金色のトラジ |
昔々あるところに 大きな 金色の猫がいました 穏やかで のんびりした性格で 光り輝く体を持っていたので 仲間から 頼られており 尊敬されておりました ある時 その猫は 神様に 呼ばれました 『私は動物たちに 頼りにされて 尊敬される おまえに もっと成長して欲しいと思う それゆえ 下界に 降りて いろんなことを 経験してきなさい』 そう言われた 金色の猫は 金の矢のように早く 下界に降り立ち 自分に素晴らしい経験をさせてくれる 生き物は どこにいるのだろうと 世界を 見渡しました ふと見渡した世界の端っこに 一人ぼっちでうつむいている 女の子がおりました その女の子は 立派な身なりはしておらず 少し 臆病な様子に見えました 今までいたところではみすぼらしく 臆病な様子の動物など 見たことがない 金色の猫は 、興味をそそられ その女の子のところまで走って行くと 、金色 の体は 瞬く間に 光を失い くすんでしまい 茶色っぽい色になってしまいました 自分の体を見た 金色の猫は とてもびっくりしたと同時に がっかりしました 女の子には 友達が一人もいませんでした 女の子は 自分のことを みすぼらしく 何の取り柄もないと思っていたので 誰にも心を 開くことがなかったのです そのために 誰一人、 女の子と友達になりたいと思う人はいませんでした 金色の猫は 自分もちょっと 輝きを失って みすぼらしくなってしまったけれど、 今までに経験したことがないような 変な経験ができるかもしれない 、 と前向きに 気持ちを切り替えました 女の子と一緒に暮らすことを決めた 金色の猫に 女の子は名前をつけてくれました すでに金色ではなくなっていて 茶色いシマシマの猫だったので ちっちゃいトラみたい と思った女の子は トラジ という名前を 金色の猫に つけました 金色 でなくなった トラジは いろんな 能力も同時に 失っていて 女の子に色々と 世話をしてもらわないと 生きていけません 一緒にお風呂に入ったり 美味しいご飯をもらったり ふわふわのお布団に潜り込んで 二人で眠ったり たまにお散歩をすると 見たことないような大きな鎌を持った緑色の 偉そうな 態度の虫とか、 赤い背中に綺麗なお星様を乗せた 丸い 可愛い虫とかに 出会って 、 トラジはそれをからかったりして 楽しい日々を過ごしておりました 女の子も トラジが友達になってくれて 毎日が寂しくなくなり 暗く くすんだ表情だったのが だんだんと輝いてきたようでした ある時 トラジと女の子は、光波照間島 というところの 森が伐採されてしまうという噂を聞きました その森には たくさんの動物も 住んでいて みんな 穏やかに 過ごしておりました 森が伐採されてしまうと その動物たちは すみかを失ってしまいます トラジと 仲良くなって ずっと 過ごしてきた女の子は 動物たちの住処 がなくなる と考えただけで 胸が締め付けられる思いでした トラジと女の子は 光波照間島の 動物たちを 何とかして 助けることができないか 相談をしました トラジはまず その森に行ってみようと提案します 2人は早速 たくさん電車を乗り継いで 光波照間島まで 急ぎました 急いで 森まで やってくると 上空で鳥たちが 騒いでいますトラジは 鳥たちに どうしたのか聞いてみました 『 人間たちがこの森を 壊そうとしているのさ 俺たちは ここを失ったら どこにも行くところがない どうすればいいのかわからなくて みんな騒いでいるのさ』 トラジと女の子は言いました 『 騒いでいるだけでは 森はどんどん 壊されてしまうよ 何か他の方法を考えようよ』 鳥たちは了解して それぞれの動物たちが 得意なことを 分担しながら やれることをやっていこう ということを 森のみんなに伝えてくれました クマと ビーバーは 協力して 森の木が 倒れないように しっかりと補強してくれました 猿たちは とても 知恵者で 人間たちの 裏をかきながら 色々と 妨害工作をしてくれます 猿たちが妨害工作ができるように 上空から 情報をくれるのは さっきの鳥たちでした 鳥たちはこっそり覗き込んでの スパイ活動が大の得意だったのです 鹿やうさぎや 小さな動物たちは プラカードを持って 抗議運動しましたそうして 動物たちは トラジや女の子たちの助けも借りながら 自分たちの大事な森を守ることができました 森の動物たちに 感謝をされて トラジと女の子は とても 嬉しかったと同時に 照れました 女の子は 今まで誰かに 褒められたり 感謝をされたことがなかったので とても嬉しかったのです それは女の子にとっても 自信に繋がり ちょっとだけ 胸を張って歩けるようになりました 暗い表情をしていた女の子は もうどこにもおらず ニコニコ と光り輝く笑顔を振りまいておりました そうするとトラジの体は 再び 前のように キラキラと 金色に輝き始めました トラジにはそれが 神様のところに 戻る 合図だということが わかっておりましたトラジは女の子に 『 僕はそろそろ 帰らなきゃいけない 君と一緒に過ごした 時間は 僕にとって 光り輝く時間だったよ ありがとう きっとまたすぐに 会いに来るから それまで待っててね』 と言いました 女の子は すごく嫌だったけれど トラジの体は 今までと全く違う 光を放っていたので 止めることができないのだということを 理解しました 『あたしも 一緒に居れて嬉しかったよ もうおうちに帰るんだね ありがとう またきっと会おうね』 と言いました 女の子は もう一人ではありませんでした 大勢の森の動物たちが 友達でした トラジと 女の子は お互い大きく手を振って 『またね』 と微笑み あいました 森の動物たちも 大きく手を振ってくれました トラジは 光り輝く 胸にいっぱい 経験と 思い出を詰め込んでにこやかに家路につきました |
三神五月
2025年08月23日(土) 21時36分58秒 公開 ■この作品の著作権は三神五月さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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