出す。そんな土地を旅するアシェリのことを、故郷の人々はみな口を揃えて狂人だといったし、娘である私自身が、ほかの誰よりもそう思っていた。
 それなのになぜ、私は涯の地なんていうものを目指したのだろうかね。
 アシェリがさも面白おかしく語る、荒唐無稽な風聞が、魅力的に聞こえたからというわけでは、なかったように思う。むしろ、旅先で灼熱の陽射しに焼かれて、ほかの同年代の男たちよりもよほど早く皺だらけになったアシェリの肌や、何度か山越えをしたときに、吹雪に襲われたせいで、手足の指が何本も欠け落ちてしまっていることや、そういうものをこそ、私はこの目でまじまじと見てきた。
 何年かに一度しか戻ってこないアシェリ。よその家の父親は、どれほど愛情の醒めた無精な男であっても、ひと月に数日は顔をみせるものなのに、その義務さえ果たそうとしないろくでなしの父親。だが私は、なぜかあの男が好きだった。
 もっと頻繁に家にやってきて、私にもたっぷりの愛情を注いでくれる、ほかの弟妹の父親たちがいたというのにな。気まぐれにしか顔を出さず、出しても途方もないような法螺話ばかりを自慢げに垂れ流すだけで、頭ひとつなでてくれるでもないアシェリのほうが、私はずっと好きだった。弟妹たちは、アシェリのことを気味悪がって、なかなか近寄ろうとはしなかったというのに。
 それは血のなせるわざだろうか。母はそう信じ込んでいるふしがあったけれど、私にはその考えは、どうにもしっくりとこない。
 私がアシェリを好きだった理由はともかく、たしかに私はあの男の血を引く娘であるらしかった。そもそも女の身で一人旅に出ようということ自体が、狂気の沙汰としか思えない。皆が口を揃えてそういったし、自分でもそう思った。もっとも、美しい母ではなく、どこもかしこも無骨でおおづくりな造作のアシェリに似てしまった私は、顔にせよ体格にせよ、女だからという理由で、身の危険を感じるようなものでもなかったがね。なんせ、母以外の誰一人、私が旅先で遭難することを心配こそすれ、旅先でどこぞの男に襲われでもしたらという想像のほうは、ちっともしなかったのだから。
 けれど実際のところ、ところが変われば美しさの基準も変わるものらしい。故郷では自他ともに認める醜女だったはずの私が、遠い異国の地では、何度か一目ぼれもされたし、これでけっこう、求愛もされた。いま、笑ったな。まあ、信じなくてもいいさ。
 ともかく、そういう意味では、身の危険は覚えなかったな。というのも、私は女だてらに、腕っ節もまあまあ強かった。いまでこそ、歳をとってこの有様だけれど、狼藉者の二、三人くらいは、簡単に追っ払って見せたものさ。怖いのは人間ではなくて、森や岸壁や砂漠に棲む、爪や牙の鋭い獣や、おそろしい毒をもつ虫たちのほうだった。それでもこうしてこの歳まで生きているのだから、私は相当に幸運な部類なのだろうね。なんせ、アシェリが死んだのは、噂を信じれば、いまの私の半分ほどの歳だったのだから。それでも最後に会ったあの男は、実際よりもずっと年老いて見えたものだったが。
 そういえば、デッタルタよりも東の地に住む人間は男も女もみな頑健で腕が立つとか、そういうような噂が、一時期このあたりで広まったようだった。あれはもしかすると、私のせいではなかったかな。実際は、こちらの人々と同じように、故郷の女たちはか弱いものだった。私が変わり者だったのさ。


 ああ、年寄りの話は、すぐ脇道に逸れてよくないな。ともかく、若かりし私は、その地の涯とかいう場所を目指したのだ。アシェリの語った道筋を追って、おそろしい獣の棲む北の森を抜け、自分の倍ほどもあろうかという背丈をした船頭の漕ぐ渡し舟に乗り、ゲルガ大河を渡って、雪と氷に閉ざされたシジ・シャガラ連峰を越えた。右足の指が二本欠けているのを、お前には見せたことがあるだろう。あれも、アシェリと同じように、高い山の上で吹雪に見舞われた結果だった。
 ああ、雪をお前は知らないか。無理もない。そうだね、寒い土地では、雨が凍って雪というものになるのだよ。
 凍る、がわからないか。そうだね、水がうんと冷えると、塊のようになるのだよ。雪というものは、軽くて、白くて、ふわふわと風に流されて降ってくる。小さくて、指で触るとあっという間に溶けて消えてしまう。けれど、ときには殴りつけるように降り、驚くほど厚く降り積もる。触ると、優しく包んでくれそうな外見を裏切って、鋭いほどに痛い。それほどに冷たいのだよ。手足が冷たいまま、ずっとほうっておくと、指が腐れて落ちることもある。ああ、想像もつかないか。まあ、それならそれでいいさ。
 なんでそこまでしたのかって? さて、あまりちゃんと考えてみたことはないな。
 ああ、だが多分私は、知りたかったのだろう。わが父アシェリ、あのほら吹きの、気狂いの、腰の据わらない薄情な男が、愛した女と娘を置いて、遥かな地にある何を見たかったのか。いったい、遠くの地にある何が、アシェリに私たちを捨てさせたのかを。
 あるいは私自身が、故郷の地にうんざりしたからだったかもしれない。いまにしてみれば懐かしい故郷だが、それでもあの町に戻りたいとは思わない。ああ、そりゃあ、一人で遠くまで旅に出ようと思うほどの変わりものだからね、色々と悶着もあったのさ。ちょうど弟妹たちが大きくなって、手がかからなくなったのも、いいきっかけだった。
 だからといって、同胞と離れて、一人っきりで生きようなんて思う人間は、そうはいないさね。だが私の場合は、ほかに逃げる道があるということを、父親が体現してみせていた。いや、考えてもみればアシェリの場合は、それでも数年おきに帰ってきてはいたのだから、私ほどには薄情でもなかったのだろう。
 アシェリは面白がって、私に遠い異国の地で食べた野草や、狩りの仕方や、見知らぬ土地の言葉を、たびたび話して聞かせていた。そのおかげで私は、あの男自身に比べたら、まだ楽に旅をしたのではないかな。言葉の通じぬところから、背格好も肌の色も違う人間の間に飛び込んで、自分は敵ではないのだと訴えるという、ただそれだけのことが、どれほど難しいものか、お前に想像ができるだろうか。戦の絶えない土地ならば、なおさらのことだ。ふん、考えてみれば、アシェリは半ば、予想していたのかもしれないな。私がいつか、故郷を飛び出すのではないかということを。


 それで、とこしえの黄昏の地はどうなったのかって? そうだね、その話をしていたのだった。ああ、そうせかすもんじゃないよ。若い者は気が短くていけない。
 結論からいえば、その国はたしかにあったのさ。遠く北の涯の、そうだね、ここからだと人の足ならば、星が二巡りするほども延々と歩かなければ辿りつかないような場所だ。歩くだけでは無理だね。船も使う。四ツ脚鳥の背中にのって山越えもする。十人が通って、九人は命を落とすような、そんな険しい道もある。人が誰も通らない獣道も通る。大きな獣も襲い掛かってくる。いったいそんな涯の地に、どうやって人が住み着くようになったのだろうね。
 だが私は幸運にもその道を越えたし、そこにはたしかに人が暮らしていたのだ。
 アシェリから聴いた話では、その国に棲んでいるのは、人ならぬ精霊や妖精、古代の生き物たちではないかということだったのだが、実際に行ってみればなんていうことはない、そこに暮らしているのも、当たり前の人と獣たちだった。
 私は北の涯という場所は、もっと寒いものかと思っていた。いや、たしかに信じられないほど寒くはあるのだが、かつて越えたシジ・シャガラの山頂付近に比べれば、凍えるほどではなかったな。その証拠に、あの山の上のほうには樹の一本も生えていないが、涯の地には、針のように細い葉をたくさんつけた、背の高い樹々が、うっそうと繁っていた。
 畑もあった。四足の、ほかでは見たことのない毛深い動物がいて、人々はそれを飼い、乳もとっていた。海にはときに氷が流れてきたし、雪も降ったけれど、そこは少なくとも、人が生きていけないような場所ではなかった。
 とこしえの黄昏の国という、その呼び名のとおり、その地には昼も夜もなかった。日がな一日、太陽は地平線すれすれを掠めるように、横に滑ってぐるりと周りを回るのさ。月だってそうだ。地上に半分だけ顔を出して、ぐるぐると回っている。欠けながらゆっくりと太陽に近づいて、やがて離れていくから、そのときどきで、うっすらと見えたり、見えなかったりする。
 その国の東南には、低い山脈がつらなっていたから、太陽がそのあたりを通るときだけ、ほんの少し、あたりが暗くなる。あとは天気の崩れたときにも、やっぱり暗くなるね。だが、それだけだ。太陽が天高く上って日差しが肌を焼くこともない。日が沈みきって空に星が瞬くこともない。いくつかの明るい星だけが、太陽のあるほうと反対側の空に、いつもちらついていた。
 日差しが弱いせいか、人々の肌は抜けるように白かった。そして、彼らは夜に休むということを知らないから、いっときまどろんでは起きて、働き、起きている間が合った者と語らい、疲れればおのおのの好きな時間に眠るといったぐあいだった。その必要があるときには、時間を決めて、交代で眠る。それで体に堪えないのかと思ったが、その土地で長く暮らしてきた人たちだからね、すっかりそういう体の作りになってしまっているのだろうさ。実際、私もそこでいっとき過ごすうちに、世界に昼夜というものがあることを、忘れてしまいそうになった。
 その国の人々は皆、ゆったりとした口調で話をした。さすがのアシェリも、そこの言葉までは知らなかったようで、私は一から十まで身振り手振りで、彼らに意思を伝えなくてはならなかった。その手振りさえ、故郷では感謝を意味する手の振り方が、彼らにとってはまるきり違う意味の合図になってしまうようだった。そりゃ、はじめは苦労したさ。それでも、さすがは日の沈まない国というべきかな、皆、どこかおっとりとした人たちでね。ともかく私に敵意のないことだけでも伝わると、あとは誰も彼もが、根気強く相手をしてくれた。
 不思議なもので、言葉や仕草はまるきり違っていても、笑ったり怒ったりする表情は、さほど違わないものだ。何か月かをそこで過ごすうちに、私は少しずつ、彼らの言葉を覚えていった。彼らの畑の世話の仕方も教えてもらった。あの国では、作物が育つのが遅い。だから皆、念入りに畑を見回り、せっせと世話をやいた。お前は知っているだろうか。お前や私がさっき食べたノイオ麦の飯、あれは、植えてひと月で実るだろう。あれだけ短い期間で育って、保存もきき、あれほど滋養のある作物は、とても珍しいものなのだよ。おかげでこの土地に住み始めてから、ひもじい思いをしたためしがない。
 ノイオ麦は、このあたりよりほんのちょっとでも北に行けば、寒すぎて育たないし、わずかでも南に行けば、今度は暑すぎて実がつく前に枯れてしまう。この土地はとても恵まれているのだよ。それだからこそ、過去には戦も多かったのだろうがね。私の故郷なんぞは、貧しい場所だからね、誰も争ってまで奪おうなんて思いやしない。
 涯の国では、彼らの漁にも混ぜてもらった。北の海は寒かった。間違えて落ちたら、あっという間に手足が痺れてまともに泳げず、下手をするとすぐに心臓が止まってしまうほどだ。それだから、船はとても頑丈なつくりだったし、彼らの船の扱いは目を疑うほど巧みだったね。この辺りの海の男の比じゃない。ああ、別にお前の仕事を馬鹿にしているわけではないよ。お前は立派な漁夫だ。本当にそう思っているよ。さっきの魚も旨かった。
 ともかくその国で、私は一人の男と出会った。


 その男、フィリオルの瞳は、よく澄んだ明け方の空のような、ごく淡い青をしていた。その髪は、よく晴れた日の夕陽が、雲をやわらかく照らすときの、あの空の色と同じ、黄金の色をしていた。おや、信じないのかい。だがあの国には、金や銀の髪の人々が、緑や水色や灰色の瞳の人々が、たくさんいたのだよ。私はこの目で見てきた。ミシエゴの商人の中に、たまに目の色がやたらと明るいのがいるだろう。あれがもっと極端になるだけだ。何がおかしなことがある。
 世界には、背丈も、髪や目や肌の色も、食べ物も言葉もまるきり違う人々が、それぞれに暮らしているのだよ。多くの人が、それを知らずにいるだけなのだ。
 フィリオルは、いつもどこか夢見るような目つきをしていた。背が高くて、そうだな、私よりも頭二つは大きかった。睫毛まで髪と同じ、日に透かしたような金色をしていた。
 ところでこの辺りでは、男は好いた女たちの家に、数日おきに通うだろう。女は、産んだ子どもを自分の家で育てるし、男たちはその子どもらにも会いに通ってくる。女だって、別々の男の子を孕むのだって、珍しいことでもない。私の故郷でもそうだった。いま、何を当たり前のことをいっているのかと、そういう顔をしているね? それが当たり前でないと聞いたら、お前はどう思うかね。
 あの国では、違っていたのだよ。といっても、女が男のところに通うのではない。互いにたった一人の相手を伴侶と定めて、生涯連れそうのだ。
 実感が湧かないか。そうだろうね。
 私はフィリオルと恋仲になった。ふ、そう変な顔をするのはおよしよ。私にだって娘時代はあったさ。


 いっときの間、私たちはそこで一緒に暮らした。さあ、どれほどの期間だったのだろうか。あの場所では、時が流れないのだ。いや、ほんとうに流れないわけではないのだがね、日も沈まないばかりでなくて、星の動きもよくわからないから、時の流れを誰も気にしていないようだった。いまにして思えば、月の満ち欠けするのを、しっかり数えていればよかったのだろうがね。
 あの国では、伴侶はいつも同じ家で寝起きする。畑に出たり、漁にいったりしている間は、別々に過ごすこともあるが、帰ってくる家はいつも同じだ。樹を切って、四角く削った石を組み合わせてつくる、頑丈な家だ。床には毛皮を敷き詰める。外は寒いが、その家の中は驚くほど温かい。薪を伐ってきて、いつも絶やさず火を焚いている。
 そこでの暮らしは、このあたりに比べたら、厳しくはあった。作物が育つのがゆっくりだから、たまたま何かあって、そのときに作っていた畑が全滅すると、とたんに喰うものに困る。そうなると、毎日魚と乳とわずかな草の実ばかりで過ごすようになる。寒いのとひもじいのが重なれば、人は弱る。
 だがそんなときは稀で、大抵はなんとか凌ぐことができた。それというのも、魚がよく獲れたのだ。その点だけは、ここいらよりもよほど豊かだったといっていい。
 だから、黄昏の国での暮らしに、不満があったわけではなかった。だが、私はいまここにいる。何故だか、お前にはわかるだろうか。
 フィリオルが、外の世界を見たいといい出したのだよ。


 惹かれあうからには、それだけの理由があるのだろうね。お前の見てきた世界を、昼と夜のある世界を、俺もこの目で見てみたいのだと、あの人はいった。遠く温かい土地を、険しい山並みを、まるで相の異なる草木や獣や鳥たちを、違う言葉と違う習慣のもとに生きる人々を。世界のありようを、この目で見てみたいのだと、フィリオルはいったのだ。
 私はためらいはしたが、長くは迷わなかった。
 やはり私は、薄情な女なのだろう。よくしてくれた舅や姑を、あの人の兄弟たちを、生まれ育った北の大地を、あの人に捨てさせたのだから。
 二人の旅は、困難なことには変わりなかったが、いま思い返しても、とても幸福なものだった。昼と夜の過ごし方を、高山での暖のとり方を、嵐のしのぎ方を、平らな土地での方角の見出し方を、行きの道々で覚えた草木の名前や、鳥や獣の狩り方を、料理や細工や、その土地の精霊への祈り方を、人々の言葉や習慣を、知っている限り、私はあの人に話して聞かせた。逆に、かの地へ向かう道で私が気づかないままでいたことに、あの人が目を留めて、私に知らせてくれたりもした。人は一人では、己のものの見方しかできないものなのだということが、あの頃、つくづく身に沁みた。
 何度となく危ない目にもあった。悲しい思いもした。人にだまされたこともあった。虎だの人食い魚だのに襲われたこともあったし、大小の怪我もした。だが、あの人が新しい世界を見つめるとき、空色の瞳には、いつも眩しいような光があった。
 アシェリが見たかったものを、彼がいまこの目で見ているのだと、そう思った。


 ふ、それがどうしたという顔をしているね。
 お前がさっき、持ち帰ってきた銅貨があっただろう。あのお顔が、どなたのものか、お前は知っているかね。そう、三代前の王様だ。その銅貨が、通用しない土地があることを、お前は考えてみたことがあるかね。
 この国に、いくつの都と町があるか、知っているか。このミッティス、隣のフロウ、その先にあるバーディエラ、北のフォン、ベラウ、シアティ……。もう出てこないか。もうちょっとあるね。私の記憶は少し古いかもしれないが、三つの都と、二十あまりの村と町、それをあわせたものが、この国だ。この王様の銅貨は、そこでしか使えないのだよ。
 それじゃあ、この国の外にいくつの国があって、そこにどれほどの町や村があるか、お前は知ろうとしたことがあるだろうかね。ああ、私だって、正しい答えを知っているわけじゃない。
 とこしえの黄昏の国を発って、この町に至るまでに、あの人とふたりで通ってきたのは、あわせて七つの国の六つの都と、二十の町と、四十いくつだかの集落だった。
 それはこの広い大地の上にある、あまたの国の、そのほんの一部だ。私だって、この大地の隅々までを旅したわけではないのだよ。故郷の地と、とこしえの黄昏の国と、この町との間の、ほんの一部の土地を巡っただけなのだ。それだけの旅路でも、その土地のそれぞれで、いったい何種類の銅貨と銀貨があって、いくつの言葉があって、何十柱の土地神と精霊が、何百の祠と神殿に祀られているのを見たと思うかね。海辺の港町と、山奥の小さな村と、人のおおぜい集まる都とで、どれほどに暮らしが違うか、食べるものが違うか、祖先の祀りかたが違うか、この町を出たことのないお前に、想像ができるだろうか。
 それだけの道のりを経て、この土地のすぐ近くまで、私たちはやってきたのだよ。ただ生きて通ることさえ困難な道も、いくらもあったというのに。
 あの人が倒れたのは、もう一日も歩けば、この町にたどりつこうかという辺りだった。
 ジャハラ熱だ。お前もかかったことがあるね。地元の子どもらならば、一晩も熱を出せばけろっと治って、二度とかからないような、たわいのない病だ。
 お前は知っているかね。土地の人にはたいした障りもないようなささやかな病が、違う土地に運ばれたとたん、次々に人の命を奪うこともあるのだよ。


 微熱があるといい出してから、二日ともたなかった。薬の備えもね、なかったわけではないのだよ。だが熱さましも、ろくに効かなかった。あの国の人々の体と、私たちの体と、何がそれほど違っているというのだろうね。無学者にはわからないが、いまでもひとつだけ、はっきりとわかっていることがある。私はあの男を、生まれた土地から連れ出すべきではなかったのだ。
 あとでわかったのだが、私はそのとき、孕んでいた。
 フィリオルの亡骸を辻に埋めたあと、そんなことにも気がつかないまま、私はこの町まで歩いた。歩いたのだと思う。その次に覚えているのは、産声をあげるお前を、呆然と抱きかかえているところだ。初めて顔を見るような産婆が、私の肩を叩いて労ってくれていた。知らない女たちが、お前と私を囲んで、安心したように、あるいは私を安心させるように、笑っていた。なるほど、地の涯ほどの遠い国でも、人々の笑顔は、それほど違わないものだと、あらためてそう思ったのを、よく覚えている。
 どうやってこの町の人々に、自分の身の上を説明し、住む場所を貸してもらったのか、どうやって産婆を呼んでもらったのか、それまでの記憶は、まるで思い出せない。
 ほら、およしよ。男がそんな情けない顔をするものではないと、いっただろう。
 だがまあ、この歳になるまで生い立ちを話さなかったことで、お前も、つらい思いをすることもあっただろう。近所の子どもらが、お前のその明るい色の瞳に、栗色の髪に、ひどい言葉を投げかけるところを、何度も見かけたよ。大人が口出しをすれば、お前はかえって嫌がると思ったから、何もいわなかったけれど。
 なぜこれまで、お前の生い立ちを話さなかったのかは、もう、うすうす察しがついているだろうか。私は自分が子どもだったころ、アシェリの話を信じたことで、周りの子らに嘘つき娘だと、端から決め付けられていたのだ。そうでなければ、狂人の子だと哀れまれていた。私はお前に、同じ思いをさせたくはなかった。
 私は誰に身の上を聞かれても、故郷の町が、さもこの町からほんのちょっと離れたところだというふうにふるまっていただろう。同じよそものでも、似たような習俗を持つ近くの土地の人間であるほうが、まだ人々の風当たりは少ないと、身を持って知っていたからだ。本当はそれどころではない。ここから東に山を三つ越え、河を渡り、さらに南に下って森を抜け、あわせてふた月ほども歩かねばならないところに、私の故郷はある。お前の祖父母が生まれ育った土地だ。
 そうした話を、もっと早くに聞かせてやればよかったのだろうかと、いま時分になって思うようになった。お前は昔から、自分の父親の話を聞きたそうにしていたが、一度も聞いてはこなかったな。遠慮していたのかい。
 お前は、私が何度か男たちの求愛を断ったことを、不思議に思っていたようだったが、それでも訳を訊いてはこなかった。これでわかっただろうかね。
 私の男、私の夫。互いにたった一人と思い決めて、生涯を連れそう伴侶が、私には既にいたのだよ。
 納得がいかないという顔をしているね。それならばそれでかまわない。人は自分の信じられるものしか信じないものだ。
 地の涯にはとこしえの黄昏の国があって、そこでは昼も夜もなく、金銀の髪と色とりどりの淡い目をした人が、時の流れるのも知らず暮らしている。そんな荒唐無稽な話は、信じなくとも生きていける。生きてはいけるのだ。
HAL
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2011年03月26日(土) 18時50分30秒 公開
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 拙い作品にお目通しいただき、ありがとうございました。
 ご感想、ご批評等、率直なご意見を教えていただけると嬉しいです。ご指導方、なにとぞよろしくお願いいたします。

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No.15  HAL  評価:0点  ■2011-05-15 19:53  ID:/EwT769Uch2
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> Phys様

 わわわ、ありがとうございます……! すっごく嬉しいです!

 冒頭のわかりづらさ、つくづく失敗だったなあと思います。いつまでもなかなか自分では冷静に判断できなくて。精進します。

 情景描写のバランスって、なかなか難しいですよね。ストーリーにもよるし、読まれる方の好みの問題もあるとはいえ、やりすぎてなかなか話が進まないように感じられるのもちょっとアレだし、省きすぎて光景がちっとも浮かんでこないのも寂しいし。わたしも引き続き失敗を重ねながら試行錯誤中です。

 ノスタルジーのある小説、あるいは語り手の郷愁や後悔がにじむような語りとかって、個人的に好きで、好みのままに書くと、ついつい過去語りに傾倒してしまうんです。ただ、たびたび色々な方からご指摘を頂戴するように、そのぶんリアルタイム感、臨場感が失われてしまっているので、一長一短というか、客観的にはマイナス要因になっているのかなと。自分でも頭ではわかっているのですが、好きだからやっぱり書いてしまいます。
 そういう匂いも残しつつ、その中でどう臨場感を出していくかだとか、そういうところをどんどん工夫していかないといけないのかなと思います。思っているだけで、なかなか力及びませんが……。

 ラスト、悲しい感じがされましたか。って、改めておたずねしなくても、そもそも筋書きがはっきり悲劇ですよね(汗)読後感が、悲しいばかりで終わっていないとよいのですが、なかなか按配がむずかしいです……。
 ほんとうはもっと面白おかしく、底抜けに明るいような話も書けたらいいのですが、わたしにはなかなか難しくて。人を笑わせるのって、とても力のいることですね。

「獣の奏者」いいですよね……! ああしたどっしりした世界観のあるファンタジー、大好きなんです。そのわりに自分が書くものはどうにもこじんまりしていますが……(涙)
 ファンタジー好きのお仲間が増えるというだけでも嬉しいのに、わたしの書いたものをきっかけにだなんて、ものすごく恐れ多いような気がしつつも、とても光栄です。

 ちょうどいま書いているものの出来にくよくよしている最中だったので、お言葉にとても励まされました。ありがとうございました!!
No.14  Phys  評価:40点  ■2011-05-15 18:05  ID:juIIGe0kaGE
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拝読しました。

こんにちは。けっこう前に読んでいたのですが、今さらになって感想を書いて
いないことに気付きました。ということで、毎度ながらあんまり役に立たない
駄文を書かせてください。

少し読み進めたらすぐ分かったので問題はないと思いますが、最初はちょっと
舞台設定と人物関係が分からなくて、戸惑いました。文章は申し分なくお上手
なので、読んでいてストレスフリーでしたし、情景がありありと浮かんでくる
ような描写も素敵でした。私自身は比較的筋を追いかけるだけの小説を書いて
しまう性質なので、このくらいの描写量だと読んでて心地いいのかぁ、と勉強
させて頂きました。

ところどころでホッとする語りや、人間らしい(いや、正確には違いますが)
優しさが滲み出ていて、温かい気持ちになれました。思い出を慈しむように
物語を語るお母さんには、作者であるHALさんの眼差しを感じました。物語を
大切にされている方だなぁ、と私は勝手に尊敬しています。

>いま、笑ったな。まあ、信じなくてもいいさ。

のくだりは笑みが零れました。昔話は、同じことを何度も言ったり順序が前後
したりして、私は黙って聞いていられない子だったのですが、おばあちゃんの
話す戦争の話も、今はもっと聞いておけばよかったと思います。ノスタルジー
とリンクするテーマですよね。

最後の結末、お話の収束点は少し悲しかったです。きっとお母さんは心の中で
後悔しながら、でも懐かしみながら、生きていくのですね。
>やはり私は、薄情な女なのだろう。よくしてくれた舅や姑を、あの人の兄弟たちを、生まれ育った北の大地を、あの人に捨てさせたのだから。
この一文も、切ないです。亡くなった父親の忘れ形見である漁師の息子さん。
父親がいないのですから、必ずしも幸せな少年時代とは言えないのかもしれま
せんが、きっと愛情を持って大切に育ててもらったのでしょう。こうやって、
文章で明示的には書かれてはいない部分まで読み手に想像させるというのは、
HALさんの持つ文章の力だと思います。HALさんの描く、生きた登場人物たちの
心の触れ合いが私は大好きです。

あ、PS、です。
以前、初ファンタジーということでHALさんの作品を読ませて頂きましたが、
それをきっかけに私もいくつかファンタジー小説を読むようになりました。
この前は獣の奏者って小説を買いました。とってもユニークで素晴らしい
作品でした。これから読書の幅が広がるような気がします。HALさんのおかげ
です。

また、読ませて下さい。
No.13  HAL  評価:0点  ■2011-04-10 22:25  ID:iaJ/hcGNTXg
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> G3様

 ありがとうございます! 冒頭、わかりにくかったですね……。反省します。

 改行の件は、自分がオンラインノベル含めて、縦書きでしか読まない読み手なので、どうしても横書きにあわせた呼吸で書くことができません。この先ずっとオンラインノベルの世界でやっていこうと思うのなら、戦略的には損だとわかってはいるのですが、そこはどうしても妥協できずにいます……。

 話の起伏は、弱点だとわかっているのになかなか改善できません……。めげずに精進していきたいと思います。

 ご指導ありがとうございました!
No.12  G3  評価:20点  ■2011-04-06 00:42  ID:wfVGn00IRSE
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読ませて頂きました。ちょっと解り難かったというのが正直な感想です。最初の方は誰が何を言ってるのか判らなくて、最後まで読んでから冒頭を読むとあーナルホドと思った。こういう語り口で進める場合、どんな人がどんな人と話しているのか、とか、どんな場所に居るのかって在った方が良いのではないかと思います。 それと、もう少し改行を増やしてくれると有難いです。縦書きで神に印刷したものだと全く問題ないと思うのですが、画面で見るとどうも読み辛かったです。話しの内容的にももう少し起伏があっても良い気がしました。SF板の鱗の話しが良かったのでちょっと辛目になってしまいました。申し訳けない。
No.11  HAL  評価:0点  ■2011-04-02 19:32  ID:EKSEBvXDzTw
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> lico様

 返信が遅くなりました。ごめんなさい! そしていつもありがとうございます……!

> 息子だとすると、ちょっと愛情が足りていないような気も
 ……! ほんとだ! いわれてみたら、まったくそのとおりです。世界設定以外のことを何も決めずに勢いで書きだして、書きながら整合性をとっていったので、ぼろが出まくりです……(汗) そのぶん気をつけて、推敲のときに細かく手を入れたつもりだったのですが、ぜんぜん足りていませんでした。反省します。

 冒頭ですね……。語りのリズムにこだわりすぎて、分かりやすさをおろそかにしてしまいました……。よりによって冒頭で、いきなり混乱を招くような書き方。本気でよくないですね。これも大反省します。(といいつつ、何度も似たような失敗をしている気がします・涙)

 語り手(と聞き手)の居場所。終盤じゃなくて、もっと早めに故郷との位置関係を示せばよかったのかなあ。婚姻制度についても、一夫多妻あるいは多夫多妻制がこの世界のベースで、そうでない地域でも、別れたり再婚したりは普通に多く、一夫一妻の地域がほとんどないとか、そういうようなことを表現したかったのですが、まるきり力不足でした。
 なんていうか、頭の中にある情報をちゃんと提示できていませんね……。気をつけているつもりなのに、いわれないと気づけないっていう、情けない有様です。めげずに少しずつでも客観視できる能力を、身につけていきたいです。

 具体的な構想があるわけではないのですが、黄昏の国といい、灼熱の海といい、設定が自分でけっこう気に入っていて、考えるだけ考えて作中に出せなかった設定などもたくさんあるので、また流用してなにか書きたいです。

 的確なご指摘と温かいお言葉、ありがとうございました! いつもlico様のお言葉がとても励みになっています。ご迷惑でなければ、今後とも引き続きご指導いただけると、とても嬉しいです。


> ゆうすけ様

 ごめんなさい、返信が遅くなりました。いつもありがとうございます。

 えっ、場末のバーのママさんって、こんな感じなんでしょうか。次にどこかで場末の酒場につれていってもらう機会があったら、こっそり観察してみようと思います(笑)
 書いていた自分の感覚としては、けっこうなお婆さんのつもりでいたのでした。これもぜんぜん、頭の中にある情報を出し切れていなかったなって思います。冒険をしたのも大人になってからで、世間的にはかなり遅めに産んだ子、みたいな……。語られる息子も、語り手的には若いけれど、客観的にはそんなに若くもないっていうような(語り手には何人も孫がいることですし)
 そのあたりをもっと具体的に、はやいうちに提示できればまた違っていたのかも。反省します(汗)

> 母が子に語る若かりし日の色恋話
 ありがとうございます。色恋もなのですが、いまではどこにでもいるような平凡なおばあさんが、若い頃には世界を股に駆けて、その町の誰も見たことのないようなさまざまな光景を目の当たりにしてきたのだというのが、個人的な萌えツボだったのです。……などと、自分で説明していたら世話がないですね?

 冒険、あっさりしてますよね……。書くほうが、世界観を語るのでいっぱいいっぱいで、ストーリーに力点をおいていなかったので、当たり前といえば当たり前なのですが、せっかくだからせめてもうちょっと、臨場感のようなものが出せればよかったなあと思います。反省します。山越えの話あたりのエピソードでも、ワンシーンみっちり書けばよかったかなあ。

 ご期待に沿えるようなものをいつまでも書けず、肩身が狭いやら……(汗)見捨てないでくださいと縋りたいような、それもわがままなような。ご無理のない範囲で、今後ともアドバイスしていただけたら、とても嬉しいです。
 ありがとうございました!


> お様

 返信が遅くなりました! ありがとうございます。
 や、率直にいっていただけるほうが助かります。べつになにも好き好んで叩かれたいわけでもありませんが(笑)、それなりに覚悟を決めてから投稿していますので、どうかお気遣いなく。

 ほかの方への返信にも書いていますが、自分が好きなものを好きなように描いたら、こういう淡々とした地味な話になるようです……。過去語りスタイルのマイナス部分も、ご指摘ごもっともだなあと思う一方で、単純に、過ぎ去った過去への後悔であったり、懐古であったり、そういうものの静的な手触りを、自分がやたらと好きなんですよね。だから、そういう語り口自体は、これからもしばしば書くんじゃないかなと思います。
 ご指摘のとおり、メリハリも足りていないんですけど、語り手への共感を呼ぶためのとっかかり的なものも、ぜんぜん足りないのかなという気が、自分ではしています。

 特に今回、ご指摘のとおり、世界観から構想をはじめていって、人物ありきで書いた話ではないので、世界観を楽しんでいただくことができなければ、面白みは薄いだろうというのも、自覚はありました。あるならもっと工夫して努力しろよという話なのですが……(汗)

 などと、言い訳がましいことをいいつつも、ちゃんと盛り上がるようなエンターテイメントなお話も、書けるようになりたくないわけではないので(と、いつまでもいい続けてぜんぜん進歩しないままですが……)、そちらも不得手といって逃げつづけていないで、諦め悪く努力していきたいです。

 しかし正直、自分の好みを無視してまで娯楽に徹するほどの根性はないですし、努力だけで書き続けられるほどのタフさもないので、やっぱり頻繁に駄作を垂れ流しちゃうかなとは思います。
 あまりの進歩のなさに、「せっかくアドバイスしたのに聴いてないな、こいつ」等々思われるかもしれませんが(汗)、情熱の方向が偏っていたり、助言を正しく活かせるだけの力がなかったりするだけで、けしてお言葉を軽んじているわけではありませんので、どうか寛容なお気持ちでお目こぼしいただけるとうれしいです……。

 またご指導いただけると助かります……といいつつも、どうも自分がお様のお好みにあうような小説を書けたためしがない気がするので(汗)、お願いするのもなんていうか、申し訳ないような気もします。お時間があってお気が向かれたときだけでも……ということで、今後ともよろしくご指導くださいませ。
 ありがとうございました!


> 沙里子様

 返信が遅くなりました。ありがとうございます!

 世界観を気に入ってくださったとのこと、とても嬉しいです。「もし地軸が公転面に垂直な惑星があったら……?」というところから組み立てていって、まず世界観ありきで書いた話でした。
 皆様からいただくステップアップのための詳しいご指導も、もちろんとても有難いのですが、自分の萌えを人と共有したくて書いているような部分があるので、「萌えた」の一言がなにより嬉しいです。

 お言葉、とても励みになりました。ありがとうございました!


> 片桐様

 いつもありがとうございます……! 片桐様にお気に召していただけたっていうのが、ものすごく嬉しいです!(ファンなので!)
 不出来はともかくとして、情熱というか、好きなものを全力で詰め込んだ短編だったので、ファンタジーの醍醐味っていっていただけたのが、とても嬉しいです。

 物語のよわさ、盛り上がりの作り方の下手さ、前々からいろんな方にご指摘いただいていて、そのつど反省しているのですが、どうにも勘がつかめなくて、いつまでも進歩がないです……(涙)精進します。

 あれですね、人様の作品を読んでいるときは、文章のうまい下手よりも、キャラクターやストーリーや雰囲気や、そういうものが大事だと思うのに、自分が書くものについては、文章がヘタクソだっていうのが、他の何よりいちばん恥ずかしい気がしますね。なんでしょうか、この理屈に合わない心理は……(笑)
 笑いごとじゃなかった。語り口、参考にします。岩井志摩子さん「ぼっけえ、きょうてえ」ですね。近々探してみたいと思います。

 ありがとうございました!


> のんべいキャサリン様

 わ、ありがとうございます! お久しぶりです!(というか、そもそも自分が投稿するのが久しぶりだったような……汗)

 らしい、ですかー。悪い意味でもらしさが出たのかなっていう気はしますが(汗)、しかし好きなものをとにかくぎゅっと詰め込んで書いたので、そんな風にいっていただけると嬉しいです。

 話の脈絡、感情の運びのライン、伏線の繋ぎ方、いずれも前々からご指摘を受けてきているのに、いつまでも下手で、恥ずかしいかぎりです。めげずに、少しずつでも意識していきたいです。

 また機会がありましたら、今後ともご指導いただけると嬉しいです。ありがとうございました!
No.10  のんべいキャサリン  評価:40点  ■2011-03-31 21:54  ID:8RZFFJ7S5.E
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お久しぶりです。
少し遅くなりましたが、読ませていただきました。

HALさんらしい書き方だと感じました。
なだらかに落ち着いた書き方です。
今回は男女のところに以前よりも力を入れていましたね。
古風な書き方にも好印象です。
良いなというところは山のように有りました。

改善の余地のあるところは、作者が分かっていても読者はまっさらな状態で読み始めます。例えば登場人物が幾つぐらいの人物でどんな特徴があるかとか、この出来事はあー来てこう来て終盤でどう繋がるかなどをもう少し印象付けたらどうかな? 何て所です。

いつものように好感の持てる作品でした^^
No.9  片桐秀和  評価:40点  ■2011-03-31 05:06  ID:n6zPrmhGsPg
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遅くなりましたが感想です。

一読して、かなり良いなと思いました。生活に根ざした細かな設定がツボで、ファンタジー好きとしては、たまらないものがありました。造語群もセンスを感じるものが多く、造語マニアの僕としては、分かる、ここで漢字組み合わせて生物名を作ることが分かる、ノイオ麦だとー、ひゃほーい、と一人盛り上がっていました。一夫一妻制と一夫多妻制という文化の違いが、この話の重要なポイントとなっており、異文化に触れる、異文化で生きる人々の気持ちを感じるという、ファンタジーの醍醐味が感じられた点もとてもよかったです。もっと読みたい。

ここからは他の方が仰っている指摘と大方かぶるのですが、主にニ読目に思ったことを書いていきます。
僕はこの話を読み終えて、外伝的だなと思いました。というのは、外部の物語とでもいいましょうか、静かに読める良さがある一方、物語としての動きが感じにくい。語り聞かせという手法をとった以上はしょうがない面もあるでしょうが、これ単独ではやはり物足りなさも感じました。
また、語りについては、まだ雰囲気(臨場感)が足りない。端々で今語っていますという文を入れ込んでいるのですが、自然な感じというよりは、「あ、そろそろ入れとこう」感が出ているように思います。僕が知ってる中で一番上手い語りは、岩井志麻子さんの「ぼっけぇ、きょうてえ」かな。未読ならご参考にどうぞ。といって、自分でどういう風にしたら良いという指摘ができないのをはぐらかしてるんですがw。

手厳しい(?)ことも書いたように思いますが、概して大好きな世界観でありました。またいつか、この世界で今まさに起きているドラマを見せて欲しいというリクエストをしつつ、ここで感想を終えます。
No.8  沙里子  評価:30点  ■2011-03-29 12:42  ID:QPFlw7z1FVY
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拝読させて頂きました。

既出の意見ですが、やはり冒頭につっかかりました。
たとえば句読点を――に変えるだけでも大分読みやすくなると思います。
けれどつっかかったのはその一箇所だけで、その後は最後まですらすらと読みきることができました。

このお話の世界観、私はすごく好きです。
地の涯にある夕暮れの国、遠い日を思い出す老女のまなざし、作品全体に漂うノスタルジックの香り……大変萌えさせていただきました。
読みやすい文章がさらに想像をかきたてて、本当大好きです、このお話。

読ませて頂いて、ありがとうございました。
拙い感想お許しください。
No.7  お  評価:30点  ■2011-03-28 22:32  ID:E6J2.hBM/gE
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うーん。うぬぬぬぅん。あ、どーも。こんちわ。
あー、なんというかですね、うーん、まぁ、ぶっちゃけですねえ、読むのしんどかった。
語りかけの文章って、意図的にしなくても、単調になりやすいものなんじゃないかと僕なんかは思うわけです。なんってても、一人の人間が、一人の人間の視点で、動かない時間の中、過ぎてしまった過去について語るわけで。つまり、自動的に臨場感は低い。読者からすると、情報の取得が、感覚的に間接の間接になるわけですな。であるなかで、意図して淡々とさせようとするとどうなるか……こうなったって感じ? ですかねぇ。僕はむしろ、意図して、無理にでもメリハリをつけないと、こういうスタイルは厳しいと思いました。とさ。
まぁ、僕の感覚で言えば、前半、おおかたいらない。
すぱっと切っちゃえ! てのが正直な感想だったり。ダメですか?
あぁ、あと、えー、語られている子供は幾つくらいなんだろう? ぜんぜんわかんなかった。娘時分があった……て表記からすると、生んでからけっこう経つのかな? と思ったら、語りかけは子供に対する言葉のようにも思えるし。うーん。僕の読み方が悪いのか。
いまひとつ、楽しみ所が分からなかった。
ガイドブック+α? 的な感じかなぁ。
過去に対する思い入れや、子に対する慈しみが、あまり伝わってこなかった。かも。これも僕が悪いのか。
わー、全体的に好印象な感想が並んでるのに、僕だけネガティブだー。僕の感覚がそれだけ狂ってるのか? 修復せよ、修復せよ!
すみません。垂れ流しました。ホントに済みません。
No.6  ゆうすけ  評価:30点  ■2011-03-28 17:58  ID:1SHiiT1PETY
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拝読させていただきました。

語り手によって語られるファンタジー世界、独特の雰囲気を楽しみました。HALさんの可能性、柔軟性を感じます。器をみて、その中身の形状を知るような感覚が面白いですね。
母が子に語る若かりし日の色恋話、こう言ってしまうと身もふたもないですが、なかなかの萌えですね。
語り手のちょっと荒んだ感じ、場末のバーのママみたいな感じの口調が、その容姿を想起させてくれます。時にうんざりしていそうな子供の表情も感じられました。

ただ、折角素晴らしいファンタジー世界ができているのに冒険があっさりとしている気がするんですよね。もっと踏み込んで書いて、語り手による過去の話であるのを時に忘れさせるぐらいでもいいかなと思いました。
舞台と役者は揃っているけど、活躍が期待ほどではなかった気がします。

自作の拙さを棚にあげての偉そうな感想、申し訳ありません。でも、HALさんに対しては最高の期待をしております。プレッシャーをかけるようでさらに申し訳ないのですが、今後も素晴らしい作品を期待しております。
No.5  lico  評価:30点  ■2011-03-28 02:35  ID:dYdaXkyotak
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 窓で、縦書きで、読ませていただきました。うっとりするような美しい文、素敵なリズム、目から鱗でした。ほかの方々にも、ぜひ縦書きで読んでほしい!

 それはさておき、老女の語り聞かせとは、また難しいスタイルに挑戦されましたね。この文体で、あそこまで語らせるなんてすごいです。頭が床にくっつきました。ところどころ、聞き手の反応を示したところもよかったです。でもそう、相手が孫くらいならちょうどよい距離感かも知れませんが、息子だとすると、ちょっと愛情が足りていないような気も。今まで語らなかったのは、息子を思ってのことだと言っていますし。

 冒頭のキャラクター相関は私も少し混乱しました。アシェリ=語り手の父、という最初の一文がわかりづらかっただけだと思います。例えば、「〜アシェリ、私の父だけれど、彼から〜」とか、単純に「父のアシェリから〜」としたらスムーズに入ってくるのかなと。もうひとつ、なんとなく疑問に思いながら読んでいたのは、ここがどこかということ。地の涯でないのは確かで、彼女の故郷でもない。でも多夫多妻制(?)なのはどうやら故郷と共通しているもよう。ならば? という辺りで首を傾げていました。最後まで出てこなかったですね。意図的に配置した謎で、ラストに種明かし、というおつもりでしたらごめんなさい。うん、それもアリですよね。

 語り手が見てきた世界、興味津々でした。ブログに書かれていたことですよね。ブログを拝見していなかったら、もしかしたらちょっと「?」な部分もあったかも知れません。なんせ科学や地理はとんと苦手で(汗)。でも、きれいに整理整頓されていて、黄昏の国、良くも悪くも魅力的でした。フィリオルとの経緯や彼の最期も切なかったです。全体として、やはり物語の気配が薄いことが難点なのかなと思わなくもないのですが、それでも充分楽しめました。

 HALさんの新境地を垣間見たような気分です。この設定を使った別のお話も書かれる予定とのこと、そちらも楽しみにしています。
No.4  HAL  評価:0点  ■2011-03-27 22:33  ID:FC5Grk/FMjQ
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>ねじ様

 ありがとうございます……!

 ですです、良くも悪くもまるきり萌え小説です。自分のなかで萌えとロマンの区別がうまくつけきれていませんが、ともかく、書いた本人がそのつもりでした。と思います。

 しかし、真に万人に愛されるようなものは書けないにしても、「フィーリングのあう一部の方だけ楽しんでもらえればほかの人にはつまらなくてもいいや……」というほどには開き直れないので、それならばわたしは本当はもっと、テーマのわかりやすさであるとか、盛り上がる構成や展開であるとか、そういう部分の修行を切実にするべきだと、実は自分でも分かってはいたりします。でも、それがうまくできないので(ストレス発散を兼ねて)、ただ書きたいようにシュミに走って書いた、というような……(汗)

「そんなものを人様に読ませるんじゃないよ」とか、ちょっと自分でも思わないでもないのですが(大汗)、しかし、好きといっていただけてとても嬉しいです。少なくとも、どなたかお一人にでも好きといっていただければ、書いたことは無意味ではなかったなって。

 反省すべきところは反省しつつ、自分の萌えも失わないようにしたいです。有難うございました!


> 永本様

 はじめまして、ですよね。ありがとうございます!

 疾走感、躍動感のある冒険ファンタジー、たくさんの枚数を使って活き活きと語られる壮大な話、そういうのっていいですよね。読むのは大好きなのですが、自分で書くほうはなかなか……。そういうものにも、いずれは挑戦したいのですが。

 正直なところ、書いているあいだ、頭はまるきりカラでした。世界観と設定の基本だけがあって、キャラクターも展開も筋も、恥ずかしながら何もかも書きながら作りました。それでこうなるのだから、どちらかというと、自分の地のほうが、理詰めでつまらない人間なのだと思います……。
 設定そのものは、またいずれ別のストーリーを書くときに使うだろうと思いますので、子どもの目から見たこの世界のありようも、いつか書けたらいいなと思います。

 ご指導、ありがとうございました。めげずに精進していきたいと思います。


> としお様

 ありがとうございます!
 冒頭、文脈の分かりづらさ、いわれてはっとしました。よくやらかすというか、どうも悪い癖なのですが、つい文章に対して、自分の呼吸、みたいなものを優先してしまって、しばしばわかりやすさ、正確さをおろそかにしてしまいます。推敲のときに気をつけているつもりなのに、いつもいくつか見落としてしまって。客観的に自分の作品を見つめることが、いつまでも下手です……(汗)

 語りかけの語尾のほうも。いわれてみれば、雑でした(汗)教えてくださってありがとうございます。

 イメージが浮かんだ、とのこと、とても嬉しいです。語りかけというスタイルを選択したこともあり、つい情景描写が少なくなってしまったので(それでも、もっと工夫のしようはあったのかなという気もしていますが、なんとも力不足で……)、そう言っていただけると、とても嬉しいです。同時に、小説というのは、いちばん最後のところは読まれる方が作り上げるものなんだなあと、つくづく思いました。

 これを書く動機になったのは、惑星の地軸の公転面に対する傾き(とそれに伴う昼夜の関係)の話題がきっかけだったのですが、ちょうど同時期に読んでいた書籍で、「砂漠にはモンスーン的周期性がない」という気象の特性と、それに起因するのかもしれない砂漠地帯での時間や歴史の捉え方、そうした議論が出てきまして。そういうものを読んだ感慨を、未消化ながらも詰め込んでみました。
 そして、そういうところを出発点にしたわりには季節のない世界の特異性をうまく出し切れていない自分の力のなさを感じています……。精進したいです。

 お言葉に、とても励まされました。これからも引き続きご指導いただけるととても嬉しいです。ありがとうございました!
No.3  としお  評価:40点  ■2011-03-27 16:05  ID:kWriX7DAQx.
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HAL様へ
読ませて頂きました。
まず失礼ながら、私が読んだ上で感じ取った、小説の難点を書かせて頂きます。
一点目は、冒頭部の読み辛さです。厳しい事を書かせていただきますが、正直、読んでて混乱いたしました。

>若い頃から放浪の旅をくりかえしてきたというアシェリ、私の父親からその話を聞いたときには、またいつにもまして荒唐無稽な法螺話をするものだと、呆れかえったことだった。

この部分の書き方は、混乱を生みます。一読して私は、『アシェリの話を、語り手は、『アシェリではない父親』から伝え聞いた』のかと誤解しました。そして、この部分の混乱から、『聞き手』=『アシェリの孫』→では『語り手』とアシェリ、そして『聞き手』の関係は一体? と一時混乱に陥りました。ですので初めの部分はやや説明口調でも、語り手の父親がアシェリで、聞き手が息子であると、はっきり明示したほうが良かったと思います。
また、文体はところどころ、突き放した語りになっております。

>呆れかえったことだった。(二節目)
>随分と悩んだようだった。(四節目)

ここは、誰かに語りかける、と言う感じになっていないと思われます。『呆れ返ったものだ』とか、『随分と悩んでいたね』とか、語りかける口調だと良かったなぁ、と思います。

……文句ばかり申し上げてすみません。
ただ、冒頭部以降の流れは非常に素晴らしいものでした。単純に感動、と言うものではなく、心に一つ一つ、彼女の体験の語りが小さなイメージとなって浮かびそれが最後に一つの物語となって帰結し、何とも言えない満足感を生み出しました。
私はこれを読んで、昔貪るように読んだ厚い六冊の童話集を読んだことを思い出しました。
人魚姫など、原文訳のかなり長い、文字が緻密に並んだ童話集だったのですが、それらの多くが、読者に語る口調で書かれていて、読みつつ私の心の中で、大きな物語を生み出していた事を思い出すのです。
黄昏の国の描写もまた、素晴らしく思います。私の目には茜色に輝く凍りつく大地の姿がはっきりと思い浮かびました。
そしてふと思ったのは、住む環境と言うものは、人の根本的な常識や思考に大きな影響を与えるのだろうか? という疑問でした。私事で恐縮ですが、私の住む町は非常に外国人が多く、最近は中国の人を良く見かけます。そして時に店などで、やや常識はずれな行動を見たりなどするので、どうだろう、と思ったり致しましたが、そもそも済んでいる環境自体、私と彼らは違うわけで……何か根本的な思考等……心の奥底に流れているもの自体、全く違うものなのかもしれないと、今更ながらに気付かされました。

……長々申し訳ありません。
久々にHAL様の文を読めて、本当に嬉しく思います。
これからも、素晴らしい文を書いてくださいませ。
それでは。
No.2  永本  評価:30点  ■2011-03-27 13:54  ID:l0JpXo/GvK6
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楽しんで読むことができました。完全に異世界ファンタジーでしたが、文章をしっかりと練りこんで書いてあり、情景等を思い浮かべるのに苦労せずすらすらと読むことが出来たのでとても質の高い作品だと思います。
しかし惜しいなと思いました。
まず一つに物語が短いというのが残念でした。異世界ファンタジーなのに、所々で出てくるワードの説明もなく進行してしまい、何か無理矢理まとめにかかっている感じがして、そのせいで読んでいる側を置いてきぼりにし作者が暴走しているような感じが見受けられました。もっと長く、綿密に、そうすることによってこの物語がもっと良くなると思います。こうしたファンタジー物ではこじんまりと物語を収束させる付け焼刃の「技術」よりも、破綻してもいい、荒削りでもいい、それでも最後まで読者を物語の波に乗せるような「勢い」「疾走感」そして読んだ後に「ああ面白かったな」と思えるような感動のようなものが重要だと思います。悪い意味で頭で書いている物語だなと感じました。そこを改善するときっとこの物語は傑作になると思います。
それともう一つに老婆の語りによって進行する『とこしえの黄昏の国』ですが、一つにそれが物語の良さを削いでいる原因ではないかと思いました。老婆の語りによる「過去進行形」の物語にするより、少女の冒険による「現在進行形」の話にした方がもっと作品にのめり込んでいけたと思います。私の価値観によるものだとも思うのですが、こういった完全な異世界ファンタジー物は辛酸を舐め、様々な経験を積んだ「大人」の静かな語りよりも、むしろ典型的になってしまうと思いますが、未熟で純粋な「子供」の語りによるジュブナイル的な方が感情移入出来ると思います。そうした子供が見たもの、触れたもの、感じたもの、触れあった人々襲いかかる災難にどう立ち向かったかetcなんかはとても新鮮なので。そういったことをしっかりと書いた方が作品にぐいぐい引き込まれます。
文章力と世界観の構成等は水準を上回っているので、頭ではなく体で書くことによってきっと傑作のファンタジーが書けると思います。
それでは。
No.1  ねじ  評価:30点  ■2011-03-26 19:22  ID:fAeco917sM6
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読みました。

私はHALさんがなんということもなく書く、人とはわかりあえないということを柔らかく許すような姿勢がとても好きだな、と改めて思いました。
それはともあれ、読み終えたあとなんともいえない不思議な感覚があって、ふっと、これは萌え小説だな、と思いました。なんの萌えかはともかく、萌え小説というのはその萌えを共有できないとなかなか楽しむことができないような気がします。私はこの小説の郷愁や文章に心地よく浸ることができましたが、そうでなければなかなかここから何かを読み取ることは難しいのではないでしょうか。この作品にはよいディティールとその感触がある。けれど、何かを伝えるための物語は、ない、といっては言葉が過ぎますが、現れてはいない。
なんだかとりとめのない感想になってしまいましたが、わたしはこの小説が好きです。読めてよかったと思います。
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